神殺しの英雄と七つの誓約(4章)
1話『新しい命』で、ソルネアが登場します。新しい魔神の真の器です。魔神の眷族の中で唯一人の魔神の後継者、という事になっています。
ソルネアの姿は黒い女と表わされ、罪を持つ女、犯罪を臭わせる女という印象を与えます。
ソルネアは、企みを持つアヤ、の比喩で使われます。
ソルネアは魔神の眷族として生まれたばかりで、感情のようなものを持っていません。
その状態からどう変化するかでアヤの心情を表わします。
この作品の少し悪いところは、こういったソルネアの扱いが、裏側の事情と物語の進行の両方で解釈される部分があったりする事です。
魔神の眷族として登場しているのに、ソルネアの行動は、アヤの企みを示すものだとレンジ達が理解してしまっていて、行動しています。
ランクが違う情報を知り得ている事が作品としてはおかしい、もしくはメタ情報を知っている事がおかしい、と思えるのですが、現状でもある程度面白い作品なのであまり野暮な事は言わないでおきます。
そういった部分をきっちり分けて書けたならいい作品かなぁ、とか個人的に思いもしますが。
ソルネアの登場の仕方ですが、水晶に閉じ込められて登場します。
その水晶が砕けて解放されて保護されます。
これは水晶が檻を表わし、その檻はソウイチの呪縛という比喩と考えた方が良いでしょう。
水晶はもう一回別の場所で出てきます。
2話『集結1』で町に戻り、ソルネアと会話します。
『まるで生気が感じられない。・・・死人だな」
これで、アヤが自分の意思で動けない女だと示しています。
ですが、やはり物事を覚えたり教わった内容を実行する事には優れた部分を見せます。
アヤの精神的な特徴を際立たせた、という感じになっています。
ここでクドウ・リンが登場します。
メイド姿で登場して意味ありげです。
クドウと自己紹介をしあうのですが、フランシェスカがクドウに
「リン・クドウ樣・・・あの?」
という会話の後に、クドウは意味ありげにフランシェスカの手を握ります。
これでクドウの今回の役割がアヤを表わすものだと示しています。
レンジ達はまだ報酬の分配などが残っているので、レンジを迎えにきたクドウは「先に行ってる」と言ってギルドの外で待機します。
ギルドの外に出たレンジはクドウが男達にナンパされている姿を見付けます。
それに気づかないフリをして歩きだすとクドウがさっと横に移動してきて話します。
「面倒臭い。助けなさいよ、英雄」
「それこそ面倒臭いだろうが。あと、誰がヒーローだ。そんな恥ずかしい事、俺はしないぞ」
「前はしてたじゃない」
「前はな」
ここの会話は、アヤを助けなさい、とクドウは言っています。
レンジが助けないと色々と面倒な事になるからです。
現在アヤが関係を持っているのはクキです。クキは浮気になります。その時点でスキャンダルなのですがクキは良く分かっていません。
お姫樣と交際する、という時点でそれ以外の女性と公の場で肉体関係にある事を示す行動を取る、もしくは交際している、というのはお姫樣を蔑ろにしているとも解釈できるのですが、それが作品として考慮されていないのか、クキが無知なのかが分かりません。
クキにアヤをあてがっているのはソウイチで、ソウイチはアヤを使ってクキを操る事で勢力を増して実権を握ろうとしています。
そして、それがあるから、お姫樣をクキの婚約者にして、アヤの行動を封じてソウイチの企みを阻止している、とも取れます。
そうした問題を片付けるにはレンジという存在が実に都合が良いという事になっています。
魔神相手には強いが、その他に対してはそれほど脅威にならない。
そのレンジにアヤをあてがえば、例え操られても被害など気にしなくても良い、と考えていそうです。
クキが操られると重要な戦力が失われ、敵に回る事になります。
裏側の読み方次第ですが、レンジの扱いは一回目の魔神討伐の時とあまり変わらず厄介事処理にあてられるようです。
ソウイチに操られる以外の行動で、レンジが一番アヤの好印象を得ている存在です。父や兄のようにも慕われ、かつてはわずかながらも恋愛感情を有していた相手がレンジなので、ソウイチのいいなりになるアヤをソウイチから引き離すにはレンジが一番適役になります。
3話『集結2』で、クドウと共に王城へ戻ります。
クドウは修練場に向かうという、普段から考えられない行動を取ります。
「ユーコちゃんの方より、そっちの方が面白そうだからね」
「アヤちゃんじゃないわよ」
クドウはこう言っていますが、アヤの名をあえて出す事で、アヤ関係の事で修練場に行く、と伝えます。
レンジはユーコの部屋に向かいます。
「ユーコちゃんの部屋についたら、窓から見ててね」
とウドウは言い残して去ります。
レンジは修練場にソウイチがいるかも知れない事を思い出します。
ソウイチは2章で生け捕りにした魔族を護送してきます。ソウイチが魔族を連れてくる、でソウイチ=魔族を表わして、ソウイチに企みがあるという事を明示しています。
ユーコの部屋につき、会話します。
武闘大会の話になり、参加を強制されます。
レンジは強くないので客寄せパンダ扱いされ、弱さが露呈する前に他の英雄と対決する事で誤魔化す方針になります。
そのため、一回戦でソウイチと対戦する組合せにされます。
会話の中でメイドについて話をします。
そこでユーコが考え込むのですが、ここではアヤをレンジのメイドのような立場にする、という方法を考えているかも知れません。
ここでレンジは部屋から修練場を見ます。
すると、ソウイチに抱き付くクドウ、近くにヤヨイ、マサキがいて、少し離れた所にクキとアヤが居ます。
この構図で、ソウイチに抱き付くメイド=アヤ、クキの隣にいるアヤ、このアヤはソウイチの指示でそこにいる、という事を伝えています。
クドウはレンジが見ている事に気づき、ソウイチに教えると、ソウイチは驚いたようにレンジを確認します。
このあたりの描写で、レンジはソウイチのやっている事に気づいているぞ、とソウイチに警告をしています。
クドウとマサキはレンジ側です。アヤを、仲間を酷い扱いしているソウイチに対して不満を持っているので、ソウイチの味方にはなっていません。
この後にユーコにソルネアについて話をします。
ここで、自称記憶喪失、という言葉が出てきます。隠し事をしていて重要な事を伝えていないアヤを、その物事を忘れている、と表現しているとも取れます。
普通は恋人関係になっている男がいるのに、他の男の恋人になろうとはしません。
ここでソルネアのいた洞窟の話になるのですが、ユーコはそんなものは知りませんでした。
だから、話の展開としては、レンジが用意したシナリオ、とも取れますが作品の設定が壊れるのでこの解釈は止めておきます。
4話『集結3』で、ユーコの部屋を出て修練場に向かいます。
修練場に行くと、クキが驚いた顔をしてレンジの元に歩いてきます。アヤも一緒に歩いて来ます。
クキの心情はよくわかりませんが、'やべぇ。浮気がばれた'くらいに思っている可能性があります。
ここでアヤの顔を見るとソルネアの事が頭をよぎります。この部分でソルネア=黒い女=企みを持つアヤ、と結び付ける材料にします。
ここでレンジはアヤにどう声をかけるか一瞬悩むとそれをアヤから指摘されます。
「どうかしたんですか?」
「ん?」
「いえ、少し困ってるような感じでしたから」
>ふとそんな事を考えながら、心配してくれたアヤに笑顔を返してお礼を言っておく。
アヤは'自分が何をしているか'、'どう見られるか'がまるで分かっていません。
レンジに恋人関係を迫りながら、クキと堂々とイチャついてレンジの前に来た事を悪いとも思っていません。
そのあたり、アヤは頭の悪い女です。
「それで、何があったのですか?」
「おう、クキ、聞いてくれよ」
「・・・うわぁ、聞きたくない」
ここの会話でクキは何を指摘されるか気が気でない、という心情になっています。
それはそうでしょう。アヤと恋人関係になるように計画されているレンジの前に、アヤとイチャつきながら現れたのですから。
レンジの真面目さが損な役割を演じる事になり、ばれなければ浮気をしてしまうクキと浮気をしている事すら分かっていないアヤが得をしています。
酷い書き方をするなら、クキが使い古した中古品をレンジが引き取る、という形になります。
「人助けをしたら、宇多野さんのご機嫌を損ねてしまったんだ」
「誤ればいいと思いますよ」
「・・・」
「どうせ、また女の人でしょ?」
「...お前は俺を、どう思っているんだ?」
>そのアヤは先ほどの笑顔とは打って変わって、少し困ったような顔で俺を見上げている。
ここの会話が誰と話しているのかわかりにくいが相手はクキです。
口調がアヤとクキが被っているのでわかりにくいです。
ここの会話はアヤへの皮肉と、本気の質問です。
人助けをしたら、という部分で、「ソウイチのいいなりになってクキとイチャついたら、レンジの機嫌を損ねてしまったんだ」というようにも取れます。
クキは気づいてないようですが。
お前は俺を、どう思ってるんだ?、の部分はアヤに問うています。
『どうした、アヤ?』
「あ、えっと・・・」
アヤはその意図に気づきますが、どう答えていいのか分からずに返答できません。
『あまりアヤをこまらせるな、レンジ』
「そんなつもりはないんだがね。聞いてくれば、ちゃんと答えるかも」
