ヤンデレ系乙女ゲーの世界に転生してしまったようです
自分の小説も書かずに他人様の書いたもののレビューを書いてすいません。
童話祭用作品を書くにあたって気持ちの切り替えのために悪役令嬢ものを読んだのですが、モヤモヤッとしたものを書いておきたかったのです。
地雷率が高いんですよ・・・なぜか。
大きなスキャンダルが入ってないものを探すのが結構大変です^^:
恋愛ものは。
レイプネタなので注意。ただしライト。レイプ描写はありません。ただ事実として裏側に盛りこまれています。
裏側が読める人にはその衝撃が届きます。
本編まで読んでレビューを書く。
表面上はレイプネタが見えないようになっているので、問題なく読める。
低年齢層にはわかりにくい内容で騙しの技法がある。主人公が以前から脅されていたのか、起こった事件が単発なのか、それとも隠れた恋愛だったのかがわかりにくい。
魔法という存在と、'空想'の登場人物を含める事で、実際にその人物がいない場合にはどういった展開になっているかが問題になる。
展開において、学園編で事件が起きるがそこまでは通常の読みやすい小説と言える。
なぜ最後にそんな展開を、偽装して入れたのかが謎である。
始めからその予定だったのか、話題性を得たかったのかは謎である。
恋愛ものなので、話題性となるとスキャンダルが中心になるがレイプまで発展させた結果を書くべきかどうか、となる。
ただ、実際にはそこまで至る危険がある、というものを伝えるために書く、という考えもある。
空想の人物であるが、乙女ゲームのヒロインと称されるリリーは、主人公であるリコリスの別視点を表わす。
ギフトはアルト、オリアはルイシャンの別視点となる。
学園編まではそのまま読めるもので裏があるようには見えない。
学園編でリリーが登場し、アルトが登場する所から怪しくなる。
アルトの姉から、仲良くして欲しいと頼まれたリコリスはアルトと仲良くするのだが、ある程度情を持ってしまう。
また、アルトもリリーを恋愛対象と見てしまう。
ギフト(贈り物)と考えた場合、アルトの姉から押しつけられる形で世話をする事になったアルトはまさしくギフト(贈りつけられた物)、と呼べる。
だから空想上の人物の名前がギフトであると言えます。
事件はリコリスがアルトを一目のつきにくい場所に昼食に誘う、もしくは描写通りにそういった場所で昼食を一人で取る事もあるがそれをアルトに気づかれてしまう、という部分から始まります。
後のリリーの発言で、アルトに呼び出された事を書いているので展開はそちらかも知れませんが、結局の所、取り巻きを連れたアルトに対してリコリスは一人で会いに行きます。姉同然の関係として。
リリーの描写を使い、アルトがその昼食を取る場所でリリーをいじめようとします。これをリコリスが助けるために間に割って入る。そのときに、リリーに「森へ逃げろ」と言います。その後、リリーは長い時間帰ってこず、帰って来たときには、何があった、と思える程に顔色も悪く疲れており、その後には寝込みます。
ここの描写は、リコリスはアルトが自分を傷つけないと思っていたが、アルトが強引に迫って来たため逃げるが捕まり、レイプされる、という内容になります。その際にアルトの取り巻きはアルトに加担します。多勢に無勢でリコリスは抵抗できません。その際に使用されたのが、人目に付きにくい迎賓館の一室である書庫、となります。
この場所がギフトの潜伏場所とされています。
罪悪感に耐えられず、また裏切られた事に対する憎しみからリコリスは犯罪を犯します。
アルトが階段から転げ落ちて怪我をします。この時、なぜか取り巻きがいません。理由はリコリスと会っていたからです。そしてアルトを突き落としたのはリコリスです。
そして次に取り巻きが怪我をします。
これをリリー(リコリス)の報復だと噂されます。
その後、寮でリリーは他の寮生に詰問されます。そこでようやく、アルトとの関係を話します。そのニュアンスで周りの人物はリコリスが'汚された'事を知ります。
