愛の戦士
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やだ、なに、怖い、なにか聞こえる・・・
・・・・・・・・・
微かに聞こえる声に恐れるラッセル。
辺りを見回すと扉が微かに開いており、下にほっそい人型の見たことない魔物が倒れていた。
近づきひょいと持ち上げると見覚えのあるような? ・・・・・・・・・ヴラドか!?
慌てて水瓶から水を組みヴラドに飲ますとぽんっと戻った・・・
玉座の間にて、クロウを伴いヴラドと謁見する。
少し体が回復したヴラドは以前より痩せていた。
バーバリアンのような巨大な体躯だったはずが、痩せ筋肉が引き締まり、ぼさぼさの長髪だったはずが雰囲気が変わり芸術品のような印象を醸し出す。
ラッセルが声をかける。
「えっと、ヴラド大丈夫か?」
「はい、魔王様、将軍という地位を頂いて起きながら申し訳ございません」
「気にするな、よくやってくれている」
「いえ、四天王統括としてこの度の不始末、真に申し訳ございません。つきましては魔王様にお願いがございます。」
「なんだヴラド?」
「私と試合っていただきたい!!」
門の前の広場で見つめ合う青年と芸術的雰囲気を醸し出すおっさん。
なぜこうなったのか・・・
ヴラドは今の生活に不満はなかった、殺伐とした空気が消え、わいわい話せるようになった。
目が合えば殺し合うそんな生活が終わったのだ。
ゆとりが出てくれば新しい発見が生まれる。
敵としか見えてなかった相手への見方が変わった。
彼は恋をした・・・
ずっと彼女を見ていた・・・
彼は恋に落ちていた・・・
そんな彼女がいなくなった、彼女を手に入れるにはどうすればいい?
彼女は魔王の座を求めた、じゃあ自分が魔王になれば?
自分に良くしてくれる魔王を裏切るのか?
私たちの世界を変えてくれた。
恋に気づかせてくれた魔王を?
戦おう・・・
きっと負けるだろう・・・
でも、何もしないで負けるのはいやだ・・・
「参ります魔王様!!」
駆ける!! スリムになった体はヴラドに今までにないスピードを与えた。
手が消えるほどのスピードでの連続攻撃を繰り出す。
並の魔物なら気がつく前に絶命するであろう攻撃。
しかし、ヴラドより細い魔王ラッセルのスピードはその連撃を軽くかわした。
「私じゃ勝てませんね・・・」
手を止めたヴラドは魔王に手をあげたのだ処罰を覚悟した。
「弱くなったなヴラド、面白くない・・・」
魔王は低い声で話す。
いつからお前は誇りを忘れた? だからエリザベートに相手にされんのだ!!
ヴラドの怒りが敬意を超えた、牙族の本能が拳を作り放った。
しかし、その拳をラッセルは受け止めた。
笑顔を見せる魔王。
それでいいと笑う。
「あの~ ヴラド、俺にはよくわからんのだがエリザベートの所にいきたいんだよな?」
エリザベートいなくなったと言ってもやっぱり気になるし、変な男に騙されているだけかもしれんし、お前見てきてくれるか?
それでお前の気持ちがすっきりするかどうかわからんが・・・?
「魔王様・・・」
この魔王がこのダンジョンをこの世界を作った。
「魔王様、その任受けさせてもらってよろしいでしょうか?」
「うん、いってこい」
次の日、ひとつの軍が編成された。
ラッセル「こら、なんでドラクルとジャンもいこうとしてんだお前らはだめだぞ!!」
ドラクル&ジャン「え―――」
「魔王様、それではいってまいります」
ヴラドは深くお辞儀をして出立した。
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