神殺しの英雄と七つの誓約(3章)
3章に入ります。
1話『王都への道1』で、獣人ムルルが登場します。ムルルは急ぎの用で王都に行く必要があり、ギルドに依頼を出しています。
その急ぎの用は、ユーコへの届け物になっています。
急いで行こうとするムルルをなだめて、食事に誘います。
ムルルは金銭を持っていませんが、その事情を話します。
「うむ。先日冒険者を助けたのだが、その夜に財布を盗まれてな」
「私はあまり金銭に頓着していなかったからな」
これはレンジの事情です。なのでムルル=魔神討伐後のレンジ、の比喩として使われます。
ムルル=純真無垢のレンジ、とも悩んだのですが、その場合はどういった意味をつける事が出来るかがあいまいになるので、止めておきました。
両方でもいいかも知れませんが、使われ方は前者が主です。
何にせよ、これでムルルが王都へ行く必要がある、つまりはレンジに王都へ行け、と暗示がされています。
また、深読みになりますが、この台詞の解釈ですが、レンジに、アヤを断ったのなら資金援助しないよ、という警告にも聞こえます。
レンジにアヤを押しつける計画にかけたコスト分損をした、という解釈にも取れます。
2話『王都への道2』でムルルが王都へ行くための護衛の依頼を出します。
その後にムルルに金銭の大切さを教えるために魔物討伐の依頼をします。
これは今までのレンジを表わすためのもので、現段階の状態を表わすためのものでもあります。
成人の儀をムルルは終えている、と言っていますので、レンジもようやく一人前、という解釈が出来ます。
理由は、魔物討伐の依頼を避けていたが、観念して受けるようになったからです。
その後のムルルとの会話で、
「ん、問題無い。もっと多くても・・・五匹くらいなら簡単に相手が出来るぞ」
と言う会話であえて言葉を選んでから、五匹という数字を出しています。
ゴブリン5匹、で以前と同じユーコ、ソウイチ、ヤヨイ、コウタロウ、クキを表わしていると思います。
アヤの保護という視点では問題がない、という事でしょう。
また、アヤをレンジに押しつける、というのはユーコ側の思惑も、そしてソウイチ側の思惑でも一致しているが、レンジはそれに対抗する気になっているのでこの発言になっているのでしょう。
この話の最後に、護衛の依頼で、魔術師を雇うのを期待したが雇えないだろう、と言っています。
報酬額が少ないので難しい、ですが、同時にそれ以外の目的があれば受ける事が出来る依頼であり、結局はアヤが来ます。
また、雇えないだろう、という描写の後に次の幕間につながり、賢者ユーコの話になります。
そのため、アヤの保護(アヤを恋人ではなく、親や兄のような存在として)はユーコ側の意図としては賛同できない、という表現かも知れません。
なぜなら、美人局を止めさせたいからです。
ソウイチ以外で、アヤが恋愛感情を若干持ち、兄や父のように慕っているのはレンジだけです。
第2章幕間『賢者の一幕』でユーコの話になります。ここでコウタロウが登場します。コウタロウはエルフレイム大陸に逃げているようで、ユーコの所へは転移魔法で現れるようです。外見をみすぼらしくして変装している、という所でレンジと印象を被せます。
これはコウタロウにアヤの間に起きた事件をレンジとアヤとの間にもあった事だと暗に示すためです。
ちなみにアヤとレンジの肉体関係はありません。あくまで美人局として行動していたアヤとの間に問題が起きた、という事だけです。
その中の会話で今後の展開の話もしています。
「何しに来たの?残念だけど、私は忙しくて構ってあげれる時間が無いんだけど・・・ユータ君の手伝いでもしていく?」
とユーコが尋ね、アヤ、ひいてはソウイチの企み関係の手伝いをして、と伝えます。
アヤの現在のターゲットがクキ・ユータだからです。
ここでの会話でコウタロウは引き受けないという否定的な言葉を示しますが、言外の態度で引き受ける事を示しているのでしょう。
実際にはほぼ行動せずに、恐らくは気づかれないように監視する側で行動して、後の話でレンジの前にだけ姿を現します。
コウタロウは予知でレンジが王都に向かう途中に襲われ、死ぬという事を告げます。
それに対してのユーコの態度はそっけないです。
これの解釈は難しいし、展開にもあまり関係ないので深くは追求しません。
ユーコの態度がそっけない理由として、まず、レンジがパートナーになるのが気にいらない、という部分もあるかも知れません。
次に、裏側の展開として、レンジはエルの死で表現される展開で、エルの為に涙します。これはアヤの事を愛していた、という感情を示していると思いますが、その時にユーコはレンジを慰めるのですが、同時にユーコはレンジの想いが自分にはない、という事を知ります。
なので、そっけない態度になっているのでしょう。
いわば肌を重ねた事があっても、元カレ程度の感情になっていると思います。
3話『王都への道3』で、アヤと合流します。
ここでの会話で、
「勉強は大丈夫です。あとは・・・私が危なくなったら、また助けて下さいね?」
「・・・」
「・・・えーっと、返事は・・・」
と続き、また何か問題事が起きますよ、という警告のようなものがレンジへと伝えられます。
そして出発が伝えられますが、ムルルは眠そうにしています。
これを深読みすべきか悩むのですが、夢か現かという状態のレンジを比喩している可能性もあり、何を指すのかがわかりにくいです。
この場合、'眠らされた'という比喩は、'騙された'という意味を持つのですが、では眠そうな状態というのはどう解釈され、また、何を意味するかがわかりにくいです。
この先の展開で騙されて何かあるかも知れない=魔物に襲われるかも知れない、という解釈にしたいですが、つながりが薄いです。