その事実を知ったヴォルフは嫉妬に狂いそうになります。いわばリコリスの浮気です。リコリスにそこまでの気持ちがなかったとはいえ、リコリスは弟に頼られるような気持ちもしくは淡い恋愛感情で、誰にも知られないようにアルトと会っていたからです。それを取り巻きがフォローしていました。
また、リコリスはヴォルフに隠していたという事実でヴォルフに対して、良心の呵責を覚えます。
事態が重大なスキャンダルに発展したので、リコリスは一旦家へと戻されます。
リコリスのアルトへの恋愛感情がどれだけのものかはこの小説ではわかりにくい。夢の中では、母親に「誰かを好きになど、なってはいけませんよ。それが相手の、あなたの不幸に繋がってしまうから」という台詞を言わせている。これがアルトへの恋心の強さをわかりにくくしてしまう。そこまで愛しているのかどうか、それとも淡い恋愛感情止まりなのかがわかりにくい内容になっている。
家に帰って、父親とリコリスは話します。父は母を愛していたか、という事です。発言は「今でも愛している」ですが、これは前提でその指す意味が逆になります。父と母が仲が良かった前提の場合、言葉通りです。父と母が不仲である前提だった場合、これは'実際愛していなくてもそう言えば良い'という貴族的な体裁を告げる言葉になります。この話し合いの後に、リコリスはアルトに対して縁を切る決心をします。
ヴォルフに対してはしっかりと「好き」と伝える。ここの展開で、その少し前で'王子様のキス'でリリーは目覚める、という表現があった。だが、ここでヴォルフは'口づけをしていない'。また、リコリスのアルトへの思いが、強い愛情であるとするなら、ここでの'好き'は逆さ言葉になる。すると次のヴォルフの言葉である「君が好きだ。もう離せないから、覚悟してくれ」も逆さ言葉で発せられた可能性が出てくる。また、ヴォルフが眠る、という描写もこの時点でどう意味するか、となる。眠る、という表現を、心を閉ざす、という表現と捉えるとここでお互い、表面だけの関係にしてしまおう、と話し合いが出来た、という解釈に繋がる。表面だけ呼んだ内容が正しいと思いたい。ただし、ここはアルトへの愛情が強い場合の展開になる。淡い恋愛感情程度なら、表面を呼んだ内容で合っていると解釈するほうが良いと思われる。つまり、ヴォルフは安まる事が出来るリコリスの胸で眠る、という描写で親愛のある関係である、という解釈が出来る。
リコリスのアルトへの愛情の強さが解釈に影響するので確定的に書けないが、ヴォルフとの関係の亀裂を意味した悪夢についての発言で、シェイドが「悪夢に打ち勝つ秘訣は?」という問いに、リコリスが「それはね・・・愛よ!」と答える。
この展開で、リコリスがもう自身の立場を演じるつもりである事が伝わって来ます。それに対してシェイドは大きく笑います。つまり'割れます'。嘘だと言わんばかりに。
この後、リコリスはアルトとの話合いをする覚悟を決めます。ここでギフトの登場以来眠っていたリリーが目を覚まします。
リリーはギフトと合うために、情事が行われてしまった迎賓館の書庫へと向かいます。そこでお互いに話合いをします。実際に書庫にいったかは表現上のものかも知れず、話合いの場所は別かも知れませんが、リリー(リコリス)とギフト(アルト)は話合いをします。
そこで使われる魔法は'逆行'です。関係を元に戻す、という意味でしょう。最終的にアルトは学園を去り、知合いかそれ以下の関係になります。アルトが学園に来る前の時点まで関係を戻す、という解釈になっています。
この中での発言として「私を不実と責めても構いません。でも、私は言ったはずです。ーーーリコリスを傷つけたら、許さないって」というものがあります。そのままの意味かリコリスをヴォルフと置き換えるのが本来ある台詞なのかはわかりにくいですが、リコリスのままで読むのが読み易いでしょう。この発言で、アルトには淡い恋愛感情があったとしても、ヴォルフとの関係を壊すつもりもなかった、という表現として受け取る事ができます。
この後の展開としてルイシャンとオリアが登場します。
