王子の取り巻きAは悪役令嬢の味方です
悪役令嬢もの。
スキャンダルあり。
評価は途中までは「読んで良い」、総評価として「読んで悪いもの」です。
物語が佳境に入って来た(20180715)ので書いてみます。
表のあらすじは、王子がその取り巻きと一緒にクリステル嬢にほれ込み、卒業前に婚約者のアドリエンヌに婚約破棄を突き付けると宣言する所から始まります。それを聞いた主人公であるロランはその暴挙を止めるために行動を開始する、という冒頭です。
裏ですが、前提としてアドリエンヌ嬢とロランが男女の関係になってしまっています。どこでどうなったかは周囲にばれていませんので追求されていません。ですが男女の関係になる出来事自体は起きた事を周囲は知っているのでどうにか吐かせようと画策しています。そしてやってしまった火遊びの火消しにロランが行動を開始する、というのが冒頭になります。
全体的に叙述トリックです。
読む視点は間違いがない、意図的に読者を間違わせる錯覚を含ませないように書かれているという前提を悪用して書かれています。つまり、必要のない文章を挿入して誤誘導し、誤解釈しやすいように描写が書かれている、と言う事です。
冒頭で、エドワード王子以下取り巻き連中が、それぞれの婚約者に婚約破棄を突き付けようという会話をします。ロランは婚約者がいません。それは、アドリエンヌに横恋慕しているから、だと思われます。横恋慕と言ってもアドリエンヌ嬢もロランが好きで両想いですが、相手が悪く、アドリエンヌ嬢の婚約者はエドワード王子です。ロランもアドリエンヌも公爵家ですが王家に敵対的な行動を取ってしまっており、そして既に男女の仲なので取返しのつかない事態に陥っています。公爵家の側から婚約破棄は言えず、また情事がばれたらアドリエンヌは処刑か追放か修道院送りとなり、公爵家の名誉にも傷をつけるので言えません。残る手段は王子の側から婚約破棄してもらう事ですが次期国王に婚約破棄された令嬢、という事で人生詰みます。それでも死なないだけ増しで、ロランが結婚してくれるだろうからそうなれば良いのでしょうが、理由もなく公爵家と王家の縁談が消える事がない、のでどうしようもない状態から話は始まります。
冒頭の婚約破棄の話は単純に「このままいけば不純なアドリエンヌ嬢は人生終わっちゃうよ?」とエドワード王子が取り巻き連中と一緒にロランを脅している描写になります。
ロランもアドリエンヌ嬢もお互いの感情から男女の関係へと発展していますが、どうも後の事を考えずに突っ走ってしまった感があり、どうしよう、という状態になっています。
最初の出会い時に応じがアドリエンヌ嬢に対して失礼な発言があったので、どこかで婚約破棄されるだろう、という楽観視があったのかも知れません。ですが婚約破棄されず、このまま半年が経過すれば卒業と同時に結婚、そして既に処女ではなく純潔を散らしている事がばれ、処刑か修道院送りが確定、という状況が見えてしまっています。
ロランの方は、火遊び感覚ならもう何もしなくて良い事になります。男性の側にはその情事を現行犯で押さえられなければ証拠が残りません。自分の事だけ考えればそれで良いのですがロランもさすがにそれではうしろめたすぎるので、ようやく本腰を入れてどうにか対処出来ないかを考えて動き出します。
登場人物においてクリステルは純潔を失ったアドリエンヌ嬢を表すために登場しております。クリステル嬢はアドリエンヌ嬢が純潔を散らした後に、登場するようになっています。ロランの前に登場させてアドリエンヌ嬢がどう見られているか、そして取り巻き連中と共にどう扱えばよかったかを見せつける為にいます。
取り巻き連中は協定を結び"アドリエンヌ嬢に対して抜け駆けしない"という約束をしています。ですが既にロランはアドリエンヌ嬢に手を出しています。なので、「手を出しちゃダメな人物に手を出しちゃったよね?」と言っている状況です。
表の設定でクリステル嬢が周囲の人物を魅了する原因として体臭が周囲の男性を惹き付ける性質を持つニャナンシーという存在という事になっています。これはアドリエンヌ嬢が処女を失う事で体が少女から女性の体になり、フェロモンが出るようになったという事を暗に示しています。ただ、このレビューを書いている段階ではその設定は語られるだけで使用はされていません。
この時点でエドワードの立ち位置はまだ不透明です。幼馴染であるロランとアドリエンヌ嬢を助けるつもりで婚約破棄を望んでいるかのような行動は見受けられますが、王と公爵が決めた約束を覆す事も出来ないので大人しく従っているようにも見えます。しかし既にアドリエンヌ嬢の浮気は確定しているので、アドリエンヌ嬢とロランを破滅させないためにはどうにかして婚約破棄が必要です。
この作品で少し悪い所は途中でアドリエンヌ嬢とロランに男女の関係があったという事実があいまいになる所です。エドワード王子が、ロランにアドリエンヌ嬢を諦めさせれば問題がなくなると思っているような展開が見受けられます。ですが全体の流れではその解釈がないのでそこが残念な内容になっています。
1話においてエドワード王子が「つまり、正式に国王陛下にアドリエンヌ公爵令嬢との婚約を破棄し、クリステル男爵令嬢と改めて婚約したい……と、願い出られるというわけですか?」というセリフですが、裏側から見れば、既に純潔を散らしたアドリエンヌ嬢とそのままその失敗をなかった事にして事を収めたい、と言っているようにも取れます。が、しかし、王様の返答は『馬鹿を申すな』です。
ここでの設定で、アドリエンヌ嬢がクリステル嬢を排除しようとしている、という話は、アドリエンヌ嬢が自身の不貞を隠し通そうとしている、という部分を指しているようです。
取り巻き連中もまとめて婚約破棄をするのは、おそらく王家の婚約を守り通す事が出来なかった自分たちへの罰です。一番上の人間の結婚がうまくいくようにできなかったのにその失敗の責任を取らずに周囲が結婚するわけにはいかない、という理由でしょう。
2話になり、ロランは悩みます。どうしたらこの自身が起こした問題を解決できるかを考え始めます。
ここでの会話に、
「……だけど、まさかあそこまで阿呆だったとは……」
「――誰が阿呆なんですか、公子様? 自己批判ですか?」
とあります。表側だと王子たちへの批判ですが、裏側だとその言葉通りにロランへの批判になります。ロランの護衛役のエレナ達はアドリエンヌ嬢とロランの関係を当然知っています。知っていますが主人には逆らえない為に一蓮托生で従っている、という事です。
また、アドリエンヌ嬢の失敗に関してですが、本人が両想いの為にその失敗に積極的に行動するため、言ってしまえば、分かっている罠に進んで掛かりに行く為にどうやっても防ぎきれなかった、という部分があります。逢引きするために二人きりにしたら、他の誰もそれに気づけず、注意出来るものもいない状況を作ってしまった、という事です。
この後の会話で食事を聞いています。チキン or ポークです。臆病者のまままだ逃げるか、覚悟を決めて処刑覚悟で罪を申告し、おそらくは追放刑を受けるか駆け落ちをするかのどちらを選びますかという事でしょう。豚を"市民"に例えていると思います。
「もしかして、若様は私がお嫌いですか?」
という発言があるので、もしかするとロランが庶民落ちしてもエレナはついてきて妻になるつもりかも知れません。別案で、可能性は低いですが、既に純潔を散らしたアドリエンヌ嬢をメイドに例えてアドリエンヌ嬢と駆け落ちはしないのですか?という暗示かも知れませんが深読みでありまた話の流れには関係ない発言なのでここまでにしておきます。
「失礼――若様、私を見てどう思われましたか?」
という言葉の続きからようやく、エレナの側もロランが自身のやらかした失敗の大きさに気づいた事を知ります。そして義妹ルネを共にロランに説教をします。