「う・・・」
『その辺りが困らせていると言ってるんだ、まったく』
>エルメンヒルデの言葉に詰まった声を上げるアヤを見ながらカカと笑うと、エルメンヒルデから呆れられてしまう。そんな俺たちの遣り取りを見て、クキも苦笑を浮かべている。アヤも落ち着いたのか、深呼吸をするとその表情から陰りが消えた。
この会話で、そんなつもりは・・・、の部分で、レンジ自身の態度を示しますがアヤに「聞いたんだからちゃんと答えてね」と伝えます。
ここで、マサキとソウイチの試合が始まります。深読みすれば、レンジとアヤの対決が始まった、という表現になります。
この試合で、ソウイチがマサキの首に剣を突き付けて勝ちます。これが先ほどのレンジとアヤのやり取りに結果を示しているように見えます。
「よう」
「もう。良いところで顔なんか出さないでよ、ヤマダ(レンジ)さん」
「・・・俺が悪いのか?」
「折角盛り上がってたのに、気が逸れちゃったじゃない」
『気を逸らす方が悪いだろう。そこは』
「むぅ」
ここの会話で、クキとアヤのイチャつきについて、アヤの心情をマサキが代弁するという内容になっています。
ここで'運命を切り開く剣'マサキを使っているのが微妙です。ここは単にソウイチとマサキ、レンジとアヤのパートナー関係を指しているだけだと思いますが、
マサキを使う事で、アヤがその関係を拒否して別の、ここではクキとパートナー関係を持ちたがっている、という解釈も出来てしまいます。
ここでのそういち達のやり取りを見ながら、レンジは何かを考えます。
恐らくは、クキと浮気をしているが、ソウイチと話す時はそれにも増して、恋する女性として行動するアヤが見えていると思います。
これを見て、レンジはオブライエンの所に行く事にします。
「私も一緒に」
「あー、うん。いや、一人で行くよ」
「・・・ダメですか?」
「ダメ」
アヤが演じる役割を思い出して行動し出した、と解釈するのが妥当だと思います。
ですがレンジが断ったので、言葉に詰まっている、という状況でしょう。
また、ここではまだ描写が足りていませんが、魔族の情報を得るためのスパイとして行動したかったのかも知れません。
そういった情報は全てソウイチに伝わります。
「今晩は空いてるか?」
「え?え、っと」
「一緒に飯でも食いに行くか?」
>先ほどの落ち込み顔から一転して、笑顔を浮かべてくれる。ふと視線を感じると、ソウイチとクドウがこちらを見て笑っていた。
今晩は空いてるか?という部分で、夜の情事を連想させるので、アヤは返答に躊躇します。
その後の、飯でも、で、目的が分かり笑顔を答えます。
ソウイチとクドウ、ですが、現在メイド姿のクドウは、メイド=ソウイチの命令に従うアヤの比喩です。
この2人が笑っている部分が強調されるのは、計画通りにうまくいっている、と思っているから、という事でしょう。
>そう言って、修羅場を後にする。
ここでは表面上ソウイチ、マサキ、ヤヨイ、クドウの修羅場を指しますが、裏側ではクキとアヤとレンジの修羅場です。
ここで飯を食いに行く、に、料理を振る舞う=レンジなりの計画を振る舞う、という深読みが出来るかも知れません。
レンジはこの後、オブライエンの所に行くのですが、オブライエンは魔族の尋問をしているので地下に行きます。
地下、という事で、'水面下の攻防'という言葉もあったりして見えない部分を指します。
ここでは魔族の態度が、ソウイチの心情を表わすようになっています。
「いや。牢屋なんて、子供を連れて行くところじゃないと思っていただけだ」
この言葉を深読みすると、ソウイチ達を叛逆罪で捕らえたくない、とも取れます。
魔族の尋問場所にはオブライエンとユーコがいます。
「どうして来たの?」
「魔時が関わるなら、俺だって当事者だからな」
この会話で、ソウイチ達が関わるなら、レンジにとっても他人事ではない、と言います。実際、アヤの美人局の被害も受けているレンジです。
「それで、何か分かりましたか?」
「まったくだ。全然口を割はしない」
この会話で、ソウイチ達が自白しない、と取れますが、同時に、証拠を掴ませない、とも取れます。恐らくは前者です。
このあと、ソルネアの話と、ソルネアを閉じ込めていた檻の話を魔族にします。
「お前の口は信用しないさ。ま、感情が顔に出るから判りやすい」
この言葉で、アヤの精神を、自身では何も考える事が出来ないようにしていいなりにしているのがソウイチだ、という事を表わします。
5話『武闘大会1』でオブライエンとの訓練の回想が入ります。
そこでアヤに心配してもらうレンジの描写があります。
この時はレンジは役たたず扱いなので、素の態度をしていますが、それでもアヤはレンジの身の心配をしてくれています。
このあたりがレンジがアヤを見捨てる事が出来ない理由なのでしょう。
実は内面は普通の優しい女である事を知っているからこそレンジは見捨てる事が出来ないようです。
トウドウのレストランに飯を食いに行く約束をしたレンジは身だしなみを整えます。
「これからアヤと晩御飯を食いに行くんだよ」
・・・
「誰が羽虫よ。メダル女、って・・・はぁ?」
ここでアナスタシアは驚いています。アヤの隠し事も教えて、アヤから距離を取るのが当然、と示したはずなのに、なぜかレンジはアヤと飯を食いに行く、と言っているからです。
「なんで私を誘わないのよ!?」
「誘うか馬鹿」
ここは深読みすると、隠し事のあるアヤを表わすアナスタシアを連れて行くのが当然だ、と言いますが、レンジは隠し事なんてないよ、と返しているとも取れます。
「今度はアヤか・・・」
「今度ってなんだ、今度って」
ここで、アヤの名を出していますが、アヤが今度はクキからレンジに対象を変えている、と示しています。
深読みになりますが、ここでのエルメンヒルデとアナスタシアの会話のやり取りで喧嘩のようになっているのは、エルメンヒルデ=ソウイチのいいなりになるアヤ、と、アナスタシア=レンジに隠し事をしているアヤ、が別ものだ、と表わしている可能性があります。
この後、ユイが登場します。そしてまたアナスタシアと会話をします。
「アヤとのデート、楽しみ?」
「デートかどうかは知らんが、まぁ、楽しみだな」
この会話で、表面上はデートに見えるが裏側はお互いの交渉の場である事を暗に示しているが、どうなるかは楽しみだと言っています。
>そのユイちゃんは、・・・顔を赤くしてアナスタシアをベッドの上に押し倒していた。
これで、レンジにアヤをとりあえずもう抱いてしまえ、と計画を伝えます。
ですがレンジにその気はないので、空を眺めて気づかないフリをします。
結局、レンジの態度だけが、この世界では異常です。また、アヤの態度も異常なのですが。
この世界の観念から見て、レンジの貞操観念は、王族や貴族でもないのに高過ぎ、アヤはソウイチにそうなるように洗脳されているので異常に低すぎます。
レンジは元の世界の貞操観念で行動していて、クキなどは例外として、子供達は成熟する前にこちらに来ているのでレンジ程には貞操観念が高くない気がします。
といっても、アヤやソウイチやヤヨイに関してだけですが。
この世界では、簡単に生き死にが生じるので、楽しめる時に楽しむ、もしくは後悔したくない後先考えずにしてみる、というような粗い世界なので倫理観が崩れ易いようです。
そういった意味で、別に処女でなくてもいいじゃないか、という考えと処女の価値なんてそれほどない、という考えにもなっているように思えます。
また、常に危険に晒される世界なのでリスクが高く、そういった貞操を守りにくいから、平民などはどこか諦めている感覚があるようです。
拘っていたら楽しむ事も出来ないし、そうこうしている内に死ぬから楽しもう、というような感覚だと思います。
ただ、そうやって行動する集団がいるからどんどんそういった世界になっていくのですが。
手をこまねいていたら、そういった連中に全てかっさらわれるから、そうなる前に自分で確保するという事になり、結果として同じ事をしてしまいます。
そして、それを見た下の世代が、それを慣習として真似る事で社会は劣化していきます。
基準が下がるという事です。
倫理観がどうであれ、計画上はアヤをレンジに引き取ってもらわないとソウイチ達の企みを潰せないのでユイを使ってレンジに指示を出しています。
この後、レンジはアヤとトウドウのレストランに行きます。
「寒くないか?」あたりは深読み出来るのですが割愛します。
「それにほら、歩きながら話すのって楽しくありませんか?」で、周囲へのアピールを兼ねている可能性もあります。
そして、レンジは何度も探したが見付けられなかったトウドウの店をようやく見付けます。
「ようやく見付けた・・・」
「ようやく?」
「王都に来てから何度か探したんだが、見付けることが出来なかったんだ」
レストランは人気の少ない場所にあります。これで、周囲から邪魔が入らない場所でアヤと相談が、交渉が出来る、と言いたいのでしょう。
店の名前が「幸福の小鳥亭」なのも深読みができます。
店でレンジとアヤの会話が始まります。
「俺の懐具合を気にしてるなら、気にしなくていいんだぞ?」
「・・・その言い方だと、なんだかお父さんみたいですね。レンジさん」
・・・
「ふふ。雰囲気がそれっぽいし、ほら、ソウイチもレンジさんの事をそういう風に見てるみたいですし」
