砂埃の中で
顔や腹に痛みが走る。
どれぐらい殴りあったのだろうか?
ひときわ大きな音が辺りに響いた。
先ほどまでの喧噪は静まり、砂埃が消えていく。
沢山の瓦礫と穴が空いた地面にエリザベートが倒れていた。エリザベートを見下ろし傍らに立つラッセル。
エリザベートとラッセルの戦いは終わりを告げた。
「魔王ちゃんにかなわなかったわね。」
・・・魔王だからな・・・
「私をどうするの?」
・・・どうしてほしい?・・・
「もう一度あの人に会いたい・・・」
・・・勝手にしろ・・・
「いいの?」
・・・・・・・・・勝手にしろ・・・・・・・・・
ゆっくりと立ち上がるエリザベート。傷だらけのエリザベート。
「治さんぞ・・・ エリザベートお前を四天王の任から解く、どこへなりとも行くがいい・・・」
「魔王ちゃん・・・ 顔だけは狙わなかったね。」
ラッセルは気になっていること聞いた。
「・・・魔王になりたいなら、なぜお前の男がこない?」
「・・・彼、人魚なの・・・ 陸で生活出来ないの・・・」
「なんで!?」
あきれてそれしか言えなかった。魔王の地位なんていらないだろ? と突っ込みを入れたいのをこらえた。
俺は勝手にしろと言ったんだ・・・
ラッセルは皆がいる壊れた門の方へ歩き出す。痛みを隠すように、全身に力を入れて・・・
「魔王ちゃん、ごめんね、魔王ちゃんの気持ちに応えてあげられなくてごめんね。彼は魔王ちゃんよりいい男なの、彼がいなかったら・・・ ごめんね、魔王ちゃん」
「な!?」
そして、エリザベートは歩き出す、砂埃の中に消えていった。魔王の胸に大きな傷跡を残して・・・
門の近くにいた皆の前に近づいたとき、ラッセルは重力に負けた。
あ――― あいつ、つえ~わ。
寝転ぶラッセルをクロウがにやけながらのぞき込む。魔王様何度もフラれてましたね♪ と、うっさい!! そう言うのもしんどかった。クロウの回復を受け、ゆっくり傷がふさがれていく。
「まーお、ああいう人が好きなんだ・・・」
「えりざべぇぇぇぇとぉぉぉぉぉ~」
ヴラドの魂の声がエリザベートに届くことはなかった・・・ これからも・・・ きっと・・・ ずっと・・・
大切な仲間が一人減り、皆が下をうつむくなか、一人だけ皆の様子を見つめる男がいた・・・
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