「王子は底抜けのアホだし、サロンのメンバーは率先して泥舟に乗る自殺集団。クリステル男爵令嬢は、色ボケの王子と高位貴族たちに理想を押し付けられた被害者……ってところか」
この辺りの台詞は叙述トリックのためにあります。完全に一致しませんが逆さ言葉のようになっています。あいまいな解釈にしかなりませんがロランが自身を「色ボケで率先して泥舟に乗る自殺願望の持ち主」と自嘲している部分です。
3話「状況を整理してみよう」でロランの起こした問題の大きさがクローズアップされています。ロランがアドリエンヌ嬢に手を出した結果、周りが責任を取らされるとどうなるか、という事が話されています。
ロランはオリオールの伝説で語られる人物だそうです。どんな伝説かは書かれていませんが、おそらくは同じようにスキャンダルを起こした先祖がいて同じ事をロランがやっちゃったという事でしょう。その対応として義妹ルネが本家にストッパーとしてやってきたようですが、そのルネも共犯者になってしまっています。
「こうなると、五十歩百歩とはいえ、まだしも許嫁も婚約者もいなかったお義兄様が一番マシね。道連れにされるご令嬢もいないわけだし」
「――ええと、それはどうでしょう?」
という会話の部分にはアドリエンヌ嬢も含まれるでしょう。
4話「攻撃の反対は防御ではなく先制攻撃」でロランは謝罪をしています。ここでの会話で、
「そうですよ、お義兄様。ここ半年ほどはわたくしの話も上の空で、口を開けばクリステル様への賛美とアドリエンヌ様への不満ばかり。どれほどわたくしたちが心配したことか!」
「……ごめん」
「もうこのままお義兄様はどこかへ行ってしまうのではないか。取り返しのつかないことになるのではないかと、心配で心配で……」
ここでの「クリステル嬢」はロランと男女関係を持ったアドリエンヌ嬢、「アドリエンヌ嬢」はエドワード王子の婚約者としての立場であるアドリエンヌ嬢だと思われます。その後の話は、駆け落ちか逃走か追放か処刑かのどれかになってしまうと思っていた、という展開です。
そして今後の対応を話します。
「僕同様にエドワード第一王子以下他の連中を改心させ、杜撰で馬鹿な計画を実行に移さないように周知徹底をはかり、アドリエンヌ公爵令嬢をはじめとした関係者に心から謝罪して、王子たちには罪を償ってもらう」
「お義兄様、理想は結構ですが、そんなすべての方々にとって虫のいい解決が、半年以内に可能だと思いますか?」
というわけでどうするかを選択する事になり、結局、アドリエンヌ嬢の味方になる、を選択します。この時点での結末をどこに持っていくかで最悪はアドリエンヌ嬢と駆け落ち、で見捨てる事は選択しなかった、ということだと思います。
「……わかった。覚悟を決めたよ。何があっても裏切らない、僕はアドリエンヌ嬢をお守りして、理不尽かつ不名誉な目に逢わないように全力で奮起することにする。だからふたりも協力して欲しい」
「勿論ですわ! お義兄様なら絶対にそう言ってくださると信じておりました!」
という展開になっています。ここまでの話で、男側はロランを止められなかった事への責任を取る事が確定し、女性側は婚約破棄という被害を受けるがロランはその補填をする必要に迫られる事になった、という事です。
5話「アドリエンヌ嬢は胡乱な目を向けるようです」でロランはアドリエンヌ嬢と仲良くなるために行動を開始します。この部分などは叙述トリックです。ここでの重要な部分はルネがアドリエンヌ嬢から貰って来たチケットで訪れた美術展で"偶然"アドリエンヌ嬢と会うという事です。それもルネ達が時間調整をしています。つまり、アドリエンヌ嬢とロランのパイプ役がルネであり、逢瀬の段取りをルネとエレナがしていたという事です。
アドリエンヌ嬢がなぜそこまでロランに執着しているかと言う部分は幼馴染であり、王子が顔合わせで失礼な事をしたのに対してロランはやさしくした事がきっかけのようです。その後もロランの役目はアドリエンヌ嬢と仲良くする事だったようで、アドリエンヌ嬢はロランに恋心を持つようになります。
3章「お嬢様方の恋愛講座(初級編)」で「焦らし作戦」という内容があります。
「これがいわゆる『焦らし作戦』ですわ。つまり、あえて自分からはコンタクトを取らずに、それでいて別れた後に趣味や異性と親し気に、なおかつ楽しい自分を見せつけることが大事なのですわ。そうやって意図的にコントロールして情報を小出しにすることで、もう手の届かなくなった相手に、「こんなに素敵な人だったのか」「あの時別れなければ」「惜しいことをした」と後悔させることが出来れば九分九厘成功です。そのタイミングを狙って再会を果たせば、自然と相手の方から復縁を求めるようになるに違いありません」
「そうそう。女の方の価値を下げずに、逆に希少価値を上げておけば、その後も男の方のコントロールも容易だからねえ」
という事でロランは途中からアドリエンヌ嬢と距離を取るようになったと思われますが、アドリエンヌ嬢からすればそこで楽しそうにしているロランに更に恋心を抱いてブレーキが効かなくなり、アドリエンヌ嬢の側からアプローチして失敗した、という内容のようです。
一部、ロランとアドリエンヌ嬢のどちらを表しているかが分からない部分があるのでこれもおそらくはそうだろうという解釈に留めます。
7話「いざ最初の一歩を刻まん(いきなりクライマックス)」で、アドリエンヌ嬢の手引きによりロランはアドリエンヌ嬢に会いに行きます。ですが、王子派のドミニクが同時に段取りをしています。そしてその段取り通りに、アドリエンヌ嬢を含めた集団は賊に襲われロランがそれを撃退します。
この部分で話を逸らしますが、後の話を読まない段階では、この部分で、アドリエンヌ嬢が以前に賊に襲われ純潔を散らし、その事実を隠蔽してロランがアドリエンヌ嬢を引き受ける、という展開を狙っているようにも見受けられましたが後の展開でそうでない事が分かるようになりますのでここで書いた展開はないとしておきます。
この部分で重要なのは「賊に襲われた」、「アドリエンヌ嬢が」、「ロランが」というキーワードです。アドリエンヌ嬢が既にスキャンダルに巻き込まれている事を知っているが誰とどうなったかを知らない周囲はこの事件でなんとなく知る事になり、また、当事者は、すでにばれている事を知ることになります。
ここで邪推すれば、もしロランが助けなければアドリエンヌ嬢は自己犠牲精神でもって生贄として身を汚される事を受け入れ、それをもって婚約破棄になる結果へとつながる、という展開なのだと思いますが、ロランはそれを受け入れません。どうにかアドリエンヌが破滅しない方法を模索するという事です。
9話「イケメン死すべし、ハーレム野郎滅ぶべし!」で賊との会話で中でエレナがロランの行為を暴露しています。
「……ぐっ、ぐぐっ。好き勝手言いやがって……おいっ、立っているのは全部お前の女か!?」
「違」「その通ぉーり!」
という会話をアドリエンヌ嬢、ルネ、エレナだけが立っている状況でしています。
10話「えっ、信じていなかったの!?」でロズリーヌ王女とロランのスキャンダルはアドリエンヌ嬢とロランのスキャンダルを表面化したものだと思われます。
11話「side:アドリエンヌのターン」の最後に「……なによ、いまさら……」という発言があります。火遊びをして失敗したアドリエンヌ嬢は、この先破滅するしかない現状のまま過ごしてきたが、ここになって、アドリエンヌ嬢を見捨てたはずのロランが助けようとしている事に対して発言しています。
12話「男爵令嬢は微笑みを絶やさない」では王子がこう発言しています。
「だが、アドリエンヌに関してはなあ……。正直、余計なことをしてくれ」
「ごほん!」
ここでロランに、会話の中で不自然なく嫌味を言っています。