王都への旅は腐霊の森を通過する予定になっています。
霊とは目に見えない存在や誰かの思惑や誰かの計画、を現す比喩に使われる事があります。
ファンタジーではそれ自体が対象となりうる存在ですが。
腐霊ですので「腐った考え」などと解釈出来、恐らくは、アヤをコウタロウにあてがおうとした計画がすでに腐ったもの扱い、過去の話である、とつなげたいのだと思います。
ただ、ソウイチ達によりアヤが操られて登場していますので深読みすれば'ソウイチの腐った考え'とも取れますが、こちらは根拠が薄いでしょう。
4話『王都への道4』でフェイロナが疲れています。ファイロナ=紳士的なレンジ=魔人討伐前のやる気のあるレンジ=アヤが好きだった魔人討伐前のレンジとした場合、これでここで起こる物事に対するレンジの心情を表わしているとも言えます。
夜になり、夜番でフェイロナが先に寝て「・・・では、ごゆっくり」と言い、アヤとレンジの2人だけの会話になり、お互いに話し合え、という展開になります。
ここからの会話は深読みしそうになりますが、読者側からはあいまいな部分が多いです。
「寝なくて大丈夫か?」
「えっと。・・・はい」
で、アヤがそのまま寝たら、話す事もない、で済むのですがそうでもないという事になります。
「ああ、そうだな。昔はよく、こうやって一緒に火の番をしていたな」
「・・・。はい」
という会話で、昔の関係をレンジが示しますが、アヤはあえて時間を置いて答えます。
昔、というのはアヤが美人局としてレンジに近付いていた、という部分だと思います。
「魔術学院はどうだ?楽しいか?」
「レンジさん、お父さんみたいな事を聞くんですね」
「・・・そうか?」
アヤの恋人関係について問わないレンジにもっと別の類の話題を求めている、と取れます。
レンジは兄や父のような態度で接しようとし、アヤはユーコやソウイチに指示されたように恋人になろうと行動しています。
「なぁ、アヤ?」
「ふふ。今度はなんですか?」
「んー・・・」
「もう」
という展開で、男女間によくあるような話が出てくるのを期待するアヤと言葉を選ぶレンジ、となります。
ですが、レンジが何も口にしないので、アヤが溜息をつきます。
「魔術学院。楽しいですよ。友達も出来ましたし、難しい魔術書をたくさん読めますし」
『友達か。アヤなら、男友達も多いだろう?』
とエルメンヒルデが会話に参加しますが、アヤははにかんだ笑みを浮かべるだけです。
アヤとしてはその切り返しがされるとは思っていなかった、という事です。
暗にレンジ以外の男とどうだ?、という言い回しになっています。
「ま、楽しいならいいさ。学生同士、友達と遊ぶのは大変だ」
「・・・それだけですか?」
これで、男女間の関係の進展がない方向性になったので、アヤがまだ話は終わっていないと不満を表わします。
ですが話はあいまいなままに終わります。
そしてアヤに「寝ろ」とレンジが告げると、
「レンジさんが寝る番になったら、寝ますよ」
「他の誰かにも同じような事を言ってるんじゃないだろうな?」
「言いませんよ。レンジさんにだけです」
>アヤがくすくすと笑う。
なんですが、こういった比喩を用いて話をつなげる作品ではこの描写にもここだけ比喩のようなものが表現されている可能性などを考慮する事になり、冗長な深読みをする事になります。笑う=おかしい、から、その台詞が嘘ですよ、という解釈につなげる事が出来ます。
ですが、それでは、普通の会話での笑いすべてが同じ表現かと言えば違います。裏側を表現する時に使うのですが、「くすくすと笑う」は間違っている、嘘を言っている、という時に使われます。誰かが言った発言が嘘だと言う時に、その相手がくすくすと笑う、という描写が入る事があります。
ただ、これを使う場合には、そういった使い方をしていない場書との明確な区別をつけた文章表現が必要になり、それがないと、どこで使って、どこなら使っていないかの明確な違いがわからなくなります。
ここではアヤの台詞自体に笑いが付随しています。
ただ、現実は、作者がそれをわかってその表現を使っているか、また、作品中の人物がそれをわかって使っているか、という部分が問題になるので深読みすべきかどうかの判断がつきにくいです。この判断が出来るのは、既にその事実を知っているか、この後の展開で事実が判った後に読み直すかでしか判断がつきません。
ここでは、書き手の私が、作品を読んで、アヤがコウタロウとクキに肉体関係をもっていることから、同じような事を言っているという事実があると推測できる、という部分からこの笑いを、'自身の発言が嘘である'という表現を含んでいる、と解釈しています。
それがないとすれば、'くすくす'が単なる写実描写の表現として作者が用いてしまったのか、意味が付随しているのかの判断が出来ません。作者の頭の中を書き手の私が全て把握しているわけもないので。
この'くすくす'という笑い方の使い方などは、こうやって比喩として裏側に仕込むと解釈の難易度がかなり上昇します。先程書いた2つの事例以外に、作品の人物が間違っていると思っているからくすくすと笑うが、作品中ではその人物が間違った事実を認識しているからそうしてしまった、という展開もあり得ます。だから、'くすくすと笑う'を作者がこれが嘘だ、と断定して使ったからこれは嘘である、とみなして読む事が出来ません。読者側は作者がその用法を知っているか、作品中の人物がその用法を知って使っている事になっているか、それがその作品中の人物の認識間違いによって発生していないか、などを考慮する事になり、読みにくい事になります。