ここでオリアは人形の手を6個ほど捨てに行きます。この描写はアルトを含む取り巻き6名の学園追放です。深読みをすると、人形の手の'人形'が感情を持たない、ひいては、相手の気持ちを理解する事のない、と解釈できますが、ここではそこまで深読みしないのが良いと思われます。
また、手帳に書かれているものは、この先の展開を示唆するものです。リリーとヴォルフ、アルトとリコリス、リコリスとリリーの関係を書いた小説で、悲劇、の部分は曖昧にしてリリーとヴォルフ側に悲劇性がある事にしてアルトとリコリスの関係の悲劇を指摘する事を緩和しています。リコリスとリリーの繋がりをもって、ヴォルフとリコリスの関係が修復される、という展開が望ましい、またはそうなる展開である、という描写となります。
エピローグはごく普通の展開になります。アルトは追放された後で謝罪文を送り、ヴォルフがリコリスをエスコートしてエンド。
総じて、主人公を含む少年少女が学園で生活するが、ふとした間違いの結果、リコリスはレイプされ、加害者であるアルトは学園追放、ヴォルフはリコリスと関係を戻します(将来がどうであるかは別として)。
それを、転生者、魔法の存在、空想の人物の追加、という装飾で話を作った、というものです。
評価としては良くも悪くもない、というものになります。レイプネタが挿入されている事に多大なストレスを感じますが、それに気づかない読者にとっては、あたりさわりのない内容になっています。また、先程挙げた3つの前提条件が成立していると仮定すれば問題なく読めます。だが、それを読む読者側の世界にはその3つは存在しません。それが読者にとってどう影響するのか、という部分だけが問題になります。
この悪役令嬢ものが、従者と令嬢の結婚などの転落エンドになっていないかを先に確かめてから、まともそうな結末なので読んだのですが、思わぬ地雷が潜んでました。ただし、3つの前提が成立しているならその裏側を見ないで済み、裏側を見ても、犯罪が常習される事もなく、被害者は救済される、という結末なのでそれほどの精神的なダメージにはならないでしょう。
番外編「舞台幽霊のカプリチオ」を少しだけ、第一話だけ目を通した。
'カプリチオ'は狂想曲、奇想曲、形式が一定せず自由な機知に富む小品という意味のようです。
リコリスはある劇場で、素晴らしい舞台を演じきったただ一人の主演女優に観る。その劇場は「命ある人間が舞台に立つ事が出来ない」劇場なのだそうだ。
これがリコリスへの比喩になっている。彼女は一度死んだ。恋愛感情を殺した、という事に対する表現である。
また、レイプされた、という事実から、'貴族令嬢としては死んだ'という解釈もあり得る。その傷、醜聞を抱えながら、ヴォルフの婚約者として振るまい続けなくてはならない、という部分を表わしているとも取れる。
故に彼女は舞台の上で演じ切らなくてはならない。
ヴォルフを愛している、という演目を。
そこから話は始まるようだ。
途中を飛ばし、最終話だけをすこし目を通した。内容的にはハッピーエンドだった。途中を読まないと分からないが、感情の復活を意味する表現があった。ヴォルフとの関係が戻ったのかどうかは定かではなかった。本編のラストが裏側を見るとノーマルエンドもしくはバッドエンドなので、番外編もしくは2作目はハッピーエンドに見えた。内容を読まないとわからないので深くは触れない。
本編ラストを青い視点から見れば、リコリスとヴォルフの結婚はあり得ない。リコリスは降嫁して、低い爵位の相手と結婚するのがしきたりとなる。なので、ヴォルフエンドは現実味がない。その前例を許すわけにはいかないから、となる。また、アルトを含めた取り巻き達への家への制裁がどれ程になるかがここまでに書かれていない。表面上は触れる事が出来ない内容なので。実際には取り巻き達の家の爵位が低ければ実質上、取り潰しだろうし、アルトの家も無事では済まないだろう。公爵令嬢を害した事態を軽く済ませるわけにはいかない。この内容は表面上は表われていないので、話の中に盛りこむ事が出来なかった、というものだろう。
---追記---
番外編「舞台幽霊のカプリチオ」を読んだ。