このあたりの会話で、アヤが望むレンジの立ち位置を話します。
俺の懐具合、という部分で、俺の実情は考慮せずにアヤの希望を言っていいんだよ、と解釈できます。
ここでアヤはソウイチの話をします。アヤはソウイチの事を考えているという事です。
目の前のレンジよりソウイチに気持ちが向いています。
>そんな俺の視線に気づいたのか、その笑顔を隠すように視線を逸らすようにして俯いてしまう。
「なんか、懐かしいな」
「え?」
「この聖会に来たばかりの頃は、ほら、あまり話さなかっただろう?」
「そ、それは・・・」
「昔は、こうやってご飯を食べている時もソウイチやヤヨイちゃんとばかり話してたし」
「う」
この描写と会話で、アヤはソウイチの事を考えている事をレンジに気づかれてしまった、と思い俯きます。
そして、レンジは「懐かしいな」と話しますが、その後の内容は懐かしさとはちぐはぐです。
レンジとアヤが2人で食事をする事など以前の魔神討伐ではなかった、という前提があるようです。
そしてレンジからソウイチの話を持ち出して、アヤがソウイチの事を考えている事を指摘しています。
すると、アヤから反撃がきます。
「・・・レンジさんも、変わりました」
「そうか?」
「はい」
変わったのは自分だけではないよ、と返します。
「昔の俺は、どんなだった?」
「え?」
「アヤがーー」
ここで、恐らくは、「アヤが見ていた昔の俺はどんなだった?」と口にしようとしたと思われます。
「ーーー、昔、旅していた頃の俺と、変わったか?」
「はい」
「昔のレンジさんは、もっと格好良かったです」
「格好良い、か」
ここの解釈が難しいです。
表面上は、表面上の意味としての'格好良い'を使っています。
'格好良い'は表面上は、見目麗しい、服装にセンスがある、などに使われます。
ですが、裏の意味としては'カッコウ良い'という意味があり、アホウドリとカッコウのネタに繋がります。
つまりは、昔のレンジはアヤという美人局に操られて、ソウイチの都合の良いように動いていたのに、という解釈も出来てしまいます。
托卵されたアホウドリは自分の子でないカッコウのヒナのためにせっせと餌を運んでくる、という、要は他人の為に都合の良いように利益を差し出す、という意味を指します。
この解釈をするかどうかは、作者が'格好良い'をどういった意味で使っているかに依存します。
'格好良い'の裏の意味を知らずに使ったのか、知っていて使ったのか、で解釈が変わりますので、こちらからは深読みするしかありません。
「まぁ、今の俺は格好悪いよな」
「そんな事はないです。今のレンジさんも、格好良いですよ?」
「そうでもないだろ。無理して言わなくていいぞ? ほら、顔も紅い」
「・・・もう、そういう所は気づかないようにして下さい」
レンジは今は操られていないから'カッコウ悪いだろ?'と言いますが、ソウイチの企みとしてアヤとレンジを恋人関係にする計画上で動いているレンジをアヤは'今のレンジさんも、カッコウ良いですよ?'と言います。
それに対して、計画通りに進めるつもりもないから、'そうでもないだろ'です。
申し訳ないですが、'顔が紅い'をうまく解釈出来ていません。
'恥ずかしい'という意味だとすれば、恥になるような事=ソウイチの企みで動くアヤ、に気づいている、と暗に示している事になり、それに対してのアヤの発言が続きます。
「頑張るよ」
「え?」
「なんでもない。いただきます」
アヤの、レンジに希望する立ち位置の話も終わり、また、レンジはアヤの状況を把握して、それを叶える為に「頑張るよ」です。
「武闘大会・・・」
「はい?」
「いや、武闘大会、少しばかり、ヤル気を出すかな、ってな」
武闘大会ですが、現時点で一回戦でソウイチと戦って負ける予定になっています。
これは'ソウイチが勝ってレンジが負ける'という部分で、アヤに対する状況を表わします。
この結果を受け入れると、アヤを諦める、という意志表示になるように組まれています。
その先の展開は、アヤもソウイチもヤヨイも牢屋行きになる可能性が高い、となります。
でもアヤを見捨てられない、そしてソウイチ達も牢屋に放りこみたくないレンジは「頑張る」と言っています。
6話『武闘大会2』で久しぶりにフェイロナ達と町を散策しています。
ムルルとの会話から始まり、ムルルが買い食いをねだります。
もっと欲しい、という感じになっており、レンジが前話でした計画を肯定的に受け入れている、という解釈が出来ます。
その後に、フランシェスカと話します。
「ああ、結構イケるぞ、食べるか?」
「・・・よろしいのですか?」
「気にするな。一人が二人に増えるのなんて、今更だ」
「子守は大変だな」
ここでフランシェスカ=レンジを慕うアヤ、です。つまりはパートナーとまではいかなくとも父のような兄のような立場でアヤを受け入れる、という事を示しています。
フェイロナの会話もそれを示します。
「それで、彼女が何者なのか判ったのか?」
この言葉を深読みすると、アヤが結局どう思って行動しているか分かったか?と聞いている事になります。
争いを望むのか、積極的にソウイチの企みに加担しているのか、それとも内心は争いを望まない優しい子か、という部分を聞いています。
「取り敢えず、分かったことは彼女に魔力が無いってことだけだな」
この言葉で、アヤが王国を則ろうだとか、有名になりたいだとかの為に詐欺行為や犯罪行為を行おうとする意思がなく、企みを計画したのではない、事だけが分かっています。
'魔力がある'で、正式な手段以外で不正行為を行って勝ったり利益を得たりする力がある(そういった意思がある)、という表現になります。
この後、フランシェスカの予選の開始時間が近い話になり、
「フランは、予選を突破できる?」
と続きます。フランシェスカ=レンジを慕うアヤ、ですので武闘大会の結果がこれまでの結果と今後の展開を示すものになる可能性がある、というのがここで見えて来ます。
この後の展開でもそうなっています。
「勝てればいいな、とは思う。頑張っていたからな、フランシェスカは」
「頑張りが実らないというのは、辛い事だ」
「・・・そうだな」
解釈が少し難しいです。アヤが争いを好まないので現状をどうにかしたい、という思いを書いたのか、レンジの今までの努力の在り方を書いたのかがわかりません。
レンジがどれだけ努力してもソウイチ達には勝てないという事実に対しての言葉にも取れるのが解釈を難しくしており、それがなければ深読み扱いで部分だと思います。
次にソルネアと会話します。その会話で武闘大会などに興味があるのか、と問うて、「いえ、特には」と返されます。
この時点ではアヤは争いを好まないという解釈が出来ます。
「ただ、レンジ。貴方が戦うことに、興味があります」
この言葉で、アヤはレンジが戦うからそれに興味がある、格好よい所を見せて欲しい、と思っている、とソルネアを使って表わしています。
そしてフランシェスカの個人戦の予選が始まります。
ここでレンジとムルルの会話があり、
「食い過ぎるなよ。後で、昼飯を食べるんだからな?」
「問題無い。両方食べる」
「・・・太るぞ」
となっています。個人戦と団体戦の両方で頑張る、という事を暗に示します。
そして個人戦の予選を通過します。
7話『武闘大会3』で、皆で昼食を取ります。ここでムルルが良く食べるのですが、深読みすると、レンジのアレンジした計画=料理、が美味しいと言っています。
「・・・ナマで食べれるものなのか?」
このフェイロナの言葉周辺を深読みすると、レンジのアレンジだけで他の人物の修正や調整は入っていないよ、と暗に示します。
そして、ソルネアが刺身に手を出します。
「お、」
「なにか?」
「いや、なんでも。大丈夫か?」
・・・
「魚を生で食べるからな。鮮度が良くないと危ないから、その鮮度を保つために色々大変だったんだ」
ソルネアが刺身に手を出す、というのはアヤがレンジの計画を受け入れる、という事を表わします。
鮮度が良い、で、活き活きとしている、と解釈出来、アヤもソウイチもヤヨイも楽しく行動出来るようにした計画だ、と示していると思われます。
魚を生で食べる、がそのままで受け入れる、だと思われます。アヤもソウイチもヤヨイも牢屋などに放りこんだり懲罰らしい懲罰をせずに受け入れる、と言う事だと思います。
「それにしても。よく頑張ったな、フランシェスカ嬢」
「はい?」
「予選だよ。正直、あそこまで上手く戦えるとは思ってなかったんでな」
「・・・最初は、負けるかもとか言ってた」
フランシェスカが簡単に負けると、それはアヤがこの計画に乗り気ではない、と示す事になります。
ですが、本戦出場しているのでそこそこ賛同する気はある、という事になります。
おめでとう。もしかしたら、本戦で戦う事になるかもな」
「え?」
「いや、俺も本戦に出るからな。もしかしたら当たるかもしれないだろ?」
「ぅ、あ・・・本当ですか?」
ここでフランシェスカは意地悪されて言葉に詰まります。本戦でフランシェスカとレイジが戦う、という事は互いの計画で相手をうち負かす事を意味します。
フランシェスカが勝てばアヤの計画が、レイジが勝てばレイジの計画が実行される、という事になりますが、そうはならないように組んでいるのであくまで意地悪です。