私も結局は全体を俯瞰してここの描写を判断することになりました。
問題があるとすれば、この作品中、口汚い言い方になりますが、アヤは実は頭がそれほど良くない、という扱いになっています。勉強は出来ますがそれだけで、貞操観念や人つき合いなどでは頭の良さを発揮できず、自身で考えて行動する、という事が苦手です。教わった事や教えてもらえる事を根拠にして行動するのは得意です。だから、不測の事態では、ここ以前にもあった表現ですが、「テンパる」事になります。そして、周りの強要などに弱く受動的に行動をし、状況に流され易いです。
そしてアヤの方からアプローチし、レンジの隣に座ろうとします。
「昔、旅してた頃もそうやって来たな」
「・・・もう」
とレンジは牽制してしまいます。
5話『腐霊の森1』で、フェイロナはどんどん弱って行きます。
ここから、アヤとレンジの主導権争いになります。
アヤはユーコやソウイチの計画通りにレンジと恋人関係になるのが目的で、レンジはそうしたくない、というやり取りになります。
レンジは魔神などの相手以外では弱い設定なので、アヤの助けが必要になります。
アヤはレンジを助ける事によって、レンジから譲歩を引き出そうとします。
この森で、魔神の眷族である、蜘蛛型のスケルトンに遭遇します。スケルトンは骨で出来ているので、計画の骨子とも解釈できます。蜘蛛型で罠に嵌める虫と解釈できます。
このスケルトンの足跡を見付け、同じ方向へと向かっているので追跡しながら旅を続けます。
6話『腐霊の森2』で、ムルルとレンジが会話をします。フランシェスカの料理も比喩に思えますが深読みはやめておきます。かなり味の悪い料理、という事でレンジ達が苦境に立たされる罠が計画されている、とも取れます。
その後にムルルがレンジに聞きます。
「・・・レンジは」
「ん?」
「なんだ?」
「料理は出来る?」
という内容で、レンジにアヤとレンジのやり取りにおいて何か計画を建てて実行するという事が出来るか、と聞いて来ます。
この後で、
「今度、フェイロナかアヤに料理を教えてもらうか?」
「私は食べるほうがいい」
で、レンジに他者が作った計画で動け、と暗に示します。
同時にフェイロナ=アヤが好きだった魔神討伐前のレンジ、アヤ=ソウイチ達の指示でレンジと恋人関係になろうとしているアヤ、のどちらからも計画の手ほどきを受けない、どちらも選ばない、という解釈も出来ます。
「なあ、ムルル」
「なに?」
「王都で精霊神の依頼を果たしたら、その後はどうするんだ?」
「森に帰る・・・と思う」
「そうか」
「まだ判らない。森の外にはご飯がーーー」
この会話で、レンジはアヤとの問題が片付いたらまた冒険者稼業を一人でやっていくつもりだ、と示されます。
ここでスケルトンの襲撃が来ます。
展開としては、周りの計画ではレンジにアヤを引き取ってもらわないと困る、という表現になっているのでしょう。
襲撃を受け、レンジは右腕を失う直前と言える程度の傷を受けます。
それを見てムルルの気持ちが落ち込みます。
これは、レンジの'右腕'はレンジが持つ資源を表わします。
ここでは恋愛関連に限定して、アヤを表わします。レンジが死にそうになる程の深い傷を受けた=アヤが純潔を散らした、を表現しています。
それを見て落ち込むムルルは、その出来事に対するレンジの心情を表わします。
この襲撃の時、レンジとムルルだけの状態だったので、フェイロナ達と合流しようとしますが、居場所がわかりません。
レンジから見たアヤの立ち位置が不明、という表現だと思います。
ここのエルメンヒルデとの会話は深読みしないでおきます。
7話『腐霊の森3』で、野営場所に戻りますが、そこには大きな落し穴があります。
アヤ達は恐らくその底にいる、という描写になります。
これは、ユーコ達王城の人間がアヤとコウタロウをパートナーにした事に関連します。
物語の展開としてですが、魔神の復活に関連して、レンジの存在が重要になります。
2通りの解釈をします。
裏側の前提として、用済みだから追い出した、という状況だとすると、なんとかレンジに帰って来てもらいたい。
そのためにアヤをあてがうとすると、コウタロウとパートナーになって肉体関係になり貞操を失ったという事実はレンジの不名誉そのものです。
レンジとアヤを結びつけようとするなら、その計画は結果的にアヤを、落し穴に落とした=罠にはめた、事になります。
そのため、腕の怪我と落し穴に落ちた、という事でアヤの現状を表わします。
もう一つは今まで書いて来た内容通り、ソウイチ達の企みを阻止するためにレンジの存在が必要ですが、ここでも同じようにアヤがコウタロウと関係を持ってしまっている事はレンジにとって不名誉な事なので同じ表現として落し穴に落ちた、と描写されます。
また、魔物の襲撃はレンジへの奇襲であり、見えない所から行われました。レンジのこれで見えない所で起こった、という深読みもできます。
「心配じゃない?」
「仲間を信じてるんでな。フランシェスカ嬢は心配だが、アヤとフェイロナが居るから大丈夫だろ」
という会話があり、フランシェスカ=レンジを慕うアヤ、について話しているという深読みも出来ます。
穴ですが、恐らくはアヤ自身が掘ったものでしょう。自ら墓穴を掘る、という表現に思えます。
この後、ムルルとレンジでスケルトンを倒す算段を立てます。
ゴブリン5匹なら倒せる、という表現から、スケルトンを倒すのは難しい、に変わってもいます。
「けど、このまま何もしないつもりじゃないよな?」
「うん。あの骨の怪物を倒す」
「その通りだ」
この会話でレンジの意思がわかります。
「俺が囮になってあのスケルトンを誘き出す。ムルルが不意打ちで、尻尾を根元からへし折ってやれ」
