今日は何回飛ばされるのだろうか?
どうにかニルをどかすことに成功した俺は、身体的には大丈夫なので教室に戻ることにした。
一応、今俺がいた場所は第一保健室だ。
この学院には保健室は第五まである。
理由は、魔術と剣士の両方を育成しているからそれによる怪我人も結構でるのだ。
まあ、その辺はいいか
俺は、馬鹿力の二人に引っ張られ、いや引きずられ教室につれてかれる。
教室につき扉を開ける。
ガラガラガラ
「ただいまー……ってあれ?誰もいない?」
「そういえばさっきアリスが風魔術の授業があるからっていってたから外の演習場にいってるんじゃないか?」
「え?アリスちゃんが来たんですか!?」
「あ、ああ、お見舞いに来てくれたよ?」
「く!ちゃっかり自分だけ株をあげていきやがったな!」
「抜け駆けされた、く、くやしい!」
「?」
彼女たちは何をいっているのだろう?。
「なんだか、俺が寝てるときからいたらしいんだよね」
「な!」
「何かされませんでしたか!?」
「いや、たぶんなんもされてないと思うけど」
「ほんとに!?」
「逆になにされるんだよ……俺」
「添い寝とか?」
「いやいやいや!キスとかでしょ!、キャーー!!」
「いやいや、お前らの願望じゃねえか」
「保健室でエルムを襲う私!キャーー!!」
「キャーー!!、じゃねぇ!」
バシ!
「イタ!…………くないけど、いいのかな?そんなことをするとほんとに襲っちゃうぞ?」
「ひぃ!」
「その時は僕も呼んでね!!」
「お前もかぁ!ラルもニルも襲う前提にしやがってー!」
「え!?なに!逆にエルムが私を襲ってくれるの!?」
「ほんとに!?なら僕のことも!!」
「いい加減にしろぉい!」
「アハハハハハ!冗談だ…………いや、冗談じゃないよ!」
「冗談にしてくれ……」
「僕ならなにしてもいいのにぃ!」
なにしても!!?
いやいやいや!惑わされるな!俺!!
アリス一筋だろ!
「バ、バ、バカいってないで演習場に向かうぞ!」
そう言って逃げるように外へ向かう。
学院の敷地はとても広い……らしい
らしいというのは、いや端までなんか用事がないといかないわ!
しかし、この学院の生徒は全員が初級風魔術の瞬歩という歩くのではなくほんの少し地面から浮きスライドするようにとても速く移動することができる魔術を使える。
僕を除いて。
魔術が苦手というラルとニルでさえ大体の属性魔術の中級まで使える。
のにたいして俺は大半の初級魔術すら使えない
ひとつだけ最上級魔術まで使える魔術もあるがそれは今はいいだろう。
「じゃあ、いつもどうり引っ張ってくね!」
「頑張るよ!」
「お、お手柔らかに……」
両腕をさっきのように捕まれ今度は引きずるのではなく人間鯉のぼりとなっている。
「おぼぼぼぼぼぼ」
「もうすぐつくから頑張って!」
速い、速いけど!
俺も瞬歩を使って移動したい!!
これを毎回毎回耐えるのがとても辛い!
ここまでても辛いのに、さらに、こいつら目的地につくと、、、
「あとちょっとだよー!」
「あと十秒ぐらい!」
二人は自分で瞬歩を使っているが俺は二人に引っ張られている。
それによって、風になびかされる鯉のぼりのように足が浮いている俺は二人が急に止まると吹っ飛ばされる。
今回も例外ではない。
「今回こそはしっかり俺を止めてよ!!?」
「わかってるわよ!」
「しっかり握っておくよ!」
「到着まで3!、2!、1!!」
ラルのカウントダウンを聞きながら、今回こそは吹っ飛ばされないように心のなかで願う
「到着ー!!」
「ついたよー!!」
「だから離すなってぇ!!!」
「「あ!」」
俺はまたもや弧を描くような軌道で飛ばされる。
今回はいつもより高いようだ。
はあ、今回も骨折は確定だな
骨折って言ったら大怪我っていう部類だがここでさっき俺が唯一最上級まで使える魔術が役に立ってくれる。
まあ、そんときはそんときでいいや。
慣れてるからかほとんど死ねるレベルなのにとても冷静だった。
「っていうかこの方向って演習場にじゃねぇか!!」
やっぱり冷静ではいられなかったようだ。
「ちょまて!さすがに演習場を壊すのは!修理代を取られるから!!」
俺も考え方がおかしいようだ。
だって!金をとられんだよ?
