あんじーの思い
慌ただしい一日だった昨日、ラッセルは筋肉痛で眠れない夜を過ごし、クロウは暴走したことを悔やみ眠れない夜を過ごし、ヴラドは枕を濡らし、ジャンとドラクルが酒を勧めあい眠れない夜を過ごし、シガニーは新しい枕に眠れない夜を過ごした。
珍しく魔王城は静かな朝を迎えた。
いつもならかいがいしく世話をしてくれる綺麗なお姉さんもやっと寝れたのか隣のベッドで熟睡している。
少女はいつもの服とは違う、動きやすい服を選んだ。
「うんしょ」
門の前に立ち、魔界の清々しい空気を胸に放り込み走り出した。
20メートル
少女は額の汗を腕でぬぐいそこに立ち尽くす。
「ふ~」
少女は地面に両手をつき体を沈める、腕立てふせである。
しかし、少女の体は浮き上がることなく地と共にあった。
少女は立ち上がり服についた砂を払う。
「ふ~」
族長の血筋であり、天才魔法少女の名をほしいままにしてきた少女には昨日の戦いが目に焼き付いている。
無論見えたとこだけだが・・・
少女は体をくの字に曲げた。
「ぐはぁ」
そして、態勢を立て直し空中に拳を突き出す。
ひょろひょろと伸びていく拳にかけ声をつける。
「しゅっ」
おもむろに横たわる少女は息を整えセリフを言う。
「強いわね・・・」
少女は昨日の光景を思い出す。
まーおは笑ってた。
ものすごく楽しそうだった。
なんか嫌だった。
私だってまーおと遊びたい。
あの人みたいな体になれば、まーおは笑ってくれる?
少女は起き上がり、小さい火球をいくつも作り、勢いをつけ小さな岩にぶつける。
これなら簡単なのに・・・
「お――― すげぇな、あんじー、シガニーがいないって慌ててたぞ。飯食いに行こうぜ。」
いつの間にかそこにいた青年。
皆に魔王と呼ばれる青年はあんじーと呼ばれる少女に手を出す。
少女はその手を握り、歩いて行く。
青年は眠そうな目をこすりながら少女を見る。
「あんじー可愛らしい格好してるな。」
少女は笑いをこらえきれない顔を隠すように下を向き、手を強く握りなおした。
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