この言葉で、'尻尾をつかむ'という表現を用いて、'へし折る'という部分から、計画を壊す、という解釈が出来ます。
この後、制約の話になり、
「なら、約束してくれ」
「やくそく?」
「絶対死なないと。生きると。どんな事になっても諦めないって」
という会話ですが、この計画に対して、レンジの意思を表わしていると思います。
計画ではアヤをレンジに押しつける、という目的がありますが、レンジはそれに徹底的に逆らうつもりです。
また、ごった煮なので、ここでいやらしい解釈も出来ます。
話全体に関わるのですが、レンジは弱いです。
だから常に周りに助けてもらう必要があるので、ここで'お願いしている'という解釈も出来てしまいます。
「約束してくれるなら、俺が絶対お前を王都へ連れて行ってやる。みんな一緒に」
という言葉で、'俺を殺さないでいてくれるなら、そちらの目的通り王都へは行って上げる'とも読めます。
この解釈は、一回目の魔神討伐においても、弱いから他よりがんばらないと居場所がないからがんばっていた、という部分を受けて解釈されます。
また、「皆を守るから、皆も俺を守ってね」というレンジの主張だと解釈も出来ます。
弱いレンジなりの身の守り方、というものです。
この解釈は話を読み辛いものにするので基本的にしないでおきます。
面白くなくなるので。
ただ、端々にこの解釈が出来そうなエピソードが挿入されているのもごった煮の特徴だと言えます。
コウタロウがやたらとレンジの「死」を予知したりする事も、「死」という言葉を使ってレンジをいいように動かしたい状況で、それが成立する状況でもあった、と深読みが出来ます。
こういった解釈が出来るのでレンジは神の'器'、後で出てくるソルネアも'器'と表現されるとも言えます。
読み辛い解釈はやめておきます。
8話『腐霊の森4』になり、スケルトンと戦う前にゾンビと戦います。この辺りは追体験、と言うべきか、1年間のレンジの生活を表わしている可能性があります。
アヤがコウタロウと関係を持った後、レンジはそうしていた(村人達に商行為などで騙されながら苦戦していた)、という展開に見えます。
ゾンビを倒していて、怪我の影響で疲労困憊します。この状況が物語の初めのレンジの状態、という事で、ようやくスケルトンが出てきます。
苦戦しながらスケルトンの尻尾をへし折る事に成功します。
その後に、
「俺がお前のご主人樣を殺したんだ」
「お前も殺してやる。骨野郎」
という言葉をレンジが発します。ご主人樣=ソウイチの本来の計画、骨野郎=コウタロウとアヤからレンジとアヤをパートナーにする計画、と解釈も出来ます。
9話『腐霊の森5』で苦戦しながらスケルトンと戦います。
「なら、俺が攻撃を受ける。今まで通り、攻めろ」
「・・・いいの?」
「ああ、いいんだ」
という会話で、計画を受け入れる、という表現になっていると思います。
最終的には逆らうが、死なないためにひとまず、アヤの件は受け入れる、という解釈でいいと思います。
それが、レンジから見てアヤが貞操を失った、という事実に対するものかアヤとレンジのパートナー関係であるかはあいまいです。
攻撃を受け、レンジは危機に瀕します。
「だがま、諦められんよな」
「さ、てーーー」
「ナメるなよ、クソ骨」
と言ってまだ戦おうとすると、アヤからの支援攻撃が届きます。
「・・・なに?」
とレンジは驚きます。
この解釈が難しいです。
アヤとパートナーになる件を受け入れたから、アヤは支援をした、という解釈が出来ます。
別として、アヤとパートナーになる事を拒むという事実に対して、アヤは支援した、という解釈が出来ます。
そのどちらかで、逆の要因になります。
また、レンジとアヤの主導権争いにおいて、レンジに死なれては困るから、ギリギリで助けて恩を売った、とも解釈できてしまいます。
裏側に盛りこむと作者が意図した考え以外の表現を読者側は考慮する必要が出てきます。
ここでは、アヤとパートナーになりたくないレンジを支援、そして、主導権争いの2つを要因としておきます。
魔物を退治したら、アヤが魔術で穴の底からフランシェスカ、フェイロナの順に押し上げ、最後にアヤが上がって来る順になります。
フランシェスカとの会話で
「しかも地下には、スライムの大群まで居たんです。アヤ樣が居て下さって、本当に助かりました」
「・・・スライム」
とあります。この会話を下品に深読みして性的な表現とみなすと、アヤが誰かと肉体関係を持って貞操を失った、と解釈できます。
下品な勘ぐりですが、バスXードという作品で砦でのヨXコとスライムさんの関係みたいなものです。
まあ、スライムが人気なのは、スライム=粘菌のイメージの関連付けがあるからだと思いますが。
「スライムいいね!」などと言わされていると、何を言わされているか気をつける必要があります、がここでの話に関係ないので触れません。
フェイロナが「そちらも大変だったようだな」と言って'右腕'を見ます。
「ああ、死に掛けた。生き残れたのは、ムルルのおかげだ」
とレンジが言いますが、ムルルの扱いが、この章では二重の定義を持ってしまっているように思えます。
ここでのムルル=レンジを助ける王国、です。
ムルルとの出会いの会話で例に挙げた「財布を盗まれた」という部分は、レンジを助けたが、その夜に拒否を受けて、かけたコスト分だけ損をした王国、とも取れるからです。
元々、フランシェスカもムルルもソウイチの企みを潰すために用意された人員です。
あまり追求する内容でもないのでここはこれ以上深読みしません。
その後にアヤが'顔を泥で汚しながら'穴から出てきます。
