海上決戦?
全面に広がる広大な水たまり。
青い雲、皮膚を刺激する真っ赤な太陽。
後方から伝わる部下達の張り詰めた空気。
目的の集落は目の前に見える。
「行け・・・」
声と同時に動き出す魔族。
「シガニー達はここを頼む」
「はい、魔王様。」
スカートを軽くつまみ優雅に会釈をする。
あんじーも横目で見ながら真似をしてみたが優雅とはほど遠い。
軽く笑い、踵を返す。
「クロウ、いくぞ」
村の中に入る魔王、魔族達の声があがるが相手の声は聞こえない。
魔族達には捕縛しろと行ってある、抵抗するなら殺せと・・・
海に飛び込む音が聞こえる中、魔族から報告があった。
仲間達を見つけたと・・・
ひとつの建物の中に入ると、目のうつろな魔族達が何にも反応せず座っている。
「これは一体?」
一人の女性を捕まえる、怯える女性は声も出せず震えている、これに皆が負けたのか?
魔族の襲撃におびえ、海に飛び込む住人達。
ラッセル達は村の中心に戻り海を見る。
ジャボ!! 何かが弧を描き跳ねた。
あれが人魚か・・・ 噂通り綺麗だ、その美しさで相手を虜にして食べると言われる。
だが・・・ クロウも不自然に感じたのか? 下を向きぶつぶつ言っている。
幾人もの人魚が海を飛び回る。
一匹の人魚が海から顔を出した。
「お前達は何者だ?」
「我は魔王ラッセル!! お前達に奪われた同胞を返してもらおう!!」
細く美しい青年人魚は透き通るような透明な声で、
「我は奪わず、勝手に来るだけだ」
「では、勝手に奪わせてもらおう」
魔王は悪い顔をした、にやりと笑い手を振り下ろす!! 斜めに振り下ろされた手ははるか先の海をえぐった。
青年人魚の下の海がなくなり、そのまま落下していく。
えぐられた海はそのえぐられた部分を一瞬にして回復した。
飛び上がる青年人魚は弧を描きながら、奇声を発した。
「きしゃぁぁぁぁぁぁ」
甲高い声を聞いた瞬間、脳が揺さぶられた。
「ラッセルちゃん、魔力だして!!」
クロウの声で魔力で体を覆うと目の焦点が通常に戻る。
周りにいたドラクル率いる魔族達がばたばたと倒れていく中、捕まえていた人魚達が海に走り出した。
ドボン、ドボン、ドボン
「クロウ、なんだこれ?」
同じく魔力を出してガードしたクロウ。
「ラッセルちゃん、奴らの武器は声だ、声に魔力を乗せて放つんだ」
一旦ひくよ!! そう言われてクロウを睨んだが、クロウは倒れた魔族達を見ろと目で訴えた。
仕方ない、意識を失った魔族達を村の入り口の方へ放り投げる。
「魔王様、これはいったい?」
耳を押さえながらシガニーが聞いてくる。
魔力の強い魔女達は魔力耐性が強く、離れていたことも好をそうしたのか全員無事だった。
あんじーとシガニー以外の魔女達に部下達の移動を任せていると、海から聞こえてくる音が変わった・・・ 曲?
人魚(女性)が紡ぐ高い声を人魚(男性)が出す低い声で支える。
ラッセルに降りかかる魔力が減った? 攻撃ではない?
先ほど見た意識がはっきりしてなかった部下達が徐々に集まってくる。
緩やかな曲調が変わった。
テンポアップ、虚ろな目に凶暴性が宿る。
一斉に飛びかかる魔族達、戦いづらい見知った顔たち、俺はかわせるが他の奴らは・・・
ラッセルは3人に被害が行かぬように戦ったが、数が多い・・・
まずい!! そう感じた時、突如崖から飛びおりた影は3人に襲いかかる魔族を投げ捨てた。
「魔王様、遅くなりました!!」
「ヴラド!! 無事だったか! こいつら前に集めろ!!」
集められた魔族達に向け、ラッセルは威圧的な魔力を放った。
魔族達は魔力の流れが途切れたのかその場で崩れた。
ヴラドに助かったと目配せする。
束の間、建物の扉が吹き飛ぶ!!
鍛え抜かれ小麦色に輝く体、胸とお尻を覆う小さい布。
「ぶほぉ!!」
ヴラドが鼻血を吹き出した。
ヴラド・・・ 手紙についてた血って・・・・・・・・・もしかして?
「魔王様!! ここは私にお任せください!! 私はこのために来たんです!!」
「あ・・・ うん・・・」
鼻を押さえながらエリザベートに向かって行くヴラド。
ヴラドはエリザベートを抱きしめる。
「ヴラド、そのまま魔力を高めて、エリザベートへの魔力供給を絶て!! 絶対離すな!!」
「かしこまりました魔王様!! 絶対離しません!! ぐへへ・・・」
ヴラドの手の中でもがくエリザベート。
傷だらけになりつつもヴラドの魔力がエリザベートを覆う頃、エリザベートは意識を失った。
ヴラドは両手できつくエリザベートを抱きしめる、鼻からあふれる愛をこぼしつつ・・
読んで頂いてありがとうございます^^




