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自分用レビュー  作者: くーくま
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神殺しの英雄と七つの誓約(7章)

7章1話『賑やかな夜に』で、戦争が一旦終わり、慰労会のような宴をしています。

アヤはそれを眺めています。

ここはミスリーディングのある話です。

最初にミスリーディングが際立つ部分までは普通に解釈していきます。


アヤは溜息をついています。

20歳になったフランシェスカが飲酒を認められてレンジの隣で酒を飲んでいるからです。

嫉妬している、という事でしょう。


「どうかした?」


「なんでもない」


と答えて悩み事はないと伝えます。


「レンジが気になる?」


「別に、・・・レンジさんばかりじゃ」


ここの会話はミスリーディング無しならそのままアヤがレンジを思慕の感情で意識している、と取れます。


この後、スィが来ます。

蛇をイメージさせる展開です。


「変態だから、ムルルは近付かない方が良いわよ」


「どうして?」


「あの人、小さな子供が好きだから」


「ふうん」


「・・・相変わらず、貴女って、コウには厳しいわよね」


とありますが、アヤと肉体関係になっているコウタロウなら似たようなムルルに手を出す事はあり得る、という解釈で良いはずです。

この後の会話が意味深です。


「いい加減、離してもらえませんか?」


「あら、いいじゃない。丁度良い高さなのよね。貴女の頭」


「・・・何に丁度良いんですか」


「なんて言ったかしら・・・そう、抱き枕?」


「ーーっ」


この会話で、アヤの知能の程度、この場合は低さでしょうか。それが男が寝る時に抱きしめて寝るには丁度良い、とスィは言っています。

これもアヤの情操教育もしくは常識を得るためには必要な事なのでしょう。

それが好きな男であっても、その男のいいなりになって他の男に抱かれるなんて、恥だ、常識を疑う、頭大丈夫?、といった感じです。


この後の話は、アヤが若干ながらも嫉妬という形で自分の感情を口にしています。

旅する前だとなかった展開かも知れません。


「ふうん。まだ、酔ったレンジを見た事が無いんだ。アヤって」

・・・

「仲が良いのですね」


スィに抱き付かれるアヤ、で企みがある、という表現でしょう。


そして、皆が寝静まった後にアヤが行動を開始します。

寝ているレンジの傍にきてレンジの寝顔を見ています。


>乱れている吐息は自分の物だ。そして高鳴っている心音も。


ここがミスリーディング部分です。

アヤはソウイチ達の企みを拒み切れず、レンジの殺害を実行しようとします。

ですがレンジを殺したくない、からストレスで緊張して過呼吸に陥っています。


すると、グラアニアがわざと食器を落としてアヤに気づかせます。


「何をやっているのだ、グラアニア」


デルウィンがこう言います。計画ではレンジを護衛して守りながら、アヤが計画を実行したら未遂で止めて捕らえるというものだったのでしょう。

ですがグラアニアはアヤにそんな事をしてほしくないからわざと食器を落としてアヤを止めたのでしょう。


なので、ここからこの話の最初に戻すと、アヤはレンジ殺害を指示されたので、実行するかで悩んでいるから溜息をついています。

そしてその考えに囚われているので、レンジばかりを見ていて、それをムルルに気づかれます。

計画がある事を知っているスィはそれとなく警告します(但し、単にアヤの内面を表わす表現なだけかも知れません)。

ですがアヤは計画を実行しようとし、グラアニアが善意からそれを制止する、となります。


この後は、表面上の流れを使って、からかわれた、という展開でアヤが皆に起こって何事もなく終わります。

話名は楽しそうですが、その実、裏側は違う、というのが何とも。

この章自体がクライマックス前の、盛り上げる為の展開であり、アヤがとうとうレンジ殺害を実行しようとする展開になっています。



2話『女神と精霊神と神殺し1』でレンジが訓練しています。

そこにグラアニアとデルウィンが現れます。

そこで今後の話をします。


「貴様。ムルルに何をした?」


「・・・」


ここで、グラアニアが、グラアニア=レンジ、ムルル=アヤの関係で話を始めます。

レンジはグラアニアが何を言い出すか分からないので警戒して返答していません。


>妙な事を口走るグラアニアへ胡乱な視線を向けると、隣のデルウィンは面白そうに口元を隠して笑っていた。


「別に、何もしていないけどな」


「何もしていないわけがないだろう。あの寡黙なムルルが、家ではお前の話ばかりをしていたのだぞっ」


アヤに好意的なのかレンジにアヤを受け入れさせようとするグラアニアがいるようです。


「というか、むしろ文句を言いたいのはこっちだ」


「・・・ん?」


「お前、ムルルに俺の事を隠していただろう」


ここでレンジが反撃し、娘がいない事にしていたのだからそのままにしていろ、という事でアヤを押しつけようとするな、と取れます。


「だがなあ。お前、胸が小さい女が好みなのだろう?」


「お前。それ、宇多野さんに言ったら怒られるぞ。割と本気で」


「別に、ユーコの事を言ったつもりは無いが?」


「・・・」


「いや。宇多野さんだって、ああ見えて少しはあるんだぞ。少しは


「やめろ。それ以上言うな。・・・かえって悲しくなる」


ここの会話で、グラアニアはアヤを受け入れさせようとしますが、レンジはユーコの事だと思い込んでいる事にして話をはぐらかそうとします。

でも「ユーコの事ではない」とグラアニアはもう一度強調します。

でもレンジは受け入れたくないのであくまでユーコの事だと思い込もうとします。

それを見たグラアニアはそこまでアヤを受け入れたくないのか、と思い悲しくなる、という描写でしょう。


「あんなにお前を慕っているムルルに興味が無いというのか?」


「・・・慕っているかあ?」


レンジとしては懐疑的でしょう。ここまでの展開で何度裏切られ、また、レンジに対しての恋愛感情も思慕の念すら感じさせない事が多いからです。


「親バカではない。失礼な。・・・少し、ムルルを大事にし過ぎるだけだ」


ここで、レンジがアヤの事を大事にし過ぎると酷評しています。

割り切ってもうなし崩しに抱いちゃいなよ、って程度の考え方をグラアニアはしているのでしょう。そうすれば「後は勝手にうまくいくって」くらいの感覚です。


「それで、御母堂にも口酸っぱく怒られているだろうに」


御母堂=ユーコでしょう。ユーコも早くレンジにアヤを受け入れさせたい、というかこの作品の初めからその計画です。


「お前はこれからどうする」


「・・・」