顔を汚される=恥をかかされる、です。スキャンダルに巻き込まれて恥を書く事になったアヤ、という事です。
そこで再会、という事になります。
そしてレンジが怪我で意識を失います。
これなんですが、これはこの展開だと、本来はアヤが意識を失う、というのが正しい表現です。
女性がスキャンダルに巻き込まれた、という事をその事実を明確に告げずに周囲に知らせる時に、該当する女性が、何か性的な意味あいを持つように配置された人物の前で気絶する、もしくはそのスキャンダルの相手の前で気絶する、という表現方法があります。
なので、ここではその解釈の亜種として、アヤがスキャンダルに巻き込まれた事を知って、ショックのあまりレンジが気絶した、と解釈しておきます。
10話『山田君と宇多野さん』になり、この話の手前の展開から続いて、'エルの死'の回想に繋がります。
エル、エルメンヒルデの表現は変わってしまったエル、という事で、アヤをエルで表現し、貞操を失ったアヤを示したりしています。
「私は、お前の泣き顔より・・・笑顔が好きなんだ」
という言葉の解釈はここではしないでおきます。
個人的には1章のレビューで書いたように捉えています。
実際にアヤとレンジの会話で出た展開の要約かもしれません。表面上は普通にこれからもしていてください、というアヤのお願いとも取れる内容です。
結果としては、レンジは王城を去った、という話の流れが綺麗です。
目が覚めると王城にあるベッドに居ます。近くのテーブルでアヤが寝ています。
そしてユーコが登場し、会話をします。
「ふふ。ヤマダ(レンジ)君にどんな考えがあろうと、この子にとってはどうでもいい事よ」
これによって、レンジがアヤを拒もうと拒むまいと、アヤを押しつける、という意志表示がされています。
「大切な人に寝顔を見られた。それは、とても重要な事なんだから」
「・・・」
>そんな事を言い出した宇多野さんから視線を逸らす。
ユーコの言葉にレンジは懐疑的なので視線を逸らしています。そんな事はないだろう、って事です。
「大切にしてあげなさい」
「大切にしているさ。俺なりにだがね」
>その視線が冷たく、鋭くなって俺へ向けられる。
という会話で、'レンジなりに'大切にしている=父や兄のような存在として、と、'ユーコ達の望む'大切にしている=恋人としての存在、のやり取りがあります。
ユーコはその返答が気に入らないようです。
この後の会話に細かいやり取りがあるのですがそこは割愛します。アヤの証言とレンジの証言の食い違いをレンジが誤魔化します。
その後の会話ですが、
「なら、尚更でしょうよ。この子にとっては、貴方が特別なのだから」
「それはそれで困るんだけどな。俺は、特別な人間じゃないんだし」
となり、ユーコは、アヤの特別な存在であるレンジ(恋人)、という事にしたいが、レンジは自分がアヤの特別な存在(恋人)じゃないと主張しています。
その後で、王城へはどうやって来たか、を尋ねます。
ここでの会話で、
「あらら。アヤの泣き顔も見逃したみたいね」
「それは見なくてよかったと思うがね」
となり、アヤの嘘泣きを見なくて良かった、と深読みが出来ます。
「俺は泣き虫なんでね。泣き顔を見せられたら、俺まで泣くさ」
「そうね」
>どうしてこんな時だけ、そんな優しい視線を向けてくるのか。
とありますが、これはエルの死の時に泣いてしまったレンジを見たユーコだから知るレンジの性格を表わしている、という部分でしょう。
ここでの話の流れには関係無いですが。
話の中で、王城へは竜王ファフニィルにより運ばれて来た、となっています。ユイにどういった比喩かの深読みはここでは避けます。
「さて、ね。イベントは近いけど、そんなつもりは私にはないわ」
>私は、のところを強調しながら言う辺り、おそらく誰かが裏で動いているのだろう。
この部分で、何かの企みがあり、それがソウイチの企みだ、と暗に告げています。
そして、ムルルが運んで来た物について話します。
物は魔神の心臓の欠片です。
これが、魔神の心臓=ソウイチの企みの主要なもの、その欠片=アヤ、とするかどうかです。
どうであれ、魔神の心臓の欠片を王城へ運ぶ事でソウイチの企みがある、と示しています。
また、精霊神の依頼で、女神の加護のある大陸に運ばれて来る魔神の心臓の欠片、というものでソウイチを指していると思われます。
ソウイチは女神アストラエラから勇者と呼ばれるだけの能力を授かり、旅の途中で精霊神からも加護と聖剣を貰っています。
ソウイチだけが女神アストラエラと精霊神ツィネリィアの両方から加護を受けています。
だから精霊神からの依頼で運ばれてきた魔神の心臓の欠片、でソウイチを示している事になります。
「魔神が復活するのか?」
「いいえ、させないわ」
「私達はその為に居るのよ、ヤマダ(レンジ)君」
「アヤは起きないな」
「ええ、魔法でねむっているもの」
この会話でユーコはソウイチの企みを阻止する意思を示します。言ってしまえば英雄13人からすれば身内の不始末です。
それをどうにか出来ない場合は他の英雄にも疑惑を持たれます。
アヤは起きないな、という会話は、アヤは眠ったまま=目を閉じている=盲目、現実が見えていない、と解釈出来ます。
魔法で眠っている、で、'魔法'は何かの詐欺行為や誘惑を指し、眠らされている=騙されている、と解釈出来ます。
ここでユーコからレンジへ口付けをされます。
これはユーコのレンジへの感情ではなく、命令です。
眠り姫を王子樣の口付けで起こし、眠りから覚ましてやって欲しい、と言う事です。
「それじゃアヤの相手をお願いね、ヤマダ(レンジ)君」
と続きます。
11話『再会1』で、アヤとレンジの会話です。