番外編は本編の内容の比喩とその後の彼女の心情と、周りが望む結末、という内容だった。
舞台女優であり、人形であるミリア。彼女の唯一の友達であるリコリス。
この二人の出会いと友達になる展開、そしてミリアの秘密を知る、という部分が最初の展開となる。
リコリスはある劇場で、素晴らしい舞台を演じきったただ一人の主演女優に観る。その劇場は「命ある人間が舞台に立つ事が出来ない」劇場なのだそうだ。
その女優がミリア。比喩についてはさきほど書いた。
この出会いの時に見た劇は悲恋だった。これはこれからのリコリスとヴォルフが向かえる結末を示している。
ミリア=リコリスの視点となる。
ミリアは街娘を演じる。その恋人は戦争にいき、出世して英雄となる。その帰還を街娘は待つが戻ってこない。自分から会いにいったときに、丁度、英雄となった恋人が高貴な女性との結婚式をしている時だった。それを見た街娘が思いを込めて独唱して幕を閉じる、という内容である。
街娘の比喩であるが、街娘には処女性はあまり期待されない。それだけの保護を受ける事が出来る状況でなく、またその性関係もおおらかになりがちだから、となる。だからといって性関係に淫らであっていいわけではないが。この演劇の話は逆さ書きが若干入っており、リコリスとヴォルフの関係に例えると、貴族の令嬢であったリコリスは不貞行為により街娘と同じ価値しかないと称される。平民の男性が英雄になった、は、貴族令嬢が街娘になった、の逆さ書きである。その結果、街娘はその恋人とは結ばれない関係になる、というのが結末であり、ヴォルフは家格のつりあう別の女性と結ばれ、リコリスとの婚約は解消、というものがここでの例えになる。
この後、ミリアとリコリスは出会う事になる。そして友達になる。
この後に稽古を見に行く事になる。そこで出会う男性であるフランデルト。そしてその婚約者のニルデ。
この二人もリコリスとヴォルフの比喩である。
ニルデとの結婚式を間近に控えているのに、リコリスと劇の稽古を見に来るフランデルト。そしてニルデは結婚式で着る衣装を取りに行くために一人で店にいく。
この描写は、まず、ニルデが一人で先に結婚式の準備を進めてしまう、という部分がある。
次にニルデを放置してリコリスと稽古を見るフランデルト。この二人の部分は逆さ書きで性別を逆にするのだが、婚約者を放置して別の異性と共にする、という事で、アルトとリコリスの関係の比喩、となる。
そしてニルデの部分は、初夜で行う事を先に済ませてしまったリコリス、という事の比喩である。'先に(婚約者を連れず)一人で結婚式の衣装を準備してしまった'という表現になっている。
結婚式間近、というのは学園を卒業すればヴォルフとリコリスも結婚する事になり、それまでの時間から考えると結婚式間近、と表現できる。
稽古を見る場面になり、ロナルドが登場する。
彼の発言から、スキャンダルについての心配事を窺える。
稽古には劇作家であるエリウスが登場する。エリウス=ヴォルフの視点になっている。
彼は人間嫌いで、好みのタイプは「ひたすら一途な愛情を相手に捧げる、純情な女性」らしい。
これにはリコリスは怯む。自分自身の醜聞がそれを平然と受け流す事を拒む。
ミリアは今までの演目で「ひたすら一途な愛情を相手に捧げる、純情のヒロイン」を演じてきた。
そして今回の劇となる新作劇でも同じになる。
劇の内容は、初めての恋にひたむきな情熱を燃やすヒロインは、相手が言葉ばかり調子のいい苦労知らずの貴族とあっても一途な想いを止められない。相手があろうことか妻子のある身とわかった後も心を捧げ、ついには浮気性の男の心臓に突き立てられるはずだった刃物をその身に受けて死んでしまう、というものだそうだ。
これに対しての情報が、この劇の構成が、劇作家が実際に愛した女性に捨てられたという過去の反動から来るものではないか、というものだった。
この解釈が難しい。逆さ書きを使うために書いた内容が一定の解釈に収束するには多くの情報が必要になり、ここだけではこれがこの先の展開をどうしたいのかを示すには不足している。