この後のフランシェスカの昔話はレイジの過去を表わしているようにも取れます。
フランシェスカを表わしているのがレイジの過去、フランシェスカのお礼が'レイジが述べたい感謝の言葉'だったりします。
この後の会話も深読みできそうな部分がありますが割愛します。すり身あたりも深読みできそうです。
「昼にも言っただろう。私は、頑張りが実らないのは辛い事だと思う」
「ああ、言ってたな」
「フランシェスカの頑張りを無駄にしないでくれ。英雄ではなくていい。たしかにお前はその器ではないのかもしれない」
「ただ、お前は彼女の目標なのだ。世界や誰かの信頼ではなく、彼女の信頼に応えてくれ。一人くらいなら背負えるのではないか?」
「・・・さて、な」
「頑張るよ」
ここはフランシェスカ=アヤでいいと思います。アヤはソウイチに操られながらも、どうにか争いにならない方法を探しているのだと思います。
そのアヤが唯一その願いを叶えてくれそうな人物としてレンジを信頼したい、という解釈になります。
「私達は、お前に英雄のような肩書を求めていないからな」
ここは逆表現です。あえて英雄という言葉を出す事で、そして態度で、求めている事を示します。
8話『彼の剣』で、初めて魔神ネイフェルの分身体と戦った時の回想が入ります。
魔神に挑む、という部分が話のつながりになります。
武闘大会におけるソウイチの企みを阻止するために挑む、です。
回想で魔神がソウイチとユイを殺そうと歩み寄ろうとする所をレンジが止めています。
ここでのユイ=ヤヨイ役です。ユイはこの後もヤヨイ役として登場する事があります。
ここで魔神がソウイチ達を殺す、という事の解釈が難しいのですが、ソウイチ達が企みの誘惑に負けてその企みを実行するようになる、と解釈も出来ます。
また、回想は別解釈として、その企み=魔神の分身体、がソウイチとヤヨイを破滅させようとしているから、レンジが止めようとする、と解釈も出来ます。
オブライエン達でも止められなかった魔神をレンジが止める、という部分もつながります。
回想が終わり、レンジは夢から覚めます。
アナスタシアがレンジに悪戯して顔に落書きをしています。
顔に泥を塗る、などの比喩と同じで、恥をかかされる、という意味です。
武闘大会でそうなる、というメッセージでしょう。
アナスタシアが行った、が重要です。
『そこまでされて起きない、レンジが悪い』
「そう言われてもな・・・お前も、起こしてくれればよかったのに」
「起こそうとしたが、起きなかったのだ。気が緩みすぎているのではないか?」
「・・・そうかもな」
エルメンヒルデの発言は、書き手の私が出来るだけ除外はしてきましたが、ここでは意味を持ってしまっていると思います。
この後の、アヤの行動によって恥をかかされる結果になって、レンジがそれで目を覚ますかどうかを示しているようにも見えます。
『レンジ』
「どうした?」
『いや、何でもない』
「そうか」
ここの会話までで、レンジがうなされてエルの名前を読んだ可能性があります。
それを聞いたエルメンヒルデはいつもと違う読み方に疑問を抱き、それを問おうとして止めた、と読む事が出来ます。
ここの解釈も微妙で、今のエルメンヒルデ=ソウイチのいいなりになるアヤ、はエル=レンジを慕うアヤ、とは違うのか、という事を問うて示そうとした、と解釈できます。
「いや。平和だなぁ、ってな」
ここは深読みしなくても話の展開に関係しませんが、内部で下らない争いをしていられる世の中が平和だな、とレンジは思っていそうです。
9話『武闘大会4』で、お姫樣アマルダが登場します。
「いつ結婚するのかな」
レンジはこの発言をします。すると横にいるソウイチが居心地悪そうにモジモジします。
ここがソウイチの企みなのでしょう。
お姫樣の婚約者になるクキにアヤをあてがい、ソウイチがお姫樣と結婚する、という考えをしていると思われます。
この開幕の儀式が終わり、ユーコと話をしてトーナメントの対戦相手の話になります。
「俺の相手が変わっていたから、驚いた」
「・・・そう」
「ああ。驚いたが、感謝している」
「感謝は・・・どうだろう」
ここの会話で、武闘大会でソウイチの企みを潰し、アヤもいいなりにならなくて済むような結果にしたいための調整をしてくれた事にレンジは感謝していますが、ユーコとしては、アヤが裏切る事はほぼ確実だと思っているので感謝に対してはまだ早いんじゃないか、と思っています。
その後に、王とレンジが話します。
王との会話はどこまで深読みするかなんですが、レンジ達は王国に叛逆する気はないですよ、という意志表示をしているとも取れます。一回目の魔神討伐の時からレンジはその態度を取っているので王もレンジには多少の信頼を寄せているようです。
「だというのに、傷が癒えても挨拶に顔を出しただけ。偶には酒に付き合え」
「その、武闘大会が終わりましたら、酒に付き合えるかと・・・多分」
この会話は、武闘大会が終わったらソウイチの企みも潰す事が出来るから祝杯を上げる事が出来るでしょう、という解釈になります。
王が立ち去り、大聖堂から出ようとするとソウイチにつかまります。
ソウイチはアヤをあてがうためにアヤに会わそうとします。
レンジはやんわりと断りますが、そこにマサキが参加します。
「大丈夫ですよ。ヤマダ(レンジ)さん。個人戦でとっちめますから」
「・・・え?」
この会話で、マサキはソウイチを懲らしめる気がある事をレンジに伝えます。
後の話をバラす事になりますが、一部逆表現で団体戦で懲らしめます。
また、大将であるソウイチの出番になると言う事は2勝2敗であり、アヤが勝利している状態でもあります。
つまり、この時点でアヤはレンジの計画に乗らない、という解釈にもなります。
「ですので。三回戦、とても楽しみにしています」
この台詞で、団体戦の三回戦を楽しみにしていてください、と伝えます。
10話『団体戦1』でトウドウとレンジが話します。
「というよりも、・・・エル、も名前だと思うけどな」
「そうですけど」
『それに、前からそうだろう?』
「え?」
「色々あったんだよ、こっちも」
「・・・そうなんですか?」
・・・
「まぁ、あんまり変わってない・・・のかな?」
「どうだろうな、それなりに変わったかもしれない」
この会話は裏で解釈しても話の展開には関係ないし、深読みにも思えますが一応書きます。
以前は'エル'と呼んでいたのに、今は'エルメンヒルデ'と呼んでいる事にトウドウが疑問を抱きますが、エルメンヒルデが前からそうだ、と言います。
これにトウドウは驚き、何か自分の知らない事があると思いますが、レンジはそれを語ってくれません。
レンジとアヤの事を詳しく知らないトウドウは、あまり変わっていないから気にしなくても良いのかな、と疑問を持ちますが、レンジは何か変わったかも、と話をあいまいにします。
メイドについても話しますが、それがどの意味合いかが分かりにくいです。
ソウイチのいいなりになるアヤをメイド、と表わすための前振りか、レンジを慕うアヤをメイドと表わす為の前振りか、というのがいまいち掴めません。
11話『団体戦2』で、レンジ達は王様の傍で試合を観戦する事になります。
観戦前にレンジ、クキ、トウドウで話をします。
ここでトウドウとメイド長アンジェラの話になります。
後で使われますが、トウドウ=ソウイチ、アンジェラ=アヤの比喩が出てきます。
「この前、宇多野さんにメイド服を一着貸したんだけど、どうだった?」
とありますが、表面は男女間の遊びに使用、になっていますが、裏側の解釈はレンジの計画に従うユーコ、です。
12話『団体戦3』で観戦のための席に向かいます。
ユーコ達と合流し、トウドウはクドウにからかわれます。
トウドウ=ソウイチ、以前にメイド服を来て現れたクドウ=アヤの表現です。
いまだアヤはソウイチ側だと示しています。
そして、アナスタシアが登場します。アナスタシア=隠し事があるアヤ、です。
王が入場し、レンジは王のいるテーブルにくるように言われます。
ここは深読みですが、酒が用意されています。酔え=間違え、という比喩があるかも知れませんが、酔う=間違う、と取り、この武闘大会で失敗するよ、と暗に伝えている可能性があります。
次にアマルダ姫が入場します。
「どうだ。娘と結婚する気はーーー」
「ありませんよ」
と会話があります。ここの解釈も微妙です。レンジ達に王権を脅かす気があるのか、という確認とも取れます。また、クキXアヤ、なのでそれを示す為にアマルダXレンジの話にしている可能性があります。本来クキXアマルダ、レンジXアヤであるところにこの話を持ち出す事で関係を示す、と取れます。
第4章『幕間1』で選手控え室の話になります。
マサキがソウイチに本気で勝負しようと持ち掛けます。
ソウイチは断りますが、マサキは気にしないで本気で勝負するつもりです。
そのために、アヤもソウイチも困っています。
その後に、団体戦3回戦が始まります。
マサキは武器は大会仕様ですが、防具を実戦用のものを装備しています。
これで本気だと表わしています。
3回戦が始まり、フランシェスカが1勝しますが、相打ち覚悟で魔法を使います。
これを解釈するのが難しいのでここでは解釈しないでおきます。話の展開にはあまり関係ないので。
場合により、アヤが自分を巻き込んででもソウイチの計画を阻止しようとしている、とも取れますが深読みしすぎになります。
