アルバート家の令嬢は没落ををご所望です
表面は全体としてコメディ。
続編に地雷あり(浮気ネタ)。
続編は書籍化のおまけのようなものでしょう。
書き方は巧いので裏側を気にしないなら読んでも良いと思います。
読みながら考えるので考える時は時間はかからないと言えるのですが、文に起こす時にすごい時間がかかってしまいます。
他にもここ数ヶ月で読んだものはあるのですが、一旦これで止めておきます。
本編は裏側を見なければ単なるコメディです。
楽しく読めます。
続編まで一貫した解釈をするかどうかで解釈が変わります。ですが、本編と続編で背景条件の設定が変更されているようなので、設定を一部流用した別作品とみるべきでしょう。
本編は主人公であるメアリが転生者設定で、それは'乙女ゲーム'と呼ばれる女性向けの恋愛ゲームの世界だった、という題材で、そこにライバル役として登場する。
メアリは婚約破棄イベント後の生活を計画して行動します。婚約破棄をされた後に、追放された土地で生活するための計画と、婚約破棄までの流れを整える、というものです。
この本編、そして続編を作る上で、ごった煮が行われているように見えます。いくつかの話題性のある内容をつなぎあわせたもの、と言えます。
粗筋は、メアリが従者アディと共に、自身の婚約者であるパトリックとヒロイン役のアリシアが婚約するように計画して、自身が最後に没落させられるためのイベントを卒業式で行わせるように行動するものです。最終的に結末は没落ではないです。
本編の話の展開は、メアリとアディが両想いで、パトリックとアリシアを婚約成立させる事で、ねじれ関係を解消する、というものになります。これをメアリの髪型の縦ロールで表わしています。生まれた時から頑固なくせ毛でどれだけ手入れしても直らない、という設定です。つまりは生まれにより婚約相手を決められている状況は簡単には覆せない、という表現です。それが本編ラストで若干ほどける、という描写が入ります。
続編の展開はメアリとアディが結婚する、というものになります。これは令嬢が平民に転落するエンドです。従者の側を爵位のある側へと持ち上げる事は基本的に無いです。これは醜聞でしかないからです。
こういったものの話として、高位貴族の令嬢につく従者が男性のみで、ほぼ全ての面倒を見る、という事はまずないです。家ではメイドを使い、外で力仕事が必要な部分だけ従者、というのが定番ですが、まあ、ライト設定の小説なので'有り'、と思う方が良いのでしょう。この時点で現実味が少ないとも言えますが。
令嬢と貴族エンドをハッピーエンドとして書くものがありますが、この従者側が特に優れた才覚を持ち、個人でも認められるだけの実績を積まない限りはまずないエンドです。そしてその場合は個人で爵位を貰えるだけの結果を出すので令嬢と従者エンドはあり得ません。なので令嬢と従者エンドは、醜聞エンドであり、バッドエンドです。
どうバッドエンドなのか、と書けば、現代風に言えば、護衛と護衛対象の恋愛です。これを醜聞に見るか見ないかはお任せですが、結果的に、護衛が護衛対象を傷つけます。護衛を依頼した人物は護衛対象がもっと良い他の相手と結婚する事を望んで、それを阻害する要因排除のために護衛を雇います。ですが、その護衛が護衛対象の価値を減じます。これは醜聞でしょうか、醜聞ではないでしょうか、となります。
このスキャンダルは発生するととても問題になります。護衛が役に立たない、むしろ護衛を置く事で被害が拡大する、とも取れます。そして、そういった逆玉の輿を狙う人物ばかりが護衛を職業としようとするため、役割が機能しません。別の例えを出すと、金庫番が金庫内の金をくすねる、などが言えます。
さて、裏です。
裏まで考慮すると本編は3通りのルートがあります。
表面ルートはあらすじ通り。
もうひとつはアディが実が王子であり、アディが本当に王族であるかどうかを確かめるためにこの展開が行われている、というもの。
もうひとつはアルバート家による国家転覆です。
続編は
表面はメアリとアディの両想いが実現です。
裏面は実はパトリックを愛していた事に気づいたメアリがアディと偽装結婚する事で、パトリックと不倫関係が出来る状況をつくり出した、というものです。
本編から書いて行きます。
この作品も主人公視点に嘘が加わっている。未成熟な精神の者だと錯覚したまま気づかないだろう。真相を隠す、本当は何をしているかを隠す描写がある。
パトリックを相手にして、胸がときめかなかった、などの発言がある。'わざわざ書いている'事に逆さ書きの手法があるとも取れる。
この場合、解釈は表面上に見えるメアリとアディの両想いという前提が崩れる。なのでまずはそういった部分は触れずに書きます。
アリシアはかつて行方不明になった王族という設定です。
乙女ゲームの主人公となる女性アリシアは、王族であるが赤子の時に誘拐されて行方不明になったという経歴を持ち、舞台となる学園に通って来る。
話の進行で、平民であるアリシアが実は王族である、という事がわかり、それにアルバート家が助力した、という展開になっています。
ゲームの主人公アリシアがゲームの登場人物とハッピーエンドを迎えるのがメインラインで、それを転生者である作品の主人公メアリがゲームのシナリオに沿って邪魔をしたがるが、自身の性格が影響して邪魔どころか援護してしまう。
表面上はコメディであり、ハッピーエンドとも言えます。このルートは読めばわかるルートです。
本編ラストでまだメアリとアディの関係は親密ではあるも以前のままです。縦ロールが少しほどけたという描写以外は進展がありません。
では表面ルートを辿っても生じるパターンの違いを先に書いておきます。
メアリとアディが両想い、というものと実はメアリの片想いでしかなかった、というものです。
メアリは幼い頃から一緒にいるアディに情が映っている設定になっています。
そして、卒業式での没落エンド後にアディも一緒に追放された土地へとついてきてくれる、と思って行動しています。
