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1-2 「でぶ」神様


死の間際、俺は願った。


「でぶ」を虐げし愚か者共を滅ぼす力を


地位も名誉も金も可愛い彼女も手に入る来世を


そして、ちょっと期待してたんだよ


某ライトノベルみたいに可愛い女神様からチートな能力を授かったりとか、同じくチートな武器を授かったりだとか……。


あるいは! 超可愛い美少女が描いた召喚術式で俺召喚!! そして!!! そして、その娘の敵を打ち倒しその流れでその娘をオシタオシ……。


…………危うく戻ってこれないくらい堕ちた思考になるところだったが、とにかく俺はそれなりに期待していた。


それがなんだい?


どうしたって言うんだい?


この期に及んで目の前に現れしは!


そう!!


「でぶ」な男性である。


ふざけているのか?


「でぶ」は夢を見てはいけないのか?


俺は何か呪われるようなことをしたか?


ただ、「でぶ」なだけじゃないか


それにも関わらず、目の前にはテレビに出ている「でぶ」タレントが可愛く見える、清潔感皆無な「でぶ」がいた。




一一一一一一一


目の前にいるのは同類であり同胞でもある「でぶ」である。平時であれば、「でぶ」に対して敵意や悪意を抱くことは殆んどない。何故か? 我々は互いの苦労をわかり会うことが出来る「でぶ」同士だからである。


しかし、生憎今俺に必用だったのは「でぶ」なおっさんではなく、<可愛くて! 甲斐甲斐しく世話してくれる!! そんな美少女!!! >な女神様だった訳だが、見るも無惨なほどその期待は裏切られた。


真っ黒な異空間の中、一ヶ所だけ異彩を放っているこの約6畳程の隔離された部屋の中には、脱ぎ散らかされた衣服や食いかけのポテトチップス等、ごみが散乱していた。


そして、この「でぶ」なおっさん、開口一番何て言ったと思う?


「君は『でぶ』だから我が異世界に転生させてあげよう! 」


………………いやさ、別に良いんだよ?


あんなにも憧れた異世界転生だし。


しかし、自分よりも更に「でぶ」な「でぶ」に「でぶ」扱いされることは我慢ならない。


俺が少し気分を害すると「でぶ」な神様は俺の心境を読んだのか答えた。


「いや、確かに我も『でぶ』だけど、お主が『でぶ』なのもまた事実だろ? 」


俺はぐうの音も出なかった。


確かに奴は「でぶ」だ。しかし俺も「でぶ」だ。奴は本当のことを言っただけだ。


「我は『でぶ』神である! 」

そう目の前の「でぶ」は名乗りを上げた。


「君にこれから行ってもらう異世界ではには獣人やエルフ、鬼等もいて……」


ここではこの「でぶ」神様と様々な話をしたのだが、全て話しているとそれだけで2話くらい使いそうなので割愛したいと思う。(番外編をお待ちください。)


そして俺はこの「でぶ」神様から様々なスキルをもらった。内容は行ってからのお楽しみだというので楽しみにしている。


俺の現時点での異世界を楽しむための優先順位は

①生活基盤の確保

②チートな能力又は武器を手に入れる

③大金を手にする

④ハーレムを形成する

⑤英雄となる


こんな感じである。

②に関しては「でぶ」神様のお与えくださったスキルによっては、既に達成しているかもしれない。


俺は一度死んだ。


世界への復讐を誓った。


その気持ちは今でも持っている。


敵は必ず潰す……。


ただ、今はただただ楽しみだ。






ーーーーーーー


教会の様な場所にごった返す人々。

とある「でぶ」ならば

「うるせー、老害共殺すぞ! 」

と、ついつい口走ってしまうくらいにはうるさい建物の中、1人の少女の姿もあった。


長く美しい黒髪、整った顔立ちは聖女、いや天女と言える程に美しい。

その姿は正に「天使」の二つ名に相応しい。


「広範囲回復~! 」

「天使」が回復魔法を発動すると、有象無象の民草達は、途端に表情が柔らかくなっていく。


ここは、「でぶ」こと君人が向かうことになる異世界である。名前はまだない。


というよりも、異世界人達は異世界という概念をしらない。そのため、各国や島ならばともかく、世界自体に名前をつけるという発想がないのである。


「集中回復~!! 」

どこを見てもそんなに酷い怪我等見当たらない男の治療でも「天使」は手を抜かない。


「またまた広範囲回復~!!! 」

そして、仕上げとばかりにもう一度全ての民に回復魔法をかけたところで、MPがつきかけているのか、少しフラフラしだした。


ここは7つの島の1つ、バブルロード島の小さな街である。


実は、1-3で「でぶ」が降り立つ場所からだと徒歩2時間圏内ほどにある街である。


「回復!回復!!回復~!!!」


彼女は、たった1人で先程から大勢の患者(どいつもこいつも元々元気そう)を治している。


「天使」マイリルは嫌な顔1つせず、今日もMPぎれを起こしては倒れ、起こして倒れの重労働に励んでいる。皆が笑顔になってくれれば、それで幸せだった……。


笑顔で手を振るだけで皆が幸せそうにしてくれる。それだけで自分が生きている意味を見いだしていた。




この民草共の裏切りにより、近い将来、その身を差し出されることになるとも知らずに……。



「でぶ」の運命を変える「天使」との出会いは、あと数話先の話である。

今日はあと数話投稿します

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