魔王の魔法
少女は思っていた。
あんまり役に立てなかったのではないか?
あの人魚に負けているのではないか? まーおを助けたのはあの人魚だった。
あの人魚がこなければ負けていたかもしれない・・・
外の広場にたたずみ、手の上に小さな火球を幾重にもだし、一斉に石柱にぶつける。
哀れな姿になった石柱はガラガラと崩れ落ちた。
石なら簡単に壊せる、だがあの虹色の石像には当る直前に魔力をかき消されてしまう。
火球を巨大にしたら? いや火の攻撃じゃだめなんだ・・・
雷は少し効いた気がする。相手が鉱物だったから反応したんだ、でも、すぐ動き出した。
少女は一生懸命考える。
魔法は効果がほとんどない。
私は役に立てないの? そんなことないなにか出来るはずなんだ。
直接当てない魔法なら?
少女は広場に向かって集中する。
よく使う魔法、転移魔法ゲート。
ゲートを地面の中に出現させる、それだけじゃダメだ、地面を切り取らないといけない、地面すれすれまで魔力を広げる!!
前方の地面がずるずると落ちていく。そして、その上空に作った魔力穴から切り取られた地面が出現していき、目の前に出来た大穴に勢いをつけて落下した。
「落とし穴どっかんの魔法完成」
これならば魔力を阻害されずに攻撃できたのに・・・ あの時私が思いついていたら、まーおは痛い思いしなくて良かったのに・・・
「お――― 今の魔法すげえな、あんじーがやったんだろ?」
いきなり声をかけられドキッとする。
「まーおいつからいたの?」
「いま来たとこだよ」
「そっか」
「あんじー俺のこの間の状態ってわかるか?」
「まーおの変身のこと?」
「そう」
「多分だけどね。まーおって魔法が使えないんじゃなくて、ずっと魔法を使ってる状態で・・・」
まーおは魔法を使っている、身体強化の魔法、魔力を力に変えている。強くなりたいと思う気持ちに魔力が反応して産まれた魔法、簡単な魔法すらうまく使えないのはそのせいだと思う。人一倍魔力が強いのはずっと魔法を使い続け鍛えていたから、あんな形に変容したのは守れなかった悔しさに魔力が答えた。
「ってあたしは思うよ」
「じゃあ、その魔法を使うのやめれば魔法が使えるようになるってことか?」
「うん、多分そうだと思う」
「そうなのか、これでクロウにバカにされずに済むな!! で、どうやって魔法をやめるんだ?」
「わかりません♪」
「おまえがわからないんじゃ誰もわからねえじゃねえか・・・ やっぱりクロウにバカにされたままか・・・」
「!? ・・・」
「まっ仕方ねえか、あんじー飯食いにいこうぜ」
「うん」
二人は並んで歩き出す。
「なぁ、あんじー、おまえのおかげで助かってるよ。あんまり気にするな」
涙があふれそうになるのを我慢する。
気づかれていた、見てくれていた、この人はたまに大きな魔法を使ってくる。
隣を歩くまーおの揺れる手を掴みたい、子供だって思われるかな?
「ん」
そっと出された手、出してくれた手を握り返さないのは失礼だ、そうだよね?
傷だらけの堅い手を握り歩いて行く。
「まーおは魔法使えなくていいんだよ。私が代わりに使ってあげるから」
「ほら、でも、使えた方がいろいろとかっこいいんじゃね?」
「いいのいいのだって魔法なんか使えなくても・・・」
「魔王様はそのままがかっこいいです!! 素晴らしいです!! あぁ~ 私の魔王様、私はいつでも魔王様のそばにおりますぞ!! おい、ちみっこ邪魔だ、魔王様の姿がもっと見たい前からどけ」
水からひょこっと顔を出したダスティが話に割り込む。
「まーお、ちょっとだけ待ってね、我が魔力よ限界を超え・・・・・・・・・」
上空に集まってきた黒雲から一筋の巨大な光が走る。
「ぎゃぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁあ」
静寂が訪れ焦げた臭いと美味しそうな臭いが・・・
「いこ、まーお」
「あいつほっといていいのかな?」
「大丈夫だよ、お腹空いた」
「なんか魚食いたくなったな」
「え――― 魚嫌い!!」
二人はのんびりと歩いて行く。
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