今後のレンジの選択ですが、アヤをどうするんだ、と取れます。

アーベンエルムに渡ってソルネアを神の座に導くというのは、魔神=人類の敵、という事で、黒い(企みを持つ)女=アヤ、をそうみなすという事になります。

精霊神と会ってから返答すると伝えます。


「これでも、後悔しているんだ」


「・・・お前がか?」


「どうしてそこまで驚く。俺だって、後悔する事はあるさ」


「初めてシェルファと戦った時、アイツを斬った。俺はそれを、ずっと後悔しているよ」


初めてアヤに騙されている事を知った時に、アヤを見捨てて王城を去った事を後悔している、と取れます。

結果的に見捨てた、ですが、「アヤを守る」という約束を守るために王城を去った事を後悔している、と取れます。

そういったやり方ではなく、アヤと向き合い話し合う方法もあったんではないか、という解釈も出来そうです。


3話『女神と精霊神と神殺し2』でムルル達と食事をしています。

ムルルはいつものように美味しそうに料理を食べています。

レンジが怪我を治す為に寝込んでいる時に食べた食事を料理したのがフランシェスカとアヤでそれについての会話もあります。


「偶に野菜が大きく切られているがあってな。まだ芯が残っていて、噛み応えがあった・・・アレが美味しかったな」


フランシェスカ=レンジを慕うアヤ、という方針もしくは計画は大雑把でその失敗している部分が受け入れ易いとも取れます。


>そう思いながら少し離れた位置にあった、適当な大きさの肉へと手を伸ばそうとして・・・俺の手が届くよりも一瞬早く、小さな手によってその肉が攫われてしまう。


「・・・」


「・・・なに?」


解釈が微妙なのですが、手前の会話にかかって、アヤとレンジがパートナーという計画を食べさせない、受け入れさせない、とも取れます。

また、この後の精霊神と会う、という部分で、アヤとレンジが精霊神と会う=結婚の儀式の比喩、をレンジにさせない、とも取れます。


「ご飯は熱いうちに食べるのが礼儀」


ここの会話で、先ほどの解釈で前者を選択し、アヤを受け入れないならご飯を食べさせないぞ、と取れない事もないです。

そうではない場合、どの計画を'熱い内に食べる'のかが分かり辛いです。

ソルネアはレンジの真似をして食事をしている、という描写があり、アヤもレンジには同意している、と取れます。

周囲の思惑に反して当事者だけが反対しているという内容に見えます。


「大丈夫。食べる時は、レンジかフランの隣に座る」


「・・・余計に駄目な気がするぞ」


レンジとムルルの関係は親子関係、ムルルとフランシェスカの関係はパートナー、と取れます。

この後に精霊神との面会の話になり、レンジはそのまま会いにいけるが他のメンバーは試練を受ける必要がある、という話になります。

試練は面会に必要な道具や材料を集める、という事で、レンジはそれを手伝うと言うのですが、アヤに断られます。


「道具は私達で集めますよ。レンジさんは、先にツェネリィア樣へ会ってきたらどうですか?」


「ん?」


「いえ。私達だけで大丈夫ですから、先にソルネアさんと一緒にツェネリィア樣の元へ行った方が良いと思いますけど・・・」


これで、アヤはレンジとパートナーになる気はない、と解釈できます。


「最近、随分と仲が良いですよね」


このソルネアとレンジが仲が良いという台詞で、今後に企みが実行される展開を予想できます。


4話『女神と精霊神と神殺し3』で精霊神に会いに行きます。

ソルネアと2人で来たので、企みを持つアヤとレンジのペアと解釈できます。

ソルネアが世界樹を見て不思議な気持ちになる、という描写があるのでやはり徐々にアヤは旅を続けながら感情と呼べる、心と呼べるものを手に入れ始めているのでしょう。


「申し訳ありません。少々、魔族の邪魔がありまして・・・」


「気にしていない。どれだけ急ごうとしても、結果はまだ変わらない」


ここに意味深な台詞があります。ソルネアが神の座につく、という結果、つまりはアヤが隔離される、もしくは牢屋行きは変わらない、と取れます。


『お前は、ネイフェルの願いを知っているな?』


「ああ」


>殺し、殺される。神ではなく一つの命としてその闘争を楽しむ事。


『神になるという事は、受け継ぐという事だ。力を』


「・・・そうなのか」


ここで神の座につく、という事が何を表わすかが初めて示されます。


『正直な話、お前がネイフェルを斬れるとは思っていなかった』


>その、突然の告白に息が詰まりそうになる。


ここが意味深です。ネイフェル=レンジに憎しみを持たせて殺させた(見捨てさせた)アヤ、と解釈できなくもないです。


『ネイフェルの願いは二つだ』


『お前たちとの戦い。そして、生を楽しむ事』


『戦いには満足した。次は生きる事だ』


「・・・生きたいのか?」


『生きたいのだ。アストラエラが人の祭りを楽しむように、我が微睡みへ沈むように・・・』


「寂しかったのですね」


「羨ましかったのですね」


アヤの心が、生きる事、つまりは楽しんだり悲しんだり喜んだり泣いたりといった変化を求めていると解釈できます。

それを持たないアヤはどこか寂しい気持ちで周囲を見ていた、と取れます。


5話『女神と精霊神と神殺し4』で面会が終わり、ソルネアと話す所から始まります。


「不思議ですね」


「貴方はネイフェルを憎んでいるのに、精霊神とは普通に接する」


ここはネイフェルを使った比喩が少ないが為に解釈すべきか悩んだのですが、あえて書いているので深読みします。


ネイフェル=レンジに憎しみを持たせて殺させた(見捨てさせた)アヤ、ですが、それでもレンジは結婚するという事に前向きである事が不思議だ、と解釈しておきます。


「魔神を斬った。・・・私が魔神の座へと至ったなら、貴方は私も斬るのですか?」


「斬らないよ」


ソウイチ達の企みにしたがって、犯罪者のように扱われるようになったら、貴方は今度も(アヤ)を見捨てるのですか、と取れます。

それに対してレンジは、見捨てない、と伝えています。

以前のレンジのアヤに対する想いですが、ここまでで考えると相当大きいものに思えます。軽々しく手を出さないくらいに。

そして、その反動で今のアヤとの関係を拒んでいるように見えます。


「ネイフェルが羨ましかったものってのは、何なんだ?」

・・・

「申し訳ありません」


ここでネイフェルが羨ましがったものについての話にソルネアが「申し訳ありません」と言います。

この言葉を選んだ根拠が私には分かりませんでした。「わからない」ではなく「申し訳ありません」です。

今までのアヤの性格と行動、そしてネイフェルがした事の情報とこの言葉で推測します。

アヤはレンジとエルの関係に憧れて嫉妬した、と考えます。

