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3-10 愛の「勇者」と「女騎士」

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ーーー愛の勇者視点ーーー


私はマブール=タクウィン。


「豪勇鎮西一」と呼ばれ、修羅の国で殺戮の日々を過ごしていたのは1年以上前の話だ。


今は時々即席のパーティを組ながらも、固定の仲間を持たず、ソロの冒険者をしている。


それもこれも実家からの追手が毎日の様に現れるので、仲間に迷惑をかけないためには、固定のパーティを作れないのである。


今日も私は、ソロで山へやって来た。


この山では、普段は単独行動を好む大天狗が急遽集まってきているらしい。


大天狗の集会だろうか?


そしてその情報を持たず、大天狗は一体だけだと思っている剣技の「勇者」 ユウジロウ=オオヌキ のパーティに追い付き、撤退を促すのが今回の私の任務である。


道中、大量の魔物に襲われた。


というのも、オオヌキは基本的に魔物を倒すレベル上げを好まず、指定された魔物以外は放置するタイプだと知られていた。


そのため、無視されて気が立っている魔物達は、全て私が対処する羽目になった。


200体のラフレシアンに囲まれた時は死ぬかと思った。


……臭すぎて。


ラフレシアンは決して強いモンスターではないが、一体一体が若干臭いので、集まると激臭がする。


また、切ると体液が飛び出してきて、それが恐ろしく臭い。


返り体液を浴びない様に気を付けてはいたが、努力虚しく、ラフレシアンを全滅させた時には、私は恐らく激臭を漂わせていた。


そしてそこからは魔物が寄ってこなくなった。


ラフレシアンの体液には、魔物避けの効果があるのだ。


道具屋で売られている魔物避けの商品にも、実は極僅かな量ではあるが、ラフレシアンの体液が使われているらしい。


そしてそんな中、川を見つけた。


私は、これ幸いとばかりに、全裸になって水浴びをしたり、服や鎧を洗ったりした。


「ふぅ~……さっぱりするな……」


俺が体を洗い終える頃、風の臭いが変わった。


「……風が……泣いている……」


俺は濡れた服を着ずに置き去りにし、風の臭いを頼りに走った。


大天狗が風を操ると、周囲の風に何か嫌な臭いが混ざる。


先程まではラフレシアンの臭いもあり、かんじることが出来なかった。




「こ、これは……」


たどり着いた現場では、情報通り大量の大天狗が発生していた。


そして、1人の女性騎士が片膝をついていた。


その女性と目があった。


何故か塵を見るような目で見られた。


何故だ?


あー、全裸だからか。


その件は後で謝るとして、この場を乗り切るとしよう。


「我が愛を知れ……」


私は、愛用のレイピアに魔力を纏わせた。


「我が剣技にときめけ……」


私の憧れ 恋慕の「勇者」イッサ=ダンプ のキメ台詞を拝借させて頂いた。


彼は、「勇者」でありながら、ダンサーや吟遊詩人としても活動しており、多様な活動をしている。


私は、彼の自由な生きざまに強く引かれている。


そして彼は、フリーダムな生きざまにに加えて、悪人を決して許さず、あまり金にならない様な慈善活動にも幅広く参加している。


イッサは私の憧れであり、いつか追い付く指針でもある。


「秘技 ラブ&デストロイ……」


この技はイッサの「ラブ&ピース」という技名から拝借させて頂いたものだが、技自体は完全にオリジナルである。


「夢にときめけ! 明日にもときめけ!!」


すると、レイピアが20つに分裂し、大天狗に向けて向かっていった。


大天狗は避けたり、風を使って軌道を逸らそうとしたが、一度避けられたり逸らされたりしても、軌道修正されて大天狗に刺さった。


20つの小型レイピアは、全て異なる大天狗に刺さり、大天狗達の魔力を活性化させ、力を漲らせた。


しかし、直ぐ様、注がれ過ぎた魔力は暴走し、大天狗は破裂した。


残った数匹の大天狗は、元に戻ったレイピアで突き殺し、俺は現場を後にした。


その際、女性の騎士が何かを言っていたが、私は残っていたポーションを与え、帰路に着いた(途中で服を回収した)。






ーーーーーーー


「だからよぉ! 大天狗なんていなかったっつーの!! 」


私がギルドに戻ると、オオヌキが受付嬢に怒鳴っていた。


「あっ! タクウィンさん!! 」


受付嬢が話しかけてきた。


「あんたがマブールか? お前が無事だったってことは、大天狗はいなかったんだろ? 」


オオヌキはニヤニヤしながら尋ねてきた。


「いや、全て殺したが? 」


俺はギルドカードを見せながら答えた。


ギルドカードには、所持している際に討伐した魔物が全て記録される。


「はぁ!? おまえが26匹も大天狗殺ったっていうのかよ!?!? 」


「その通りだ!!! 」


俺ではなく、今ギルドに入ってきた。人物が答えた。よく見ると、先程助けた女性騎士だった。


「私は、オオヌキに見捨てられて死にかけたが、この男に命を助けられた。今後はこの男を主と仰ぎ、生きていく!! 」


「はぁ!? 役立たずの癖に囮にされたくらいでグチグチ言ってんじゃねーよ!! 死ねや!!! 」


オオヌキが剣を抜くと、私は咄嗟にオオヌキの胸を、レイピアで貫いた。


あっ…………やっちまった…………。






ーーーーーーー


「は~、外の空気はうまいな…… 」


私は、久しぶりの解放感を味わっていた。


先程までは、投獄されていたためだ。


「何を言っている? 投獄されてたのはたったの2日だろ? 」


そう、女性騎士、受付嬢、ギルドマスター、他の冒険者達……皆が俺を庇い、署名活動をしてくれたお陰で、すぐに俺は出てこれた。


オオヌキはこれまでも女性冒険者へのセクハラや手柄の横取り等をしており、証拠もあがっているため、殺したところでまぁ良いか……となったのである(法律とはなんぞや? )。


「マブール殿……」


女性騎士は急に膝まづいた。


「この度、この命を救って頂いたこと、感謝しかございません……このエメルディ=アスディオン、この剣を、今後は貴方様のために使って頂きたく思います……」


何を言う? 牢獄から出してくれただけで充分お返しされているのだが……しかし、彼女が1人立ちするまで、面倒を見てやるのも愛か……。


「右手を出してくれ……」


女性騎士は首を傾げながら右手を渡してきた。


私は親愛の証として、手の甲に口付けをした。


「宜しく頼む……エメルディ! 」


「承った……マブール殿! 」






私達は、2人だけのパーティとして名を上げていった。


そして、私の秘技「ラブ&デストロイ」は私の2つ名として広まり、いろいろあってマドリッドとリクが加入し……そしてこの事件があった3年後……私は愛の「勇者」と呼ばれるようになったのである。

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