ここではクリステル嬢が初登場します。王子がクリステル嬢をあえてべた褒めする、という行為で、アドリエンヌ嬢に対して仲が良くない、という明示がされていると思われます。別案としてはアドリエンヌ嬢の不貞を知ってもまだエドワードは惚れているとも取れますがあまりここは展開に影響しないので追求しません。
13話「エレナさん頑張る!」はどこまで暗示があるのか把握しづらいので割愛します。エレナの"左手"が負傷する、ケルベロス(三つ首の番犬)に噛まれる、という部分をどう表しているかが分かりづらくまた表していないかも知れないためです。ジェレミー王子も何の役割を担うのかがいまいちわかりづらいのでここでは割愛します。
15話「たったひとつの冴えた解決法」で、アドリエンヌ嬢を助ける方法を模索して「ロランが王になる」というとんでもない方法が提示されます。要は、ロランが問題を解決しかつ今まで通りにするにはそれ以外に方法がないという事を示しています。同時に戦争でもしないと不可能と言っています。そしてしでかした事の大きさをロランに認識させています。
17話から階段落ちイベントになります。
純潔を散らせたアドリエンヌ嬢を表すクリステル嬢が、階段から落ちるイベントです。
その際に後ろにいた女性たちに落とされた、という展開になり、その女性たちがアドリエンヌ嬢の派閥に属しているためにそれはアドリエンヌ嬢が画策した事だ、という展開になっています。訳すると、アドリエンヌ嬢がどうやって失敗したかと言えば、アドリエンヌ嬢が取り巻きの女性たちを使ってロランと逢引き出来るようにして自身で自身を貶めた、というように糾弾されるイベントになっています。
ここはどうやってアドリエンヌ嬢が失敗したのか、という部分を表すために行われ、それにロランがどう答えるかが焦点になっています。
18話でドミニクの婚約者であるエディット嬢が登場します。エディット嬢を含めた取り巻きはアドリエンヌ嬢に同情的です。貴族の令嬢は恋愛結婚など夢でしかないためにそこに憧れがあり、恋愛で失敗したアドリエンヌ嬢を助けたいと思っています。ロランのとの会話の中で、
「いまでは校舎を管理している家妖精ブラウニーさんたちとも一緒にミルクを飲む仲になりましたし、こっそり学園の敷地内に住み着いている黒妖犬ブラックドッグ(見ると死ぬとまで言われる魔物)さんなど、すっかり打ち解けて毎朝糞の始末をして、あと口の中に顔を入れて色艶の確認、肛門に指を突っ込んで健康状態を把握するなどしています」
などとあります。どうやらエディット嬢がアドリエンヌ嬢の醜聞の火消しをしていたようです。
ここでのイベントの結末は、グレムリンという魔物がいて、その魔物がクリステル嬢を押して転ばせたのでクリステル嬢の後ろにいた女性たちは無実だ、という事で終わります。その際、エディット嬢はアドリエンヌ嬢に味方し、その婚約者であるドミニクは面目を失います。アドリエンヌ嬢に命令されたからといって、アドリエンヌ嬢が失敗するのを止めなかった事に対しての責任を取らせる機会を失ったのでドミニクは失敗の責任を取ることになります。この時、エディット嬢はロランと取引しています。婚約破棄による損失に代わる対価を得ています。
このイベントの中で20話「エドワード王子VSアドリエンヌ嬢2」の中でロランに嫌味を言っている台詞があるのですが、そこがこの話の裏側がどこに向かうかの方向性が分かる初めの分岐点だと思われます。これまでの部分では裏側を不透明ながらも見せる事がありましたが、どういった内容か分からない状態でしたが、次の台詞でどんな内容なのかがうっすらと見えてきます。
「できるぞ! 実際に私はこのロランが手を触れず、“遠当て”と呼ばれる技術を使って、山ひとつ隔てた反対側の一角獣エラスモを一撃で仕留めたのを見たことがある。ロランと同じ事はさすがにできんだろうが、女の細腕でも突き飛ばすくらいは可能だろう。よって犯行は可能だ!」
要はロランには出来る、と述べる事で暗にロランがやった、と告げています。このセリフでこれ以降の裏側の展開がわかりやすくなります。
「一角獣(処女しか触れない動物」「ロラン」「仕留める」などのキーワードが出ています。
その後に、
「…………」
アドリエンヌ嬢が思わずという感じで僕に視線を寄越す。
という展開で、ロランがどう答えるのかアドリエンヌ嬢が様子をうかがっています。
また、展開として、ロランが犯人捜しから事故の再発防止へと焦点をずらそうとしています。
21話「犯人はこの場にいる!」で、ロランの発言とエドワードの発言が逆になっている可能性があります。ただ叙述トリックのせいで分かりにくいです。
叙述トリックが挿入されたためにそこにあるべき描写が欠けてしまっているようで、それがないと発言内容が逆になっている事が分かりにくいので割愛します。要はエドワードはロランに出し抜かれた事を恨んでいる、という内容が書かれていると思われます。
ここではドミニクが登場していますが、これ以降のドミニクの立場はロランの実際の立場を示したものです。ロランとドミニクが王子の側近ナンバー1、2で対比され、ロランの実際の扱いがどうなるかをドミニクで表しています。
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後はエディット嬢がロランの味方をして容疑者にされた女性たちは無罪になりこのイベントは終了です。
29話「今後の事を考えよう」で次の展開へと進みます。ドミニクの領地で反乱がおきます。ドミニクはロランの投影ですので、ロランのしている事はこういった事だぞ、とロランに教えるためのものです。ただ小説の都合上そうなっているだけで、その内容に合理性を求めたならこの表現はよろしくなかったと思います。そんな都合よく大規模の本物の反乱がおこるものでもない、のでそれで例えるというのがロラン達を諫めるためのイベントとするには無理がある、という事です。もっと小規模のもので誤魔化す程度がイベントとしてよかったようには思えます。
アドリエンヌ嬢とロランのした事は国内で反乱を起こしているようなものですよ、というのがこのイベントの主旨で、それを分からせるためのものだと思われます。
ここで魔族大公爵の話が挿入されています。要はアドリエンヌ嬢の実家の公爵家を軽く見てロランがやんちゃした事に対する話です。アドリエンヌ嬢が純潔を散らした事で損害を受けるのはアドリエンヌ嬢の実家の公爵家です。それに対してロランは知らぬ存ぜぬを貫き通せば表向きは損害が出ません。ですがそれで黙っていられるはずもないですよー、という話です。
その後に反乱の部分でブラウニーが王子の取り巻きの内、ロランの所を除いて居なくなる話になっています。どこまで深読みするかですが、さきほどのイベントでアドリエンヌ嬢を擁護する形になった召使達とその縁故を排除した、とも取れます。ですがこの先の展開に関係ないので追求しません。
ここでドミニクとエディット嬢が婚約破棄します。この辺りのタイミングはこの小説のタイミングと展開のために用意されているので根拠を求めるのは難しいので割愛します。
ここで注目する所はエディット嬢が側妻で良いと言う発言です。暗に婚約破棄された損失補てんとして嫁にしてね、もしくは代わりの婿を見つけてね、という事です。ロランとアドリエンヌ嬢のスキャンダルに巻き込まれて婚約破棄する事になったのだから、となります。
ここまでで1章は終了です。最後の方でクリステルの体調が悪くなる、という描写があったのですがアドリエンヌ嬢の不貞行為の罪が和らぐ、という解釈だと思います。
2章になり、反乱の話になります。
円卓の配置描写があり、ロランの位置がランスロットの位置であり、間男の話につながり、ロランとアドリエンヌ嬢の関係を暗に示しています。