この解釈をせずとも、アヤが出場しているのでアヤの態度はそこで分かります。
第4章『幕間2』でアヤの番になります。1勝2敗になっていて、アヤが負ければ敗退します。
これが、アヤがソウイチの計画に対して賛同しているかどうかを示す内容につながります。
例え負けなくても、苦戦するだとか相手の攻撃を受けてしまうという、アヤらしくない振る舞いを見せる事でもアヤの態度は示す事が出来ます。
アヤが戦う時になってもフランシェスカはまだ先ほどの影響が残っていて、足元がふらついています。
フランシェスカ=レンジを慕うアヤ、の足元がおぼつかない、という事でアヤがレンジの計画に従わない、という事を暗に示しています。
そして、アヤは完勝します。そしてソウイチが言います。
「レンジ兄ちゃんに、格好良い所を見せる事が出来たね」
ソウイチのいいなりになるアヤをレンジに見せつける事が出来たね、と解釈できます。
この解釈をせずに言葉通りなら、アヤはソウイチのためにした、という解釈で話を繋げる事ができます。
「ぐっ・・・そこじゃないっ」
と繋げる事ができます。ここで重要な事は、アヤが完勝した、という事です。
アヤがもし負ければ、武闘大会でのソウイチの計画も阻止し、アヤもソウイチのいいなりにはならない、という事を示すことになります。
そうすれば、レンジは父か兄のような存在として、アヤを保護してこの作品の話はメデタシメデタシなのですが、そうはなりませんでした。
マサキとソウイチの対戦になります。
マサキはクドウが造った特注の刀を持参します。これでマサキの側にたくさんの味方がいるよ、と暗に示しています。
この大会で、どちらも本気を出すな、と言われていて、出すと反則負けになります。
『聖剣も魔剣も無し。実力を抑えて戦うように』と言われています。
魔剣の代わりに特注の武器をもってきたマサキはソウイチを圧倒します。
>マサキさんがあと一歩踏み込んでいたら、確実に致命傷だっただろう。というよりも、あそこで避けなかったら確実に死んでいた。
マサキは致命傷ぎりぎりで止め、本気である事を示します。
理由は、ソウイチがアヤをいいなりにしている事を止めたいから、ソウイチにそういった事を止めろ、と警告しています。
それを受けて、ソウイチは本気になってしまい、精霊神の加護を解放して強化してマサキに勝ちますが、反則負けになります。
ソウイチは聖剣を使っていないから反則負けにならないと思っていたのだと思いますが、女神の加護を解放させたから反則負け、とされます。
そこがユーコやマサキの狙いだったのでしょう。
この時、マサキは「スケベ」とソウイチに言い、暗にアヤに美人局させている事を批判します。
その方法が、反則ですよ、と示しています。
味方を加害する事に対する忌避感とでもいうものをソウイチに教えるための試合です。
13話『厄災と面倒毎の足音』で、その日の観戦が終わり鎧を脱ぐ場面になります。
トウドウの鎧をメイド長アンジェラがかいがいしく脱がすのを手伝います。
トウドウ=ソウイチ、アヤ=アンジェラで、レンジの計画通りにならなかった事を明示します。
着替えが終わり、会場から立ち去ろうとしますが、レンジがアンジェラへの頼み事を思い出します。
「いや。後で宇多野さんに話があるから、俺の部屋に酒を持ってきてくれって頼むのを忘れていた」
「・・・ああ、そう」
「頼んできてくれ」
「なんで僕が!?」
「いや、絶対に小言を言われるからな」
ここの会話は、ソウイチがアヤをレンジにあてがう指示を出す、という部分を表わしてもいます。
またアンジェラ=アヤ、において後で結果報告のようなものを見たいから、とも取れます。
酒は、酔う=間違う、の比喩だと思われ、計画通りにいかなかった事を指し、酒を運ぶのがアンジェラ=アヤ、です。
レンジが部屋に帰るとコウタロウが待っています。
ここでの会話でコウタロウは'エル'ではなく、'エルメンヒルデ'と言います。
これでエル=レンジを慕うアヤ、ではなく、エルメンヒルデ=ソウイチのいいなりになるアヤ、だから、今のアヤはソウイチのいいなりになるアヤで確定だ、と示されます。
ここの会話で、エルメンヒルデが忘れている記憶であるエルの記憶というものがある事をエルメンヒルデに伝えていない、という話が再度されます。
それを伝える、という事はエルとエルメンヒルデが別物だ、と言う事であり、レンジがアヤをそうみなす、という解釈になります。
「それにしても、レンジ殿。驚いたよ」
『驚いた?』
「ああ。お蔭で、面倒事は全部レンジ殿が引き受ける事になりそうだが」
「・・・は?」
この会話で、これからの展開が示されます。
ネタバレしますが、魔術都市に続いて武闘大会でもソウイチの企みを潰してくれたレンジに、ソウイチは恨みを持っています。
そのため、レンジを殺そうと計画しています。
自分が有名になりたい、お姫樣と結婚したい、というような野望の前にまずレンジを始末したい、という計画変更しています。
また、ソルネアを魔神の座に導く為に旅をする事になります。
ソルネア=黒い女=企みを持つアヤ、です。
ソルネアが魔神の座につく、という事の解釈が難しいです。
魔神の座は周囲に人も居らず、寂しい場所です。
アヤが誰とも結ばれず、他の誰かに影響を与える事のない立場になる、という解釈も出来ます。
魔神=人類の敵、なので隔離するしかない、という解釈にも取れます。
要は今まで通り、ソウイチのいいなりになるアヤ、という状況を壊すという事です。
その際に、ソルネアに争い事を嫌う、人間が好きな魔神になってもらう、という目的があります。
これはソルネア=アヤ、に自身の考えで動く女性になってもらう、という意味でもあります。
常識を手にいれ、周囲の人間と付き合い、自分の行動が周囲の人を傷つけていないか、という事が分かるようになってもらう、ということです。
これもネタバレですが、後でレンジはソルネアに「夢を見付けるまで一緒にいる」というような事を言っています。
自分で考えて自分で動いて自分のしたい事を見付けるまで傍でアヤを見守る、と言っています。
最終的にソルネアを魔神の座にはつかせるのですが、もし、アヤが旅の途中でレンジを愛するように心変りしてソウイチのいいなりにならないようになったとしたらどう話の展開が変わったのだろうか、と思ってしまいます。
それが分かると、その差から魔神の座につく、という比喩が何を表わすかが分かり易いのですが。
今のアヤはソウイチが好き過ぎてそれ以外の事が見えていません。
周囲を傷つけても気にもしていません。多少は気にしていますが、優先度ではソウイチが最優先なので行動に影響が出ません。
ですが、心の中ではそこに疑問を抱いている、という事です。
但し、ソウイチが好き、という解釈なら、です。
この後の展開で、ソウイチは無理矢理アヤにいう事を聞かせている、という解釈が出来る展開が続きます。
その辺りは作品の根拠が薄いのでどちらかがわかりません。
アヤがソウイチに依存していうとしてもそこまでするか、という部分が多いです。
だから何度でもソウイチにいいなりになっている時点で他の要因としてソウイチが好き、という感情があるのでは、と解釈します。
そういった情報は描写から省かれているので判断がつきにくいです。
ただ、トウドウとアンジェラの描写に見る限りは恋愛感情が存在しています。
ここではまだソルネアを魔神の座につかせる、という話はなく、その話をする女神アストラエラに会いに行け、とコウタロウは言います。
また「厄災が来るよ」とも伝えて、コウタロウは去ります。
そしてアンジェラが酒を持ってきます。
アンジェラは退室する時に「ありがとうございました」と言います。
これで、アヤの内心では今回のレンジの計画は喜べるものだった、と示します。
アヤ自身はソウイチを裏切るような事をする事もなく、ソウイチの企みだけが阻止されました。
「上手くいったようで、良かった良かった」
でレンジは締めくくります。
14話『剣と剣1』で、かつてアヤとエルと過ごした時の回想に入ります。
天気の話から入り、
「ああ、いや。・・・天気が崩れそうだな、って思って」
となっており、この後の展開に波乱がある事を示します。
この回想は'髪'について語られています。
解釈が難しかったので、インターネットで調べたのですが、古典から表現を持ってきてそうです。
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更級日記の18、物語が、出典のようです。
「われはこのごろきぞかし、盛りにならば、容貌もかぎりなくよく、髪もいみじく長くなりなむ、光の源氏の夕顔、宇治の大将の浮船の女君のやうにこそあらめ」
(わたしは、今は不細工だけど、年頃になったら顔もすばらしくもきれいになって、髪もとても長くなるでしょう。夕顔や浮船みたいになるかしら)
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伊勢物語 第二十三段、「筒井筒」もこの表現を使っているようです。
男性が幼馴染の女性に
「筒井うの 井筒にかけし まろがたけ 過ぎにけらしな 妹見ざるまに」
(しばらくあなたを見ない間に、私の背丈は井戸の囲いより高くなりました・・・まだ結婚しないの?)
