魔女たちの攻撃
再び見つけたゴーレムの行軍、木々をなぎ倒し一直線に南の魔王城の方へ向かっている。
「あんじーさん、シガニーさん、私は先に行きます、こちらはお任せします」
「あいあい!!」
「クロウ様も気をつけて」
魔女達に後を託し、ゴーレム達の行軍の後ろへ向かう。
「あんじー、両側上空から火球で攻撃しますよ」
「あーい」
くいっと箒を曲げ離れていくあんじーとそれに伴う半分の魔女達。
攻撃は始まった。
ゴーレムの先頭から魔女達による火球の一斉発射、それはゴーレムにぶつかり燃え上がる。
両側からの攻撃で炎は力を増している。
空中を箒で駆けながら攻撃を続ける魔女達は大量の火柱を作り、炎の先頭に戻った。
炎の中でも行軍を止めないゴーレム達、アイスゴーレム達の体が溶け、足を無くしても体を動かして前に行こうとする、魔女達の火球の魔法は確かに効いていた。
「シガニーあれ!!」
炎の中から出てきたのは灰色のゴーレム、クロウの予想通り砂と泥で出来たゴーレムの水分が飛んでいるようだ、火はその足を止めることが出来なかった。
「あんじー、クロウ様の予想通りです、私たちも予定通りアイスゴーレムを処理します」
「うん!!」
行列に沿って、まばらにいるアイスゴーレムに向けて火球を放ち続ける魔女達。
ゴーレム達は魔女を気にせず行軍を続けていく。
「数は500程か・・・ アイスゴーレムはシガニーさん達のおかげで減ってきてるな」
クロウは飛行しながらさらに先へ。
「あれは?」
茶色のゴーレムの中に不思議な色が見える。
クロウは不思議な色のゴーレムに近づいてみる、光の反射で鈍く赤や青に光る一匹のゴーレムは茶色や白と一緒に行軍していた。
刹那、クロウの腹部に突き刺さる痛みが!!
腹に生えた氷の細いつららから滴り落ちる鮮血。
魔王や幹部連中なら楽に躱せただろうが、クロウには体に突き刺さるまで気がつけなかった。
強引につららを抜き去り、一気に再生、腹に空いた穴は綺麗にふさがった。
何かいる!!
まずい!!
クロウはすぐさま踵を返し、攻撃をしながら近づいて来る魔女達の方へ飛んだ。
一方、順調に攻撃を繰り返しアイスゴーレムを一方的に倒していた魔女達は最後尾へと向かっていた。
「魔力がきれた方は、余力のあるうちに安全な所へ」
飛行魔法を使いながら、火球による攻撃、いくら攻撃されないとはいえ魔女達は徐々に疲弊してきていた。
疲れてきた者から戦線を離脱していった。
残る数は10人ほど。
「シガニーは大丈夫?」
「まだいけます。あんじーこそ大丈夫ですか?」
「アタシは平気だけど・・・」
あんじーにわかるほど、シガニーは疲弊していた。
あんじー以外のみんなが疲弊してきていた。
魔法は使えば使うほど精神を削る、魔法を使える量は努力で増えることには増えるが才能によるものが大きい。
「あんじーあと少しです!!」
シガニーは真面目である、任された責任、あんじーの世話役、魔王軍の幹部、アイスゴーレムの討伐全てを上手くこなそうとしていた。
いつも一生懸命だった、うまく出来なくて悩んだりもした。
魔王軍にきてからはたくさんのありがとうをもらった。
だから・・・ うれしかったから・・・ 手を抜けなくなった・・・
「シガニー前!!」
クロウはミスをした、想定外の敵、予定してない上空への攻撃。
魔女達も予想していないだろう・・・
ゴーレムの中から光に反射したなにかが飛び出した。
魔王軍の中に天才が二人いる、おまえとあんじーだよ。
友人がそう言ったんだ、僕ならできる。
あ~ 体鍛えとけばよかったかな・・・
自分に出来る選択肢はひとつしかなかった。
クロウは飛行魔術を暴走させ、シガニーの前に一瞬で詰め寄り彼女を強く抱きしめた。
「クロウ様!?」
背中にささる3本のつらら、血がつららを真っ赤に染め上げる。
いつも自分を助けてくれる女性を傷つけるわけにはいかない。
ラッセルちゃんならこんなの叩き落とせるんだろうけどな・・・
クロウは痛みと暴走による影響で魔法のコントロールを失った。
シガニーも一瞬の出来事にクロウに抱きしめられながら落ちていった。
轟音が走る!!
巨大な火球が最後尾まで燃やし尽くし、アイスゴーレム達は一瞬にして蒸発した。
反転!! 急降下!!
落ちていく二人を掴み、重さに耐えながら魔法を掛けて浮かせる。
「さぁ、みんなぁ、帰ろう!!」
魔女達は魔王城の方に向かって行く。
「くろ、かっこいいね。」
「でしょ~♪」
いつもより遅い速度で傷を回復していく魔王軍参謀をシガニーは強く抱きしめた。
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