だから、レンジの横に座り、フランシェスカがお酒を飲み、大人の女性として扱われた事に嫉妬した。

ネイフェルも、レンジを独占したいからエルを殺した。

その位置は私のものなのだ、という想いを込めて。

その部分の錯綜が宴でレンジを殺そうとした事に関連が出てくるのかも知れません。



精霊神の祠の近くにある花畑で子供達の面倒を見るユイと出会います。

ここではユイはアヤを示します。

ファフニィルはレンジです。

アナスタシア=隠し事をするアヤです。


「なんだ。アナスタシアも居たのか」


「・・・なにそれ。私は居ちゃあ、いけないの?」


アナスタシアがいる事で隠し事があるよ、という比喩になります。


「・・・なんか、その女に随分と優しくない?」


「アヤと同じような事を言うよな、お前」


「そ、んなこと無いわよ」


>それが面白かったのか、くすくすと肩を震わせながら笑うユイちゃん。


くすくすと笑う、から、アナスタシアの台詞が間違いだよ、嘘だよ、照れて逆を言っているよ、と取れます。

その事から、ソルネアに随分と優しくない?、という部分で親密さが感じられ、アヤに企みがある、と解釈できそうです。

レンジがソルネアだけを連れ歩く時、黒い女がつきまとう、から、何か陰謀のような事がつきまとっている、という明示になっています。

これはメルディオレでもソルネアを引き連れてギルドに向かっていたはずです。


「もうっ、何でユイが笑うのよ」

・・・

「当り前じゃない。レンジとユイを一緒になんかしないわよ」


>そのまま、今度はナイトの方へと腰を下ろした。白衣の妖精女王と、黒鎧の騎士。何とも絵になる光景である。


「あ、その・・・怒らない、でね? アナ、照れてるだけ、だから・・・」


「うん。ちゃんと分かっているよ。ユイちゃん」


深読みになりますが、ここでしか役割の変更を決めている部分がないのでここで判断します。

何でユイが、というところでアナスタシアのセリフに対して笑うという部分から、ここでのユイの役割をアヤに変更して解釈します。

この後の展開でもヤヨイが、ここでの比喩に関連して登場しないからです。

正直な話、事前に出ていない情報で解釈するので分かりにくいです。

ですが、ナイトはソウイチを表わしています。

アヤは現在精霊神に会うためのお供え物の材料を採取しにいっています。

そこでソウイチ達と極秘に会い、指示を受けているのでしょう。


ユイはここで花冠を作っています。ここでは女性が男性に贈るもの、そして花、から性を感じさせ、男女間の関係を表わしています。


「・・・誰かへの贈り物だ、ったりするの?」

・・・

「・・・それで、その花冠は、男への贈り物なのかな?」

・・・

「う、ん。ファフさん、に・・・」

・・・

「そういえば、そのファフニィルは?」


「アヤお姉ちゃん達と一緒に、行っちゃった・・・」


ここの会話で、レンジがアヤと一緒に精霊神の前に立つ=結婚の儀式を示す展開、をアヤが嫌って逃げた、と取れます。


「まあ、色々あるのよ、あっちにも」


「色々、ですか?」


「そ、色々」


これは、アヤが色々と隠し事をしている=ソウイチ達と密会している、と取れます。


ここまでの解釈でユイはアヤの比喩ではない、と解釈し直します。

この場合、花冠は逆の表現となり「死」を意味します。

花冠を贈る=結婚する、幸せになる=死合わせになる、と強引に解釈しておきます。

「レンジとユイを一緒になんかしないわよ」で、仲間に引き込もうとしたが諦めた、と解釈でき、花冠を贈る、で殺す事にした、とも取れます。

ただ、この解釈は、この後の展開を書き手の私が読んだ後だから出来る解釈ですので、ここを読んだだけでは分かりません。


また、別解釈として、ファフニィル=逆らうアヤ、花冠を上げようとするユイ=アヤをパートナーに選ぼうとするレンジ、で解釈も出来ます。

これが余計な解釈もなしに比喩を読めそうです。

何の情報もなしに毎回比喩に使う人物を変えると混乱するだけなのですが、とりあえずこの解釈で進めます。

章単位で統一だとか、比喩として変更するならそれに対する情報を前もって出してほしいかなと想います。その辺りが優しくない作品です。

失礼な言い方になりますが作者の頭の中だけで完結している、と言えます。

例えばファフニィルとアヤの行動で似たような描写をしてあえてそこを強調するだとか、そういったものがほしかったです。この解釈にするなら。

レンジはアヤをパートナーにしようとするが、アヤが拒否し、裏でソウイチ達と密会して何か企みをしている、とします。


「目、出していた方が可愛いよ?」


「・・・は、恥ずかしい、から」


監視の目は隠れて気づかれずについている、という内容です。


「うん、ファフさん、優しいのに、皆から恐がられてるから・・・花冠をつけて可愛くなったら、皆、恐がらないかなって」


「泣いて喜ぶと想うよ」


アヤが美人局をするから皆がそれを警戒するが誰か(レンジ)のパートナーとして公表されたら皆安心するんじゃないか、と取れます。

レンジはここでも恐らく棒読でしょう。感激して喜ぶ、ではなく、あまりに嫌だから泣く、と解釈できます。


「花冠を贈ったら、嬉しいですか?」


「・・・はあ?」

・・・

「まあ、嬉しいんじゃないか?」

・・・

「おに・・・レンジさんも、嬉しいんだ」

・・・

「昔みたいに読んでくれてもいいんだよ」


ソルネアからのまさかの質問にレンジは驚きます。それに一般論で答えます。

ですが、ユイはあえて、ここではアヤ役として発言しているようです。

ですが、やはりレンジはそれに対しては否定的です。


「そういえば、花冠の作り方は誰に教わったの? アナスタシア?」


「え? ・・・コウ、お兄ちゃんだけど」


「・・・」

・・・

「本当に?」


「本当よ」


ここでようやくレンジはアヤがコウタロウと肉体関係を持った、という事実を会話として聞かされます。

右腕が怪我しただとかは比喩としてあっても、言葉で明確に示されたのはここが初めてです。


そのため、なぜここで事実として告げるのかは作者にしか分かりません。

右腕の怪我の比喩も、レンジに教えるために発生させた、という解釈などが出来る展開なのですが、それらは偶然発生したものであるという解釈になっています。

また、王城でクキとユーコが部屋で密会、という展開でレンジに教えた事になっていたのですが、なぜここであえてまたコウタロウとの関係を前面に押し出すのか、となります。

どうであれ、レンジはアヤがもう他の誰かと肉体関係にある事を知ります。

別解釈として、レンジは、アヤを異世界人の女性は異世界人の男性と一緒になるべきだ、と考えてコウタロウとパートナーにしようと考えていたが、すでに破局を迎えた後だから困っている、と取る事も出来ます。この後の展開的には'無い'解釈です。