そのルート設定のために、本編の'転生者'設定で主人公は家の没落を目指す。家が没落すれば、平民になるので、身分関係が障害になる事もない、という考えでもって動きます。そして没落後にどうやって生活するか、という考えで動きます。
7ー3でその内容に触れます。
メアリが没落後に遠い北の地方にいくことになる、と従者に告げると、従者は自分もそれに同行する、と言うのだが、これが問題発言になる。
従者は普段、その発言から逆さ言葉のような発言をする。だが、そこでは逆さ言葉として'俺達'という言葉を使う。
「俺たちは北の大地で渡り鳥丼屋ですか」
という発言なのだが、もしアディが、いつも通り逆さ発言をしているなら、
「北の大地にいくなんて俺は嫌ですよ。お嬢だけで行ってくださいよ」
と発言していなくてはならない。
そうでないなら、その逆さ発言は、「メアリお嬢一人で北の大地に行ってください」となる。
その'俺達'発言の後に、メアリが自身の部屋に帰った際に部屋に入って扉を閉める直前にアディが追いかけて来て、扉を完全には閉めさせず'俺、あなたとは離れませんから。ついていきますから。ずっと隣にいますから'と発言するのだが、普段から逆さ言葉と態度を示していてこの動作を取った場合、解釈はどう取れるか、となる。だから主人公は10日も寝込む事になる。
主人公は初めから両想いだと思って話を進めていたからそれに驚き、顔色を悪くする。その後に熱を出して10日程寝込む、という展開になる。
このルートの場合、主人公は10日程寝込んで計画の練り直しになる。すでにアリシアの存在があり、計画としては取り返しがつかない。そのため、展開は進めるが、'没落'という部分はなくなる方向で調整される。が、さきほどの会話と動作の解釈を前提に見れば、本編最後で主人公メアリと従者アディの精神的なつながりは途切れている。これはハッピーエンドかどうか、となる。だが表面上はハッピーエンドになっている。
つまり、本編最後の時点で、表面を辿れば両想いだがわずかに関係が進展してエンドという解釈と、両想いでない事が発覚してメアリはなんとか没落せずにエンドを迎える、という解釈になる。没落エンドを迎えなかったので、両想いではなかったという展開が濃厚です。
表面上のエンドはその二通りとなる。
裏側を見る。
裏側はアルバート家が忠臣かどうかで変わる。王家の実権を奪うために王族を誘拐し、自分達の家に取り込む事で王族になりかわるつもりか、王族を援助するつもりかで解釈が変わる。
話の根拠から言えば、アルバート家が実権を握るための話、となる。
アリシアが王族である、という証明のために印璽が提示され、それをなぜアリシアが持っていたのか、という根拠のためにメアリの母が証言する。また、アリシアが印璽を使用する展開をメアリが誘導している。つまり、王族の誘拐もアルバート家により行われたと見るべきである。
ここでなぜ裏側設定かと言えば、アリシアの素性を証明するものはその印璽のみであり、その証言はアルバート家のものだけで行われている、という事である。アリシアを送り込んだのがアルバート家である場合、印璽を持っていてもおかしくなく、また、アリシアが王族でなくとも構わない、という事になる。その場合は、王族は別の人物、となる。
この話の重要な登場人物はメアリとパトリック、アリシアとアディである。メアリとパトリックは貴族、アリシアとアディは'平民'である。アリシアが実は偽物と仮定した場合、誰が'王族なのか'となる。
ここで話では王族は女性だった、という情報がある。これは別段アディが王子だった、という根拠を覆す根拠にはならない。なぜなら、生まれたばかりの赤子を殺させないために嘘の情報を流す事がある。まず、王子の誕生を隠して襲われないようにする。次に男ではなく女だった、とし、男の場合は継承者になるので狙われ易いが女の場合は婿入りがあるので比較的襲われにくい。なので誕生したのが女だった、という情報が流れるという事は別段アディが王子である、という根拠を覆さない。そしてそういった情報隠蔽をしなくてはならないほどに政治情勢が乱れていると言える。アルバート家は王家に次ぐ権力を保持し、王家の権威を追い抜く可能性が高い、という状況である。なら王族も警戒して隠蔽をする必要がある。
なので裏側を読むとアディ=王子説が浮上します。
アルバート家が忠臣である場合、誘拐したのはアルバート家ではない、という仮定の元、行方不明であった王子を発見し保護したのがアルバート家であり、メアリを側に配置してアディが王子であるかを見極めようとしてきた、となります。その展開のためにアリシアという存在が必要で、アディへの試練を含めた展開が行われる、という解釈です。
アルバート家が国家転覆を望むなら、誘拐したアディをメアリの夫として、次期国王であった男性の配偶者としての立場をアルバート家が得る事になります。これを脅迫まがいの展開で王家にみせつけるのがアリシアが王族であるという証明をするための会議となる。
そして、重要なのは、アディは都合良く、メアリを使ったアルバート家に誘導させられて行動している、という事です。
アディが王族という設定ならその血統の良さから良い行いをしますが、それを悪用されている、とも言えます。
最終的にアルバート家は'王族に並ぶ'権威を持ちます。ここも重要な表現です。
アディ=王子説の根拠部分はいくつか細かいものが内部に散見されます。
メアリが家のメイドに雑用を手伝わされる、という内容です。下働きが家人もしくは主人に雑用を命ずる、という描写です。アディ=王子なら、アディとメアリの関係がそうなります。
7話にある、従者アディが主人メアリを部屋に呼びつける、という描写もそうです。実際にアディ=王子なら、主人アディが従者メアリを部屋に呼びつけている事になり、問題がない、という事になります。
また、馬車で従者側の席に座り慣れていない、という部分も多少の根拠になっています。
アディが王子であるという事実を隠し、アディを錯覚させながら行動しているアルバート家の人間がいる、という事になります。
雑用、ですが、表面ルートを辿る時に比喩として使われています。また続編まで読んだ場合には必要な比喩になります。