逆さ書き、と解釈した場合、異性を逆にして、初恋に情熱を燃やすヴォルフは、言葉ばかり調子のいいリコリスへの一途な想いを止められない。相手があろうことかアルトという恋人がいたとして心を捧げ、ついにはそのスキャンダルで自身も破滅するかもしれないがその結果を選ぶ、という解釈が出来る。
この解釈の場合、その後にあるロナルドの発言である「女々しいと思っただろう?」は正しく聞こえる。
別の解釈としては、単純に調子のいいアルトとの恋愛の結果、そのスキャンダルで貴族令嬢としては死ぬ、という展開を見せつけられるとも取れる。あるいはそうなれ、と。
別解釈として、「ひたすら一途な愛情を相手に捧げる、純情なヒロイン」を演じ続けろ、とも取れる。
この後、楽屋での展開となる。
ミリアはエリウスに思慕の情を抱いている。人形であるにも関わらず。
だがミリアは「人形が恋愛感情を抱くのは違う」と否定する。
「誰かを愛するということは、人形にはできない事です。〜中略〜。上辺だけ真似ているに過ぎません」
という部分の台詞が、リコリスの自嘲になっている。
この会話の最後の部分に
「人形が、人間になる方法を、ご存知ありませんか?」
とある。
これはリコリスの密かな願いでもある。罪悪感とヴォルフへの想いのせめぎ合いの中、彼に対する愛を伝えるにはどうすれば良いか、という事が常にリコリスの心の中にはある。
綺麗さっぱり忘れるわけではないが、罪悪感や良心の呵責から解き放たれ、純粋に恋愛感情を彼に向けるにはどうすればよいか、という問いになっている。
この後、ミリアは秘密を打ち明ける。ミリアは実は人形であるはずのミリアではなく、ミリアの原型となったマリという女性であると話す。
マリが自身の生涯の話をしますが、リコリスの生涯の比喩になっています。
「あの時が来るまでは」の発言がアルトとのスキャンダル部分です。
ここでの祖父の死の解釈は、不幸な出来事で片付けるか、リコリスを守る存在がなくなった、と解釈するかは展開次第ですが、ここでは転機としての不幸な出来事のほうが良さそうです。マリには死産になった姉がいます。この姉に用意された名前がミリアであり、それが人形につけられた名前です。
ミリアという名前をもった人形はとても優しい、穏やかな顔をしていた、と描写があります。事件以前のリコリスへの比喩です。
マリの描写は「私はまったく泣かない、笑わない、しゃべらない子供」という評価となり、スキャンダルの後に、必死で演技しているリコリスの描写でもあります。
この辺りの台詞回しが私には多少解釈が出来てないです。
ミリアという人形を完成させず、ミリアと偽ってマリは劇に出る。スキャンダル前の'ヴォルフを愛しているリコリス'を演じて'アルトと情事をしてしまった罪悪感を持つリコリス'がいる、という表現だと思います。
ミリアという人形の手と体を隠す、とありますが、手は本編側の描写からアルトと取り巻き、体は不貞行為で汚れた体、という表現でしょう。
ミリアに扮するマリが登場する舞台を大成功になる。
これはうまく'ヴォルフを愛しているリコリス'を演じる事ができている、という解釈で良いでしょう。
ここで、この話の前提が出てきます。
「命ある人間が舞台に立つ事が出来ない」劇場。
これが即ち、ミリアを扮する、人間であるマリはいつか舞台にまつわる呪いのようなもので死ぬかもしれない、という事です。
ですが、現状で舞台は大成功、これをマリは、呪いに関連する幽霊から見ても「自分は人間とは見られていない」と評します。
そして、ここからの台詞にリコリスの暗い願望があります。
舞台に立つと呪いのせいで死ぬかも知れない、という事実を元に、ミリアはこう言います。
「殺されるかもしれない、ではなくて、いつか、殺されたいって、思っています」
そしてその後に
「私の、今となってはたった一つの夢です」
と話を続ける。
もし舞台で呪いにより死んだなら、その時は幽霊はマリが人間であると認めてくれたという事だと思う、と話します。
それはつまり、人として愛した、という証明だと言います。
幽霊は人のように騙されず、その死は自身の愛の証明だと言い切ります。
