公爵令嬢エリナは平穏に暮らしたい
女性向け恋愛ファンタジー。
最初の出だしに納得が出来るなら、その後の展開にも納得が出来ると思います。
評価は「読んで良くも悪くもないもの」です。
自分の作品を書かずに読んでますが、背景設定を考えるために自分のはまだ書いていません。
気分転換に他人様のを読んだらモヤッとしてしまい、思わず、です。
個人的には2話でアウトです。
粗筋ですが、公爵令嬢エリナは突然隣国の王子に婚約を申し込まれます。その王子へ御礼の手紙を書いた後に、王子の異母妹が訪ねて来て主人公エリナを批判します。
その後、王子との婚約破棄となり、エリナはスキャンダルのために公爵家の領地である辺境へと篭る事になる、という展開です。
そこから最新話(20170219時点)までですが、異母妹ジュリアンナは実は異母弟ジュリアンであり、王子を愛しており、王子を独占したいがために王子を白鳥へと変身させます。
白鳥になった王子は逃げてエリナのいる領地の湖に来てエリナと出会い事情を話します。
白鳥となった王子(第3王子)とエリナは隣国の第2王子の元に行き、ジュリアンの犯行を告げる、というところまでです。
1話目と2話目でのエリナの展開が逆手順になっています。
話の中では、
婚約->婚約の贈り物->御礼の手紙->友人の令嬢からの情報提供->図書館で貴族年鑑の参照、ですが、この話の筋を通すなら、
婚約->友人の令嬢からの情報提供->図書館での貴族年鑑の参照->婚約の贈り物->御礼の手紙です。
ここでの御礼の手紙の内容も含めて有力なルートとしては、
異母妹ジュリアンナと第3王子アルヴィンは恋人関係であり、偽装結婚相手を探している、というものでしょう。
エリナは本好きで、社交界にはほとんど出ていないのでその情報を得ていません。
そのため、対象に選ばれます。
婚約後にその情報を知りますが、自国と隣国の両方はそれが偽装結婚でも利益になるから良い、と思っているようです。
生贄はエリナです。
ですが、エリナはその事実を知りたいがために御礼の手紙にその確認を書きます。
すると、アルヴィン王子は行方不明になり、異母妹ジュリアンナはエリナの元まで批判をしに訪れます。
そして婚約破棄、というのが見た目上すんなりといく内容でしょう。
同じ展開のルートで、エリナが貴族年鑑を調べた時に、貴族年鑑が古いからかアルヴィンとジュリアンヌの名前が載っていない、という事実を知ります。
このルートではその事実を手紙で確認したら、王子が失礼な事だと怒り、婚約破棄に至る、ですが、展開の根拠が薄いです。
そもそも、そういった情報と裏付けが出来ない契約を持ち掛けた側がその疑いを晴らせない、というのは問題です。
それに対処してからの物で、指摘されたからと言って、行方不明である、という事にして婚約破棄をする、という展開はまずあり得ません。
相手に情報を与えず、また、会う事すらしていない側の一方的な契約の締結と反故は、その時点で貴族としても不名誉なものです。
ましてや王族ならまずあり得ません。そのために、先に何度もお茶会やパーティで会ってそういった可能性を排除します。
なので、展開としては異母妹と王子の恋人関係の為の偽装結婚ですが、それを公に指摘された事への意趣返し、とも言えます。
また、別解釈として、貴族令嬢としては領地が貧乏な為に政略的価値がないエレナ。
貴族としての役目として、周りの同意もあって、隣国からの頼みもあってエレナにスキャンダルを発生させている王子と異母妹の関係を終わらせるための策のための捨て駒になるように行動させている、とも解釈できます。
ただ、この作品での展開は、王子から婚約破棄され、また、王子に心ない一言を手紙に書いた令嬢、という冷遇を受けます。
この時点で、あまりに根拠の薄いスキャンダル展開を裏側に載せているので読む気が失せましたがもう少しだけ書いておきます。
エリナが捨て駒としての役割を果たした、ならまだあり得るかな、と思います。
表ルートはファンタジーなので割愛しますが、裏ルートにおいて、作品中に描写はありますが『エリナが浮かれて手紙で粗相をした』という展開はまずあり得ません。
と書いても、これは他者様の作品であるので、そういったスキャンダルがあったよ、という前提で話を進めたいのでしょう、としておきます。
話の展開は、婚約破棄され、貴族としての役割を果たせず令嬢としては'使いものにならない'エリナは領地にこもることになりますが、やはりもう令嬢としては扱ってもらえないので、周りは平民落ちをさせるための圧力をかけつづけます。
料理人ヴィクトルと駆け落ちさせて、平民落ち、というコースです。場合によっては庭師ラウル、従者フィリップでも良いという展開です。
転落バッドエンドです。
8話『侯爵令嬢は転落する』ですが、題名で既にお分かりですね。話では崖から転落ですが、この先の、ファンタジー抜きの展開ならそうなる、と示すような題名です。
ここで執事セバスティアンはエリナに裏山の散歩と湖で白鳥を見る事を勧めています。