と求婚し、それに答えて女性が
「くらべこし 振り分け髪も 肩過ぎぬ 君ならずして たれかあぐべき」
(貴方と長さを比べ合った私の髪も、肩を過ぎるほど長くなりました。この髪を上げ、私と結ばれることの出来る人はあなた以外にいるでしょうか」
と言います。
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つまり、結婚式で髪を結い上げるので、髪は長くないと結婚出来ない、という事から、相手に「髪が長くなったのよ」とあえてアピールすることで結婚できる年になったのよ、と告げる事になる、という事らしいです。
ただ、古典の出典を読む限り、結婚式で結い上げるから、か、成人女性は髪を通常は結い上げるから、かのどちらを示しているかがわかりませんでした。
掃除洗濯などの雑事でも長い髪は邪魔になるので結い上げるという部分で、そういった雑事を子供にさせる事はないから、髪を結い上げる年というのはすでに成人しているとみなされている、かも知れません。
>この世界に来た最初の頃に比べると、少女の髪は随分と伸びたような気がする。結ぶには少し物足りないその髪は、その容姿もあって少女と女性の間で揺れている彼女そのものを表わしているように思う。
「髪が伸びたな、って」
「え?」
「短い方が・・・」
「ん?」
ここの会話で、アヤが何を言いたかったのかは隠されています。この前話の展開と、美人局をしているという事実から、「短い方が良いです」となりそうな台詞です。
レンジの言葉を「もうすぐ結婚しような」とアヤは捉えたのかも知れません。だから「短い方が・・・」で、結婚する気はないです、と解釈も出来そうです。
もしくは、髪が充分長くなった、で大人の女性になった、という表現にして、恋人関係を意識させるレンジの言葉に、まだ子供扱いでいいです、と答えた展開とも取れます。
どちらであれ、レンジを否定している発言に解釈できます。
>エルが使命に関係なく初めて自分自身に関する質問をした時だったのだろう。
で回想が締めくくられます。
ここで、ソウイチのいいなりになるアヤですが、初めて自分自身の事に関する話題をした、と解釈できます。
それまではひたすらレンジに気に入られようと話を合わせていただけなのかも知れません。
ここの解釈は他から浮いていて難しいです。
単に、武闘大会でアヤ自身の思いを示した、という事かも知れません。
文自体のつながりで言えば、アンジェラの一言からのつながりが考えられます。
だから文のつながりからだけで考えれば、アンジェラの一言を表わしている、と解釈するのが妥当かも知れません。
話の展開に重要性のない部分ですのでここまでにしておきます。
目が覚めて部屋にいるとソウイチ、ヤヨイ、アヤが訪ねてきます。
アヤは頬を染めて視線を逸らしています。レンジの計画に従わなかった事に対する負い目があるようです。
恥をかくような事をして目を合わせられない、と解釈しておきます。
ヤヨイとアヤが仲良くしている状況になり、レンジが話します。
「仲が良いな、相変わらず」
「そうでもないよ」
>そう疲れたようにソウイチが言うと、関節を鳴らそうとしているのか、くるくると右肩を回している。
ここの会話でアヤをうまく操れていない事を示していそうです。右肩の調子が悪い、という表現です。
もしくは、計画がうまくいっていない、ということだけの表現かも知れません。
仲が良い、という発言の対象がレンジとソウイチと考えての「そうでもないよ」の可能性もあります
そのソウイチをサポートするかのようにアヤが言葉を繋ぎます。
「なに、何か言いたい事があるの?」
「いえ、なにも」
「・・・何か話し方が変だぞ、ソウイチ」
ソウイチの「いえ、なにも」は逆表現です。態度と口調で示しているのでしょう。
これを一人でやるとなると「何も言いたい事はありません」などと発言しなければならず、不自然すぎるからアヤを使って自分の望む展開にしていると取れます。
「そういうアヤちゃんは、不純な気持ちで頑張ってたみたいだけどね」
「な、に言ってるのよ、弥生」
『不純な気持ち?』
「そうそう、アヤちゃんってば・・・」
「わぁっ」
ここの解釈も微妙です。不純な気持ちが「レンジに褒めて欲しかったから」か、「ソウイチの為だから」なのか判断がつきません。
ただ、ヤヨイはレンジにアヤをあてがいたいからここでは「レンジに褒めて欲しかったから」を口にしてくるでしょう。
「レンジ兄ちゃん、ごめん」
「なにが?」
「いや、騒がしくて・・・」
「は、気にしなくていいさ。賑やかなのは嫌いじゃない」
「俺は、ソウイチ達が楽しいならそれでいいよ」
「・・・僕は申し訳ないよ」
この謝罪は、企みに関するものです。レンジはソウイチ達が楽しいならそれで良い、と不問にします。
それに関してソウイチは、申し訳ない、と思っている、という事になっています。
これはアヤを操って貞操を失わせた事や美人局をさせた事に対する部分でしょう。
後で、また、ソウイチは良からぬ企みをするのですが、それならなぜここで謝りに来たのかが若干疑問です。
場合により、油断させるためかも知れません。
その後に、昨日部屋に訪れたのが誰かという会話になり、コウタロウ、と告げるとアヤの態度が冷たいものに変わります。
コウタロウはアヤが肉体関係を持った初めての相手ですので、アヤの秘密を知っています。
それをレンジに話されていないかを危惧しているとも取れます。
そして、アヤの元から逃げたコウタロウなのでそれがアヤを不機嫌にさせているのでしょう。
この後の会話は割愛し、ソウイチ達に先に部屋から出ていってもらい、エルメンヒルデと話します。
「・・・夢の中のアヤより、身長が伸びていると思っただけだ」
アヤに「髪が伸びたな」とは言わず、身長が伸びたな、と言っています。
成長したな、ですが、'髪'について触れない事で男女間の物事を感じさせないように発言している、と解釈できます。
『アヤの夢を見たのか』
「・・・そんなところだ」
「はあ」
『ふふ。あとで、アヤに話してやろう』
「は・・・楽しい事になりそうだ」
ここで、昔のアヤはレンジと恋人関係になるのを嫌っていた、という事を表わす話をアヤにしたら「楽しい事になりそうだ」とレンジは答えます。
「君はそろそろ、アストラエラと向き合うべきだ」
これは女神アストラエラを女神エルメンヒルデに読みかえて、エルの死と向き合うべきだ、と解釈できます。
15話『剣と剣2』で、レンジは個人戦の控え室に入ります。
そこでフランシェスカが一回戦の相手の赤毛の傭兵に絡まれています。
その傭兵は「優勝する」などの大言壮語を吐いて、フランシェスカを口説いています。
その言葉を聞いていたレンジがエルメンヒルデとの会話の中で
「できるといいな」
という発言をしますが、それがその傭兵に向けた発言だと勘違いされてレンジが絡まれます。
絡んでいる相手がレンジだと分かると傭兵は退散します。
ここの解釈も微妙です。
絡んでいる傭兵=ソウイチ、でアヤが脅されている、というのを示している可能性があります。
また、単にレンジに助けに入らせ、周囲にレンジが、フランシェスカ=レンジを慕うアヤ、を助ける所を見せてレンジにアヤとくっつけ、と言いたいのかも知れません。
この控え室の展開では後者、試合後の展開では前者、です。
控え室で試合に使う剣を選んでいる時に先ほどの傭兵が寄って来て話をします。
「随分細いんだな、英雄ってのは」
「ん?」
「細いな、と言ったんだ」
あえて深読みすると、細い、を小さいに読みかえて、器が小さい、と解釈するとアヤを受け入れようとしないレンジに対する言葉となります。
この傭兵自体がイベントの為のエキストラです。
「昔は、もっと大きな男だと思っていたんだがな」
「そうかい。細くて(器が小さくて)すまんね」
となります。