「俺の部屋で寝るくらいだ。よっぽど心配させたみたいだな」
「・・・もう、それは忘れてください」
という会話ですが、「(別のどうとも思っていない)俺の部屋で・・・」と解釈した方が良いでしょう。
その後、アヤの顔をじっと見ると、アヤが視線を逸らします。アヤとしては演技しているだけなので後ろめたいのでしょう。
「そりゃ勿体無い」
「勿体無くないですっ」
>少し起こったような口調で言われ、肩をすくめると右腕の傷が傷んだ。
解釈が難しいですが、レンジは貴重な体験だ、と主張し、アヤはいつでも起こる体験だ、と意見の食い違いがあります。
そのアヤの一言に、スキャンダルの傷が痛みます。俺の事を愛してもいないから滅多にない出来事だから貴重だろ?、という解釈で良いと思います。
ここから少しの間、深読みします。
「そのコウタロウが俺の未来を見てくれたから、俺は助かったんだがな」
「そうでもないです」
この会話で、まだ問題はなくなっていないです、と告げているように取れます。
「レンジさんが死ぬ未来を見たなら、早く教えればいいんです。そうすれば、ソウイチとヤヨイも連れて来たのに」
「そりゃ駄目だろ。ソウイチ達にもやる事があるんだし」
この会話で、あえてソウイチとヤヨイの名前を出しています。
「いつもいつも、勿体振って・・・だから私は、アイツが嫌いです」
「仲良くしてくれよ」
この会話の前提で、アヤとコウタロウはパートナーでした。アヤはソウイチに操られて、そして王国が示したパートナーでもあるコウタロウと仲良くします。
その際、コウタロウの魔術を見て盗みます。その時にコウタロウは勿体振った教え方をしたからアヤは苛々したのでしょう。
ここまでで一旦深読みを止めます。
この後でファフニィルで運んだ、と会話があります。
ファフニィルですが、Wikiを見ると「抱擁する者」という意味らしいです。ここではあまり関係なさそうですが。
ファフニィルは竜の王です。
「竜」と「龍」ではその扱いに違いがあるのですが、最近の作品はどちらも同じで扱っています。
龍は蛇のような長い身体で、竜は超メタボの蜥蜴みたいな感じです。
「龍」を出したいが有名なのが「竜」だから同じ意味で使っていると思います。
竜を英語で書くとDragonですが、これの意味は「龍」の意味とは違います。
そのため、どちらを指しているかを知る必要があります。
Dragonなのか「龍」なのか。
ここでは龍の意味で竜を使っています。
神殺し13人を神に逆らう人物として竜で表わし、その中で魔神討伐したレンジを竜の王と表わしています。
その竜王とともに王城へ帰還する、という表現で竜王=レンジと表わします。
竜王ファフニィル、妖精女王アナスタシア、死霊騎士ナイトはユイの使い魔です。
この後、アナスタシアが登場します。
'妖精'は、他のレビューでも書きましたが、何か隠し事を持った妖しい人物、を表わします。
ここでわざわざ女王としているのはアヤを表わすからだと思います。
竜王=レンジの恋人役に抜擢された妖精女王=アヤ、だと思います。
アナスタシアがレンジの身体の事を心配していますが、それがアヤを表わしています。
心配はしているが、隠し事を持っている、という事です。その心配も演技、の部分が大きい、とも取れます。
「ユイちゃんは?」
「ファフと一緒。ナイトはユータと一緒に剣を振ってるわ」
「クキかーーー」
ファフと一緒、でユイは味方、ナイトと一緒でユータが現在のアヤの相手、と表わしているように取れます。
「あらら。素晴らしい献身ぶりだこと。いい奥さんになれそうね。アヤ」
「ーーーーっ」
>アナスタシアがそうやってからかうと、アヤが無言で睨み掛かってくる。
アヤは余計な事を言うな、と睨みます。レンジの奥さんになる気もないからです。
その後にアナスタシアの悪戯でレンジとアヤは抱きあう形になります。
これで周囲がレンジとアヤがパートナーになるという強要を望んでいるという表現になり、また、アヤはそれが嫌で泣きます。
「減点」
「・・・なにがだ?」
「女の子を抱きしめてる時に、他の女のことを考えないっ」
ここは単にレンジにやる気がないだけでしょう。アナスタシアは'演技'でいいからちゃんとしろ、と言いたいのだと思います。
かなり深読みになりますが、「女の子を抱きしめてる時に」の部分でアヤが別の男の事を考えている、とも取れます。コウタロウです。
>代わりに今度は、アナスタシアが右肩に座る。
「レンジさんが泣けないから、私が代わりに泣くんです」
「そうか」
「・・・だから、その事を悪いと少しでも思うなら、もう私を泣かせないでください」
アナスタシアがレンジの右肩に座る、はアヤ=妖精を表わし、隠し事があるよ、と示しています。
レンジが泣けない、はアヤを押しつけられたレンジが泣くに泣けない状況だ、という事を指すかもしれません。
泣かせないで下さい、はアヤはレンジと一緒になりたくないから、しっかりそうしてください、という念押しでしょう。
別解釈として、「レンジさんが泣けないから」の部分でも、少し前の内容と同じで、レンジから見てアヤは既に不貞を働いている事に関する内容とも取れます。一年間放置した事でそうなったと言えなくもないので、もう泣かせるような事をしないでください、とも取れます。
ただ、ごった煮なので前後をつなげると最初の解釈にするしかないです。
「告白?」
「さて、どうかね」
「そんなところよ」
と続き、告白は告白ですが、一緒になりたくない、という告白です。
この話の最後で、
「溜息ばかりだと、幸せが逃げるってさ」
「大丈夫よ。幸せはもう掴んでるもの」
となっており、ユーコは、レンジはもう幸せ(アヤ)を掴んでる、と念押しします。