俺のバイト代が!
「はぁ、でも壊れるのは確定だよな……起動を変えるとか無理げふぅ!!」
考えてたら目前に演習場が来ていたのに気づかず激突する。
そして突き破る。
「痛い、そして財布にも痛い……そしてこれからがより痛い」
骨折はやだなぁ
そんなことを考えて落下していく俺
「浮風!!」
「お、お!?」
おそらくあの人が唱えたそんな言葉が聞こえた瞬間に俺の落下は落下から降下になった。
簡単にいうと、落ちてる状態に俺のことを風が下から支えゆっくりと落ちていった。
「またお前か、エルム」
ゆっくりと落ちていく俺に呆れたように話しかけてきたのは担任であるフル=リンタル先生だ。
リンタル先生は全部の属性魔術を二十歳にして上級をマスターするという天才的な先生だ。
魔術は下級、中級、上級、最上級というランクがある
普通であればすべての属性魔術を生涯で中級まで使えればとてもいい方なのにこの人はほんとスゲーなって思える人だ。
「あははは……すいません」
「また、あれの修理代は取るからな?」
「先生が払ってくれるとうれしいなぁーなんてー」
「あ?」
「すいません。ちゃんと払います」
「全く毎回毎回俺にはらってもらえるとか微塵すら思ってんじゃねーっての」
「ドケチめ」
「あ?」
「ごめんなさい、なにもいってません、だから、吹き飛ばそうとしないで!」
「吹きと飛べ!強風!」
「へばぁ!!」
魔術によっていきなりの体を巨人の手で振り払われるような衝撃が俺を襲う。
このままだと壁にぶつかると思った俺はせめて後頭部は死ねるから反転して固まる
いや飛ばされ続けてるけど。
「あっやべ」
そんな先生の声が聞こえた。
そう、先生が飛ばした方向は生徒たちが待機している方だったのだ。
生徒たちがその事に気がついたのは俺が気づくより一寸前のようでだんだんと一本の道のように生徒たちが割れる。
誰も止めようとしてくれないのか、
俺はもう壁にぶつかるだけなのか、そう思いつつだいたい五秒後に起こるであろうことに身を任せようとした。
ドン!
え?誰かが止めようとしてくれた?いやぜんぜんとまってないけど。しかもそのまま、誰かさんもぶっ飛んでんぜ?
そんな失礼なことを考えてその止めてくれようとしたであろう人の顔をみる。
「な!!アリス!?」
「イテテテ、ア、アハハハ」
「イヤ!アハハハじゃない!君まで壁にぶつかるじゃないか!」
俺はそういい放ち隣で吹っ飛んでいるアリスを抱き寄せ俺が壁にぶつかるようにする。
が、ぶつかる寸前に誰かに襟を捕まれる。
そして完全に停止する。
いや、誰かってあいつらしかできないだろうけど。
「はいはーい、」
「何で二人で抱き合ってるのかなぁ!!?」
ヤバイ、これは、一連の出来事より死ねる。
今回まで1日1話を頑張っていたけど3話分でできなくなったクロ課長です。
それを期待てしくれていた方々はごめんなさい。
また頑張って書きますので応援よろしくお願いします!
今話も最後までお読みくださってありがとうございました!
誤字脱字あれば感想にお願いします!