剣を選んでフランシェスカの所に戻ると、フランシェスカが今まで着けていなかった白いリボンを着けています。
「ああ。よく似合っていると思う」
「ええ、私はムルルちゃんの髪の色と同じ白で、ムルルちゃんには私の髪の色に近いリボンを贈りました」
「それは、どうだろう」
「え?」
この会話ですが、貴族社会の恋愛ものだとかでよくあるものです。
パートナーの目の色をした装飾品をつけて、この人物には相手がいて、その人物の目が常に向いているよ、と連想させて男除け、女除け、にする、というやつです。
だから、「それは、どうだろう」と否定的な発言をします。
この控え室でのやり取りは、団体戦の結果でレンジの計画が潰れたので王国側が用意した元の計画に戻っている、という事です。
会話は進み、
「二回戦、戦えるといいですね」
となり、フランシェスカが一回戦の相手に勝つと二回戦はフランシェスカになる、と言います。
ここで赤毛の傭兵=ソウイチです。
勝てたらアヤはソウイチのいいなりにならない、という表現になります。
「もう少しくらいでいいですから、私の方を見てもらえると嬉しいのですが」
この発言は深読みすると、アヤの気持ちも少しはレンジの方を向いているとも取れますが展開にはそれほど関係しないので追求しません。
この後、フランシェスカのお守り代わりにエルメンヒルデを貸します。
エルメンヒルデ=ソウイチのいいなりになるアヤ、です。レンジはフランシェスカが負ける、と示します。
「リボンの代わりだ。大会が終わったら、俺も何か贈るよ」
あくまでレンジはアヤと恋人関係になるのを否定します。
16話『剣と剣3』でオブライエンとレンジが戦います。
話の展開で結果は出ているので戦いの内容は割愛します。出来レースとも言えます。
結果として、オブライエンの膝を攻撃し、剣を突き付けてレンジが勝利します。
'膝'の比喩が'足'を指すのかどうかもわかりませんし、解釈をしなくても良い部分なのでしません。
しても、王国の権をレンジがねじ伏せた、くらいかも知れません。
この後の台詞の方が重要です。
「あまり、ユーコ殿を責めるなよ」
という部分がやはりアヤの件にかかっていると思います。
「アヤも美しく成長したではないか。うむ、英雄色を好む。大変結構な事だ」
で話が終わります。
やはりユーコ(王国)の計画により、アヤとパートナーになれ、という部分は変わらないようです。
17話『剣と剣4』で休憩に入り、ヤヨイの能力で怪我を治します。
「ドレス、ねえ」
「む。レンジお兄さん?」
「いや。今のソウイチに、ドレスを見る余裕はあるのかな、と」
ここの会話で、企みが失敗しているソウイチにそんな余裕があるのかな、とヤヨイにチクリと釘を刺します。
「レンジお兄さんも、アヤちゃんと、随分仲が良さそうですけど?」
「どうかな」
「またそうやって・・・もう」
ここの会話は、ヤヨイがアヤをあてがおうとする話の繋げ方に対してはぐらかすレンジ、という描写です。
「大会が終わったら、ちゃんとフォローをしてあげてくださいね?」
などとしつこく話をします。
「どうかしましたか?私の顔なんか見て」
という部分で、レンジは本当にヤヨイはアヤの親友なのか、と懐疑的な部分です。
治療を終えるとクドウと会い、フランシェスカが負けた事を教えられます。
フランシェスカは負けたショックで呆然としていた、という描写があります。
クドウ=ソウイチのメイドであるアヤ、という解釈で登場している可能性があります。
ただ、会話のやり取りは父役=レンジ、娘役=クドウ、のようにも思えます。
途中、会話の流れからクドウを叩こうとしますが、どう解釈されるのが嫌だったのか叩くのを止めます。
ここの会話の
「ひっどいなぁ。これでも私、この世界に娯楽を広めるた為、日夜がんばっているんですけど?」
「半分くらいは金儲けの為だろうが」
「七割くらいです」
となっていますが、クドウ=アヤ、の場合、行動の七割くらいソウイチの為、とか深読み出来てしまいます。
それを起こる父役のレンジ、というシチュエーションだったのかも知れませんが、レンジは叩きません。
「そういうのは、ソウイチにでも言ってやれ」
「最近は、トウドウさんも面白いけどね」
「・・・アンジェラさんか?」
ここの会話で、トウドウ=ソウイチ、にかいがいしく世話をするアンジェラ=アヤ、を強調します。
「弟子、っていうほど何かを教えたわけでもないけどな。まあ、お前よりフランシェスカ嬢の方が大事だよ」
深読みすると、フランシェスカ=レンジを慕うアヤ、クドウ=ソウイチのメイドとしてのアヤ、です。
レンジはフランシェスカを探し、見付けます。
フランシェスカはあまり目立たないよう、隅の方に設置されているベンチに腰を下ろしています。
落ち込んでいるのですが、既にムルルが発見して、遠くから見守っています。
「そのリボン、似合うな」
「ありがと。・・・フランの事」
「ああ、聞いた」
フランシェスカが負けて呆然としていた、という部分で、アヤがソウイチのいいなりになる原因が発生した時に呆然としていた、という解釈が出来ます。
その話を聞いたので、控え室でフランシェスカのリボンとお揃いである事に否定的なのに、ここではムルルのリボンを褒めています。
この人の作品の悪い所でもありますが、裏側は根拠がなく、あった事実を並べて行くだけなのでなぜ裏側がそうなっているかがわからないです。
一回戦の前の傭兵を使った状況、負けてフランシェスカが呆然としている状況、そして次は3回戦でマサキとの会話の中にある台詞、なのですが、その台詞の根拠がなく、単に並べただけなのでそれが裏側の事実を示しているかが分からないのです。
それについては3回戦の内容で詰めます。
「友達の為に悲しめる人は、イイ奴だよ」
この言葉で、ヤヨイとアヤの関係と、フランシェスカとムルルの関係という対比、が表現されています。
アヤに指示してレンジにあてがおうとするヤヨイと、傷ついたフランシェスカを見守るムルル、という対比です。
レンジはフランシェスカの近くに行きます。
隣に座るのですが、慰めの言葉を言いません。
ここの会話はこれからの展開を表わすので、レンジはまだアヤの恋人になる気がないので慰めません。
そして、フランシェスカを心配するムルルがいる事を伝えます。
そしてレンジは二回戦に向かうのですが、勝つという約束をさせられます。
赤毛の傭兵=ソウイチ、なのでアヤをソウイチの呪縛から解放してあげて、となります。
フランシェスカにその試合を見ておけ、と伝えていますが、慰める事なく伝えているので、戦い方を見せて、次は自分で勝て、という表現になっていそうです。
あくまで恋人役を避けるレンジなのでしょう。
第4章『幕間3』で、マサキの所にソウイチが仕掛けます。
レンジが2回戦を戦っている時に仕掛けています。
ここでのソウイチの会話は台詞ではまともですが、恐らく態度と口調でその意図を表わしています。
威圧の類です。詐欺師がよくやる方法です。
相手に威圧をかけながら「大丈夫ですか」などと聞いて、「大丈夫」という発言で何かの危険を連想させてから威圧して脅迫している、という方法です。
台詞だけを見ると「脅迫していない」と言える方法になります。
ここでもソウイチはそうやってマサキを脅しています。
「マサキさんがどうしてるかなぁ、って」
という部分もそうです。
「えっと、それで何だったっけ?」
「いや。マサキさんは大丈夫かなぁ、って見に来たんだけど」
「え?」
「ほら。次の次の相手はレンジ兄ちゃんが相手だし。なんか、意気込み過ぎてないか心配だったから」
「・・・それはどっちかって言うと、ヤマダさんじゃない?」
というように、威圧しながら「大丈夫かなぁ」と発言して従わなければどうなるかわからないぞ、と暗示します。
そしてレンジとの試合をあえて口にする事で、自身の目的を臭わせます。
「ソウイチ君はどう思う?
