魔王城落成式
ダンジョンの魔物たちがダンジョン入り口がある大広間に集まる。
私は皆を見下ろし声をかける。
「え~ 本日はお集まりいただき、真にありがとうございます。皆々様のおかげでわずか二週間という日数で魔王城落成にこぎ着けることが出来ました。私の意見から始まった魔王城ですが、途中からは皆様の意見も取り入れて満足いく形になって行ったと確信しております。これも一重に皆様の協力があったから・・・」
「魔王様、話長いよ~♪」
下からヤジが飛ぶが、ヤジを飛ばした魔族も涙ぐんでいる。
「そうですね、では話はこれくらいにして、魔歌斉唱!!」
「えっ?」
クロウが驚いた顔でこっちを見る。セイレーンが数匹前に出て、魔族達が姿勢を正し声を揃えた。
お父さん、お父さん!
魔王のささやきが聞こえないの?
落ち着くんだ坊や
枯葉が風で揺れているだけだよ
素敵な少年よ、私と一緒においで
私の娘が君の面倒を見よう
歌や踊りも披露させよう
お父さん、お父さん!
あれが見えないの?
暗がりにいる魔王の娘たちが!
息子よ、確かに見えるよ
あれは灰色の古い柳だ
お前が大好きだ。可愛いその姿が。
いやがるのなら、力ずくで連れて行くぞ
お父さん、お父さん!
魔王が僕をつかんでくるよ!
魔王が僕を苦しめる!
一瞬の静寂の後、拍手喝采が起こる。
「みんなありがとう。魔王としてこんな嬉しいことはない!! 今日は皆で騒ごうではないか!!」
大広間左側の扉から食事や酒が運ばれてきて、宴会が始まる。みんな各々が盛り上がる。大広間の奥に陣取った魔王ラッセルにクロウが酒を持って近づいてくる。
「魔王様、さっきの魔歌ってなんですか?」
クロウが酒を注ぎながら聞いてきた。
「いや、落成式の話したらセイレーンが歌を作りたいっていうからさ、試しに作ってもらったら結構いい歌で・・・ね? 怒ってるクロウ?」
「事前に僕にも教えておいてください。」
「あっすいません・・・」
私はクロウに酒を注ぎ返す。皆が楽しく騒いでるのを見ながら飲んでいると、魔界四天王の紅一点エリザベートが近くにやってきて酒を注いだ。
「魔王様、素敵なお城になったねぇ、でも、ちょっと殺風景すぎやしないかい?」
「魔王の城が華やかでも困るんじゃないか?」
エリザベートは私の肩に手を置き体を寄せる。
「魔王様、私にちょっとお城をいじらせてくれないかい?」
「エリザベートなんかあたってる!?」
私の右の背中に堅いものがあたっている。そして上下にヒクヒク動いていた。エリザベートが耳元で囁く。
「あててるの♪」
「私は、そういうのはちょっと・・・」
私はクロウに助けを求めようと見つめるが、理不尽な程にあっちを向いている。
「うぶな魔王様だね。あっそういうことかい! そういうことなら私の魅力が通じないのも仕方ないね。じゃあ、魔王様、普通にお願いするよ。お城いじらせてね♪」
「はい・・・」
笑顔で酒を注いで元いた場所に帰るエリザベート、大胸筋がまだ動いていた、自分の胸を触る。私より堅かったんじゃないだろうか? 気づくと今まで一切こっちを見ようとしなかったクロウがこっちを見てる。魔王って大変だね・・・ そう言って酒を注いでくれた・・・ 夜が更けるのと共に、自分が老ける気がした。
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