「お前、花冠とか作れるのか?」

・・・

「つ、作れるわよっ。花冠なんて、ただの草遊びじゃないっ」


この言葉で、アヤの貞操観念が低い事が表わされています。男女間の性行為を行うという事がどういった意味を持つのかの重要性が分かっていない、と取れます。


>ーーネイフェル、あの異形を思い出す。人から憎まれ、世界を滅ぼそうとーーこの景色を壊そうとした魔神、俺と戦う為なら、俺に戦う力を与えるためなら、どんな事にも躊躇わなかったバケモノ。

>お前も、こういう生き方が羨ましかったのか?


どんな事にも躊躇わなかったバケモノ、とアヤが重なっています。

レンジとエルの関係を羨ましがっていたのに、なぜかコウタロウと肉体関係を持ってしまっているアヤ。

軽々しく性行為を行うそのアヤの行動に、レンジは、本当にレンジとエルの関係を羨ましがっていたのか、と疑問を抱きます。

アヤはそんな生き方がしたかったのか?、と考えているようです。


第7章幕間『狩れが居ない一幕』でアヤ達が精霊神に会うための捧げ物を集めます。

匱様なものは猿の魔物でエイプと読んでいます。

匱様なのは雄が1匹です。

レンジを指しているのは、ソウイチを指しているのかは分かり辛いです。

捧げ物=生贄、なのでレンジかも知れません。

ここでアヤがフランシェスカに拘束のための魔術を教えます。

つまりは、ソウイチ達の企みを暴き、捕らえるための手伝いを少しするようになった、と取れます。

エイプを1匹倒して材料として持ち帰りますが、そこで何かの異常を抱えているエイプを発見し、それも連れ帰ります。

このエイプは吸血鬼に噛まれており、吸血鬼に操られています。

それを連れ帰る、という事で企みを運ぶ、という解釈が出来ます。


6話『彼が隠した事』でレンジ達が食事をしています。

そこでレンジが大切な話がある、と言います。

この食事の光景で、コウタロウが苦い物を食べ、ユイが食事を多く勧められています。

この後の話の内容とそれに対しての態度を示されていると思われます。

コウタロウに取っては受け入れ難いもの、ユイ=アヤ、の表現かも知れないのでアヤに受け入れさせる内容、とも取れます。

ユイの両隣にはスィとアナスタシアが居ます。

蛇のような企みもしくは行動を取る、と、何か隠し事がある、と取れます。

スィはソウイチ達の企みをそのまま実行するアヤ、で良いでしょうし、アナスタシアは前章から、ソウイチ達にいいなりになりレンジを殺害する計画に加担するがソウイチ達に気づかれないようにレンジを助けようとするアヤ、で解釈して良いと思います。

この後にエルメンヒルデの話をするのですが、アナスタシアとエルメンヒルデについての会話があります。


「仲が良いのは知っているけど、だからって会う度に喧嘩するのはどうかと思うけどね」


「ふふん。大丈夫よ」


「口元にパン屑が付いてるぞ」


「え!?」


「なあ、アナスタシア」


「な、なによ」


「・・・何を警戒しているんだ、お前は」


エルメンヒルデとアナスタシアは喧嘩しても仲が良い、仲が悪くならない、という発言に対してのレンジの発言があります。

ここではエルメンヒルデ=ソウイチのいいなりになるアヤ、アナスタシア=ソウイチ達に気づかれないようにレンジを助けようとするアヤ、で良いでしょう。

口元にパン屑がついている、をここでは口元のマナーが疎か、と解釈して、失言だ、と取ります。

つまり、アヤはソウイチ達の圧力に屈してレンジを加害する行動を選んだ、と解釈できます。

その発言に驚くアナスタシアに、レンジは更に話しかけますが、アナスタシアは次に何を言われるか警戒しています。


その後に、レンジはエルの死を話します。


「エル、な。死んだんだ・・・ネイフェルと戦った、あの時」


「・・・そう」


>最初に口を開いたのは、アナスタシア。彼女はそう呟くと、そのまま夜の闇の中へと飛び立ってしまう。


ここでレンジは周囲にアヤとレンジの関係が実はどういったものであったか、を話している、という表現でしょう。

ここでのアナスタシアの比喩が分かりませんが、レンジが隠し事を話してレンジの隠し事がなくなった、から飛び立った、と取れます。

その話をエルメンヒルデにしていない、とレンジは皆に伝えます。

ここは、アヤがソウイチに操られてレンジに近付いて来ていた、という事をレンジが知っている、という事をまだアヤには話していない、と取れます。


7話『戦いが終わった後に1』で回想になります。

かつてのアヤに対してのレンジの感情が描かれています。

ネイフェルとの決闘がレンジの勝利に終わり、会話をしています。


「楽しかったな」


「お前は、そうだろうな」


「俺は、腸が煮えくり返っているよ・・・クソッタレ」


ネイフェル=魔神=ソウイチに操られてレンジを騙して憎ませたアヤ、です。

レンジはアヤが純粋に慕ってくれていると思っていたが、実はそうではなかった事に憤りを感じています。

ネイフェルが死ぬ、という部分で、アヤをレンジが切り捨てる、と取れます。

その後に、シェルファ=レンジを殺そうとするアヤ、が登場します。

ネイフェルが消えて、レンジからは、アヤ=シェルファと見えるようになったのでしょう。

シェルファはレンジを戦いたい、と言いますがレンジは拒否します。


「うるせぁ。もう一度、その右腕と翼をぶった切ってやろうか?」


右腕と翼で、物理的な行動、と、地に足がつかない行動=その場しのぎや誤魔化し、と解釈出来、言い訳させる気もない、と取れます。


「生きよ。いつか、儂が貴様を殺してやる。その時までーーー死ぬな」

・・・

「約束だ」


書き手の私の個人的な解釈で、レンジはアヤとの約束を守る為に王城を去った、アヤ達の元を去った、と解釈しているので、ここでシェルファと一旦別れる展開と考えておきます。