「ん?」
「ヤマダさんよ。・・・あの人、隠し事をしているわよ?」
ここは、マサキがソウイチに仕掛けています。レンジの部分をソウイチに読みかえるのが良いと思います。
「でも僕は、レンジ兄ちゃんが教えてくれるまで、待ちたいよ」
これで、ソウイチ自身は話す気もない、と解釈出来ます。
「早く、ヤマダさんを斬りたいなぁ、って」
「ほら、難しい事を考えるより、身体を動かす方が得意だし」
「なら僕が付き合うよ」
「あら。ほんとう?」
「じゃあ、今夜、付き合ってくれる?」
「うん、もちろん」
「そ、そっか」
となり、マサキはソウイチの考えを代弁してみると、ソウイチがそれに乗ってきます。
マサキはそれに驚いて戸惑います。
マサキは対価を貰ってソウイチ側に一時的に移ります。
それをレンジは試合場から見ています。恐らくはユーコ辺りが監視していたのでしょう。
2回線の対戦相手の赤毛の傭兵は全力を出し切った、という満足そうな顔で退場するのですが、それを見てソウイチは困ったような、どう反応すればいいのか、微妙な表情で固まっています。
団体戦の内容を表わしている展開だと思え、その結果に満足したソウイチ、という描写にして、それで満足しろ、と伝えているように見えます。
そしてそれを見たマサキはソウイチがまだ諦めていない、という部分で溜息をつきます。
18話『剣と刀』でマサキとレンジの対戦になります。
ソウイチに買収されたマサキの相手にするリスクの為にユーコが審判をします。
その手配をしたレンジは少しだけ口元を緩め、マサキは事故を装って殺すという手段が封じられて溜息をします。
ほんとうに殺すか重傷で止めるかはわからないですが、恐らくは事故に見せかけて殺す、という方法だと思います。
「なんだ。ソウイチと、何か良い事でもあったのか?」
「・・・む」
ここの会話で、ソウイチとのやり取りは全て筒抜けだ、と念押しします。
「ま、そのソウイチとは決勝戦で戦うんだ。勝って、何か言う事でも聞かせてみたらどうだ?」
「え?」
「ほら、よくあるだろ。『勝ったら言う事を聞け。負けたら言う事を聞くから』って」
「その手があったか」
ここでマサキはレンジが勝つつもりがない事を知ります。
その後の話が、恐らくアヤとソウイチにあったやり取りになると思われます。
一回戦前にフランシェスカを口説いた傭兵。負けて呆然としたフランシェスカ。そしてここの『勝ったら言う事を聞け。負けたら言う事を聞くから』です。
これをつなぎ合わせます。
ソウイチの能力は自身が負けないと思っている間は負ける事がない能力です。
ソウイチはアヤにわざと負けてあげるからアヤが勝ったらアヤの言う事を聞いて上げる(アヤが付き合ってと言えば付き合う)のような話術でアヤを騙して試合を受け入れさせてアヤに勝ち、「一生僕のいいなりになれ」とでも言った可能性がある、という事です。
それを愚直に受け入れて従い、また、恋愛感情がある事もあって逆らえないアヤ、というのが見えてきそうです。
『勝ったら言う事を聞け。負けたら言う事を聞くから』がいきなり出てくる根拠はこれくらいしか思い浮かびません。
唐突すぎて根拠がないです。だからこうつなげていいかがさっぱり分かりません。
ですがわざわざこの言葉を使う理由が他にないです。
これだとアヤがいいなりになっている根拠の補強にはなります。なくてもアヤがソウイチに惚れてる、という部分だけでもつながりますが。
ただ、決勝戦でそう言ってソウイチを制御しろ、と言っているように見えます。
三回戦の勝負はマサキの勝利です。
傷の付けられ方と勝負のつき方がソウイチとマサキの勝負と同じになるようです。
どちらも勝ったのはマサキですが。
ただし、ソウイチは能力を使って反則負けで、マサキの首へ剣を突き付けている状況でした。
レンジは実力で後一歩の所でレンジの首にマサキの刀を突き付けられる、という状況です。
その手前に、致命傷を受ける可能性のある攻撃をレンジは実力で致命傷を回避しています。
ソウイチの時はマサキが手加減しているはずです。
そして、マサキが事故死にみせかけようとしたのをレンジは躱しているという事です。
その後にレンジが手加減したかはわかりません。
結果として一部を逆にして、ソウイチとマサキの勝負と同じ展開に収まります。
レンジの思惑がどこにあるかがわかりません。
ソウイチ側についたマサキを、ソウイチにけしかけるのが目的だったかも知れません。
「よくて引き分けってところ、か。はあ・・・今更強くなってもねえ」
という言葉が意味深です。
これを前提にあった、用済みで王城から追い出された、という部分に対する言葉を解釈しておきます。
あの時、今の強さがあれば、アヤの事もこんな事にはならなかったのに、という後悔とも取れます。
ごった煮なのでどの展開について話されているかがよくわかりません。
19話『幸せだという事』で個人線を終えたレンジは着替えをします。
着替えを終えて部屋を出るとアヤが待っています。
「少し、話がしたいなあ、って」
>嬉しそうに微笑んでいる。機嫌が良いのだろう、そういう感情が伝わってきて、俺も笑顔を浮かべた。
ミスリーディングがあるのでどこまで信用出来るかが微妙ですが、ここでは昔のレンジのように段々と戻って来て、試合でも格好よかったのでアヤは出迎えに来た、と解釈しても良いかも知れません。それでもヤヨイ達に指示されている可能性がありますが。
レンジが負けてソウイチが決勝に進む、という展開になった事で機嫌が良いなども考慮するとここの描写の解釈が出来ません。
この後はレンジとアヤが屋台の食べ歩きした後に、町の様子を眺めるだけですが、その会話が今後の展開につながります。
「それに、皆が楽しそうです」
「いや、俺と同じような事を考えるんだな、って」
「そうですか?」
「俺もさっき、同じような事を考えていた。皆が笑顔で、それを守ったのは俺たちなんだ、って」
「ーーーはい」
この会話はアヤが戦争や争い事を望んでいない、ソウイチにいいなりになるという事を除けばいたって普通の女性だと言う事を示しています。
ただ、少し前に書いたように、自分の考えで動く、という事に慣れていません。
その後、フランシェスカ達と合流します。この話はモラトリアム(猶予期間)のようなもので展開にはほとんど関係しません。
アヤがフランシェスカと楽しげに会話しているのにソルネアが会話に興味ない、という部分が多少気になるくらいです。
20話『神』で、女神アストラエラと再会します。
アストラエラはネイフェルの復活について語ります。
魔神の心臓、と呼ばれていた部分が「本体」であって、その欠片から眷族が生まれています。
砕かれた心臓の破片全てから眷族が生まれるので大量に発生するだろう、と言っています。
ですが、すべてを退治するとなると、その間に一部の眷族を使ってネイフェルの復活が行われる、とも言っています。
ネイフェル不在の状態で魔物達が活発化している状況の説明もしています。
ネイフェルがいた間はネイフェルが魔物達を抑えていました。
魔神の性格が魔物の行動に影響を与える、と説明しています。
ネイフェルが復活しても、以前と同じネイフェルかどうかが分かりません。
復活の際に、エルメンヒルデと同じように記憶が完全に元に戻らないから今度のネイフェルは神の一柱としての意思を持っているのかどうかすらわかりません。
アストラエラはネイフェルの代わりを用意して魔物を抑える計画を立てています。
戦いを嫌う魔神を、神の座に導け、とレンジに言います。
導く魔神の眷族がソルネアで、人間が好きで、争いを好まない性格になってもらう必要があります。
4章では、アヤが心の奥底では争いを嫌っているが、ソウイチの命令に逆らえないからレンジが助けようとしてもレンジの言う事は聞かない、という話になります。
ソウイチは計画の邪魔をするレンジが憎く、殺す計画を立てます。
レンジ側はそれでもソウイチ達を殺さないようにしてはいるのですが。
レンジが殺されないように周囲はサポートしソウイチの計画を潰す、のが今後の展開です。