最初にロランが発言した都合の良い結果にするにはエドワードを殺すしかないよ、という話につながります。
反乱は第一次鎮圧が失敗した所から話が始まります。
そしてエドワード王子が次は自らが陣頭指揮を取ると宣言します。それはクリステル嬢が唆した事も要因の一つだと言っています。このあたりはアドリエンヌ嬢がエドワードに死んでほしいと密かに思っているともとれる解釈です。
第一次鎮圧は1章のイベントで、エドワード達の仕掛けたイベントが失敗したことを鎮圧失敗とあらわしています。1章のイベントはドミニクが仕掛けていますが今回は王子自身が行うと言っています。
2話「戦いはいつも虚しい」でチェスのコマなどで戦局予想しています。鎮圧に失敗した理由に、「グラスホッパー」「アマゾン」、「魔人」というコマが活躍した、という話になっています。グラスホッパーはおそらく偵察部隊、アマゾンはエディット嬢たち支援者、魔人はロランでしょう。
で、次の鎮圧にはエドワードが直接指揮を取る、という事で混乱するという情報にルネ達は驚きます。
「side:アドリエンヌと迷子の仔猫ちゃん」でクリステル嬢を使って、アドリエンヌ嬢の内心を吐露する描写をしています。アドリエンヌ嬢はそれを見て、クリステル嬢の発言している様な内容をアドリエンヌ嬢が考えているのだと周囲は認識している事を知ります。そしてクリステル嬢がアドリエンヌ嬢のしている事に対する外聞を、アドリエンヌ嬢に見せるために存在している事を知ります。
「side:ソフィアさんの憂鬱」の台詞で、
「……ままならないものね。本当に私は何を見ていたのかしら。真実はすぐそこにあったというのに、周りの意見や思い込みから事実に目を背けていた。いまさら取り返しがつくとは思えないけれど、けれどできることなら――」
とアドリエンヌ嬢が発言し、ようやく自分が周囲からどう見られているか、自分の立場がどのようなものか、自分のしている事がどういった事になるのかをわかり始めたようです。
6話「辺境伯令嬢の物騒なお願い」で取り巻き連中のフィルマンとその婚約者ベルナデット嬢が話に関わってきます。ベルナデット嬢はフィルマンを殺してほしいと頼みます。こういったごちゃまぜにしている話はどこに思惑が向いているのかわかりづらいので特定しづらいのですが、ここではベルナデット嬢をアドリエンヌ嬢、フィルマンをエドワードに見立てて、ロランが友人を殺せるのかを確認しているとも取れます。また、ロラン達のした行為はそれに等しいと嫌味を言っているかも知れません。ただ、この後の展開から類推すれば、ここでのフィルマン=ロランであり、会話の中にあるように、
「そうした訳で、恥を忍んでロラン様におすがりするしかないわけで……ああ、あたしも鬼ではないので、気が進まないと仰るなら命まで取れとは言いません。最低限、顔と生殖機能さえ残して、あとは使えなくしてくれれば十分です」
というわけでロランが消える(物理的に、もしくは出奔)事を前提としてそれを受け入れられないなら、実権を持たない名ばかりの領主になってください、という提案になっています。
ここの後半でまた国盗りの話が出てきて、それに対してエレナが
「……まあいいですけどね。私としては、若君が私だけを見てくれているいまの状況はどんとこいなので」
と述べ、暗に終着点は出奔になりそうだと述べています。女性たちからすれば恋愛感情を優先してくれるロランが王になってくれたら、損得勘定で政略結婚させられる状況を変えてくれるのでそうして欲しいという部分が存在しています。別解釈はロランに協力する代わり国盗りつきあってね、という部分ですが話の展開にあまり関係ないのでこの展開を追求しません。
8話「忠臣ではなくて共犯者に」で反乱鎮圧の方向でベルナデット嬢と折り合いをつけます。反乱前の状況に限りなく近づける、という事でロランとアドリエンヌ嬢のスキャンダルの影響が出る前の状態に出来る限り戻すのでそれで手打ちにしてください、という展開になっています。ここの話の中に逆さ発言があるのですが、
「うんうんそうだろうね。さすがはあたしが見込んだ男! 男子たるもの有言実行だよね~っ。ということで、今後はあたしも全面的に協力させてもらうよ。おっと、忠臣や部下は冗談だったんだよね? なら、とりあえず同盟者……或いは共犯者として改めてよろしくね」
という発言で、部下、忠臣の立場が話と逆、という事です。迷惑かけたから部下扱いを受け入れろ、というベルナデット嬢の脅しであり、それで損失を補てんしろ、と言っていたが、ロランが出来る限り前の状態に戻すというからしばらくは様子を見る、という事になっています。
9話「取巻きAは令嬢になりました」ここからロランは女役、つまりは女性的に、受動的な立場で動くことになる、という事を表しています。反乱軍においてはリーダーグループになっている魔族の排除と主力部隊であるアマゾンの解散などが描かれていてそれで終了しています。ここは恐らく、リーダーである魔族の排除で邪な計画を取り除かれたと示し、アマゾンの解散で、女性たちに歯向かう意思はないですよと示しています。ですが同時にロランの公爵家領内に再集結しているという描写もあります。表上歯向かいはしないのですがアドリエンヌ嬢を助けていないので女性たちはまだやる事があるという事でしょう。
それとは別に反乱軍の背後にいる連中を退治する話になります。反乱軍の背後にいる連中、という事でロランとアドリエンヌ嬢を表しています。また、ここは損失補てんの一環として辺境伯領内にはあるが治外法権のようになってしまっているダイヤモンド鉱山の治安を回復して利益を与えるためにロランが行動する事になります。治外法権のような場所の治安を正常に戻す、という事でアドリエンヌ嬢の暴走を止めて管理下に入れますよ、という内容になっています。
同時にロランへの罰のようです。どうやらロランはアドリエンヌ嬢と会うためにたびたび女装をしていたのかも知れません。その意趣返しとして鉱山を牛耳っている悪役に男同士で手籠めにあう寸前までいく、という描写になっています(ただ実際にはどうであったかは描かれていません)。
この話で女装のロランはロレーナと名乗っています。そしてはるか東のリャパウンという国出身の少年ヨウタを助けます。彼は殺される寸前の所を助けられロラン達に保護されます。この話ではロレーナはアドリエンヌ嬢を表し、ヨウタはロランを表しています。ヨウタがリャパウン出身である事の意味は、どちらかは情報がなく判断がつきませんが、ロランが出奔先もしくは駆け落ち先をリャパウンにしていたのかもしくは暗にロランにリャパウンくらいの遠くに逃げないと処刑されちゃうよ、という脅しになっているか、それともリャパウンに逃げたくらいじゃ逃れられないよ(地の果てまでおっかけるよ)と暗示している可能性があります。また、少し前の「side:ソフィアさんの憂鬱」での内容で、アドリエンヌ嬢もリャパウン方面にある蒼陶国産の茶器を持っていて描写に使われています。
展開としてロレーナは鉱山主の所へ交渉に行きます。交渉の際に有効の証として"イロコイ(色恋)の星"という大きなダイヤをあしらった首飾りを貰う事になりますが、それには隷属の首輪の効果がついており捕まります。
一方、ヨウタがなぜ殺されかけていたかと言えば、鉱山主が必要としていた魔法具を隠したからで、ロレーナが鉱山主に会いに行ったが鉱山主が悪者だと知っているのでヨウタは追いかけます。その魔法具は人形です。そしてロレーナはベッドに寝かされ、服をはぎ取られ、行為の寸前の所にヨウタとルネ達が乱入します。
22話「黒幕との意外な邂逅」で鉱山主とヨウタ達は交渉し、ヨウタは人形を、鉱山主は"イロコイの星"を互いに投げ合い欲しいものを手に入れようとします。
ここでのヨウタの登場シーンで、
