会話がしたいお年頃(落とし何処ナシ)
「あのさ、エラいとエロいって似てると思わない?」
「何だよ、藪から棒に」
「いいからいいから!エラいとエロい・・・ね?似てない?」
「まぁ似てない事はないな。意味こそ似ても似つかないけど、語呂というか語音というか、音は似てるな。二文字(音)は完璧に一緒だし、ラとロも同じラ行だし」
「だよねー!似てるよねー!ラ行変格活用って感じだよねー!」
「いやいや、勝手に変格活用で括ってんじゃねぇよ。ていうか、変格活用ですらねぇよ」
「じゃあ・・・ラ行変態活用とか?」
「全然上手くねぇし、まず変態なんかを活用するなよ。あくまで同じラ行ってだけで、ラとロは母音が違うだろ」
「ボインが違う!?ボインは違うの!?それはつまり、お胸の大きいお姉さんはエラくもエロくもないって言いたい訳!?」
「いやいやイヤイヤ、ちょっと待てくれ。誰も別にそんな限定に限定を重ねた体格的な差別・・・もとい区別をしろって示唆してる訳じゃないからな?これじゃ、まるで僕が酷い人間みたいじゃないか。そういう言い方は止してくれ。言いがかりは止してくれよ。そうじゃなくて、音だよ音。僕が言ってるのは母音だよ。母に音で“母音”。ボオンと書いて“ボイン”だよ」
「お母さんの音と書いてボイン?・・・もしかして、××君ってソッチの属性の人だったの?」
「『もしかして、ソッチの属性の人だったの?』じゃねぇよ。アッチでもソッチでもコッチでもねぇよ。何なんだよ、ソッチの属性って?ソッチってどっちだよ?」
「じゃあ・・・ただのボッチじゃん」
「わーん!お母さーん!僕、いじめられてるよー!いじられるいじめにあってるよー!(嘘泣き)」
「あ・・・やっぱり、ソッチなんだ?」
「いやいや冗談。僕はマザコンでもなければ、熟女好きでもフェミニンでもない。ましてや、母親に欲情するようなマザコン紛いの真性でもないから」
「でも、男の人っていうのは皆マザコンでしょ?」
「それは聞き捨てならないな。僕は違うぞ。ただ仮に、もし仮にそうだとしても、男が求めているのはきっと母親の持つ母性であって、決して母音でも、ボインでも、エロいでもないと思うぞ。母親の愛情に欲情なんてしたら母親を母親として見れない筈だ。少なくとも、僕はそう考えてるし、そう思っているよ。何にせよ、僕は母親をエロいとは思わない。ただ・・・偉いとは思っているよ」
「ドヤ顔とか止めてよ。全然エラくもエロくもないから」
「寧ろ、エロいドヤ顔って何だよ?」
「んー。・・・外国のモデルさんとかの不敵な笑みって感じのアレ?」
「あー、・・・何だろう。少し分かる様な気がする」
「でしょ?ほらね。やっぱりエロとエラは似てるんだよ!」
「いや、流石に鰓は煮てねぇよ。ちゃんと形容詞で言えよ。言葉が煮崩れしてるぞ」
「全然、美味くないよ」
「そりゃ、お粗末様でした」
「でもやっぱり、エラいとエロいは似てるって」
「まだ言うか」
「漢字に直しても読み方がエロいに似てるせいで偉いって文字までエロく感じちゃうよね」
「全然感じねぇよ。偉いはエラいだし、二つが似ているのは響きのせいだろ?・・・全く。このままいくと、エロいとドライまで似てるって言いかねないな、コイツは」
「それは無いよ」
「・・・超ドライ」
「翻って、偉いについて」
「翻るなよ」
「さっきも言ったけど、エロいのせいで、語感のせいで、偉いまでエロく感じちゃう訳で」
「いや、感じちゃダメだろ」
「語感で感じちゃう訳で」
「・・・しつこいぞ」
「このままだと、偉人って言葉もその字面だけでエロく感じちゃうようになっちゃうのかも」
「ドライはダメで偉人は良いのかよ」
「そのうちに、きっと“イジン”って響きまでエロく感じるようになって、異人って言葉にも反応しちゃうのかもしれない」
「いや、それは諸外国の方々に失礼だろ」
「さっき、モデルさんの笑顔をエロく感じるって共感してたじゃない」
「いやまぁ、確かに言いはしたけど。それはあくまでモデルであってな…。第一に、異人なんて言葉は今のご時世に使う事なんてないだろ?」
「言われてみれば確かに・・・。あっても社会科の教科書くらい?・・・であれば、日本史ってエッチな教科だったのね」
「・・・誰かこいつの思考回路に鎖を巻いてくれ」
「そうだ!江戸とエロって似てるよね」
「・・・もう止めてくれよ」
「『てヤンデー(レ)』な江戸ッ娘的な?」
「もう泣くぞ!?・・・いや、待て。アリだな、それ」
前書きも能書きもありません。
オチない会話はお嫌いです?




