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魔王様は退屈してます

「暇だなぁ」


 そう呟きながら魔王は下へと歩いて行った。いつもなら我がダンジョンの魔族達がうろついてるはずなのだが、皆、遠征に行きダンジョン内には少数の魔族がちらほら見えるだけである。


「俺もどっか遊びに行きたいなぁ~」


 ラッセルは朝から門番していたが誰も来ないし、側にいた魔族達に任せてダンジョンの昔の部屋を目指していた。ここら辺に絵を描いて、もっと親しみやすくて誰かが来やすいダンジョンに・・・ そんなダンジョンにしたらクロウに怒られるな。そんなことを考えながら歩いていたら、いつの間にか昔の部屋にたどり着いた。部屋の中に入り変わってない部屋を一眺めした後、ベッドにダイブした。


「くさい・・・」


 ラッセルがここに住みだしてから薄くなった臭いが増している!? 誰か使っているのか? 確かに最近こっちの部屋は使ってないし使われてもかまわないけど、勝手に使われるのは気分が悪い。さて、どうするか? 前魔王の残していった全くいらない調度品が沢山あったな、ラッセルはニヤリと笑った。


 その日の夜のことだった。玉座の間でクロウと雑談をしていると、がしゃっがしゃっと音を立てながらアーマーゴーストが10数体入ってきた。その中心には見たことあるような?牙族のおっさんが・・・


「久しいな若造よ!!! 私は帰ってきた。」

 ラッセル「えっと、どちら様でしょうか?」

「舐めた態度をとりおって、精神面から攻撃するとはちょこざいな、魔王セガールである!!」

 ラッセル「あ~~~ 前の魔王のおっさんか、久しぶり元気してた?」

「つくづくふてぶてしいやつよ!!」

 ラッセル「頭と尻に包帯巻いてるけどどうしたの?」

「部屋入ったら石像が落ちてくるし、ベッドに座ったらトゲトゲの甲羅が入れてあるし・・・ってお前が仕掛けたんだろうが!!!」

 ラッセル「あそこ俺の部屋だし、誰かが勝手に使ってる気がしたから・・・ 防犯のために・・・」

「うるさい!! 皆の者、かかれ!!!」


 そのかけ声を合図にアーマーゴーストが向かってきた。クロウを下がらせ前に出るラッセル。一体のアーマーゴーストの頭をはぎ取り後方へ飛びながら下がる。こいつらは普通の攻撃では死なない、はぎ取った頭に小声で喋りかける。


「なんでおまえらあいつに従ってるの?」

 アーマーゴースト「あのおっさん言うこと聞かないとうちらの子供の鎧にコインで卑猥なこと書くって脅すんですよ。こんなことしたくないんすけど・・・」

「そっか、頭投げるから他の奴らに伝えろ合図したらやられた振りしろって」


 ラッセルはアーマーゴーストの頭を奴らの中心に投げ込む。投げた頭が他のアーマーゴースト達を巡って本体の方に戻ったのを確認したのを見計らい、片手を前に突き出す。


「我が力を見せよう・・・ はっ!!!」


 声と共にアーマーゴースト達が倒れ込む。


 セガール「なっ何をした!!」


 実際、何もしていないが、ラッセルはゆっくり足音を立てながらセガールに近づく、近づくたびに魔力の放出を大きくしながら・・・ 


「舐めた真似をしてくれたな前魔王よ・・・ アーマーゴーストをたぶらかし我にけしかけ後ろにいるだけか?」


 セガールが後ずさる。クロウがラッセルに近寄り耳打ちした。ラッセルはちょっと嫌そうな顔をしたが、最後の言葉で笑顔になる。


 改めて魔力を高めながらセガールに近づく、セガールは魔力の圧に顔が引きつっていた。


「前魔王セガールよ、汝の強さは戦った私がよく知っておる。私を除けば四天王と同等の実力だと言うこともな、私はまだ若いゆえに知らぬ事も沢山ある。新たな体制のもと働いてみる気はないか?」

 セガール「へ?」

「我が側近となり、魔界の統治に力を貸してはくれぬか? もちろんダンジョン最下層の部屋もセガールに返そう。」


 場に沈黙が流れる。


 セガール「私はまたあなたの首を狙いますよ?」

「私だけを狙うのであればいつでも許す。」

 セガール「では、あなたの首を落とすまでしばしお使えることといたしましょう。」


 そう言ってセガールが高笑いする。


「はっ!!」


 そういうとアーマーゴーストががしゃがしゃと立ち上がる。


 セガール「どうやったんですか?」

「えっと・・・ あれだ・・・ 魔力をちょいっとして、霊体を動けなくする技だ・・・」

 セガール「そんな技があったとは・・・ 聞いたことないですね。」

「・・・・・・・・・」


 玉座に座るとクロウがよってきた。


 クロウ「ラッセルちゃんうまくやったね。留守番任せること出来たら、ちょっと位、遠くへ行っても平気だよ。」


 ラッセルは満面の笑みを浮かべた。



読んで頂いてありがとうございます^^

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