ここでの問題は、この情報を確定させるための根拠が少ないので、リコリスの暗い願望か、周りが望む配役かがわかりにくいです。
リコリスの願望だとすれば、'ヴォルフを愛しているリコリス'を演じている最中に事故死などしてしまえば、そのままの演技していたリコリスのまま終わる事ができます。ですが、長く続ければ続ける程、演技に失敗する可能性があります。これ以上ヴォルフを裏切りたくない、という感情があるならこの選択肢はあるでしょう。
ここでの「殺されたい」は本編での夢に出てきた母の言葉と成長過程で得たトラウマから来るもの、と言えるかもしれません。恋愛感情を持てば不幸になる、と思い込んでいるのなら、不幸になるのならそれは恋愛感情が持てた証だ、と捉えている、とも取れます。
ただし、やはり望まれる配役、という線も消えません。スキャンダルを起こした令嬢の身の振り方は実に厄介であり、その醜聞が学園全体に及ぶ事から望まれていない、という事もあるのでしょう。不祥事はあまり明るみに出ず、だがその処理は徹底したい。その場合、リコリスの存在は不都合になります。ヴォルフの側としては妻にするわけにはいかないからです。また、貴族のしきたりとしてもそうは出来ません。
この後、ミリアとリコリスが手紙のやり取りをします。
リコリスの愛情が上辺のものではない、という表現と、幽霊が嫉妬により人を取り殺す、という表現が入っています。幽霊はヴォルフ、殺される人はリコリス、という文章で本編から続いている解釈です。
「舞台を愛する〜」という部分の台詞で、舞台幽霊が呪いによって人間を殺さない、という表現があります。ここまでの流れで、真実の愛情があると信じる、という表現を元に、その演技をする限り、'舞台幽霊は呪いによって殺さない'という解釈が出来ます。また別解釈ではヴォルフを愛すると誓います、と言っているとも取れます。あなたを愛するから嫉妬に狂う必要はない、とも文章は読めます。
手紙の最後にミリアと呼ぶかマリと呼ぶかの降りがある。ミリアと呼ぶのなら、'ヴォルフを愛するリコリス'を演じるという意味になり、マリと呼ぶなら一度は嫌ったアルトを'必死'に想う、という解釈が出来ます。
ここでの別解釈は、ミリアを仲介したヴォルフとリコリスの手紙のやり取り、とも取れます。この場合も似たような解釈に出来ます。
そして最後に、ヴォルフとリコリスはミリアの劇を観に行きます。
ミリアの劇は基本的に悲恋だったが、今回は違う内容になっていた。
役は、家族に恵まれず、だからこそ家族への強い憧憬を抱く少女。好きになった男性には献身的に尽くし、それが報われるかどうかには頓着しない。
ミリアはただ、自分の心が真実であることを必死に、健気に伝えようと歌う。
この歌詞がヴォルフの答えになっています。
少し前に出てきた劇の内容の逆さ書きをもう一度書く。
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初恋に情熱を燃やすヴォルフは、言葉ばかり調子のいいリコリスへの一途な想いを止められない。相手があろうことかアルトという恋人がいたとして心を捧げ、ついにはそのスキャンダルで自身も破滅するかもしれないがその結果を選ぶ、という解釈が出来る。
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これを踏まえて、ヴォルフは歌の内容でリコリスにどうして欲しいかを告げる。
歌詞の中で自身を人形と例えるが、その人形に与えられる旋律、つまりは指示のようなものは、ただひたすらに愛せ、というものになります。
いままでの苦しみも哀しみも、2人の人生という舞台で生きた証だと告げます。
この後の展開で、ミリアはマリのものだ、という描写があります。つまりはスキャンダル後のリコリスであるが、それ以前の公爵令嬢としてのリコリスとして存在していい、という解釈が出来ます。そのスキャンダルの一番の被害者であるヴォルフがそれを受け止めるからです。
エリウスはマリについての好意を劇後に述べます。人間としての部分に、演技をする人形ではないリコリスに対しての発言になります。