「いざという時の抜け穴を用意しておくのは結構ですけど、鉱山の町では誰が見つけるかわかったもんじゃないですなー。にしても、一発でこんだけ分厚い床板をぶち破るとは、子供とは言え穴掘りのプロは違いますなァ」
「いいえ、これは愛の力ですわ! 愛する女性であるロレーナお義姉様の危機に、彼の想いが奇跡を起こしたのですわ!!」
とありますが"穴掘りのプロ"が墓穴を掘るプロを指している可能性はあります。どうであれアドリエンヌ嬢と会うためにあの手この手で監視の死角を見つけ逢引きしていた事を表しています。
次の会話で
「よし、ならば取引だ。この娘はいま古代の祭器によって俺の命令以外は受け付けないような呪いがかかっている。見えるか? このネックレスがそれだ。これを外さない限り一生このままだ。そしてこれを外せるのは一部の者だけ……何が言いたいかわかるか、小僧?」
と言っています。ここのイベントは結構曖昧でいくつかの解釈が出来てしまい読みにくいです。イロコイの星はロランの恋愛感情だとは思うのですが、鉱山主オットマーに被せるロールがエドワード王子とロランの両方になってしまっているので解釈が難しいです。ここでのオットマーの役割は王子、ヨウタ=ロラン、ロレーナ=アドリエンヌ嬢のはずで、そうするとここでの会話は"婚約を外す"と解釈するのが妥当になってしまいます。なぜなら一場面で同時に同じ人物が2人以上の主要な人物のロールを表す事は出来ないので。もしそんな事をすればどのロールの発言や動作なのかそれをしている本人以外にわかるはずもなく何も伝わりません。
また同じように人形のロールも分かりません。人形はヨウタが返す、という事からロランが王家に対して従順になる、を意味するように解釈出来るのですが、これ以降の展開から、もうひとつの解釈として、人形=アドリエンヌ嬢という解釈が出来ます。この時点でここのイベントはもう解釈が多様過ぎて裏側に隠した内容がなんであるかを特定できません。
この後の会話で、
「もともと条件は五分五分ではありませんの。そちらの人質がお義姉様ひとりなのに対して、こちらは人形とあなたご自身の命の二つ。つまり交渉を提案できるのはこちら側というわけですわね、いかがですか?」
とありますが、裏側の交渉ではエドワード側が2つの交渉札を持ち、ロランの側が1つです。ロランは王家に対する忠誠を、エドワードはアドリエンヌ嬢の命とスキャンダルの責任です。
なので、この後の展開で、まず"イロコイの星"を外す事で、恋愛感情を外す、アドリエンヌ嬢を諦めるという手順の後に、イロコイの星を返し人形を受け取るという事で、スキャンダルを不問にし忠誠を受け入れる、という形にする、という内容になっています。
人形を受け取った鉱山主は逃走し、ヨウタはそれを追いかけます。ロレーナはアドリエンヌ嬢を表し、会話の中で行為は行われなかったというものがあります。ですが実際にそうであったかは描写されていません。しかし発言はあります。
「……大丈夫。そっちのほうもギリギリ間に合った」
わざわざ言葉を選んでいるので事実ではないと表していそうです。
人形とイロコイの星を交換する際に人形がしゃべります。
『バカモノっ! その娘を確保しろ! 命令だ!!』
このセリフの所為で、人形=ロランの従順さ、ではなく人形=アドリエンヌ嬢もしくはロラン、としての解釈が出来てしまいます。ここまでの内容ではそれがロランなのかアドリエンヌ嬢なのかの判断がつきません。後の話でアドリエンヌ嬢だと分かるのですがここだけの内容ならロランと解釈するのが普通です。要は取引はしているが内心ではまだロランはアドリエンヌ嬢を諦めていない、というように取れます。別解釈として、従順になる代わりに、アドリエンヌ嬢の罪を不問にしてね?という意味が込められている可能性もあります。
人形の発言はともかく、人形とイロコイの星は交換されオットマーは逃走します。それをヨウタが追いかけ、次のシーンに移行します。
23話「竜頭蛇尾な結果」でヨウタが怪我をし、その治療費が払えないという話になっていますが、出世払いという事で、ロランに慰謝料払えよ?と脅しています。
22話での人形の発言を受けて、
「告白ですわ! ついに初恋を自覚した少年の告白ですわっ。さっきの脂ぎった中年は論外ですが、真剣な眼差しの年下の少年とか美味しいポジションではありませんか! 何となくお義姉様って年下の男の子から今後も熱烈なアプローチを受ける気が致しますわね」
というセリフが入り、また同じ事をしでかして同じ展開になりそうだとルネが言っています。
最終的にロレーナは解放され、一行と合流します。
この話の最後にヨウタが「また会えるよね?」のような発言をし、ロレーナが「偉くなったらね」という発言で締めくくられます。この部分が若干分かりづらいです。アドリエンヌ嬢が偉くなる->王妃になる、だと思われます。マジにレスすると王妃の不貞問題を金で解決するというのは本当に小さい未熟な国ならあるのかも知れませんが多少歴史のある国ではまずありません。悪影響のほうが大きすぎてそんな選択肢はあり得ないのです。ですのでこの会話は追求しません。
また、ここの結末は良く分かりません。じゃあアドリエンヌ嬢はどうなるのか、となります。
話の流れからすれば人形の発言も加味して、ロランは忠誠を誓い、恋愛感情を捨て、慰謝料も払うからアドリエンヌ嬢を殺さないで王妃にしてくださいね、という内容をエドワード王子が受け入れた、という形になっています。アドリエンヌ嬢の純潔を散らしたという損失を補てんするので王妃にしてあげて欲しい、不問にしてほしいという内容です。
ですがここは解釈があいまいで虹色に見えるイベントです。
ロランを表す人形が渡され、ロランが従順になる事が条件として見せられています。ヨウタの所にロレーナ嬢に付けられた"イロコイの星"が渡され、ロレーナ嬢も無事保護される、という内容であれば、アドリエンヌ嬢の恋愛感情は問題なくロランに向けられたままアドリエンヌ嬢はロランのものになる、という形式になるはずです。
また、人形=アドリエンヌ嬢(後の話から推測したものなのでここでそう解釈するのは強引。後付けで話を増やせる創作物だからここでそう考えていたとは考えにくい)とした場合は、ロランは話をまとめようとしたがアドリエンヌ嬢はまだロランに固執しているという内容を示してしまっています。
やはりつぎはぎのごちゃまぜの話なのかな、という感想が出てきます。
ここでは展開としてはアドリエンヌ嬢が不問にされて王妃になる展開を受け入れましたがどうにも現実味のない内容だという感想になります。
ここまでの話を見る限り、一番初めに書いた解釈として、アドリエンヌ嬢は王妃に、ロランは忠誠を誓い慰謝料も払う、という解釈が無難なのでしょう。ですがここのイベントだけ見ると、最後にロレーナ=アドリエンヌ嬢はヨウタ=ロラン達に合流しているのでロランとアドリエンヌ嬢が結ばれてハッピーエンド、という解釈に見えてしまいます。
27話「美術館の出会い」で、またロランとアドリエンヌ嬢は偶然を装ったデートをします。ここまでの流れでナディア姫の話が出てきますが、ナディア=アドリエンヌ嬢で裏側を書いている可能性はあるのですが解着が面倒なので放置しておきます。話の導入程度で済ませます。ナディアの立場が微妙、という内容とナディアに関連した話で公王が代わったという部分で、アドリエンヌ嬢が公爵家の中で立場が危ういという部分をにおわせてはいます。
28話「それは秘密です」の会話で、
「エスコートをお願いしますわ。ここでは『理念も人種も身分も関係がない』のでしょう? 私は貴方の言葉に従って芸術を楽しむ個人として行動することにした。結果、貴方から同行を請われ受諾することにした……ゆえに何かあったら貴方の責任。少なくとも一蓮托生ってことよね?」
