魔王の間にて
玉座に座りグラスに注がれた赤い液体を軽く回すラッセル、側に控えるはクロウ、ラッセルの目の前には四天王が並ぶ。
「皆、よく集まってくれた、ふふふっ壮健なる顔ぶれよ・・・」
ジャン「あの~魔王様しゃべり方が・・・」
「ちっ!」
舌打ちするラッセル。
「我が同胞達にこのダンジョンは狭いと思わないか?」
ヴラド「いや部屋も余ってますし・・・」
「チッ!!」
舌打ちするラッセル。
「魔界の月は血に飢えておる。」
ドラクル「はぁ?」
「ちっ!!!」
舌打ちするラッセル。
「この魔界に魔王は一人でいいと思わないか?」
エリザベート「・・・」
「なんか言えよ!!!だから・・・」
ラッセルがバタバタしながらグダグダ言い出した。
「なんだよ、おまえらばっかり楽しそうに遊んで、魔族としてどうなの? 魔王覚悟!!とか来てくれてもいいんだよ? 血と肉を好もうよ。俺たち牙族だよ?」
ラッセルを止めるクロウ、四天王の方に顔を向けた。
「え~とね、魔王様は退屈だから冒険に行きたいそうなんだけど、魔王が一番に冒険いっちゃだめでしょ? それでみんなに形だけでも先にいってほしいなぁ~と思ってます。他の魔王がどんな考えかわからないし攻められる可能性もあるからね。僕らはこの世界のことを知らなすぎる。それでね・・・」
そう言ってクロウはみんなの所で円陣を作った。ラッセルは座り直して肘をついてふてくされている。
クロウ「僕の知ってる限り世界って・・・」
エリザベート「私、ここいきたーーい♪」
ドラクル「変わった温泉があるのかクロウ殿?」
・・・・・・・・・数分後
クロウがこちらに戻ってきてラッセルに紙を渡し耳打ちする。
クロウ「これ読んで。魔王っぽくね。」
首をかしげるラッセル。
「えーと、ドラクル・・・ 汝を東を攻める将軍に命じる?」
ドラクル「はっ御心のままに!!」
さっと片膝をつくドラクルに戸惑う。
「ジャン、汝を将軍職とする、西の砂漠を攻めよ。」
ジャン「御意!!」
ジャンも片膝をついた。
「エリザベート、汝を将軍職とする、南をその目で見極めよ!!」
エリザベート「魔王様の命じるままに・・・」
緩やかに膝をつくエリザベート。
「ヴラド、北を我が手に、汝を将軍職とし、四天王統括に命じる♪」
ヴラド「謹んで拝命いたします。」
膝をつき頭を垂らしたヴラド、クロウの方を見て爛々と目を輝かせるラッセル。
「期待しておるぞ、同胞たちよ!! ふっはははははははははは♪」
その日ラッセルの高笑いが止まることはなかった・・・
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