作品に書いているように白鳥は獰猛です。場合によっては死亡するかも知れません。
白鳥によって溺死する場合もあると書かれていますが、セバスティアンは湖に落ちた場合に手足に絡みそうなコートをあえて、寒さの為かも知れませんがエリナにはおるように言っています。
また、裏山の散歩ですが、やはり転落事故で'不幸な出来事だった'としたい、と暗に示しています。
8話ではエリナの失言があった、という裏展開を臭わせる発言をミシェルがします。
「もっとも、エリナに事実無根の濡衣を着せ、こんな所まで来る原因になった、アルヴィンという王子に会ったら、一発ぶん殴ってやらないと気が済まないが・・・」
ですが、裏ルートで、エリナの失言があったとして解釈すると、
「もっとも、アルヴィンに事実無根の濡衣を着せ、こんな所まで来る原因になった、エリナに会ったら、一発ぶん殴ってやらないと気が済まないが・・・」
です。
この後、エリナは崖から落ちます。
9話になりますが、8話からの展開で蛇に驚き、脚を踏み外す、というものですが、場合によりここではミシェルが突き落としたか、エリナが自分でわざとそうしたか、という展開がありますがどちらでも話は繋がるのでどちらでも良い、としておきます。
エリナが贖罪で落ちた、とした場合、これでミシェルが許すか、となりますがまずないでしょう。
ミシェルがエリナを落としたか、とした場合ですが、その証拠もなく、また、大抵は事故にみせかけるために本人が手を出す事もないです。単に事故になりやすい場所に近づけさせるだけです。
どうであれ、エリナは怪我だけで済みます。
9話から登場する白鳥ですが、これは空想でしょう。
エリナの別視点のようなもの、とすべきでしょう。
9話で蛇を撃退する白鳥、という事で、ミシェルからの害意を蛇として、崖から落ちる事でその害意を失くした、という事です。
10話になり、護衛の過失と執事の過失について話しますが、ここは暗にエリナを責めています。
セバスティアンの言葉に
「仕事を全う出来なかった、けじめとでも言いましょうか・・・」
という部分が暗にエリナの令嬢としての役割である貴族間の結婚を示しています。
この会話の流れで、
「つまり、勝手に取り乱して、勝手に足を踏み外した私が全面的に悪いのよ」
とエリナの発言があり、これはエリナの失言に対する発言です。その後に、
「分かってるわ・・・。それではセバスティアンの気が済まないって言うんでしょう?」
となる部分も怪しく、悪いと思っているだけでは問題は片付かない、とも暗に示しています。
10話ではエリナはミシェルをうまくやりこめます。
周りがエリナを転落させる方法としてヴィクトルをけしかけていますが、ミシェルに制止役として行動させるようにします。
セバスティアンにはとりあえず、状況を見守ってください、と言っています。
10話後半が比喩かどうかが判断できていませんが、ヴィクトルと鳥のエサの話があります。
ヴィクトルに気がない、というだけの描写なんですが、鳥の餌を貰う、という部分が比喩なのかがいまいち判断出来ていません。
ヴィクトルに気がない、という意志表示のために、ヴィクトルの作る料理は鳥の餌レベルだ、という皮肉にも取れてしまいますが。
12話からの展開で湖に行き、白鳥に与える餌、という情報が出てきますがここだけの単体で考えるとこういった解釈をする事が出来ます。
11話の展開が微妙です。
エリナが手紙でスキャンダルをほのめかした事が、王子を脅迫した、と捉えられている、という解釈が出来ます。
エリナはそこで祖父の話を出して、自分(の祖父)も騙された事がある、という話の展開で、手紙の内容が脅迫ではないよ、と伝えている、という描写に見えます。
逆さ発言であるようにも見えるのですが、それ以前の内容がしっかりしていないので、厳密な解釈が出来ません。
発言に必要な単語は出てきていますが、綺麗に反転しないのです。
ここでわかるのは王子を脅迫した、と捉えられている、という内容だけです。
12話ですが、湖にいます。
裏山、湖、という展開で若干エリナは死ぬ気です。セバスティアンに指示された順路を進んでいますが、どちらも護衛なしだと危ないですが一人できています。
ヴィクトルの妻になる気がありません。
13話では実在の白鳥を使っての解釈です。11話の会話から、殺すのは可哀想、という流れになっています。
元々、使用人含めて、エリナを監視する目的もあります。
エリナの手紙が脅迫ではないと判明した時点で、周りは最低限の保証を与える動きになります。
このあたりで読むのを止めましたが21話でヴィクトル達が貴族か元貴族である事を知ります。
料理人ヴィクトルは大公の庶子です。
庭師ラウルは伯爵家5男です。
従者フィリップは父が子爵家の次男でした。
22話では21話の情報とともに、セバスティアンは嫁にいけ、と告げています。
その最後で先入観の話があるのですが、これがまた解釈が難しい。
アルヴィン王子がエリナの手紙を先入観で見たのか、
エリナが先入観から手紙でアルヴィン王子のスキャンダルを疑ったのか、