表面ルートですが、雑用でサヤから豆を取る、という描写があります。これはサヤ(女性)から豆(男性)を取る、つまりはメアリからアディを引き離す、それをメアリに自身に手伝ってもらいたい、という周りからのお願いです。
さきほど書きましたが周りからすれば令嬢と獣者の結婚は醜聞なので周りは望んでいません。
この比喩は続編でも表われます。本編と続編で内容が違う、というのがわかりやすい表現になります。
7話のアディの部屋での会話に関連して裏ルートはメアリが実はアディの事を想っていない、という解釈が浮上します。アディのための展開なので、メアリもその役割を果たしているだけ、とも取れます。そうなると、メアリの想いはどこにあるかと言えばパトリックです。こう解釈すると、あえて一々、パトリックと一緒にいても、胸がときめかない、などの描写をいれているかがわかります。
裏ルートにおけるアディは王族の自分が王族側を裏切る形で行動します。10ー3にあるように'裏切者'という発言がこれを指している可能性があります。
王と王妃の登場時にアリシアが瓜ふたつ、という描写の部分で実際に見ている対象はアディかも知れません。
10日寝込んだ後のイベント展開で断罪シーンですが、このシーンは、メアリが実は片想い、という設定のためか、もしくはメアリとアディに何かあった、という展開のためにあります。何かあった、部分がスキャンダルと考えるのは難しいでしょう。それよりも、メアリが実は片想いだった、という事で、アディとメアリの距離感の調整のためにイベントが用意された、とみる事ができます。アディに従者らしくしてくれ、というお願いとも取れます。
アディの役割が実に解釈が難しく、7話の部屋での話の際に、メアリの座る椅子の下に本らしきものを置いて'シナリオ'などを連想させる意図がある。もしくは記帳したものを渡すための画策とも取れる。また、話の展開はメアリとアディの会話を節目に行われるから、場合によってはアディはパトリックの家などとの協調関係を築くための工作員止まり、という解釈もあるのですが、10話で不敬罪に問われない事からやはりアディ=王子が濃厚に見えて来る。
アディが王子として、なぜこのような面倒な事になるかと言えば、王子であるか王子として振る舞う偽者か、の判断が必要だから、と取れます。裏ルートでアルバート家が黒いなら、単にシナリオをこなしている、と取れます。アディに気づかれないまま目的を果たすための手順、となります。アディが偽者であった場合に、自分が王族だと疑問に持たれていて、もし騙し切れば王族になれる、と知った場合、どう行動するか、という事です。そうなると本物か偽者かの区別が難しくなります。
アルバート家が忠臣、と考えた場合、アディが本物かどうかメアリを直接の担当として確認している、と言えます。
アディがどう行動するか、王族である事を気づかせないまま、その行動を見て、それが王族らしい行動になっているか、という事を長い時間をかけてみている、と言えます。
またメアリがその役割をしていて常時傍にいる理由は余計な女がつかないようにするため、となります。だから通学でも2人一緒です。イベントフラグから叩き折りにいっています。
なので、10話のアリシアへの尋問はアリシアとパトリックで場を整え、メアリがアディを釣り出し、アディがホイホイされる事で尋問の形式が整います。皆、実はアディを調査しています。
アリシアの学園での展開は、アディの調査の進捗を反映している、と言えます。
アリシアの出自はアルバート家の解釈で変わります。忠臣扱いで読み解くと、王子を判別するため、もしくは暗殺を恐れた王族が誕生を隠して育てた存在の可能性もあり得るのですがこれは可能性が少なく、また、続編につながりません。なのでそっくりさん、もしくは遠縁と見たほうが良いです。続編だとアリシアはそっくりさんでないときつい展開になります。
では裏ルートでアルバート家が忠臣解釈で話を見ると、アディの良心的な発言によって、事態は進展していきます。
7話の発言を裏なしで解釈します。'俺達'という発言が重要になります。没落した後のメアリはいってしまえばただの平民であり、それ以上の価値がありません。そんな人物と生活をするのに厳しい北の大地に行く事はある意味自殺行為に近いです。リスクが高過ぎます。ですがアディは躊躇せずにその結論に至ります。
ここで、アディが強欲であったり、権力が欲しいだけの存在なら、アルバート家が没落する前に他の働き先を探したり、それまでにいかに多くの利益を得るかに注力し、メアリに対しての態度は雑になるでしょう。ですがそうしなかったアディの態度は合格、と言えます。だからここで次の段階へと進みます。
9ー3で'成果報告'という言葉があります。これはアリシアへのものですが、裏ルートではアディの調査への成果報告とも取れます。結果、9ー4でメアリの父が贔屓にしている店に2人で行きましょう、という会話になります。これは父への顔合せを含めて、10話の王族としての調査の尋問につながる部分と思われます。
10話での尋問については、忠臣設定なら、ここでのアルバート家の発言は、調査に関して一定の責任は持つ、という保証のために行われます。また、ここでも、そしてこれまでもそうであったように、アディの発言で展開が進みます。保身のみで行動していないアディの評価です。
ここまでの展開で、裏ルートとしてはアルバート家が白いか黒いかの判断は出来ないままに本編エンドを迎えます。
個人的には話の筋としては、アルバート家が忠臣である、という設定であればうれしいな、と思えます。ですが、忠臣なら兄弟で領地をあえて分けて権力を分散させる事で自分達で弱体化してみせたりするでしょう。
で、本編の裏ルート展開におけるメアリの感情が問題です。貴族としての役割からアディと一緒にいるメアリですが、それだけでアディを好きになるかと言えば別です。なのでパトリックが好きである可能性があります。
