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1-1 「でぶ」とは

はじめまして! (さざなみ) 十兵衛(じゅうべい)と申します。

筆者の初投稿作品となります。

宜しくお願い致します。


この世界には、2種類の人間が存在している。


見た目にコンプレックスを持っている人間と持っていない人間である。


背が低い、目が小さい、鼻が低い、歯並びが悪い……等々、コンプレックスとなり得る要素は、それこそ無数に存在している。


そんな中でも、最強で最大級のコンプレックスこそ「でぶ」である。


そして俺自身も「でぶ」である。


「でぶ」という生き物は正直生きづらい。


「でぶ」にも二種類存在していて、周囲に気を使えるタイプの「でぶ」はさらに生きづらい。


正直「でぶ」という生き物は周囲と同じ<ヒト科>に分類すべきではないと考えられる。


例えば、電車内、折角席が1つ空いていても、周囲に気を使える「でぶ」ならば座らない。


隣に座られた人物から狭いという視線を送られた場合、普段の周囲の反応という経験則から、すぐに気づいてしまうからである。


自然と席を立たれたりしたら、気まずさでもう立ち直れないだろう。


また、ようやく2人分の空間が空いたためでぶが座ると、その隣に「でぶ」が座ってくることがある。


この、後から座ってきた「でぶ」こそ、折角気を使える「でぶ」がぎりぎりのところで維持している「でぶ」の負の印象を悪化させる存在、周囲に気を使えない「でぶ」である。


「でぶ」二人が二人席に座るなど、正気の沙汰ではない。


端から見れば、大きい肉団子が2つ並んでいるように見えるだろう。ただ、それは違う。よ~~く眺めて見てもらいたい。2つの肉団子が重なって見え、まるで1つの特大肉団子にしか見えない。


さらによく見てみると、まん丸の存在が並んでいて正直睾丸にしか見えない。


そんな生きづらい半妖半人、それが「でぶ」という生き物である。


俺は「でぶ」を肯定する気は毛頭ない。


「でぶ」は生きずらい。醜い。すぐ疲れる。周囲から奇異な目で見られる……良いことは何一つない。


若い女の子がたまに「でぶ」のことを可愛いとかほざくときがある。それは決して本気で可愛いと思っている訳ではない。<哀れ>と書いて<可愛い>と読むのである。


そして何より残念なことに「でぶ」はもてない。つまり、女の子から好かれない。なめられる。邪険に扱われる。


言ってて死にたくなってきたが、俺は自分自身:

「でぶ」を否定する気もない。「でぶ」とは自由だ。好きな時に食べ、睡眠し、自堕落を極めることこそ「でぶ」が「でぶ」であるために必須なのである。


それが出来ないのであれば、それはもはや「でぶ 」ではない。ただの肉……いや、脂肪の塊である。


そんな俺こと、五十嵐(いがらし) 君人(きみと)が盛大に自虐しているのは、何故? か死んだからである。


いや、正確には何故? 等と疑問を持つ必用はない。先程、数人の男達に金属バットで滅多打ちにされたのだから……。


うん……なんの疑問もない……。






一一一一一一一


大学入学間もない穏やかな昼下がり


ただただ、悲鳴が聞こえた路地裏に急いで駆けつけた。


顔は見えないが制服を来た女の子を押さえつけている数人の男達(ごみども)


そして嘲笑されながらボコボコにされ、無理やり立たされたところ、頭部右脇に逆転サヨナラ満塁ホームランといわんばかりの一発をくらい、倒れたところ続けざまに頭部左脇にホールインワンといわんばかりの会心の一撃をくらい、そしてどうやら俺は絶命したらしい。


死の間際、ふと襲われていた女の子の顔が視界に入った。


桃色の髪に全体的に小動物を思い起こすような小さめで可愛い女の子……。


視界に入ってはいるが殆どぼやけていて見えなかったが、応援しているアイドルに少し似てる様に感じた。


そして男達が慌てて散って行ったのもわかった。目は殆ど見えていないが、どうやら耳はまだ正常なようである。


俺の人生は一体なんだったのだろうか……。


笑えよ……笑ってくれよ……。


醜く滑稽な「でぶ」として立ち回り、弄りというか虐めに近いことがあっても、何とかコミカルに立ち回ってやってきたんだよ……。


口八丁、八方美人、八方「でぶ」等様々な陰口を言われながら耐えてきたんだよ……。


俺が虐められてれば他の子が虐められないから……そんなことを考えていたのかいないのかは最早わかんねぇ……。


死にたくない……。


何故俺が死ぬ?


醜く哀れな「でぶ」だからか?


ごみどもではなく何故俺が死ぬ?


死んだ方が良い奴なんて他に沢山いただろ?


呪ってやる……。


もし、生まれ変わったのなら「でぶ」を虐げしごみどもは全て駆逐してやる……。


そして、俺が今世で手に入れられなかった<地位・名誉・金・可愛い彼女>……そして……復讐するための力を手に入れてやる……。






一一一一一一一


こうして、死んだ後いろいろとうじうじ「でぶ」についての考察を述べていた訳だが、可愛い女神様が異世界へ転生させてくれるなら、今までの人生も笑い話に出来るだろう。


しかし、俺の前に現れた神様は……。




「でぶ」なおっさんだった。





初投稿って緊張しますね((( ;゜Д゜)))

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