「駄目かしら? 駄目と言われたら私、ここで発作的に大声で悲鳴をあげるかも知れないわね」
「この状況なら相討ちくらいには持ち込めるかしら。ま、私はキズモノにされたというわけで婚約破棄で修道院行きでしょうけど、別段エドワード殿下の許嫁とか未来の王妃とかに拘泥しているわけじゃないからそれでも良いかしらね」
「いや、だからってそんな捨て身の行動をするタイミングですか?! 普通ならもっと土壇場で口に出す台詞じゃないですか!?」
「そんなの私の勝手でしょう。それにさきほどの貴方の言葉が本当かどうか、言葉だけでは信用できないわ。だから私と同様に貴方がなんら腹蔵なく感動しているのか、隣で実際に確認しないと寝覚めが悪くて仕方ないもの」
という内容があります。アドリエンヌ嬢はあえて側付きのメイドを美術館の外に待機させて"一人で"鑑賞しています。そしてロランに発言する内容から"同行を請われ"の部分から駆け落ちしましょう、という提案をしています。そうしないなら相討ち(ロランは手を出した、アドリエンヌ嬢は純潔を散らして不貞行為をしたので両方とも処罰の対象)覚悟で既成事実を作る、と言っています。どうであれ、既成事実を作ってもそれ以前に手を出しているから結果は同じという事です。ただ、こういった手段に出なければロランが知らぬ存ぜぬを決め込む恐れがあり、アドリエンヌ嬢だけ損をする可能性があるという事です。
この後の会話で、
「つば広帽キャペリン?」
「ええ。安物ですけどこれを被って変装していただけないかと思いまして」
「……私に? 貴方が?」
とあります。言葉だけでなく行動で示したロランにアドリエンヌ嬢が驚きます。
この後の「お似合いですよ」に対しての無言で俯くという描写はどう考えているかは分かりませんが伏線がなかったので喜んでいると解釈しておきます。
それを監視していたフィルマンに見られます。そうするとイベントが発生し、フィルマンは辻斬りにやられます。負傷したフィルマンは下半身に後遺症が残りますが、これはロランの権利にそういった障害がこれ以降も残るという暗示にも見えます。一方で、フィルマンが辻斬りに会い"下半身に後遺症を負う"でアドリエンヌ嬢の不貞を表しているかも知れないですが色々混ぜ込みすぎて良く分かりません。フィルマンは反乱鎮圧ではロランを表していた部分があり、それをいつの間にかアドリエンヌ嬢へと変えるというのが読みにくい原因になるのでここでは"フィルマンの後遺症"は"ロランの権利に障害が残る"、としておきます。
また、33話でメッセージが届けられ、
『オリオール公子へ ロレーナ嬢との再会を期待する。 byオットマー・ボイムラー』
という事で、受動的に、従順になれと指示が出ています。
33話の会話において剣鬼が誰を表すかがわかりにくいですが、恐らくはアドリエンヌ嬢です。ロランかどうかの判断がまだつかない内容ですが。アドリエンヌ嬢が並々ならぬ執着をロランに見せており、破滅したくないならどんな手を使ってでも縁を切れ、という内容になっていそうです。
フィルマンのケガはいまだにロランもアドリエンヌ嬢も懲りずに逢引きしている事への罰を明示したものです。そして辻斬りはフィルマンと同じ門弟も殺します。するとその師匠であるエベラルドが辻斬りを倒すと言い出しそれをロランが止める、という展開になります。
ロランがエベラルドを止めている最中に辻斬りをした剣鬼が登場してそこで討伐になります。
38話「オットマーの最期」の最後で、ロレーナに扮した女性がオットマーを倒します。ここでのオットマーはロレーナに執着して手を出そうとするロランだと思われます。そのオットマーをロレーナが退治する事で、ロラン側からはアドリエンヌ嬢への恋愛感情を断つという意思表示となっているとは思います。ここの最後でまた人形が登場し執着を見せたまま飛んでいき、39話で剣鬼に入ります。ここの描写でわざわざ逢引きして執着していたのはロランではなくアドリエンヌ嬢ですよ、というのが分かるようになっています。
39話「夢の彼方で逢いましょう」で剣鬼を一旦倒しますが、剣鬼は執念でロランを倒そうとし、間一発でエベラルドがそれを阻止して剣鬼に止めを刺します。その後の会話で、
「気にするな。もともと俺がひとりで決着をつけるつもりだったんだしな。ま、坊主には不満かも知れんが、あの手のやからは負けてすっぱり引導を渡してやった方がお互いのためってもんさ」
とあり、美術館の出来事として駆け落ちが実行されたらロランは破滅するようなものでそれをここでの剣鬼との戦闘シーンで表現しています。駆け落ちするという結果を王家は望んでいないので治安を守るエベラルドの派閥が決着をつけるという結末が提案されています。
ですが人形の呪いが闇となって剣鬼に入りもう一度戦う事になります。その最中にロランの服が破れその姿が中性的、女性的で美しいという描写があり、エベラルドが「孫の嫁になれ」という発言をします。要は女性的、受動的な立場で従え、という意味で言っています。解釈はいくつかあり、一つはフィルマンの損害、罰を明示するために殺された弟子という損失を補てんするために従えと言っています。もう一つは、剣鬼=アドリエンヌ嬢の処分はエベラルドが行うからそれに大人しく従え、という解釈です。恐らくここでは後者だと思います。別として、なんとか元に戻るように、治安を維持するように行動したロランをエベラルドは気に入ったから派閥に加われ、とも取れますがそこまでは深読みになるのでしょう。
40話「〈神剣ベルグランデ〉の真実」でロランは神剣を使ってエベラルドと共に剣鬼を倒します。この内容で、ロランは一旦はアドリエンヌ嬢の提案通り駆け落ちを選択したがそれを拒む事にした、となります。
少し話を戻して35話「似非天然娘は正義の味方」ですが、それほど展開に影響を与えないのでここに書いておきます。ルシールという令嬢が登場します。ロラン達との会話の中で、
「ご存じかしら~。アドリエンヌが九歳の時から毎週四日は離宮の太后様の下で王妃教育を受けていることを? 好きでもない、尊敬もできない、自分を疎んじている相手の為に歯を食いしばって頑張ってらっしゃるのよね~。それとオデットは毎日毎日幼馴染の婚約者の為に手作りのお弁当を贈ってらっしゃるのよね~。毎日ゴミ箱に捨てられて泣く結果になるのに~」
「私、前々から思っていましたのよ~。悪人は大抵が自分が悪いことをしていると自覚した上で悪事を働くでしょう? なら処罰に対して因果を含められるだけまだマシだと~。と~こ~ろ~が、昨今は『自分は特別な立場だから』とか、『法律で決められていないから』な~んて屁理屈をこねて、他人を傷つけ何とも思わない馬鹿が増えてきたと~」
「おかしいわですわよね~。もともと法律なんて常識を補完したものなのにね~。『こうしちゃいけな~い』って当たり前のことがわからない、お馬鹿さんの為に明文化しただけよね~。そのあたりを自覚してくれたら、お馬鹿さん達の罪で傷つく御令嬢も減るのにね~」
とあり、この会話で、アドリエンヌ嬢が失敗した事に対して、ロランが軽い気持ちで手を出した事を批判しています。ですがロランを含めた周囲の態度で、実はそうではない、という事が分かるという展開になっています。この後の話で"ガス抜き"の話になり、これをどうとらえるかで悩みます。
「最近いろいろあって、なーんか変な具合に生徒の鬱憤が溜まっているみたいよ~。へ~んなところにガス抜きするかも~。ま、私は度を過ぎない限り静観するつもりだけど~」
というセリフから"宮廷騎士団"という名の王都の自治組織の一部を剣鬼が壊滅させたという展開になっていますが、これの裏側を邪推するとアドリエンヌ嬢がストレスからくる欲求不満で市井の男に手を出した、事の責任を取らされた、と読む事が出来ますが、醜い内容へと変わっていき作品を読みにくいものにするのでこう解釈はしないで、美術館デートなどの噂がとうとう隠し切れずに市井にも広まった、としておきます。前者の解釈にするにはあまりにも展開がおかしいですが話の展開につながる被害の大きさだとその解釈が妥当になってしまいます。