ここでの会話でマリの祖父の話が出てきます。この部分だけ解釈すると、祖父=リコリスの父です。
スキャンダル後に'ヴォルフを愛するリコリス'という演技をするように提案した父。この演技をミリアで表現していますが、このミリアとしての扱いを、リコリスは「道具」としてみていました。ですが、ここでミリアはマリのために作られた、と説明しています。スキャンダル後のリコリスを守るための役割、という解釈ができます。
ここでの会話の最後にミリアがリコリスを呼び捨てにします。この状況はエリウスがミリアに連れられて退場するシーンになります。この状況はヴォルフがリコリスの手を引く、リードする、と解釈でき、そこで呼び捨てにする、対等である、と表現する事でこの状況でのミリアが、ミリア=リコリスという事を表現しています。
この後のロナルドの話は割愛します。
フランデルトの部分は、その熱愛振りを真似ろ、という暗示も含まれているでしょう。なぜなら歌詞にあったように、「あなたの教えた旋律をなぞる、それだけで幸せ。それが幸せ。」という内容の元にヴォルフが仕組んだと思われる展開だから、となります。
ここでの会話は逆さ発言がありえるかも知れません。男が女がいうべき台詞を言い、女が男のいうべき台詞を言う、というやつです。これは主に商行為において、お互いが手持ちのカードを読み合い、互いの意図する所を発言しあう、という状況に主に使われるものです。商談の意図から相手が欲しいものが何か、という発言を自分の側からする、というものです。
これの悪用は、明示的に指示したわけではない、という事です。これ以前に脅迫が済んでいた場合、これだけのやり方でも相手を操る事ができてしまいます。
番外編まで総じて、色々あったけれど、ヴォルフはリコリスを許し、一応はハッピーエンド、となります。
悪役令嬢ものを読んだ中では綺麗な終わり方をしているほうだと思います。
ヤンデレ設定で良い終わり方をしている珍しいもののようにも思えます。
リコリスに対する嫉妬で殺してしまいたい、と思えてしまう程であると同時に、リコリスにはヴォルフ自身が嫉妬をする事のないほどに愛してくれるなら不貞を許しています。
リコリスから子供の頃に与えられた気持ちに誠実に応える珍しい展開と思います。
話自体では、スキャンダルでレイプネタが入っているのがとても残念で、その部分で個人的に評価が低い。
恋愛ものの小説でスキャンダルがないと話題性もなく小説に書くようなものになりにくいのは事実ですが、もうすこしどうにかならなかったのだろうか、と思います。
番外編の終わり方が、裏を見てもきれいな終わり方をしているので余計にそう思います。
ここで、終わり方の解釈が二通りあります。青い血で見るか、赤い血で見るかです。
赤い血でみた場合、ヤンデレ設定のヴォルフのひたむきな愛、という形式で終われます。あるいは自分を愛している限りは、それが例え表面上の振り舞いでしかなくともその間は殺さない、という解釈も、あまりしたくないが有です。ヤンデレのヴォルフが欲しいのはリコリスの関心です。どこぞの漫画にもありますが、'自分を見て'という部分がヤンデレ設定にはあると思います。
青い血でみた場合、演技してスキャンダルの火消をしろ、と取れます。劇作品にあった、浮気男、という部分で、もうひとり妻を取り、そちらに子供を作るからその争いの中で、それ以前でもいいから死んでくれていいよ、という解釈も出来ます。あくまで見た目は愛している演技を続けながら、となります。
また、このスキャンダルを考えた場合、その貴族間の背景条件次第で大きな切札になります。アルトと取り巻き達、その親戚の類は負い目を持っていますから有効に活用できます。なのでその影響次第で、ヴォルフは大きな得をする、という事です。アルト達とその親戚が、たとえば他の公爵の派閥にいる設定であれば、その派閥に対して切り崩しと弱体化が図れます。
このレビューの締めとして、これを読んだ読者は最後の終わり方はどちらである事を望みますか、と締めておきます。




