魔王と竜
岩山に突っ込んだ竜は立ち上がりこちらを見据える。
腕がしびれているのはあちらも一緒らしい。
そして、再び二人はぶつかり合った。
頭の中で声が響く。
―――おまえは何者だ?―――
!?
―――おまえは何者だ?―――
「おまえが喋ってるのか? 俺は魔王だ!!」
そう叫んで力を入れる。
―――人型の王か?―――
「そうだ!!」
―――我らを食いに来たか?―――
「おまえなんぞ食えるか!!」
―――我が子を返せ!!―――
激しい声が頭の中に響く。
我が子ってなんだ?
「我が子? おい竜、ちょっと力を抜け、俺も抜くから!!」
静かに二人は手を離し、手を・・・ 休める・・・
「おい、竜、我が子ってもしかしてあれか?」
―――そうだ―――
そうか・・・
こっちが悪いのか・・・
「ちょっと待ってろ」
ラッセルはあんじーと小さな鳥だと思っていた子竜を連れてくる。
「ほらっ」
子竜を竜の前に置き、少し戻ったところに座る。
巨大な竜は戻ってきた子竜を大きな舌で舐めた。
「あぎゃ」
楽しそうにはしゃぐ子竜を眺める。
「まーお大丈夫?」
「大丈夫だあんじー、あんじーこそ大丈夫か? よく頑張ったな」
笑いながらあんじーの頭を撫でるとあんじーはラッセルに飛びついた。
息つく暇もなく泣き出したあんじー、怖い思いをさせてしまった。
魔女達に怒られるな・・・
―――魔王よ―――
再びラッセルの頭の中に声が響く、先ほどとは違い穏やかな声で。
―――すまぬ―――
「こっちこそ悪い。」
―――人型の王よ、我は竜族の王なり―――
「俺は魔王ラッセルってんだ」
竜が大人しい種族って言うのは本当かもしれない。
子供に手を出され怒るのは当たり前なのだから知らなかったとは言えやられて当然だ。
竜が地面に腰を落とす。
―――あー疲れた!!―――
「あー疲れた!!」
二人がはもる、魔王は笑った、竜も穏やかな顔を見せた。
あんじーと子竜が遊ぶのを見ながらのんびり過ごす。
途中森におり、2匹の獣を狩ってきてきれいにさばいた。
1匹を竜王に差し出すと竜王はそれを丸呑みにして食べた。
お礼にと竜王は口から火を噴きさばいた獣を丸焼きにしてくれた。
二人と子竜はそれをうまそうに食べる。
「よっと、そろそろ帰るわ。ありがとな竜王さん、面白かったわ」
―――魔王よ、こちらこそ誤解した非礼を詫びよう、おまえの国まで送ってやろう―――
ここの場所は覚えたし、あんじーのゲートなら一瞬なのだが、魔王は竜王の好意に甘えてみた。
竜王は大きな翼を広げ、大地を蹴った。
大きな翼は前方にある空間を削り取り進んだ。
速度的にはあんじーの全速飛行と同じくらいだろうか、翼を大きく広げ進むその雄大さはまた格別の乗り心地である。
魔女の村を飛び越え、あっという間に魔王の城に到着した、強大な竜が門の前に降り立つ。
―――ここでよいのか?―――
「ありがとな、竜王さん」
魔王不在の魔王城で巨大竜襲来と・・・ 大混乱が起きていることを魔王はまだ知らない。
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