7話の話の展開で顔色を悪くしますが、メアリはどこかでアディが王族であって欲しくない、と願っている可能性があります。アディが偽者なら従者か、もしくはどこか遠くにやればよいです。そうするとパトリックとの仲も元に戻るかも知れません。計画が頓挫するからです。この解釈は続編に繋げる場合の解釈です。アリシアも役割を果たして退場し、その後にパトリックとメアリで再度復縁すればメアリにはハッピーエンドです。ですが貴族の役割としてアディが王子であるという結果に結び付くなら、メアリはアディと婚約コースか、もしくはアディがメアリに御執心であるならとりあえず距離を取って、他に相手を見付ける方法を選択する必要があります。そのどちらもパトリックを愛しているという設定であれば受け入れられません。なので顔色が悪くなります。
この7話でファンディスクの存在があり、その内容がアディに関するものですが、これは続編で回収されるフラグです。本編では単に、アディが孤児だが実は王族ですよ、と暗に示しているだけですが、恐らくは干渉があった続編では、その設定を忠実に拾っています。浮気ルートとして。
結果として、表面ではメアリは恐らくは片想いのまま終わり、アディへの想いもなくなっていると思われます。アディへの想いが消えて残ったのはもう一人の心を寄せるパトリックとの婚約を破棄したという事実のみとなります。これが続編の布石です。
裏ルートは書いたように、貴族の役割のため、パトリックへの感情を殺したままエンドとなります。裏ルートではアディはメアリを想っています。
メアリとの婚約ルートがあるとして、これは上位貴族である事の血と家格を足し、強制的に貴族社会へと、王家のスキャンダルをもみ消しながら引き上げる、という手法と取れます。
ただやはり根拠が薄いのです。なら調査結果からアディをそのまま王族と認めてしまえ、となる展開が妥当でもあるがそうならないのはやはりアルバート家が黒い、という解釈へと行き着く原因になります。
本編は総じて、表面はコメディタッチで、行方不明の王族であるアリシアが見つかり、パトリックと恋人関係になり、メアリはバッドエンドを回避した、となります。
裏は善良に見て、アディという王子が見つかり、無事保護された、という解釈になり、悪い視点では、アルバート家による王族の拉致とその脅迫が済んで無事'王族と並ぶ権力を持つ'事が出来た、となります。
---
続編は表面がメアリとアディの結婚エンドです。これは通常に捉えてもバッドエンドです。なぜかは先程書きました。
裏面はパトリックと共にいたいメアリがアディと偽装結婚する事で浮気ルートを確定させるというエンドです。
ある意味悲恋ですが、その結果は個人的には醜悪と言えます。
さきほどまでの解釈は一旦置いて、表面ルートをなぞってきたとします。アリシアの為に身を引いたメアリ。貴族の役割を果たすための行動でしたが、失ってから初めて気づくパトリックへの想いの大きさ、という事です。
本編の流れから、メアリは一人で遠くに行くのが決まっている設定になっており、隣国の学園に行きます。周囲からはパトリックとアリシアを見ているのが辛いから、と見られます。
本編も続編もその根底にある題材を場面の展開で表わしています。
今作品は別段'アホウドリとカッコウ'や'美人局'が入っているわけでもないのでましなのだが、それでも恋愛コメディを読んでいるはずが悲恋に変えられているための精神的ダメージが少なからずあります。また、浮気ルートを見たいとも思わない場合も同様になります。
気づいた時にはすでに悲恋であり、また途中で読むのを止めるのも気分的に良くない。
コメディならコメディ、悲恋なら悲恋でわかりやすくかかないと、相手に精神的ダメージを与えるだけのものになります。
悪い点は今回も主人公の視点に嘘がある。だから情景の描写や展開に描かれたものの見方をねじ曲げるために主人公の感情描写や思考が入り込む。実際には恋焦がれているはずが、まったくそのつもりもないという描写になっていたりする。これは裏ルートを隠すため、である。
メアリの発言はアディとパトリックの呼び名が互いに逆を指す事があったりしながら、その感情を示すなどが行われているが、主人公の嘘の視点でカモフラージュしている。勿論周りも、本編の展開の為に、そのパートナーを指す呼び名を逆に使う。本編は調査の進捗で、続編は主人公の感情と決断を表わすものになっている。続編の初めの設定は、場合によってはブラフとなる。
本編で役目を果たした(王子である事を調査した実績)のためにそれ以降は王子と婚約せずとも他でもいいから好きにしろ、という意味が入っている可能性はある。
続編の最初の設定は恋愛対象となる男性達と、二人の女性が追加される。女性の一人は平民、もうひとりが貴族。平民側の女性は男性達を周囲に侍らす。貴族側はそのライバルであると同時に秀才、という設定となる。続編の舞台は隣国で別の学園となる。で、平民女性をリリアンヌ、貴族女性をカリーナという。
メアリに対しての暗示として、メアリを挟んで2人が座り、リリアンヌが'(誰にするか)迷っちゃう'と言い、カリーナが'どのルートに入るのか'と言う。
メアリが何しにきたのか、という部分であり、同時に早く婚約者を見付けろ、という前振りでもある。
従者との結婚は醜聞でしかないから貴族から選べ、とも言っています。
表面上のルートのエンドは従者アディを選びます。
表ルートは読んだままになるので割愛し、裏ルートについて書く。
メアリは隣国にいってもまだパトリックを忘れられない。数ヶ月経っても想いは消えず、婚約者を選ばないから周りもついに積極的に動き出す。
アルバート家と交流のある隣国の家のガイナスという男性を婚約者にしようと動きます。
そのためにガイナスの婚約者であるパルフェットを使ってメアリに近付きます。
メアリが略奪愛に至らぬ設定としてのリリアンヌがいる、とも言えます。奪われたものを奪い返す、という事にすればパルフェットから奪ったという醜聞があまり出てこない。またリリアンヌの存在はやはりメアリ目当ての人物がそれだけいるよ、という表現です。
続編でのアディの解釈ですが、単なる従者で話は作れます。が、アディとメアリの誓いの口づけは王城でなされます。そうなるように仕組まれている、とも取れます。これはアディ=王子説の補強になります。あくまで王族らしく王城で儀式をした、という事実が作られます。