約束、の言葉は'アヤを守る'という部分を連想するためのものでしょう。


>そうやって、れ達の旅は終わった。


アヤとレンジの交際は終わった、と取れます。


8話『戦いが終わった後に2』で違う回想をします。

エルとレンジが野営の準備の為に森の中にいます。

森の中、に意味が加えられている可能性はありますがここでは考慮しません。

ここでエルが昨晩ユーコとレンジが2人きりで会った事を気にしています。

その逢引をエルは見ていてユーコとレンジが口付けをしているのを見ていたようです。

そしてエルはそれが何の目的かを知るためにレンジと口付けを交わします。

そこでエルはなぜユーコはレンジと口付けをしたかったのか、というものを感情として知ります。


ここの展開はユーコと恋人のような関係になっていたが、アヤに心を傾けていっているレンジがいる、と解釈できます。


そして回想はエルの死んだ後の話になり、レンジがその死を悲しみユーコが慰める場面になります。


「ごめん」


「何を謝るの・・・」


ここでレンジがユーコではなく、アヤに想いを寄せるようになっていた、という部分での会話と取る事が出来ます。


「ソウイチ君達には、まだ何も言っていないわ」


ユーコも企みを知ったがそれを、ユーコ達が知っている事をソウイチ達には話していない、と言う事でしょう。


9話『戦いが終わった後に3』で、回想は魔神討伐後の帰還の場面になります。

転移魔方陣で帰還しています。

ここでまずレンジが、そしてユーコが帰還しますが、ユーコの服装が黒いです。

解釈としては、喪服で、ユーコの失恋を表わしているかも知れません。

死んだ女、という解釈も出来ます。

今までは、ユーコは何にするにしてもレンジをサポートして従うように行動していましたが、ここではユーコがレンジに任せずに自分で行動します。

2人の関係が変わった事を表わしていそうです。

表面の解釈では傷心のレンジを気遣っている、です。


エルの存在の話と、捨てられる、という話の部分で、作品初めの展開が予想されます。

この回想でもう一つの留意点は転移魔方陣で帰ってくる、です。

この後の話と絡みます。


10話『戦いが終わった後に4』で、帰還後にアストラエラと会う回想になります。


「・・・エルは、何のために生まれたんだ?」


「ネイフェルを止める為、殺す為、人が生きる世界を救う為ーーー」


「・・・」


「レンジ。貴方と生きる為ではない」


ここを深読みすると、アヤがなぜそう行動したのか、という部分でレンジの事が好きだからじゃない。別の目的があっての事だ、と取れます。


「貴方だったからこそ、エルメンヒルデは変わった」


「ヤマダレンジ。貴方が居たから、エルメンヒルデは幸せに死ねた」


ここはファンタジーで被せているので、解釈できてしまう部分だと思います。

解釈すると全体の展開と矛盾が出ますが。

ここを深読みすると、レンジだったからこそ、アヤは(どこか)変わった、と取れます。

今までソウイチ達に操られてきたアヤとは違うアヤに、レンジの影響で変わった、と取れます。

そして、レンジがそのアヤとソウイチ達の関係を周囲に暴露しないから、アヤは周囲から嫌われたり疎まれる事なく今も過ごしている、と解釈できます。


その後、アストラエラは「魔神を倒した後になんでも願いを一つだけ叶える」という約束を果たそうとします。

そこでレンジはエルの復活を望み、現在のエルメンヒルデとして復活します。

レンジとの事だけを忘れたアヤ、です。

エルの復活、はレンジを純粋に慕うアヤ、でかつ、宗一達に操られて従ったからではないアヤ、でもありますが、その願いは叶わなかったようです。

レンジとの事だけを忘れたアヤ、という部分で、レンジが王城を去って皆の前から姿を消す事で、レンジという存在が居ない事でアヤのスキャンダルを隠した、という事を連想できます。

レンジとアヤがどうなったのか、を周囲が聞こうとしてもレンジは居らず、また、アヤも自分の不利になる事は話さない、から起こった事は隠されたままになる、という事です。

この根拠に'アヤを守る'という約束があります。

レンジが暴露するとアヤにはもう居場所がありません。

ファンタジーで被せている部分をなしにして考えると、女性がそれまでいた環境から追放されて一人で生きていくのは困難です。

男ならまだ重労働をしてでも生活していける可能性があったりもします。

それを考えた際にレンジは、自分が去る事でアヤを守ろうとした、と解釈します。


11話『もう一度。また新しく。』で回想が終わり、デルウィン達との会話に戻ります。


「だから俺は、絶対にエルメンヒルデと一緒に生きる」


この言葉の解釈が微妙です。

良い意味ではソウイチ達に操られるアヤをソウイチ達から切り離して一緒に居る、と取れます。

悪い意味ではアヤとはかつてのエルとの関係のような、そして夫婦という意味でのパートナーには絶対にならない、と取れます。

どちらで言っているのか分かり辛いですが、作品の結末には関係しません。

どちらにおいてもソウイチ達の企みを阻止し、アヤを保護するからです。


エルの死を知っているのは他にいるのか、でユーコとコウタロウの他にユーイチローの名前を出します。

そこでユーイチローの結婚に話をします。

ここでレンジはユーイチローは凄い、と言い、「自分には出来ない」というような表現をしています。


「それが普通なんだろうな」


アヤの事は割り切って、周囲が勧めるように今のアヤと結婚しろ、という話があるが自分にはユーイチローと同じようには出来ない、と示します。


「俺が間違っていたんだ」


「けど、今はそれで良かったと思っている」


結局、現状でアヤはソウイチ達のいいなりになりレンジを殺す計画に加担するので、アヤと結婚していたのが普通だったのかも知れないが、現在の状況からは結婚しなかった事が結果として良かった、と言っています。

