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魔王様、敗れる?

 迫り来るミスリルゴーレムの突進。

 吹き飛ばされようやく起き上がったラッセルにゴーレムの拳が降りかかる。

 なんとかガードするが、触れる直前に自分の魔力が吹き飛ぶのを感じる。

 門の近くに飛ばされたラッセルは片腕があり得ない方向に曲がっていた。

 大地に響く足音を立て、ゴーレムは近づいて来る。


「魔王様を守れ!!」


 飛び出したるはアーマーゴースト、ガシャガシャと音を立てゴーレムに突っ込んでいった。


「やめろ・・・」


 掠れた声は届くことはない・・・


「あ―――」


 手でゴミをどかすようにはたかればらばらになる金属鎧。

 飛び込んだジャンはゴーレムの片足にしがみつき動きを遅らせようとするがそのまま引きづられた。

 魔女達が氷の魔法で足止めしようとも氷は次々と粉砕された。

 倒れたままの魔王に拳は振り下ろされた。


「ラッセル!!」


 ラッセルの眼の前に現れた参謀の体が半分にちぎれ飛ぶ!! ちぎれた上半身はゴーレムの片腕を掴み、回復をした。

 過剰回復!! ゴーレムの右手は破裂した・・・

 ラッセルの顔に友の血がかかる。

 彼はまた失った、大事な物を守れなかった、自分が弱いから・・・


 彼は吠えた。


 許せなかった、友を奪った敵が、


 許せなかった、友を守れなかった自分が、


 後に彼に聞いたとき彼は言う、よく覚えてないと・・・


 

 魔力が吹き出す。

 魔王のまわりに吹き出した莫大な魔力は、段々と色を濃くし、ラッセルの体に絡みつく、黒く染まった魔力は線上になりラッセル体へ張り付いた。


 折れた左腕を束縛し腕の形に戻し、両足に立ち上がる力を与えた。彼は大きく吠えた。


 ミスリルゴーレムは残った左手を振り上げ、ラッセルを攻撃する。


 魔王はそれを片手で受け止めた、瞬間、彼の体に絡みついた黒い魔力の凝縮体は幾重にも伸び、ゴーレムの手に巻きつきもぎとった。

 ミスリルの影響か魔力は霧散されつつもそれを上回る魔力。

 

「すごい・・・ まーおは魔法が使えないんじゃない、ずっと使ってたんだ」


 物理法則を無視した強さ、魔力による身体強化の限界を超える魔法。

 黒い魔力は幾重にも集まり、巨大な剣になった。

 それは横に薙がれ、ミスリルゴーレムの首を断ち切った。


 意識がうつろなまま彼は友の亡骸に近寄った。

 半分に分かたれた友の体を見てぼんやりした意識が回復していった。

 友の首がゴロンとこっちを向く。


「ラッセルちゃん、ごめん、さすがにやばい、下半身とってくれる?」


 間の抜けた声で話す友。


「おまえはしぶといな・・・」


 下半身を取りに行きながら魔王は笑いながら泣いていた。

 まだ、失っていなかった・・・

 



読んでいただいてありがとうございます^^

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