恐怖と狂気は黒歴史と紙一重?
グロいわけでも十八禁な訳でもありませんがいろんな意味でご注意ください
久々にテンションの上がってしまったクロ課長のせいです。
(僕でした、ごめんなさい)
彼女から滲み出る殺気は恐ろしく何か異質なものが混ざっている……
そんな印象を受けさせるものだった。
「……サハイ様、エルムをどこにやったのですか?」
感情が殺され、坦々と言葉を繋げるニル
しかし、まだ、彼女達は追いつけていなかった。
この現状に
ミシアは彼女を知っている。
彼女は父であるサハイ王の臣下である四公爵、王国の四大勢力とも言われ、その一角を担う剣の家系の息女
社交会にも参加していたから彼女は知っていた。
「……何故貴方がここに?」
「僕は今出来ることを、しなければいけないことをする為にエルムを探しに来ただけです
その過程で貴方がいただけ
……そこの人は誰かは分かりかねますが」
「ああ、あれはわたくしの玩具、ですわ」
「……相変わらず趣味が悪い」
「……貴方はわたくしとの身分差を理解しておられませんの?
生意気な口を聞くようなら
飛ばしますわよ?その首」
「僕は貴方の言いなりになる気も貴方の家臣になるつもりもない
それに飛ばせるものならどうぞ」
「……わたくしじゃあ貴方とは……不利ですわね」
「有利じゃなければ戦えない
やはり王族は臆病者だ」
「臆病とは少し違いますね
王に敗北は許されない
それは義務……いえ、責務というものですわ
時に相手の力量も察することが出来なければ王族失格です」
「……へえ、なら──」
ヒュンッ
ニルは後方に大剣を振るう
そこにいるのは十字架に縛り付けられる芽音
彼女らの間にはニルの持つ大剣では絶対に届かない空間と言う壁が存在する。
勿論そんなものは彼女には関係ないが
高速で振られた大剣からは月夜に似合わない四つの斬撃が飛ばされる。
一年前、彼女が遠距離を攻撃する時に最も使う剣技
『閃光』
高速で振られた剣は空間を抉り、それを補填する周りの空間が連続することによって起きる一種の斬撃波
そして剣の家系である彼女達が振るった剣技には光が宿り、その斬撃波は威力、殺傷力だけでなく光熱量による、融解力も持ち合わせている。
しかし、今は──
──『金天帝竜の捕食』
飛ばした斬撃は昔とは明らかに違う
威力も速度も輝きも、何より、数ですら
1振りで最大10もの斬撃波を飛ばすことが可能になり
更にはその斬撃波の操作をもできるようになった。
その10もの斬撃波を以前に見た金天帝竜の頭を模して攻撃することからそう呼ばれるようになる
その斬撃波は芽音の拘束具を破壊するとその拘束具と十字架を喰らい消滅する
「王女様は今日初めて敗北を味わうんだね」
そう言い放つと背後の芽音から声がかかる
「誰だか知らないけど、ありがとう、とだけ」
「礼なんていわなくていいよ、僕は王女のやり方が嫌いだし、何より傷はエルムが嫌ってたから」
「……貴方は何者?」
「僕?僕は……ニル=ウィベグ=レスチール
剣の女神ウィベグの残した子孫の末裔の1人」
「……剣の女神…ね
へぇ、貴方も選ばれた1人か」
「そういうことになるかな
君もでしょ?」
「……ウチの名は…
…いや、ウチの本当の名は──
──メオン=ゲオルニクス=リブオーグ
波と空間の女神、ゲオルニクスの子孫……
らしい」
「……らしい?」
「いやぁ、ウチ、昔エルっちに会うまで知らなかったし……
そもそもお母さんの祖先がこっちの世界の住人だとか意味わかんなかったし……」
「…複雑そうな家庭だね?」
「全くだよ……とまあ、そのへんはまた今度話そっか」
「そうだね、この王女はそろそろ駄々こねそうだし……」
そう、言い彼女達は王女の方を向く
彼女は俯き、震えていた
苛立ちに
「なんなのよ
何奴も此奴も……わたくしの思い通りにならない!
来なさい!ネアリィ!!」
王女の召集に闇から突如現れる
サハイの王族の持つ黒装束の親衛隊
またの名を──
──戯者
「…御要件を…」
「あの2人を殺りなさい!
惨たらしく!グチャグチャに!」
「本当に?」
「ええ!全員使っても宜しくてよ!!