例え結婚していても、簡単に裏切って殺しにかかってくるだろうから、今の方が関係として密ではないので内部事情を知られていたりせずに安堵できる、と解釈出来ます。

そしてアナスタシアが言います。


「全然気付けなかったから。レンジの事、エルメンヒルデ樣の事」


ここの会話は、アヤが、実はレンジがアヤの前から去ったのはアヤの為だったんだよ、という事に気づけなかった、という解釈も出来ます。

ただ、ここは単にアヤとレンジの事を聞いて、それを知らずに計画に参加していて、実情を知らずにレンジの気持ちも知らずに行動して落ち込んでいる、という解釈も出来ます。


スィが話の途中で寝て、話し終わったら起きる、はレンジの話に嘘はない、騙すつもりがない、という比喩と取れます。


「アナスタシア」


「なに?」


「レンジが起きたら、怒ってやれ。きっと、レンジもそれを望んでいる」


ここも解釈が微妙ですが、後の展開から考えます。

アヤの為にアヤ達の事を隠して去ったレンジに、そんな事しなくても良かった、と言ってやれ、と解釈できます。


12話『そしてまた、普通の一日を』で、二日酔いの場面から始まります。

レンジとコウタロウが二日酔いになっています。

コウタロウはレンジより酷い二日酔いです。

レンジもコウタロウも、酔わされた=間違わされた、と解釈できます。


アヤが吸血鬼に噛まれたエイプを連れて戻って来て、それを出迎えます。

吸血鬼はエルフレイム大陸には居らず、先日のシェルファの襲撃の際の召喚陣を通してこの大陸に来た、と描写があります。

この召喚陣と回想の王城への帰還時の魔方陣が関連していそうです。

魔方陣を通じて王城に帰還した時に、魔物=ソウイチもしくはヤヨイ、が入り込んでいる、と関連できそうです。


13話『一歩にも満たない、半歩であっても』でレンジ達とアヤ達が合流してエイプの話をします。

吸血鬼は噛んだ相手に自身の血を流し込んで相手を支配出来る、と説明しています。

この後の展開として、噛まれたエイプ=アヤとも解釈できます。


14話『神の器1』で、デルウィンに話をしに行きます。


「どうした。レンジ。アヤではなく、ソルネア・・・と一緒なのか」


ここで何かの企みがつきまとっている、と表現されています。


「その中の一体が、吸血鬼に噛まれていた」


「・・・本当か?」


ソルネアがついて来ている事とこの会話で企みがある事を知らせます。


ここまでの別解釈ですが、アヤがエルフレイムに内通者がいる、と暗に示している、とも取れます。

ですが、展開ではアヤは知らせているのではなく、レンジ達を罠に誘き寄せようとしている役割です。


「デルウィン」


「俺が行くよ」


「いいのか?」


レンジは罠にあえて飛び込むと言っています。


「俺とコウタロウで何とかするさ」


「アヤは連れて行かないのか?」


アヤの問題なのでアヤと関係があるレンジとコウタロウで対処する、と取れます。

アヤ自身は裏切る可能性があるのでここでは連れて行かないつもりのようです。


>あちらも俺たちに気づいたようで、こちらへ向かってきた。ただ、グラアニアの男らしいというか獣臭いというか、野性の溢れる表情が緩んでいるのはキモチワルイ。


「おい。親バカ」


この期に及んでもアヤを見捨てられないレンジをそう表現しています。


ムルルとソルネアも同行するという会話があります。

ムルル=アヤの比喩になり、ソルネアは企みそのものでしょう。


「アナスタシアが居なくて良かったな」


「ああ」


「・・・どうしてそうなる」


ここで逆表現かも知れません。アナスタシアは6章からの解釈だと、ソウイチ達のいいなりになるが、ソウイチ達に気づかれないようにその企みからレンジを守るアヤ、です。

それが居ない、という事がアヤの心情を表わしているようです。


15話『神の器2』でエイプの調査に行きます。

レンジ、アヤ、コウタロウ、フランシェスカ、フェイロナ、ムルル、ソルネアがメンバーです。


フェイロナはデルウィンから弓を貸し与えられています。

レンジの意思の補強でしょう。デルウィン達がそれを望んでいるとも取れます。

グラアニアはムルルに鎧を与えようとするがサイズも違い、父親の臭いは嫌だとムルルに断られているので、アヤがレンジの庇護を拒んでいる、と取れます。


「コウタロウ。虫除けの魔法とかないのか?」


ここでの話で、使用した魔法は逆の効果になり、虫を集めます。2人が囮、という表現でしょう。

調査を進めると、吸血鬼2体と遭遇し、吸血鬼は寝ています。

ここでもやはり2体です。

この2体を倒し、ソルネアに意見を聞きます。


「ソルネア、お前が言っていたのはコイツか?」

「いいえ」


という事で、ソウイチやヤヨイが仕掛けた計画そのものをソルネアを使って表わしているのではない、となります。


16話『神の器3』で、調査中にフランシェスカに心配されます。

レンジがこの後の展開でアヤに裏切られるという事に少なからずショックを受けている事が分かります。


途中、敵の斥候がいるらしいと分かり、その斥候を追いかけていく事になります。

先行するのはレンジとフェイロナになります。

フランシェスカとアヤは一緒にいろ、となっています。

表現としては、フランシェスカ=レンジを慕うアヤ、です。