全く分かりません。
そして、その反省をしたのかがアルヴィン王子かエリナかどうかも分かりません。
ですが、24話以降はエリナの救済に話は向かっています。
23話で薔薇の新種開発の話です。新しいエリナのあり方の話です。
ここまでの展開で使用人全員エリナを支援する方向になります。
24話からもう一度再出発、という事でジュリアンヌが出てきます。
ジュリアンヌはエリナに危害を加えようとします。
ここが、初めのジュリアンヌとの出会いと重なる部分です。
今度は実際に加害してみせて、その謝罪が必要な展開へと持っていきます。
この展開だと、先入観を持って、エリナからの御礼の手紙を脅迫文だと思ったアルヴィン王子が譲歩する展開です。
白鳥はその展開を示すために描写されます。
ただし、この作品も裏側がブレてます。
裏ルートの解釈の一つとして、異母妹と王子の熱愛を支援する事を、手紙で表わしたエリナの意図を脅迫と取った王子。
ですがエリナはその熱愛を誠意をもって対応するつもりだったけど誤解された、という部分があります。
ラウルとの新種の薔薇の話で、初め、罰としてラウルにお茶会の同席を求めています。
これはエリナがラウルとの結婚を視野に入れた、と取れますが、ラウルは新種の薔薇開発という話でやんわりと断ります。
そしてエリナが隣国の第二王子の所へ出向いた時のヴィクトルの態度がもうひとつのルートを表わしています。
なりふり構わず、場所も問わずにヴィクトルは求愛しています。これをエリナに例えている、と言えるでしょう。
このエリナの行動は、36話で
「わざわざ他国から、縁戚関係を結ぶべく、ここまでやって来たのか?・・・ご苦労な事だな」
とミシェルから皮肉を言われています。ダリア、ダリオはそのための登場人物です。
結局、ごった煮なのでどう解釈していいかの判断が出来ない、という事になります。
色々混ぜ込むからどの解釈がいいのか出来ないようになっています。
裏ルートで二度目のジュリアンヌの登場は、エリナの立場を救済するための措置なのですが、なぜか第二王子をナンパしにいっている、という描写が入っています。
記述そのものに嘘を入れ、また、逆さ発言や逆さ表現も駆使すると、何がなんだかわからなくなる、といういい見本、とも言えます。
記述そのものが嘘であるかどうかと、逆さ発言や逆さ表現を一緒に使うと、分からない事だらけになります。
貴族年鑑にアルヴィン王子の名前を探したがなかった、というのが嘘の記述だとすると、もうそれで話は分岐します。
アルヴィン王子がそもそも架空なのか、一緒に明記されていないジュリアンヌも架空なのか、
そこから疑っていては逆さ発言も逆さ表現も分からないものになってきます。
話の別解釈として、隣国の王子と異母妹のスキャンダルを支援しようとして手紙を送ったエリナがいる、という内容で最初の展開の順番を入れ替えた、などとするともう何を書いているのか分からなくなって来ます。それほど、嘘の記述というのは重要です。小説の約束事をきれいさっぱり消し去っているとも言えます。
原因Aから結果Bであるものを結果Cに置き換えた、というものもあり得るだけに嘘の記述はまた別解釈を生んでしまいます。
貴族年鑑に載っていない貴族、という事で自称貴族の詐欺結婚があり得ます。貴族関係の情報に疎い、という設定があります。隣国の豪商への降嫁を企てる人物がいて、それを手紙で指摘して事無きを得た、という展開に、ジュリアンヌが登場したという違う結果を付け足した、とも取れてしまいます。
最初の方で書きましたが、婚約破棄への展開への根拠が薄すぎてあまりお勧めできないです。
空想でもそういった部分がしっかりしていないと納得出来ないのは当然です。
「おれピンチ」ー>「なんだかよくわからんがとにかくすごいことらしい」ー>「ドヤァ」では納得出来ないのです。こういった部分は。
エリナが有能で、隣国のスキャンダルに発展する問題を消すために捨て駒になった、という展開なら少し納得できますが、そうではない展開なので個人的には話に興味を持つ事が出来ません。
婚約者、というパートナー選定において、手紙で浮気やスキャンダルの疑いをされたから一方的に破棄はおかしいのです。なぜなら対等な存在になるための交渉ですから、疑いは対話をもって晴らす必要があります。特に婚約者として認めた後ならなおさらです。その権利を与える、という事が婚約です。
偽装結婚のルートもまだ納得が出来ますが、この場合、責められるのがエリナであるのはおかしいです。話をしっかり通さない側がまずいです。何度も書いたように誤解のないように話を通さない側が疑いを持たれても当然です。だからこの解釈でこの作品の展開はほぼあり得ません。初めからその計画でない限りは。
総じて、初めの段階でモヤッとするものだと思います。
小説を書きはじめるにあたって、仕込んだ種が、自分から見て、しっかり出来ているつもりだけどいまいち練り込みが足りない、と思えます(私も似たようなものですが)。
評価は「読んで良くも悪くもないもの」です。