また、その結婚式には隣国の王族まで出席します。アルバート家の権力が大きいから、とも言えますが別の理由とも解釈でき、これもアディ=王子説を補強します。メアリは所詮第3子です。
時折、メアリはパトリックを見に実家に帰る。その際にアリシアとのお茶会、そしてパトリックとの会話があります。
その内の一回で、アリシアとのお茶会では'二人占め'という言葉が出てきます。アディとパトリックを排除しています。これはどちらも婚約者として選ばせないよ、という表現です。それに対してのメアリの言葉は「私達友達よね?」です。
次にパトリックと会った時ですが、'家を出ても(絶縁されても)助力する'の発言があります。これはパトリックが使った逆さ書きです。平民である従者アディとの結婚は駆け落ちでしか成立しません。そのためそうなったら助けないよ、という意味を含めて貴族らしい結婚をしろ、と言っています。
10話でもアディ、アリシア、パトリックに、やんわりとそれらしい含みを示されます。'3人で食事にいく'のだが、アリシアが伯母の家に行く。それで3人ですが、'1人欠ける'とも表現できます。
この解釈が実は難しく、ここでは逆さ書きと、今後の展開が終局に向けて動き出す予兆を示している可能性があります。深読みしすぎに思いますが、メアリがアディと結婚する展開を示したとします。それで'3人'の意味する所です。この場合、メアリとアディとパトリックの関係、という部分も示されているとも取れます。
この展開に至るための内容として10話が実際の転機です。ガイナスとの見合話ですが、逆さ発言を用いています。
ここで表面ルート上従者アディを想っている、という内容が'リリアンヌという存在を介して'展開されますが、これに対してメアリが「別に私その件に関してはまったくこれっぽっちも興味ございませんの」と言います。
そこで、周囲もアディに対してメアリは恋愛感情がない事を知ります。
ここで発言が逆さ発言の部分が入ってきており、ガイナスの事情はメアリの事情を指します。
さきほど書きましたが、リリアンヌを想っていない、は、アディを想っていない、です。
この話に'あの子'が出てきますが、これがパルフェット=パトリックです。
「あの子を縛り付けたまま色欲女のハーレムに浸かるなんてことしないでしょうね」
とありますが、これは逆さ書きです。メアリの願望はパトリックとの関係を持って色欲に溺れたい、という内容になっています。なので浮気前提の話をしています。
そして「泥をかぶるくらいの誠意を見せてほしいものだわ」と言って、泥をかぶるくらいの覚悟はある、と言っています。
11話で「もうメアリ様は用はないんじゃないかしら」という発言が、メアリ達の展開を表わしています。これで、メアリがまだパトリック達の話に関係を持ちたい、という内容につながります。ここで色欲女であるリリアンヌとの接点が強調されます。また、ガイナスとパルフェットは、パトリックとメアリの関係です。貴族としての役割からアリシアを選んだパトリックの謝罪と仲なおりが示されています。ここでもう浮気ルートは確定されています。
14話でメアリとアディの結婚が確定します。これはアディがメアリとの結婚がしたいための前提として爵位が欲しいという話があります。その爵位が欲しい、という部分からメアリが自分と結婚すれば爵位がなくとも同等の権威が得られる、という解釈で結婚をもちかける、という話になります。ここでアディはいい具合にパトリック、アリシア、メアリにはめられています。メアリへの想いを利用されて、契約結婚になっています。メアリ側からは爵位が欲しい、もしくはそれに準ずる立場が欲しいから結婚した、という内容にでき、'肉体関係'は拒否できます。
ではなぜアディか、というとその契約結婚が欲しいから、と、そうできれば肉体関係が必要ではない事、そしてパトリックの近くにいる事ができる口実ができます。以前と同じ関係を構築でき、また、すでにパトリックとアリシアは共犯者です。
この展開で15話にアップルパイが出てきます。アダムとイブの話であるように罪のりんごです。話の展開から騙されて食え、と解釈しても良いかも知れません。メアリは4人分買ってきて、3人分食べます。パトリック、アリシア、メアリを表わすでしょう。アディは1人分食べます。この辺りがきつい話です。
16話でパルフェットがスカートに真っ赤なジャムをこぼす。これは醜聞を表わします。スキャンダルの類で、スカートが汚れる、という部分は下半身が汚れる、という表現です。従者と貴族令嬢の結婚を表わします。同時に不貞行為を表わします。
アディとメアリの結婚は異例の早さで進められます。アディに気づかれて撤回されない内にしてしまう算段です。
貴族間の婚姻は格上から格下へと告げられる事で成立します。メアリの側から言う事は出来ないので、アディの側から言わせる必要があった、という事です(これがアディ=王子説の補強です)。
16話での発言で「それなら、婚姻届の植えでも私の隣に居てちょうだい」がきつい内容です。それ以上でもそれ以下でもないの関係ですよ、という発言です。
その後に「それに、何かやりたいことがあるんでしょ?目的のためなら手段を選んでちゃダメよ!」と言っています。ここでアディは言質をとられます。つまりはそれを受け入れたからにはメアリが実は契約結婚をしてパトリックと浮気がしたいという計画に真向から批判できなくなってしまいます。実際には浮気だから批判はできるんですが、どうであれ、その証拠が必要になります。
また、婚姻届にサインがする前に気づかれるとまずいので告白めいた発言はさせないようにしています。
ここでうっすらとアディもおかしい、という事に気づいているかも知れません。
17話で婚姻届けにサインをします。この後に正式にアディはメアリに告白をしますがメアリは逃げます。これでアディもようやく騙された、と理解します。
18話からの展開でアディとメアリが王城で口づけを交わします。この部分がアディ=王族の補強です。