そしてこういった部分は書籍化の絡みで展開が変わってきているからかも知れず、また、書籍化を視野に入れてそう書いているからかも知れません。この解釈が前者なら、それまで単純にロランが好きなアドリエンヌ嬢という印象であったものが単なるアバズレに変わってしまい誰も読みたい作品ではなくなります。そうまでして裏側に仕込む意図がどこにあるのか、となりますが作品の裏側の内容ではないので割愛します。場合により編集者の"意見"という建前の利益狙いの押し付けやゴーストライターによる偽装もあるかも知れません。
なんにせよ、どうも書籍化の旨味で欲を出し、より面白くしようとして下品な内容になってしまっていると受け取れます。ですので35話の内容は考慮せずに解釈を続けます。なくても話はつながりますので。正直な話、単なるアバズレの隠蔽工作話など誰も読みたいとは思わない。そんな薄汚れた話はその辺に落ちていてわざわざ読もうとする必要がないです。現実味のある話としては、市井に手を出した、という事でその時点で処刑です。話が面白くなる要素がありません。相手の男ごと、唆した、加担した集団まるまる処分して終わり、です。それで誰もその噂をしようとは思わなくなる。それで終わりです。だから仕込もうとした裏側の展開は成立しません。
41話「side:黄色の実芭蕉の人」ではアドリエンヌ嬢の、先ほど挙げた前者の解釈を受けて、野生の猿並み(欲棒を優先する)にバナナ(男性器)が大好きという展開を書いています。この時点で実にくだらない展開にしたなぁというのが私の感想になります。
3章に入り、学園内で火消しをしていたエディット嬢を交えて、ルネ、エレナが今後の対策を考えます。とりあえず数話前に挿入された解釈で進める事になります。
市街まで噂が漏れ出してアドリエンヌ嬢がアバズレであるという噂がもう自分達では対処できる規模ではないが、それでも一応アドリエンヌ嬢を助ける事が出来る方法がないかをルネ達はしています。この時点でもう話が無茶苦茶で最初の話はどこいったの?書籍化で人気取り、既得権益層に媚びるために中身全部捨てちゃった?と言いたいですが読んでいる所までは進めます。まあ既に現実的に少しもありえない展開なので読む気も失せるのですが。現実的に少しはありえそうな夢を見させる事で購買層に興味を持たせる作品でそれを失くしてはどうなのかと言いたい。
1話「正しい御令嬢との遭遇」でシビルがロランに付き従っています。シビル->シビリアン(市民)という例えとして、もうすぐ庶民落ちするよと示していると考えておきます。
場合によっては"民事上"という解釈で刑罰の対象じゃないよ、とあらわしている可能性もなくはないです。この解釈の場合は前章にある面白みのない解釈を適用する事になります。
どうであれ、話としてはもうすぐアドリエンヌ嬢の婚約破棄が行われるので期限間際だということになっています。
すぐに失神するオデット嬢が登場します。オデット嬢はアドリエンヌ嬢の比喩です。
登場前に"バナナの皮がつるされている"描写があります。すでに"バナナを食べた後"を表しているのでしょうが醜悪です。なくて良かった要素ですよね?というのが感想になります。
オデット嬢は王子の取り巻きにいるアドルフの婚約者でアドルフ相手にずっと恋愛感情を抱いていますがアドルフはクリステル嬢が好きで相手をしていないという設定です。これはアドリエンヌ嬢がロランをずっと見ていた、という部分を表しています。
オデット嬢がアドルフを見ている所にロランが登場してびっくりして失神するシーンがあります。この"ある特定の男性の前で失神する"演技はその男性に抱かれたという意味を付随させます。倒された=相手の意のままにされた、というような意味です。それを最初の出会うシーンで行います。
2話「眠れる森のお姫様」でオデット嬢を介抱したのがロランである事が告げられます。これは本来の婚約者アドルフではないロランに助けられた、という部分でアドリエンヌ嬢が最初に関係を持った相手が本来の婚約者エドワードではなくロランですよ、という展開になっています。
そこにアドリエンヌ嬢とルシール嬢が登場し会話します。
「――大事はない、オデット? ロラン公子に刃物を突き付けられて拉致されたって聞いたけれど!?」
「アドリエンヌ~、まだそう決まったわけじゃないわよ~。あと、ど~でもいけど、貴女、バナナ臭いわねぇ」
もう本当に必要ない会話だと思いますが、アドリエンヌ嬢がアバズレだと嫌味を言っているルシール嬢がいます。
3話「御令嬢の初恋事情」でオデット嬢が
「このたびは誠にはしたなくもお見苦しい姿を……いえ、ロラン公子様のお手を煩わせた上、大変な失礼をいたしました。これもわたくしの不徳の致すところ……この一命にかえても償いをいたしますので、どうか、どうかどうか我がショーソンニエル侯爵家には寛大なご配慮をっ!」
と言い、自害しようとします。それをロランが血を流して止めます。ここもこれまでの流れの踏襲です。ここでのロランとオデット嬢の格差がエドワードとアドリエンヌ嬢の格差を表します。そしてロランが
「いや、まあ……実際にはずいぶんと心配してくれたのはわかりますから」
と言っている部分はアドリエンヌ嬢がどうなるかを心配した事について述べています。
この後の台詞で、
「そうはいってもこればっかりはねえ~? いっそ大々的に失恋でもしたほうがいいんじゃないかしら~」
「つまり、えーと、その……例えば、例えばですが、アドルフの口から『クリステル嬢の方が大事だ! オデット、君との婚約破棄を申し出る!』とか言わせればいいわけですか?」
という部分でアドリエンヌ嬢がエドワード王子から婚約破棄を申し出ない限りはアドリエンヌ嬢の側からはどうにもできない、という事が話されています。
もしかすると、そのためにアドリエンヌ嬢は市井の男に手を出して醜聞を広めてまで婚約破棄させようとしているのかも知れませんが他に方法はあっただろう、と言えます。簡単な話、顔だとか目立つ所にちょっと傷をつければよいだけです。外交を含めた対応が求められるのだからそれだけで対象から除外される可能性が高い。そうなれば準ずる格の公爵家かそれより下に降嫁する可能性が高い、という展開のほうがすんなりいきます。とりあえず婚約破棄さえされてしまえば晴れてロランと結婚、駆け落ち出来ると考えていそうなアドリエンヌ嬢がいます。自分を害するのは基本的に違反だとしても不貞を働く事よりも軽い罪だと言え、また市井の男と不貞を働くとロランにさえ受け入れてもらえないようになるのは当然だと思うのが普通ですがそういった部分を全く無視した展開になっているのがとても残念です。そもそも常識が足りないとしても淑女教育は基本でありロランが好きなアドリエンヌ嬢という設定では、市井の男をとっかえひっかえして不貞行為を行うという展開はまずありえないでしょう。どうにも以前にどこかでこういった設定が人気を博した事があるからその部分だけ適用しました、的なにおいがします。
また、別解釈として、暴走を続けるアドリエンヌ嬢の行動を止めるにはその原因になっているロランへの恋心に止めを刺すべきで、アドルフ=ロラン、オデット=アドリエンヌ嬢という格差を合わせた解釈も出来ます。
その後にアドリエンヌ嬢が
「とにかく、そっちでもなんとかしなさい!」
と言っていますがこれはエドワードからの婚約破棄への対処と考えておきます。この後のバナナのくだりは余計です。なぜ渡すのか、から意味不明です。ロランに自分がやっている、エドワードから婚約破棄されるための行動を伝えている、とすればそもそもおかしな話です。