12話『再会2』で、アナスタシアとレンジの会話になります。
「・・・重い」
「あ?」
この会話で、レンジとアヤをくっつけようとする話が、レンジには負担だと示しますが、アナスタシアが脅します。
「いや、アナスタシアと一緒に居られて嬉しいなあ、と」
アナスタシア=アヤ、です。ここからしばらくアナスタシア=アヤの比喩で会話が続きます。
その後、
「仲が良いわね、相変わらず」
「え、どこが?」
>そう聞き返すと、笑顔を浮かべている宇多野さんと溜息を吐いているアヤ、アナスタシアからは、無言で耳を引っ張られた。
レンジの返答に、アヤもアナスタシアもちゃんと演技しなさい、というような態度になっています。
「喧嘩をして、部屋を壊さないようにして下さいね?」
「安心しろ。アヤとコウタロウの二の舞にはならないから」
「・・・まだ覚えてたんですか?」
>一瞬驚き、次の瞬間には恥ずかしそうに顔を伏せてしまうアヤ。
ここの会話が結構強烈です。ここまででアヤとコウタロウの関係を示す内容が、先程の'勿体振って'の所しかないのですが、そこで探りをかけているように取れます。
'部屋'は2人の居住空間や一緒にいる世界、という表現で使われ、二の舞にならない、という発言でアヤとコウタロウの破局を示します。
アヤはまさかレンジからそんな言葉が出るとは思っていなかったので驚きますが、表情でばれてしまうので顔を俯かせて隠そうとします。
「懐かしいわね。それに・・・アヤの事をよく覚えてるのね、ヤマダ君」
「優子さんっ」
「そこまで過剰に反応しなくてもいいでしょうに。それと、お皿を落とさないでよ?」
「ぅ・・・うぅ」
ユーコもレンジの指摘の意図を悟りますがアヤに堂々としてろ、と告げます。
深読みですが、'皿'は料理を乗せるもので時々、テーブルと同じように交渉材料をのせるもの、という比喩に使われます。
皿を落とさないでよ、という事で、コウタロウと肉体関係を持ってしまってレンジに顔向け出来ないからといって、計画から降りないでよ(レンジの恋人役から逃げないでよ)、という比喩になります。
皿が割れる、事で交渉できない、という比喩になります。料理を乗せる事が出来ないからです。
「夜、私の部屋に来て。待ってるから」
という会話で、お誘いなんですが、打ち合わせです。この後の話でどういった打ち合わせかは書きます。
レンジは部屋を出て王城を探索します。
「エルメンヒルデから離れたと思ったら、今度はお前か・・・」
この部分がエルメンヒルデ=ソウイチのいいなりのアヤ、から、アナスタシア=何か隠し事をしているアヤになっていると深読み出来ます。
この探索はアヤの隠し事を知るための探索です。
てがかりなしにうろつくのですが、アナスタシアは情報を持っているのでアナスタシアが誘導します。
アナスタシアとレンジの会話が、アヤの心中を吐露しているかどうかは深読みなので割愛します。
修練場に着き、ファフニィルと再会します。
「憎しみをもって殺しただろうに。いや、だからこその腑抜けか」
「・・・腑抜け腑抜けって、居ってくれるな」
「そりゃそうでしょ。一年前と全然違うもの、貴方」
「そこの羽虫が好いたお主とは、随分と違うからな」
ここの会話で、魔人を憎しみを持って殺した、という部分が裏側では、アヤを操るソウイチの企みをアヤへの感情を殺す事で絶った、と解釈できます。
一年前と違う、という内容で、現在のアヤがなぜレンジを好きになれないのかを、ここまでの会話も含めて伝えています。
修練場で、クキ、ユイ、ナイトに会えません。
ここでファフニィルにエルメンヒルデの居場所を聞きますが「知らない」と言われます。まだ秘密が探れていないのでアナスタシアからエルメンヒルデに相棒が代わりません。
「何故、エルメンヒルデに拘る」
・・・
「違うだろう、ヤマダレンジ」
「その約束はエルメンヒルデではなくエルと交わしたもののはずだ」
「ああ、そうだ。だから俺は、約束を果たすんだ」
ここの会話は、エルメンヒルデ=ソウイチのいいなりになるアヤ、を比喩していると思われます。
約束をしたのはエルメンヒルデではなくエルという事で、約束はかつてアヤとした'アヤを守る'という約束を指します。
それが王城を出た理由だからです。レンジが王城を出ずに、アヤがソウイチのいいなりになって動いていたという事実が皆に知れ渡れば、アヤは居場所を失います。
そうなると'アヤを守る'という約束が果たせません。
ここで書くとネタバレぽいのですが、アヤは実はレンジがそんな想いで王城を去ったとは思っていません。
アヤに愛想がつきて出て行った、見捨てられた、と思っていて、'守ってくれなかった'とも思っています。
そこにアヤとレンジのすれ違いがあります。
心のどこかでまだ、アヤへの想いを引き摺るレンジがいます。
相手が裏切ったんだから、約束も守らなくて良い、と考える事が出来ない不器用なレンジがいます。
ファフニィルと会話をした後にクキを探しに行きます。
13話『再会3』で、またアナスタシアとレンジが会話します。
「とりあえず、手を離してくれないか?」
という部分で、さきほどの会話でアヤへの想いとしては好感触だと示すために、アナスタシアはレンジの右手を引っ張ります。
ですがレンジは右腕が痺れた振りをして、その、アヤを態度を表わしたアナスタシアの行動に懐疑的です。
その後にアナスタシアはまた右肩に乗ります。
アナスタシアはレンジとアヤの約束についてまだ知りませんので、レンジがなぜ王城を去ったのかわかりません。
ある部屋に辿り着き、ユイと再会します。
ここの会話で、
「すまんすまん。後でなんでも言うことを聞くから、許してくれ」
「なに軽い調子で言ってるの、許すかバカっ」