また、友達のアリシアに会いにきた、という発言で、アリシアと自分が同格だと表わしています。アディが王子でその配偶者であるメアリもまた王配であり王族である、という解釈です。
ここではアディという部分がパトリックを表わしている表現で、メアリはパトリックへの想いをアリシアに告げます。
ここでアディが契約結婚に肯定的か否定的かの判断が難しいです。ここでの登場はパトリック役としての発言をしているという解釈も出来、そう解釈すると肯定的に取れ、そうでなければ騙されたまま、と言えます。
19話でアリシアがパトリックへの伝言を頼みます。これはメアリにせめてパトリックに対して想いを告げてください、という優しさです。
20話でアディとメアリの情事があったかどうかは別として、結婚を周知しています。これは情事がなかった場合、さもあったように見せかけるための工作です。
そして、周囲もアディにお茶の手配をさせようとしています。これはまだ'従者'扱いである、という意味で、契約結婚だという事を理解しているとも言えます。実際に結婚して家人側に属したのならお茶など手配させません。
メアリのアディとの結婚が認められた理由は、本来政略結婚で得られるような利益を、事前にアリシアとパトリックとの仲を取り持つ事で得ていたからとなり、その功績から、メアリのこの醜聞を受け入れざるを得ない周りの人物がいます。アリシアとパトリックの関係のために周囲は大きな利益を得ましたが、メアリのみ大きな損失をしています。その補填が必要、となります。多大な功績を出した者が一番大きく損をしているという状況はあってはならないからです。それがこの契約結婚となります。
メアリが周囲に周知して回る時にパトリックにも告げます。
「私とアディはね・・・ずっと昔から両想いだったの」
と言います。これはあえてそう告げる事で、アディをパトリックに置き換えて読む事ができます。
ここで'お泊まり'の提案がされます。浮気の交渉です。スワッピングの交渉とも言えます。
そこで断った事になったかどうかはその記述ではわからない。'枕が代わると寝れない'から断るが、同時に'枕がなくても寝れる'と呟く。これはアリシアには聞こえず、パトリックには聞こえている、というので意図が見える。そして、アディはその話の蚊帳の外となる。だがこれは醜聞なのでここではどちらであるかは触れない。
アリシアがアディが王子であるかを確認するために登場した人物であるとするなら、アリシアはパトリックが好きで一緒にいるわけではない可能性があり、恋愛感情はあっても、貴族の役割としてパトリックと結婚出来ないメアリに同情している。なので'お泊まり'の提案をします。
ただし、ここを逆さ発言で解釈すると別になります。ここでのアリシアの登場はメアリを背後から抱きしめ力強く締め付けます。これは否定的な感情表現です。また、逆さ発言と解釈してしまうと、お泊まり提案はメアリ側の意図であり、それを断る部分はアリシア側の意図となります。
背後から抱きしめる、という部分はその描写が常にそうだとは言えませんが、それが使われているであろう部分ではそういった表現になります。
例えば背後から抱きしめて「愛している」という発言は逆さ言葉として解釈されます。それが使われているかどうかは作品の内容と展開によります。いきなりそれ単体で飛び出してそう解釈しろ、という事はまずありません。
ある状況で背後からしか抱きしめる事が出来ずに愛の言葉を告げた場合にその解釈を適用できるかどうか、となります。
この表現の使い方の一例です。他の作品にありました。それはここでは題名を書きません。女の側が拗ねて発言をします。そして体ごと横を向きます。男はそのどちらからでも抱きしめ易くなっています。わざわざ後に回り込まなくて良いからです。なので抱きしめて「愛している」と言ったとして、前からならそのまま、後からなら逆さ言葉です。こういった使い方があります。回りからは「愛している」という発言のみなので不仲である事を知られる事も少ないです。
さて、ここでの解釈としてはその解釈はない、と想定します。後の展開にもアリシアが不倫の肯定的かも知れない描写が出てきます。逆に不倫が行われる可能性がある事を示唆している、とも取れますが肯定的に話を進めます。
この時の発言などには逆さ書きが多用されているように見えます。アディの「両想い」やパトリックの「浮かれ過ぎ」発言などは逆さ書きとも取れます。逆さ書きの欠点である、実際にその場所に使用していなくとも、一度使うと他の場所も疑う必要がある、という部分が出てしまっています。また「浮かれ過ぎ」発言は逆さ書きだと思われます。結婚を後悔しているかも知れない表現が学園に帰ってから描写されています。実際には落ち込んでいる、とも取れます。
結婚のサインをした翌日、メアリは目覚めが遅い。これは精神的な辛さから寝れなかったか泣き突かれたかなどの問題となる。そして次に、早目に学園に戻る、という事で想い人以外と結婚したという現実から逃避するためにさっさと逃げる、という描写がある。そしてアリシアはそれを'止めない'。そして学園に戻った後に思い悩むメアリをパルフェットは心配そうに見つめ続ける、という描写が入る。貴族としては役割を果たし大成功なのだが、女性としての立場からは同情している、という表現になる。
ここまでの展開をその後の展開で学園の状況の進展で表わします。
貴族のやり取りが終わり、契約が成立した為に、周囲も計画が終わったので、隣国の学園での展開は最後の局面を迎える。
リリアンヌが侍らす男達が行動し、婚約者だった男達に女性達が婚約破棄される、というシーンとなる。ここから展開が急転する。
婚約破棄された女性達が、逆襲をする。男性達は元もとの身分や権力を失う結果になり、女性達は身分や権威が増す、という事態になる。
これは、恋愛を取らなかったメアリの身分や権威が増す、という描写となる。
なぜなら選んだ相手は表面上平民ではあるが、実質は王族なのだから、となる。
この後、描写として、リリアンヌがメアリを突き倒すシーンが入る。そこになぜかパトリックが登場して主人公を介抱する。
