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わがままなキミ  作者: 葉月 晶
第二章
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期間限定彼氏決定

「なんで? カズミちゃん今フリーでしょう? 何の問題があるの?」と無邪気に聞いてくる。


「う~ん」優佳に淡い想いを抱いている和美(かずよし)には大問題である。


 でもあの瑞穂に『気になる子がいるから』って告白したら……。上手くいくのもいかなくなりそう。いや、面白がって全て潰されるかもしれないと和美は危機感を抱いた。


 どうせ酔っぱらっていて記憶も飛んでいるんだろう、そうじゃなくては『僕とつきあう』なんて提案する訳がない……。そこまで考えた上で「いいよ」と和美は返事をしていた。


「え?」

「瑞穂こそ聞いていなかったな。だ・か・ら期間限定彼氏になってもいいよ」もう、どうにでもなれだと和美は覚悟を決めた。


 瑞穂は数秒間人形のように動かない。


 なんだよ聞こえてなかったのか?と和美が考えているといきなり「カズミちゃん、ありがとう」と瑞穂が抱きついてきた。そして泣き始める。みるみるうちに和美のTシャツは瑞穂の熱い涙で濡れ始めた。和美は軽く瑞穂の背中をさする。


――小さい頃の瑞穂は泣き虫で今みたいに抱きついて泣いていたなぁ。そんな瑞穂の背中をいつもさすってやったよな……


 怖い時、悲しい時、悔しい時、親に怒られた時、決まって瑞穂は和美に抱きついて泣いていた。そして泣き止むと恥ずかしそうに「カズミちゃんありがとう」と微笑んでいた。


 気がつくと泣き疲れたのか瑞穂は和美に抱きついたまま寝息をたてている。ゆっくりと瑞穂をベッドに移し布団をかけてやった。


 やれやれと小さなため息をついて和美は電気を消す。そして少し小さなソファに丸くなり毛布を被り和美も眠りについたのだった。

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