ここの最後でエドワードからジェレミー王子に会いに行けと伝えられていますがその意味する所はおそらく作者しか知らないでしょう。ジェレミー王子を位置づけする情報があまりに少なく、何を意図したいのかが見えてきません。暗部で腹を割って話そう、なのかも知れませんがあまりに登場回数と描写がなく判断できません。
4話「新たなる円卓の取巻きG」でガブリエルという他の公国の伯爵子が出てきます。表側の話に必要な人物だから登場したとしておきます。裏側を考えると、市井にまで噂が流れて他国の貴族がわざわざやってきて脅しにきた、と取れます。そしてガブリエルはクリステル嬢の兄同然と話しています。この部分でロランの立ち位置が変更になったと示しているのでしょう。見方を変えれば駆け落ち先に選んでいた公国の貴族がわざわざ登場して、先に計画が潰された、という解釈もあったのですが、バナナのくだりの醜さからどうも駆け落ち関連はもうないな、という事でガブリエルで立ち位置の変更を示したのだろうとしておきます。アドリエンヌ嬢に手を出したロランがその責任を取って慰謝料諸々払うつもりだったが、その肝心のアドリエンヌ嬢がとんでもない不貞をした事で逆にロランにはすまんことした、という展開になっているとも取れます。アドリエンヌ嬢に逆らえるものは少なく、相手側に選択肢はないのだからロランにも罪はない、というような展開だと思います。率直に言えばアドリエンヌ嬢が淫乱でロランを誘ったんじゃね?という結論に達しているという事です。
7話「今後の傾向と対策」でルネ達がロランに顔を見せずに話をしようとします。アドリエンヌ嬢を擁護してロランにどうにかしてもらおうとしたが、アドリエンヌ嬢がビッチに変身してしまい合わせる顔がない、という事でしょう。
ここでロランはガブリエルの事を話し、状況が変わってきている事をルネ達に伝えます。
8話「伝説の歌姫とその娘」で、クリステルが音痴で運痴で方向音痴である話になっていますが、アドリエンヌ嬢の行動がそういったものだという比喩でしょう。
9話「翡翠宮の姫君」でナディア姫が登場し、レティシア太后陛下も登場します。その流れでロズリーヌ第三王女もそのうち登場する展開へと続きます。レディシアはロズリームをロランの結婚相手にしようとします。ナディアが女装したロランであるロレーナを筆頭侍女にしようとする描写により、ロランはロズリーヌ王女の召使的な存在として夫になる条件が突き付けられています。ここもバナナネタを突っ込んだおかげでもうめちゃくちゃです。それにロランがそんな条件で従う理由が既にないからです。
13話「迫りくるロズリーヌ第三王女」で即売会の話になります。新鋭神絵師が登場するというガセネタがあってブースの設置すら取りやめになった、という描写で、ジェレミー王子の画策した計画が流れた、そしてそれはレティシア太后の妨害によって起こった、という結果を話しています。
その後にロズリーヌ王女が直にやってくるという話を伝えています。ロズリーヌ王女はロランに異常なまでに執着する、という部分でアドリエンヌ嬢を表しています。また、アドリエンヌ嬢を失恋させるために登場すると取れます。
14話「お嬢様方の恋愛講座」で「焦らし作戦」の話をしています。最初の方で挙げましたが、それがこれまでのどの部分を表しているかが分からないのであそこで述べましたが、この直前の部分にもあてはまる内容です。つまり、周りから警戒され、ロランに会えないアドリエンヌ嬢は遠目でロランを見ることしかできないが楽しそうにしているロランを見るうちに想いを増大させつきまとうようになっている、という事です。
17話「失神御令嬢はいろいろと残念な子でした」でオデット嬢に教育と称して色々しています。同人誌を見せて鼻血を出して失神し、アイアンメイデンなどの説明で泡を吹いて失神する、という描写があります。アドリエンヌ嬢が情事で倒れ、処刑される事を考えて倒れしている状況を表しているのでしょう。
その後にロランが挨拶した時に女性たちはレースの刺繍をしていたが挨拶を返そうとしてオデット嬢は転び、下着を見せてしまいまた失神します。
18話「時には荒療治も必要です」でも同じような展開が続きます。オデット嬢が何かすると必ずエロに関連した結果になり、周囲は「匙を投げます」。アドリエンヌ嬢の奇行を止める事が出来ない、という表現でしょう。
会話では
「それにしても、まさかオデット様がここまでドジ……あ、いえ、失態の多い方だとは思いも知りませんでした。学園では目立たないなりに卒なく学科などはこなしていると見えたのですけれど――あ、もしやして、婚約者のアドルフ様がひたすら体を鍛えてらしたのは、普段からオデット様をお守りするためだったのではないかしら? ここにきてそのフォローがなくなったのでメッキが剥がれただけで」
エディット嬢の結構身も蓋もないボヤキに、ベルナデット嬢が言葉を挟む。
「ま、もともと貴族の令嬢としての技能は、生まれながらの蓄積でどーにかなってたんだろうね。他の御令嬢同様に。ただ問題は、応用性が皆無なのと、本人にやり気が欠片もないので、これ以上無駄な努力をするなら、すっぱりと事実を告げるのも慈悲ってもんだよ」
という内容でアドリエンヌ嬢の性格を分析しています。
この後、もうすっぱり話してしまえ、と女性たちはロランに言い、皆で押し付け合いのような事をしているとエディット嬢が荒療治を提案します。
途中ですがまだ完結していないのでここまでにしておきます。
佳境には入ったのですがバナナネタが余計すぎて読んでも裏を考える意欲が失われつつあります。とてもくだらない内容に変更してしまっていて大変残念な作品です。
最初の設定からどう話をうまく完結させるのかという部分に興味が湧くのが普通でしょうがこうなってはもうどうでもいいかなと思えます。
奇抜なものは当たりはずれが大きく、今回のように頭がおかしいとしか言えない行動に出るアドリエンヌ嬢を見て「面白い」などと思う事はないでしょう。初めからビッチ設定でそのジャンルを読んでいてコメディのように話が進むのならまだ読めるのでしょうが初めの設定だとか全て投げ捨てちゃった感満載なこの作品にそういった面白さはないかな、と思います。
淑女教育だとか王妃教育とかどこにやってビッチ設定盛り込んだのか全く謎です。王妃教育だとかいうならビッチ設定のための時間など取る暇もなく、また常に誰かが確実にいる状況でそんな事出来るはずがないです。そして王妃教育などは貞操観念などを与える教育だから簡単にビッチになるはずないですよ?よく忘れがちですが、令嬢、令息につくメイドや側付きは、その家の主人に雇われているのであって令嬢令息に雇われているのではないから令嬢令息の命令に絶対的に従わなければならないという事はなく、それが家に損失を与えるなら拒絶し、また抑止力になる必要があり、そう行動するのが求められるのが当然で、高位貴族の側付きはそれが出来るから雇われている。だからよほどの事がなければそんなビッチ設定など適用できない、というのが妥当な解釈です。
叙述トリックとしての部分もなんだかモヤッとします。そんなトリックはないほうが良いのですが、あったとしても、ダイヤモンド鉱山の部分のように曖昧過ぎる解釈が出来、どう展開したいのかは作者の頭の中だけで確定しているという状況のまま進んでいる気がします。
序盤から通した総論を書いておきたかったのですが、バナナネタで設定ぶち壊しになったので書く気が失せました。あれがなければアドリエンヌ嬢の行動は最初に王子から失礼な発言を受けた事の反動だともいえるのですが全てぶち壊しです。
評価としては途中までは「読んで良いもの」だったのですがバナナネタを無理やり挿入して設定をぶち壊したので「読んで悪いもの」が妥当でしょう。