'なぜか'ではないが。この展開で、周囲公認の浮気関係が成立する。
リリアンヌ=アディ、と見るか、リリアンヌ=アリシア、と見るか、はあるが見ても見なくてもパトリックとメアリの関係性は示される。
また、この時に、本編では主人公と従者が恋仲であるという設定を表わすためのブレスレットが壊れる(本編での計画を示すものとも取れる)。そのブレスレットはいくつかの球をはめこむもので、その球は主人公と従者の髪の色を表わしていた。その球が壊れる。ここで関係が崩れた、と描写している。このブレスレットの展開だけを先に書くと、後でこのブレスレットには修理として、パトリックとアリシアの髪もしくは瞳の色を表わす球が加えられる。
それを見たアディがメアリを'背後から'抱きしめ、「俺、先日結婚したんですけど、奥さんがどうしようもなく可愛いんです」と逆さ言葉で皮肉を言う。
とてもとても憎らしいのだろう。偽装結婚の材料にされたのだから。
そして26話の会話は、アディを従者としてしか見ていない、という発言です。そしてそれを正当化する根拠は、契約結婚をアディが望んだ、という事実からです。
ブレスレットの修理の結果を見たアリシアは自身がお揃いで持っているブレスレットも球の色を換えに行く。結果、ここでアリシアはここまでの展開からも含めて浮気を公認する。アリシアに関してはそっくりさんの可能性が高く、そしてこの計画の為に雇われただけの存在でパトリックに、長い年月の好意は寄せていない。だから、想いを寄せる主人公に協力的な態度で取る。アリシアにとっては身分や財力で選んだ相手に過ぎないため、となる。
下衆の勘ぐりでは、所詮平民としての貞操観念しか持っていないとも取れる。
ただし、描写の問題で、実際にはアリシアは交換する予定であった球が本当になかったのかを確認しに戻っただけかも知れない、と付け足しておく。
学園の展開で、リリアンヌは追放処分となる。追放先は本編でも書かれた北の大地にある学園である。そこで「もう出られないわ」という発言をする。リリアンヌ=アディと考えて婚姻届も出したから逃げられない、という表現とも取れる。
別解釈として、本編から通して没落というテーマ部分で、メアリはこの浮気によるスキャンダルにより、やがて破滅が確定しているとも取れる。この場合、最悪は追放である。その行き先が北の大地、とも深読みする事が出来る。だから自身にとっても「もう出られない」という自嘲している可能性はある。
ここでスワッピングについて書いておく。
本編7話でのファンディスクの話になる。ここでアディはアリシアとの関係を深める、という描写がある。
アリシアとパトリック、メアリとアディが結婚してスワッピングをする際に、アディとアリシアがペアとなる。ここでファンディスクの内容とした部分通りの結果になる。
その後に結婚式となる。ここで、結婚式は新郎をあえて招待客に知らせない、という展開になっている。これも逆さ言葉の可能性がある。招待状に書こうが書くまいが情報は漏れる、とも取れるし、実際に登場する新郎が想いの相手ではない、とも告げているとも解釈出来る。
また、この招待にはエスコート相手は不要、とされる。友人でも来たい者同士で来て良い、とされ、それは正式な相手でなくとも良い、と暗に告げている。
ここでパルフェットは主人公の内面を表わす。パルフェットの元婚約者はリリアンヌの取り巻きだったが、パルフェットはその男性が根が真面目で、誠実に婚約破棄をしてくれた事でまだ想いを断ち切れていない、という設定として動く。そのため、本来は正式な相手ではないが、その元婚約者を結婚式に同伴させている。この二人の表現は、メアリとパトリックの関係となる。パルフェットは事ある毎に、その発言でメアリの内面の弱さとその心情を吐露する。
結婚式の招待状の展開ですが、メアリには直接手渡せ、と言います。浮気の後押しはしない、と匂わせます。また同時にアディにも招待状を渡せ、と言います。これは契約結婚させられるアディに、お前も浮気相手をもっていいんだぞ、と示しています。それに対してのアディの発言は招待する対象は「すべて結婚式場で働いている」といい、みんな当日会場に居ます、と言います。これはアディの浮気相手が決まっている、という事ではなく、メアリの浮気相手が会場にいます、と皮肉を言っています。同時に招待する相手(浮気相手)もいない、と言っています。別解釈として、アリシアはすでに会場にいる、とも取れますが、これもメインラインに関係ないです。
新郎が誰であるかわからない、という前提で皆が行動するが、あえてわからない振りをして、周りも新郎であるアディに対応する。
あえて知らされていない為に、結婚式での表面上の新郎であるアディ本人に'メアリの夫は誰だ'と聞いてみたり、あえて今後、家人になるアディに、今まで通りの対応を振る舞ってみたり、とそういった描写が入る。
28話で次の描写が入るのだが、主人公がここで'サヤから豆を取る'描写が出てくる。少し前に書いたように、アディを外す、という意味を取る。朝からせっせと周りにアピールを続ける。それを見たアディは横で野菜の皮剥きを行う。これをどう解釈するかだが、メアリを手伝う、と解釈するか、表面、つまりは偽装を剥いで中身を出す、と解釈するかとなるが、恐らくは後者となる。そこにアリシアが加わり、その両方を手伝う。少し前に書いたがアリシアは主人公に'お泊まり'を勧めているので、アディとメアリの関係がその動作の意味通りになろうが構わない、という事である。アリシアだけが解釈が問題で、ここでの動作は浮気に否定的とも取れる。メアリとアディの偽装結婚を解除し、かつアディがメアリの浮気を暴く手伝いをする、とも解釈できてしまう。肯定的にも取れ、アディが手伝いをして、メアリを助ける、と解釈するとアリシアはそれを手伝う、とも取れる。
周囲はこの結婚に否定的である事は確実である。
30話で式の前にメアリの両親が登場するが、どちらも'(浮気がばれるなどの)何かあっても自分達でどうにかしろ'、'(浮気がばれるなどの何かあっても)2人でどうにかしろ'と告げる。この際に、父親は主人公の行動で、権威が増し、家の友好関係も良好になっているのでその浮気については何も言わない、という姿勢を示す。
