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1-4 「でぶ」は醜く滑稽に逃げ惑う


あの糞「でぶ 」野郎が……。


俺も「でぶ」だけど……。


太陽の位置的に、現在は大体昼の2時頃と思われる。


このままここで夜になるのは避けたいが、あの「でぶ」曰くここは「獣人やエルフのいる異世界」である。そのことから、恐らくだが魔物だかモンスターだか言われる恐ろしい生物がいるかもしれない。焦る気持ちを抑えて(単純にまだ動きたくない)、残りのスキルを確認した。


名称:暴飲暴食

希少:?

性能:食した飲食物が脂肪ではなくHPやMPに還元され、滅多なことでは痩せないが、滅多なことでは太らない体質となる。食べることくらいにしか喜びが見いだせない五十嵐君人の固有スキル。


名称:でぶエット

希少:?

性能:対象者を自分と同程度の体重まで急激に太らせる。太らせ具合は調整できる。見た目への影響に関しても調整可能。「でぶ」の中の「でぶ」である五十嵐君人の固有スキル。


名称:解析鑑定

希少:☆1

性能:道具やスキルの詳細を知ることが出来る。本人の技量によって知れる情報量が異なる。無知で哀れな転生者全員に与えられるありがたいスキル。


名称:巨大化

希少:☆2

性能:自分自身を大きくする。上限は使用者の技量に依存する。ただでさえ巨大なお腹を持っている者が使用できるスキル。


名称:身代わり

希少:☆3

性能:半径50m以内にいる対象者が受けたダメージを肩代わりする。ダメージを受ける前後3秒以内に使用しないと効果を発揮しない。唯一と言って良い善行が他者を庇ったことだった者が使用できるスキル。


名称:収納

希少:☆1

性能:ゲーム等でよくある「それどこにしまってんの? 」ってやつ。未来の世界の猫型ロボット並みのお腹を持っているため既にレベルが上がっている。


名称:詐術

希少:☆4

性能:嘘がばれづらくなる。口八丁でその場その場を乗り越えてきた者に与えられるスキル。


名称:魔力増幅

希少:☆5

性能:MPが増える。転生者の中でも屈指の運動センスのなさを同情した「でぶ」神が「でぶ」に与えしスキル。




…………。これら能力を俺にくれた「でぶ」神様。


彼は俺のことが嫌いなのだろうか?


同族嫌悪というやつだろうか?


まぁ、解析鑑定のスキルは助かる。


……全員貰えるやつだけどな!


それに「魔力増幅」スキルは大変ありがたい。


「でぶ」同士の絆よ、永遠となれ……。


さてさて、とりあえずスキルを試したいところだが、一番気になるのは「ものまね」である。


勿論俺は実際に魔法や剣技を見たことはない。


しかし、アニメやマンガ、ゲーム等で馬鹿みたいに見てきたし、それらが「ものまね」出来れば天下無双・世界最強も夢ではない。


まぁ、わかってはいるよ。


そんな都合良くはいかないだろうと……。


でもさ! ダメ元って言葉あるやん?


だから試してみたい気持ちはあんだよね?


ウキウキワクワク気分で俺がスキルを使ってみようとしたところ、後ろから ちょんちょん って感じで肩に触れる者有りけり……。


んだよ?人がお楽しみの最中だっつーのによ……。


……。


………………。


……………………………………ん?こいつは俺の親戚か?


異世界に親戚がいたなんて聞いてねぇぞ?


2mはあるであろう高身長にひろーい肩幅、焦げ茶より更に限りなく黒に近いぎり茶色と言える体毛が全身を被う豚面の大男……。


そう!彼こそは!!!


お待ちかね……そう! オークさんである。


…………。……………………ん? オークって魔物じゃね?


つーかやばくね?


俺死んだくさくね?


………………。


しかし、俺もそれなりに多くのスキルを手に入れている男である。プライドもある。これから先オークごときを倒せなくてどうする?


「解析鑑定」っと!


種族:ハイオーク

驚異:7

性質:人間を100人以上食らったオークの進化後。群れに属していないオークを見つけたら自分の群れに加えようとする。群れが大きくなる前に見つけ次第討伐すべき対象。


…………。


フハハハハハハ!


ハイオークさんよ! 我が未来のチーレム人生の記念すべき初獲物となるが良い!!


スキル「ものまね」を行使……。


幾度もリピートしたアニメ「このめっちゃ良い異世界にお祈りを!」のメインヒロインである某ロリっ娘が唯一使えるあの魔法を想像した。


想像し創造した。


我が必殺の魔法を食らうが良い!


穿て!大爆発!!




……。



……しかし、何も起こらなかった。


まぁ、流石にアニメで見ただけの技まで「ものまね」出来ないよね。




…………。フハハハハハハ!くらうがいい!!


我が必殺の!!!


敵前逃亡を!!!!!






一一一一一一一


俺は走った。


とても走った。


もう50mも走った。


そして力尽きた。


そりゃそうだよ、「でぶ」だもの。


この逃走劇に「『でぶ』は醜く滑稽に逃げ惑う」等と酷すぎるタイトルを付けられていることは、当然彼は知る由もなかった。


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