魔王様の外出
さて、クロウはいないな・・・
俺は寝ぼけてるあんじーを担ぎ、魔王城の中を移動していた。
足音を殺し、周囲を確認して見つからないように工夫をした。
早朝だし見かける魔族達も少ない、これならなんとか隠れて出発できるだろう。
あの門を抜ければ・・・
「おはよう、ラッセルちゃんどこに行くのかな?」
「・・・おはようクロウさん・・・ なんでこんな所に?」
あと少し、門を超えればなんとかなったのに・・・
「さて、ラッセルちゃん魔女の村へいくんだね?」
「いや、あ、そんなことは・・・」
「いっていいよ、ただし護衛に誰か連れて行って」
「お前がくるか?」
「・・・いきたいけど、いま出かけるとセガールさんにいいようにやられそうで・・・」
本気で顔を曇らせるクロウが面白い。
ちょちょいと行って、すぐ帰ってくるから、見に行くだけ!! 見に行くだけだからと何度も頭を下げる。
「夕方まで・・・ 夕方までに帰ってくるなら護衛なしで許可します。もし帰ってこなかったら・・・」
「帰ってこなかったら?」
「魔王軍、全軍で迎えに行きます!!」
「それは・・・ 大事だな・・・ わかった、わかったよお母さん、いってくる♪」
「誰がお母さんですか!! まったく・・・」
これで心置きなく遊びに行ける魔王、あんじーそろそろ起きてくれ。
あんじーを揺さぶってみる。
「ふぎゃ、あれっ、まーおどうしたの?」
「クロウが遊びに行っていいって、魔女の村までゲート開いてくれ」
あんじーが箒をかざすと黒い穴が出来る、ラッセルはそれにすぐに飛び込んだ。
光が見え、出たその先はあんじーの故郷、魔女の村の入り口だった、以前ラッセルが壊した門もしっかり直っている。
村の中から数人の魔女がこちらを見つけ歩いてくる。
「これはこれは、魔王様ご無沙汰しております、あんじーおかえりなさい、魔王様にいじめられてない?」
優雅に会釈をし、微笑みながら失礼な事を言ってくる。
「いじめてねーよ」
「うん、大丈夫♪」
「そう、よかった、なにかあったらお姉ちゃんたちに言いなさいね、魔女全員で呪ってあげるから♪」
「うん♪」
「うんじゃねぇよ、あんじー・・・」
「それで、魔王様どういったご用で?」
「久しぶりに外出していいって言われたから遊びに来たんだよ、中々外出してもらえないんだ酷いだろ? あっそうだ、あんじーと俺、飯食ってないからなんか食わしてくれない?」
「あらあら、魔王様も大変なんですのね。すぐご飯の用意しますわ、こちらへどうぞ」
魔女達は、魔王軍に入っているが実際は族長であるアンジェリーナに従っている。
あんじーが魔王軍から離れるって言ったらすぐに離れるだろう。
魔王だからと物怖じしない態度も自分としては居心地がよくて好きだ。
用意してもらった朝飯を食べながら、魔王がいかに不便かを熱く語って聞かせた、ついでにクロウに対する愚痴も・・・
久しぶりのあんじー顔を見に沢山の魔女達が集まってきてあんじーを可愛がる。
「愛されてるな、あんじー」
「うん♪」
満面の笑みを浮かべて懐かしい味の料理を頬張るあんじーの顔は新種のモンスターかと思うほど膨らんでいた。
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