だが、メアリの両親は祝福する気はないので先導もしなければ付き添いもしない。
ここで縦ロールの描写が入る。これはねじれ関係を表わしている。本編でこの表現があり、その縦ロールは癖として強烈で全く解けない、という描写であり、本編の最後で解ける、という部分でねじれ関係が解ける、という表現をしていた。ここでメアリはまた縦ロールに髪型を戻す。今度は'人工的に'である。これがメアリ、パトリック、アディの関係がまたねじれ関係になった、と表わす。
式が始まり御披露目の段階で、登場する新郎新婦に対して、周囲は'新郎はどこだ'とあえて騒ぐ。それに対して新婦は形式上の新郎である従者にキスをする。そこからはアピールとなる。だが、新郎は祝福される。だが、新婦は祝福されない。なぜなら浮気前提の結婚であり、新婦が望んだものである事を周囲は知っているから、となる。
31話で、式において、かつてパトリックとメアリの関係を妬んでいた令嬢達はメアリに同情の視線を向ける。浮気覚悟で、つまりは破滅覚悟で想いを貫こうとするメアリの態度が見ていて辛い、という表現になる。令嬢達は想いはあっても、そこまでの覚悟はなく、そこまでの覚悟を示したメアリに対する考えを改める。メアリはそこで'(想いの男性を)取られてからでは遅い'などの発言を令嬢達に言う。
32話でダンスの描写が入る。パトリックはもうすぐアリシアと結婚するが、その前にパトリックと踊りたい、という令嬢が登場する。そこで'今まで想っていた。最後に一度でいいから踊ってください'と言ってパトリックは了承し、踊る。それを見て他の女性も踊ろうとする。だが、メアリはそれに加わらない。
次に、メアリは新郎アディやパトリックと踊る前にアリシアに引っ張られアリシアと踊る事になる。その際、新郎であるアディがメアリと踊ろうとするが、'あなたは後'と言ってアリシアが断り、その後にパトリックがメアリと踊ろうとするが'あなたはもっと後'と発言する。この発言が微妙になる。それがメアリとの関係を指すのか、アリシアとの関係を指すのかが把握しづらいが、この場合はアリシアとの関係と捉えた場合が良いかも知れない。いまだ初夜を迎えておらず、この後も初夜を正しく迎える気のない新郎新婦に対して、アリシアは自身と関係を持つ優先順位を自身の夫であるパトリックではなくアディを優先する、という発言とも取れる。ここで、スワッピングを成立させる発言があったと取れる。アリシアとアディ、メアリとパトリックの浮気関係を暗に示す。
貴族の間でのやり取りとしてはあり得る。だが、それを実行するには極めて高い貞操観念が必要になる。寝所を共にしても想い人以外にはお互い手を出さない、というルールとそれが実行されているという信頼あっての関係となる。もしくは、第一子(できれば男子)を設ける、という結婚における最重要課題を果たした後に、想い人以外との情事に及ぶ、という契約が成立出来る必要がある。
どうであれ、浮気前提の偽装結婚であり、アディは望んでもいない関係とも言える。ただし、実際にアディがアリシアと不貞を働かない可能性もなく、あてつけに行う可能性もある。なぜなら'お泊まり'が実行される場合、アディとアリシアがペアになる。そして、初めからそれが目的なら初夜からそのペアで実行される事になる。
この後は展開らしい展開は終わっているので最終シーンとなる。
最後にメアリとアディがダンスを踊る。メアリが偽装結婚ではあるも、疑われない為に仲が良いアピールをするためにキスを求める。
だが、アディ側はそれを拒みたいが為にあえて足を踏んで制止する。
だがそれで諦める事もない(それで諦めるなら初めから偽装結婚などしない)メアリは足を踏み返し、それを踏み場としてキスをする。
そこに2人の関係が良く表われている。
アディ側は不貞を暴きたい、メアリ側はそれを隠し通したい、という内容となる。
ここで'没落'として北の大地の話と続編のリリアンヌの結末は、メアリのいずれの結末を暗示する。不貞がばれて明るみになった場合、メアリに待ち受ける結末は'破滅'である。その醜聞のために、どこかの地方などに移される事になるだろうが、それが北の大地、という事になるのだろう。そして、本編で'没落を望む'という描写が続編でその先の未来として表われる事になる。望み通り、醜聞の結果、北の大地で隔離されるという結果を伴って。
本編が人気が出たから続編で騙しの技法を多く盛りこんだのか、あえて初めからそう書く気があったのか、それはその成立仮定を調べないとわからない。
だが、こんなものを混ぜ込む必要がない。そこに錯覚させたい、という理由がなければ。
そして、主人公視点に嘘の描写を混ぜて錯覚させる、というのが悪質となる。
本来そこは、正しい描写、嘘偽りのない描写がある前提で、話として成立する部分だから、となる。
基本的に小説というのは、主人公視点には嘘偽りがない前提で進み、だが、認識不足の結果、思わぬ事態や真相に辿り着く、という展開が行われる。
言ってしまえばこういった主人公視点を偽る作品はその原則であるルールを破っていると言える。そして、それが詐欺行為に使われる、という事が問題となる。
例えば、この作品のそのトリックに気づかずに、表面を読んだ後に'この作品良いね'などと発言した場合、本編では'アホウドリとカッコウ'ネタを了承したとあえて聞いた側が曲解する事で、それをしかけて相手の財産乗っ取りを、'本人が了承した事にして'行う可能性がある。次に続編も含めると'浮気を了承'もしくはこの作品を呼んで浮気に気づかないからその認識が甘く、浮気をして騙す事が出来るから浮気をするための隠れみのに使う、という行動を取る事が出来る。
本編の解釈は3通りのどれになるかも分からないので良いが、続編はさすがにやりすぎと思われる。
総じて、本編まで読めば、コメディとして楽しめると思われる。裏側を見てもそれほどの醜聞がない。続編まで読むと浮気ルートのためにかなり読みにくい作品になっている。
書き方は巧いので裏側を気にしないなら読んでも良いと思われる。




