4-5 「女騎士」と炎の馬鹿共
エメラルドン様から、初レビュー頂きました!
とても嬉しいです!!
初レビュー記念に閑話を書いて出来次第投稿します。
ブックマーク等も皆さんありがとうございました!!
ーーー女騎士視点ーーー
私は、完全に回復していない体に鞭をうち、街中へ向かっていった。
マドリッドとリクは高確率で助からないだろうが、少しでも可能性があるならば、諦めることは出来ない。
そして、この草原(約1.5キロ)を走りきれば、もう街は目の前だというタイミングで私の歩みは止まった。
「そこの女! 止まれ!!」
「なんだ!? 私は急いでいるのだ? 」
ただでさえ気が立っていたところに不用意に停止命令をされ、私はつい怒鳴り返してしまった。
「女……お前タクウィンパーティの『女騎士』だろ? だったら、ここを通すわけには行かないな……」
どうやら、男4人組のようだが、1人だけ親子ほど年が離れている人物がおり、残りは全員20代くらいだろう。
「ふざけているのか!? たたっ斬るぞ!! 」
「お~怖っ! …… まっ、大人しく捕まれや! 」
「ライジングサン! 」
会話に参加していなかった男の1人が魔法を使うと、辺り一面が氷やガラスの様に光を反射するようになり、私は、あまりの眩しさに目を閉じてしまった。
「スモークスクリーン! 」
もう1人の会話に参加していなかった男が魔法を使うと、辺り一面に今度は煙が充満した。
屋外だったため、すぐに晴れると思ったが、そうはならなかった。
私は、急な環境の変化の連続にパニックになってしまい、完全に思考力が落ちてしまっていた。
「焔! 」
年が離れている男の放った火の塊が、私に直撃した。
「ぐっ……」
私は深傷を負った。
「死なない程度に痛めつけねぇとな! ファイヤーフレイム!! 」
最後に、私と会話をしていた男が、激しい炎を放射してきた。
……思い出した。奴は炎の「勇者」だ。
昔マドリッドに乱暴をしようとして私が追い返した奴だ。
確か名前は…… クソザコ=ゴミタロウ とかだったか?
あの時……殺しておけばよかった……。
私の甘さが……私を……仲間を、殺したのだ。
私は、死にはしないまでもこのまま奴らにやられるのだろう……そうなれば、マドリッドとリクを助けることも出来ない……。
マドリッド……リク……。
マブール……すまない……。
「身代わり! 」
私に当たった炎は私を燃やさなかった。
「あっちゃちゃ!! 」
しかし、空を飛んでいた? 男性が、何故だか燃えている。……あっ、落ちてきた。
「獣人化!」
金髪の少女から耳と尻尾が生えたかと思うと、炎の馬鹿に強烈な蹴りを浴びせた。
「投擲術1ノ型:チェンジ オブ ペース」
獣人の女の子が投げたナイフは、一度空中で止まり、大きく曲がったり、急に止まったりを繰り返し、結局は「焔! 」の男の左太ももを抉った。
「集中回復! 」
もう1人の黒髪の少女が、私をスキルか魔法かで庇った? と思われる男性の治療をしている。
回復した男性はむくりと起き上がり、こちらへ近づいてきた。
「「てめーは!!! 」」
炎の馬鹿と焔のおっさんの声が被った。
「よぉ! 久しぶりだな! えーっと、名前は確か……あっ! パンツ臭太郎さんとかでしたっけ? 」
「どう覚えたらそんな間違いするんだよ!! 」
「あと、おっさんは確か……メッチャハゲ太郎とかだっけ? 」
「だから! てめーわざと言ってんだろ!!」
「うるせー殺すぞ」
一体何が始まったのだろう?
炎の馬鹿共と私の前に立ってくれたふくよかな男性がなじり合っている。
炎の馬鹿の連れの2名は会話についていけていないが……。
1対4の状況から、一転して5対4と有利になったことで、私も冷静さを取り戻してきた。
逆に、炎の馬鹿共は状況の悪さに、ばちが悪そうな表情をしている。
「倅共! ずらかるぞ! さっきと同じスキルを使え!! 」
「させっかよ! でぶエット!! 」
ふくよかな男性が叫ぶと、炎の塵共が急にぶくぶくと太り出した。
あまりの急激な変化に、私も唖然としてしまい、空いた口が塞がらない。
しかも、4人とも重なって転んでしまっているので、4つの肉塊というより、1つの大きな肉塊に見える。
「斬! 」
肉塊共が切り刻まれていく。
「力士」
そして、その命が風前の灯火となったであろう炎の塵共をジャイアントスローで森の方へ投げ込んだ。
「集中回復! 」
2人目を投げ込んでいる最中、黒髪の少女が私のダメージを回復してくれた。
「す……すまない……」
「いえいえ、困った時は、お互い様ですよ! 」
まるで「天使」の様な少女だ。
この時の私には、本物の「天使」に見えていた。
「それより、あの馬鹿共に何故狙われたのか、身に覚えはありませんか? 」
ふくよかな男性が質問してきた。
その質問で、私は急激に冷静になった。
「仲間が! 襲われて! 大怪我なんです!! 一緒に来て貰えませんか!? 」
すると、ふくよかな男性は真剣な表情に変わり
「俺はマイとこちらの女性を連れて全力で飛ぶから、シャルとシアンは周囲を警戒してくれ! 」
「はい! 」
「うん! 」
「わかったにゃ! 」
男性の指示に少女達が各々の返事をした。
このパーティ、男1人に女の子が3人か……俗に言う「まぶってる」ってやつか?
そんなことを考えていると、男性は私と黒髪の少女を抱き寄せ、呟いた。
「力士! 」
すると、男性の体つきが更に大きくなり、私達をそれぞれ片腕で抱き上げられるほどになった。
「飛行! 」
そして、私達を抱えた男性は、そのまま大きく飛び上がった。
私は、初の空の旅を楽しむ心境にはなれぬまま、すぐに借家に戻ることができた。
しかし、そこにはもう、2人の身体はなかった。
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