「いいのか?」
「え?」
「何でも言う事を聞くんだぞ? なんでも、だ」
「・・・ぅ」
>まぁ、アナスタシアなら・・・ユイちゃんと一緒の時なら、そう無茶な事は言ってこないだろう。
とありますが、アヤについてを話しています。そしてアヤが何でも言う事を聞くからいいように操るソウイチを暗に示します。アナスタシア達ならそんな事はしないような事もソウイチならやってしまう、という意味を含めて。
ここでもレンジはエルメンヒルデの居場所を聞きます。
ユイに何か知っているか?と問うています。
「ま、諦めなさい。夜、ユーコにお呼ばれしてるんでしょ?そこで教えてもらえるわよ」
レンジはここで探索を諦めて寝ます。
14話『選択』でユーコの部屋を訪れます。
部屋をノックすると、中で何かを整理している音が聞こえ、扉が開きます。
扉が開くと、中にクキとユーコがいます。
ユーコは珍しく香水など使っています。
ネグリジェにショールという姿で無防備な姿で、クキと2人きりだった、という状況を作っています。
香水は何か情事をしていた時に、良くその臭いを隠す為にも使われる、という事でその情事を連想させます。
これで、アヤの隠し事は、クキとの肉体関係ですよ、とユーコは暗示します。
空腹なレンジの表現は割愛します。料理食べる=計画を受け入れる、気はない、と深読みが出来ますが。
会話が続き、
「お姫樣とも偶にデートしてるみたいだし、忙しいけど幸せそうよ?」
「ちょ」
「・・・ほぅ。昔から仲が良かったもんな、おまえら」
となり、お姫樣と婚約しているようなものなのに、アヤと恋人になっているクキに思う所があるレンジです。
クキの話と魔神の心臓の欠片の話の急な切替えにクキはついていけてないという発言をしますが、レンジとユーコには同じ話なので切替える必要がありません。
「俺としては、さっさとそんな物は壊したいんだけどな」
「駄目よ。これからの世界に必要な物かもしれないのだから」
この会話で、アヤ、ソウイチ、ヤヨイを処分すれば話が早い、という発言をしますが、ユーコが利用価値があり、3人の能力が役立つ可能性があるから排除したくない、と言っています。
会話の中でアストラエラからの神託がないかと尋ねられ、まだないとレンジが答えています。
アストラエラは展開を繋げるための道具なので、ここでは比喩としては存在していないと思います。
その後にレンジはエルメンヒルデの居場所を聞きます。
ユーコが居場所を教えます。これで、隠し事については知る事が出来た、という事になります。
ただ、ここまで明確に肉体関係を持った、という比喩が出てきていません。一応は出てきているのですが、'言葉として'出てきていません。
後で「アヤに花冠の作り方を教えたのは誰だ」「コウタロウ」という会話が出てくるのですが、そこが明確に言葉として肉体関係を示す会話になり、その時まではレンジはまだ少しだけアヤに期待してしまっています。もしくは、比喩表現は読者に向けたものなので、レンジとしては'そこで初めてその事実につながる証拠'を手に入れた、と解釈も出来ます。
「そういえば、静かだと思ったらエルさんが居ないんですね」
「後でエルメンヒルデに、クキが口煩いって言ってたと伝えておくからな」
「どうしてそうなるんですか!?」
>なんとなくだと、八つ当たりのようにクキを弄る俺を、宇多野さんが面白そうに見上げてくる。
ここの会話で、エル=レンジを慕うアヤ、エルメンヒルデ=ソウイチのいいなりになるアヤでかつクキの恋人です。
クキは気づいていませんが、お前の彼女は今、俺の彼女なんだぜ、と言っているように取れます。八つ当たりもされると言うものです。
そのやり取りでユーコは安堵します。
「無事でよかったわ」
「ん?」
「少しは心配していたのよ。これでも。貴方が死ぬんじゃないか、って」
さきほどのやり取りで、アヤに騙されて心に深い傷を負ったレンジもある程度は回復した事がわかって安堵しているユーコがいます。
この後の会話で、左脚を踏む、などを深読みしたいですが割愛します。
「そろそろ、お開きにするか」
「あ、無くなりました?」
「それに、少し落ち込む事があってな」
「ま、いいじゃないですか。暫く腰を落ち着けるのもいいと思いますよ」
ここの会話での落ち込む事、は、アヤとクキの関係ですが、クキは気づいていません。
ここでの会話はこれで終わり、女神像がある礼拝堂に向かいます。
ここでエルメンヒルデを見付けます。
そして、エルメンヒルデに一部記憶障害がある事が描写され、
「いや、お前に言っておかないといけない事があってな」
『なんだ?』
「借金した」
と会話します。レンジは本来ここで口にすべき会話を恐れて、別の話をしてしまいます。
本来すべき話は実はエルメンヒルデは一度魔神との戦いで死んで甦った存在なんだ、という話です。
その事実を伝えると言う事は、レンジの中で、エル=レンジを慕うもしくはレンジに恋愛感情を抱いているアヤ、とエルメンヒルデ=ソウイチのいいなりになるアヤ、が別人だ、と割り切る事になります。
しかし、まだ割り切れません。アヤとはもはや無関係だと言い切る事が出来ないレンジがいます。
3章では、
魔神の復活が実際に起きている、という仮定にすると、アヤをあてがってレンジに詫びをしようとしている王国がある(既に中古品にしちゃったけどね!、とかテヘペロしそうですが)、という解釈が出来ます。
魔神の復活はソウイチの企みの比喩、という仮定では、アヤをレンジに押しつけたい計画がある、と解釈が出来ます。
そのどちらであれレンジにはいい迷惑です。
レンジはレンジで、女に甘い男であり、情が深いのでアヤを切り捨てるような事が出来ませんが。