わたくしはエルムの所に向かいますわ!!」
「主の仰せのままに……」
ミシアは荒々しく翻すと室内に続くその扉へと向かう。
「勝ち逃げなんて許さない!!」
自身の言葉による音の波を芽音は操り不可視、不実体の幾千、幾1万と瞬間展開し極小長針波が音速でミシアを襲う
ひと針身体を通れば刺された部位は痙攣を起こし、ふた針通れば壊死し始める。
部位が連なる場所なら共振し身体の内部から極波による細胞の分解によって壊される。
しかし──
「『無散』しなさい」
その一言によって針波は消える。
これが先ほど芽音が負けた理由
「貴方も学習しないわね!
わたくしに実体の無い攻撃は効かない
貴方は絶対にわたくしに勝てない!」
その言葉を最後に彼女は屋内に消える
そしてその瞬間、周囲が夜から闇に変わる
「暗転世界」
ぼそりと呟かれたその言葉はおそらく何らかの能力なのだろう。
空から月や星は消えテラスに誰かを映えさせるためだけにあるよう椅子やティーテーブルをも闇は飲み込んだ
「……」
「これは…どういう扱いの能力なのかな?」
無言で佇む戯者にニルは問いかける
「………」
しかし答えない
「僕も……急いでるんだけど?」
「その割には落ち着きすぎな気がするけど」
ニルの真面目な発言に芽音はつっこむ。
案外相性がいいのかもしれない
「…………(*´・ω・`)=3」
「「!!?!?」」
彼女の顔が一瞬記号になる
どことなく「ふぅ」とでもいいたげであった
いやまあ、それどころではない訳で
そうしてシリアス展開は一瞬で吹き飛ばされた。
「なにそれっ!?顔文字!!?
はぁっ!!!?」
「何あれ!?僕鳥肌が立ちっぱなしなんだけど!!?」
「……┐(´д`)┌」
「ああっ!あの顔ムカつくっ!!
絶対に『やれやれ』で変換したよね!!?」
「全然意味がわからないのに何となくバカにされてることだけはわかるのが余計にイライラが……」
「ダメだよ!アイツ今やらないと1番後になると厄介なやつだからぁ!!!!」
「щ(・д・´щ)」
「ああああああああぁぁぁあああ!!!」
「芽音ちゃんが壊れたッ!!
なんて威力の能力なの!!?」
これまでのシリアスはすべて吹っ飛び、意味を知っている芽音先ほどミシアに与えられた傷なんて何処吹く風、今芽音の脳内には戯者の顔文字が埋め尽くし無限ループしていた。
『フゥ(*´・ω・`)=3┐(´д`)┌ヤレヤレщ(・д・´щ)コイヤ、フゥ(*´・ω・`)=3┐(´д`)┌ヤレヤレщ(・д・´щ)コイヤフゥ(*´・ω・`)=3┐(´д・・・・』
一方意味が全くわからないニルはいろんな意味で混乱していた。
「(`・ω・´)ドャッ」
そして、芽音の脳内ループにレパートリーが追加される。
「なぁあああああぁぁぁぁ……」
芽音のそれはもはや断末魔だった。
そう、これらのネタでしかない狂撃は全て──
──ネアリィの能力
それは二つの意味でえげつなく、惨たらしくグチャグチャにすることも出来る能力だった。
色幻惨現
惑わし、実体化させる
相手が嫌がれば嫌がるほど、見たくなければ見たがらなくなるほど、なんと質の悪い能力
そしてこの能力は──
──心の深くに封印された黒歴史を抉る
今、芽音は黒歴史を抉られていた──
中学二年生
俗に言う厨二病の発症が開始される時期。
しかし、彼女の黒歴史は厨二病ではない。
そもそも彼女は厨二病が発症した訳では無いのだ。
事の発端は友達の口車に乗せられ、夏休みの自由研究で思い切ったことをしよう、と思ってしまったからである。
そして、その内容は──
──(`・∀・)ノヘイ!顔文字は世の中を変えるッ!!
『用語と意味………そして実演もやるよっ』!!ー──
それはまた別のお話で
芽音は今、その今も伝説として語り継がれるその過去を第三者視点でループしていた。
それは激しく悔いていればいるだけ内部から出られず、
無いものにはそもそもない黒歴史を見ることは無い
だが、大なり小なり人間には黒く、重く、辛く、苦しい自らの歴史があるものである
当然ニルにも──
そう、彼女の黒歴史
それはエルムの16の人格封印である
前書きで色々書いた通り、はっちゃけた私、クロ課長のまさに黒歴史になりそうな今話でした。
ネタ感満載の今話に最後までお読みくださって本当にありがとうございます
次話の芽音の所には少しだけ継続させますがほかの面では真面目に書いていきます。