アヤはそこに不満を示しているように取れます。

ただ、ここでの展開として、アヤはレンジの殺害計画に加担しているので、

レンジとアヤが先行して進み、そこを仲間が襲撃してレンジを事故死にしようとしている、とも取れます。


先に進むと洞窟を見付けます。


「コウタロウ、ムルル。ここに洞窟なんてあったか?」


ここの会話で元々洞窟なんてなかった、と描写されています。

ソルネアを発見した時と同じ展開です。

ここでレンジとコウタロウで探索をすると言うが、アヤがコウタロウの代わりに行く、と言い出します。

先ほど書いたようにレンジ殺害の為について行くつもりであるし、レンジを1人にするつもりです。

見られるわけにはいかない、とも言えます。


「アヤ」


「私だって、もう子供ではありません」


「そうだな」


アヤは過保護だと言うような口振りで言い返していますが、レンジはその意図を知り、アヤが自分の意思でレンジ殺害に加担する事が分かります。


「何かあったら、お前が盾になれよ?」


「その時は、私が皆を守るさ」


「レンジ殿こそ、何かあったらアヤを守れよ?」


ここでの会話は、もしレンジが死んだら次にアヤを守るのはコウタロウだぞ、と言っているように見えます。


「ほら、アヤ。行くぞ」


「はぃっ!」


>なんだか、引き攣ったような、変な返事が聞こえた。


アヤは既に緊張しています。

この後、コウタロウを落し穴にアヤが魔法で落としていますが、コウタロウを騙してレンジを独りにした事を表わしているかも知れません。


17話『神の器4』で洞窟をレンジとアヤで探索します。


「アヤ、疲れていないか?」


「え?」


ここで描写はないですが、アヤは緊張しているか、以前と同じように緊迫感から荒い息をしていたかも知れません。

だから、レンジは体調を聞いているのでしょう。


「そう言うのじゃなくて・・・えっと、こうやって、危ない事を。二人で」


「無化しは、ソウイチやヤヨイが一緒でしたし」


アヤの心が計画を意識しているのか、内容がそちらに傾いているように取れます。

また、アヤが起こってほしくない事をそれとなく知らせているとも取れます。

ですが、この後の展開から前者と解釈します。


奥にはソルネアが閉じ込められていたのと同じ水晶があります。


>そう口をしてアヤの方を見ると、彼女は何を思ったのか自分の胸元を見ていた。


「戻るぞ」


「な、何か言ってくださいよっ!?」


ここでこの状況がアヤの心の内だと示されています。

これは、ソルネアに代わる何かが閉じ込められていない、という部分から、アヤがもう閉じ込められていない、束縛されていない、と解釈できます。

ですが、檻としての水晶はある、という事です。

ここで、アヤは自分の意思で行動している、レンジ殺害計画に加担している、と取れます。

但し、自分の意思は恐らく、ソウイチが好きだから、という盲目的なものでしょう。


「うぅ」


「そんなに気にするような事でもないだろう」


「・・・嫌味?」


ここまでの旅で、そして内心では争い事を好まないアヤがレンジ殺害に加担してしまっている事への良心への呵責に対する皮肉とアヤは捉えたようです。


洞窟を引返し、入口近くにくると、コウタロウ達が襲われているのがわかり、合流します。


18話『神の器5』で戦闘が続きます。

その途中でレンジは噛みつかれます。

この世界の吸血鬼は自分の血を相手に流し込んでその血を媒介に相手の魔力を制御して操るという設定になっています。

そして、レンジは一切魔力を持っていないから噛まれても操られない、となっています。


戦闘が終わり、レンジとソルネアが話します。


「これ・・・こいつらが、お前が言っていた"なにか"か?」


「はい」


ここの罠がソルネアが示したものであり、それがアヤが共謀した企みだと示します。

洞窟でアヤにソルネアを発見した時の事を話し、今回の水晶の状況から、水晶とソルネアに関連があると、アヤは思い付きます。

裏側としての解釈で、アヤがソルネアという人物が、アヤの状況を表わしていると気づいた、とも取れます。

メタ情報に気づく、というのも作品上おかしいとは思いますが。



19話『魔神と神殺し』で、ソルネアを水晶に近付ける試みが成されます。

この時、洞窟の奥へ向かう時、アヤだけが少し厳しい表情をしています。


水晶からソルネアへと魔力が移動します。

水晶から魔力を得た、と考えます。

アヤが檻に閉じ込められているのではなく、檻から力を貰った、という解釈にして、アヤが強制させられたのではなく自分の意思で犯行に協力した、と解釈します。

洞窟内でする事がなくなり、外に出ようとします。


>ゆっくりと歩く俺を追い越すように、フェイロナとムルルが先に行く。そして、アヤが俺の横に並ぶと、マントが引かれた。強い力ではなかったが、しかし不意の出来事につんのめりそうになってしまう。


ここは'つんのめりそう'、前に倒れ込み掛けた、であって、マントを掴まれたまま歩きだそうとして首がしまり後に倒れそうになった、わけではありません。

ここの描写は、レンジがアヤが隣に来て歩きだそうとしたから躓いた振りをして、一緒にはもう並んで歩けないよ、パートナーだとかの関係にはなれないよ、と示していると取れます。


