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妖怪管理人、猫見の可笑しな日々  作者: 煙草屋パイプ
アパート住民は悩ましい
5/11

戻ってきた日常

あらすじ

東京の街外れ、十字路を左に折れた先に『ネコネコアパート』は静かに佇んでいる。

管理人室では、猫見という名の管理人、ご隠居と呼ばれる怪老人、妖しい女、家廊

が暮らしている。ちょっと不思議で、でも気のいい三人を巻き込んで

起こる住人たちの悩み事!

少しの悩みも、果ては殺人事件まで三人が解決!

ピー、ヒャらら、ドンドン、ポ〜

夜の「鬼婆草原」は場違いなほど騒がしかった。

草木も眠る丑三つ時、夜陰に乗じて鐘がなりけり…

とこれは百物語を始める時の決まり文句だが、

まさに草木も眠る丑三つ時に人気のない公園で酒宴が始まっているのだ。

面妖なことに動く楽器どもが己の体を動かして

楽しそうに演奏している。

開けた草原の一帯には、瓢箪など昔ながらの

器物がぞろりと並んでいる。

「ミャア、今日はご協力ありがとうございました」

猫見がスーツ姿の男に酒を注いでいる。

「久しぶりだったぜ、あんなに江戸の頃を思い出したのはよお?」

と酔った者が家廊に話しかけているかと思えば、

「人間ってのはホント面白いですよ〜

時には優しく、時には理不尽に。ま、良いのも悪いのもいますがね♪」

さっきのスーツ姿の男が誰にともなく話している。

そして時は経ち、酒豪どもは自らの姿を隠しきれなくなってきていた。

「あっ、狐原さん尻尾が出てます!鬼山さんもツノ!」

「おお、すまんすまん」「コン、いけない術が解けちゃった」

と猫見が注意している。

「ぶらり火さん、枯れ草を燃やさないでくださーい!」

慌てて猫見がバケツの水を撒き散らした。

やがて一人帰り、一人帰りとしているうちに、

「鬼婆草原」は静まり返っていた。


そしてまた、いつもの日常が戻ってきた。

209の警官殺人事件は、式水さんが警官の遺族に謝ったりと

手続きがあったが、最終的に事なきを得た。

今は大学受験に向けて猛勉強しているそうだ。

すっかり心を入れ替えた優希くんは、

親にも友にも優しいと近所で評判だ。

「「優しい」とは希な才能だ」と住人から褒められたらしく、

最近とても機嫌が良い。

もうヤクザの佐屋元とも縁を切ったそうだ。

今日もぬらりとご隠居が影の内から現れ、家廊が二日酔いで顔をしかめながら

カラスから受け取った「日刊座敷童子新聞」を眺めている。

「まあ、新聞の見出しがどんどん過激になってくわ」

家廊が眼ざとく面白い記事を見つけ、猫見たちに見せる。

「米倉大臣、小笠原大臣と冷静な話し合い」

「軽い口論」「案を巡る激しい口論」

「小笠原大臣、失態で醜聞ばらまき」「米倉大臣、歓喜」

「両者の案を尊重するという机上の空論」

「両大臣、役を解かれる」

「なんとまあ、酷い世の中じゃ」呆れたようにご隠居が呟く。

その時、管理人室の窓がノックされ、猫見が立ち上がる。

「おや、式水さん。この度はご苦労様でした」

「いえいえ、とんでもない。一つ貸しが出来てしまいましたね」

「貸しだなんて滅相な!」

「これ…いつも後ろにいる方へ栗饅頭を…」

「あっ、これはこれは結構なものを」

後ろで家廊が忍び笑いをしている。

「ミャア、では、また来月です」

式水が去って、家廊がプッと吹き出した。

「ご隠居、バレてるじゃないですかあ〜」

「ククッ、ワシの行動は無意味だったのう。だが、あのおなご気に入った!

これは大好物の「満月堂ゴロゴロ栗饅頭」ではないか!」

「ご隠居もようやく人馴れしてきたのかしら」と家廊が呟いている。

「家廊こそそろそろ人馴れを…」

「あたしは遠慮しておくわ。だって怖いんだもの」

「…じゃあ、カラス・マーケット行ってきますよ!」

猫見は元気良くドアを開けた。


ご隠居:ホッホッホ、ブックマークをくれても良いのじゃぞ?

家廊:私からもお願い致します!

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