>アヤが驚いて俺を見て、続けて後ろーーマントを掴む手の主を軽く睨んだ。


>アヤがソルネアの手を掴んだ。


>そして、すぐにその手を離す。そのまま、驚いたように自分の手をまじまじと見る。


>アヤの様子が姿でそう声を掛けると、そこで我に返ったように俺を見た。


ここの流れですが、ソルネアがマントを掴み、アヤがその手を外そうとします。ですがアヤはすぐに手を離そうとし、自分がした事に驚き、レンジを見ます。

これはレンジを加害しようとした計画があった事を、ソルネアがマントを掴む、という表現にしているようです。引き摺り倒す、と表現されるのかも知れません。

それを止めようとアヤが咄嗟に手を伸ばすが、アヤはその手をすぐに離して自分は一体何をしようとしていたのか、という驚きを浮かべます。

ここは恐らく、計画には参加したが、レンジが殺される事には、思わずそれを阻止しそうになるほど躊躇っている、と解釈出来ます。

そしてそれをレンジに伝えるためにレンジの顔を見ます。

その行動に合わせてソルネアが話します。


「ひとつ、思い出しました」

・・・

「私は、魔神ネイフェルの、願いの形だと」


「そうなんですか?」


「・・・そういえば、言っていなかったな」


「ーーーええ、聞いていません」


ここでアヤがソルネアが自分の内心を示す存在だと気づいているとするなら意味ある所ですが深読みは止めておきます。

メタ情報を知るという事自体がおかしいし、また、ソルネアという存在をそのように用意できる、という事もおかしいです。


「独りだったから、暗がりは静かで、冷たくて・・・」


「取り敢えず、洞窟から出るぞ」


>突然そう言い出した俺に、フランシェスカ嬢だけではなくアヤまで驚いた視線を向けてくる。


アヤの内心を伝えるソルネアの発言を、レンジは聞きたくないようで途中で止めます。

その行動にフランシェスカは驚き、アヤですらその意味に気づいて驚いています。

ですが、ソルネアはその続きを話します。


「貴方は私の声に応えてくれた」


「ネイフェルの声は、聞こえましたか?」


>ーー「楽しかったな」


かつてアヤがソウイチのいいなりになってレンジと過ごした期間は、アヤにとっては命じられるままに嫌々していたのではなく、心から楽しめるものだった、と解釈できます。

ソウイチのいいなりになっている、という部分の良心の呵責は別として、でしょう。


「さあな。俺とネイフェルは水と油だ。理解し合えないさ」


操られるままのアヤとは一緒になれない、と取れます。

また、かつてのわだかまりがいまだに存在しているようにも取れます。


20話『最後の地へ』でアーベンエルムへと旅立ちます。

同行者はいままでのメンバーです。


「ムルルを頼む」


>そう言うと同時に、カクンと上半身が沈んだ。


「何をする、ムルル」


「お父さんは黙ってて」


親バカをするな、という事で、すでにレンジがいままでのようなアヤとの関係を望んでいない、と取れます。

'自分の意思で'罠を仕掛けて殺しにきたアヤを、もう今までのようには扱えない、という事でしょう。


「それで、どうしたフェイロナ殿?」


>上機嫌で、グラアニナが聞く。その隣で、スィがあからさまな溜息を吐いた。

>同時に、ファフニィルの背に乗っていたコウタロウが飛び降りてくる。


「荷物は載せ終わったよ」


「おう、ありがとうな」


「どういたしまして」


>俺の言葉に、肩をすくめながらコウタロウが言う。そんなコウタロウの隣へスィが移動すると、蛇である下半身を上手く伸ばしてコウタロウの頭を撫でた。


ここでコウタロウはグラアニアの会話を遮ります。

後の展開、それも番外編での展開からの推測になりますが、コウタロウはアヤの事をいまだに想っています。

騙されたにも関わらず、です。

この情報自体が本編ではほとんどなくてここでの解釈が難しくなっています。

喧嘩する程仲が良い、アヤが仕掛けた罠に身体を張って挑む、苦い料理を食べる、くらいしかなく、恋愛感情まで把握できる描写がないです。


ここではグラアニナがいまだにアヤをレンジにあてがおうとするという事に少なからず嫉妬している、と解釈しておきます。

それを見たスィがコウタロウの頭を撫でています。

コウタロウが自分の意思を示した事が「偉い偉い」なのだと思います。


ただ番外編でのコウタロウの描写を排除して本編だけを見ると、ここでのコウタロウの妨害は、レンジとアヤが父と娘というような関係になる、というのではなく、恋人のような関係を望んでいる、とも取れます。コウタロウの恋愛感情がなければこちらの解釈に見えます。

別解釈として、スィはコウタロウにグラアニアがいまだに自分の主張をやめないので止めた、と取れます。既にレンジはアヤとそういった関係になるのを諦めているからです。

特定するには情報量が足りないので番外編の情報も加えて、コウタロウにはアヤに対する恋愛感情がある、で解釈しておきます。


「・・・子供扱いしないでくれるかな?」


「あら、そう?」


>そんなコウタロウが可笑しかったのか。今度は、その豊満な胸にコウタロウの頭を掻き抱いた。


子供あつかい、でいつもの、アヤに対するレンジの対応を表わしています。その後にスィが抱きしめる、という部分でレンジとアヤにそういった関係になってほしいと伝えているようにも見えます。

別解釈としては、アヤとコウタロウがそういった関係になるのを、コウタロウ自身が望んでいる、です。


ただ、これがどちらなのか分からない、そしてここまでの展開でレンジとアヤのそのような関係はもうない、という結果になっているので、フェイロナがどういった話し方をすれば良いのか戸惑います。


「んーーーデルウィン樣、私などがこの弓と剣をお預かりしても・・・本当によろしかったのでしょうか?」


「ツェネリィア樣からの御言葉。その弓と剣で、レンジを守ってやってくれ」


武器を与える、という事で攻撃する、と取り、アヤに対しての態度が攻撃的に、そしてソウイチ達の計画を実行するなら最悪は殺す事も考えているのでしょう。


「なに、レンジも抱きしめてあげましょうか」


「遠慮しておくよ。興味深くはあるが、そんな事をしたら魔女殿から呪い殺されそうだ」


「・・・それ、ユーコさんに伝えていい?」


ここでのスィはアヤの比喩として登場しているのでそれを断ります。またスィは断られるのを前提で話している可能性があります。ここでの魔女殿は恐らくアヤを指していると思います。ですが、コウタロウはユーコの名を出します。ここにコウタロウがアヤを想っているという解釈を補強する材料があります。

レンジとユーコがそういった仲だと示して、パートナー関係になってほしいと伝えているように見え、そうなればコウタロウとアヤでパートナー関係になれるのでは、という考えと思います。


この後、フランシェスカ、アヤ、ソルネアが準備を終え、合流します。

ソルネアはいつもの黒いドレスから冒険者風の服装に変わっています。


アヤを冒険者にする、という意志表示なのでしょう。

そしてレンジの傍にいさせる、という展開を望んでいそうですが、それが分かっているレンジはあえてソルネアの服装について話しません。


「良かったのか?」


「私はーー私が行ける所まで、レンジ樣と旅がしたいです」


このフランシェスカの言葉で、わずかにまだ、アヤがレンジを慕っている、と気持ちもう旅の最後まで続かない、という表現になっています。

ソルネアを魔神の座に導く、事でソウイチ達との関係を切らせて隔離した時に、レンジを慕うアヤというのはどこにも存在しない、と読めそうです。


「私の意思です」


ここの解釈も微妙で、アヤの心にわずかにそれがある、のか、フランシェスカがそれを望んでいるのか、という部分があいまいです。

グラアニア達との話で、今後の方針が決まっていて本来フランシェスカが取る行動がわかっていて、それでもこの行動になった、とした場合の情報の差がないと特定が出来ません。

フランシェスカはエルフレイムに到着した時にアヤと話してアヤの涙を見ています。それにほだされてこの行動を取ったのかも知れません。

そのやり取りの後で、レンジはソルネアの服装を褒めます。少しだけアヤと一緒に冒険者として行動する、という展開を受け入れたのでしょう。


「また酒を飲もう」

・・・

「四十二日後に」


ここの会話で42日後、「死に後」で、レンジはアヤの為に殺される覚悟がありそうです。

そして、それを実行した時点でアヤとソウイチ達を捕らえるのでしょう。


そしてアーベルエルムに出発するのですが、ファフニィルに乗って行きます。

魔物のはびこる大陸に竜王に乗って行く、から、ソウイチ達の企みに、それを阻止するために飛び込む、と取れます。

離れた場所でユイとナイトが見送っているのに気づきます。


「あまり怒ってやるなよ」


「怒らないさ」


「あれは寂しがり屋だ」


ソウイチ達の企みがある、少なくともスパイがいる、と取れる描写です。

それに対してファフニィルは怒るなよ、と言い、レンジも割り切っているようです。

アナスタシアがいない事は、これまで通り6章からの解釈で、ソウイチ達のいいなりになり企みに加担するが気づかれないようにレンジを助けようとするアヤ、がいない、と取れます。

寂しがり屋は恐らくアヤを指しているのだと思います。ソウイチに依存している、という部分を表わしているのかも知れません。




7章はついに、アヤが、レンジかソウイチかのどちらを優先するかを決定し、ソウイチ達を選んだ、という展開になっています。

ソウイチ達はアヤを使ってレンジを味方に引き込もうとしたが失敗し、殺す計画に変更しています。

その結果、レンジもついにアヤを敵対者側とみなし、企みを潰す際に捕らえる覚悟を持ったようです。

そして、自身の命を餌にして罠に飛び込む、という所でしょう。

レンジはここまでの旅で、以前の魔神討伐の時のようなレンジに戻って来ています。

皮肉な事に、アヤが慕っていたレンジに、です。

それもアヤを守るため、です。


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