表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わがままなキミ  作者: 葉月 晶
第一章
4/30

真夜中の飲み会

「二股されていた」と聞いて和美(かずよし)は納得した。


 今回の瑞穂の荒れようは尋常ではない。もちろん彼氏と別れる度に幼なじみの和美の部屋に来て、酔っぱらいながら一晩中に渡り愚痴をこぼすことも尋常ではないが……。


「私のどこが悪いのよ?」瑞穂は音もたてずポロポロと涙をこぼしながらも缶チューハイを煽るように飲み干す。「ほらほらカズミちゃんも飲んで」と新しい缶チューハイのプルトップを開けて和美に渡してくる。瑞穂の視線を感じてしかたなく一口飲むがすぐに「何これ苦いやつじゃん、カクテルシリーズ買ってきてないの?」和美はアルコールに弱く、しかも甘いカクテルか甘い缶チューハイじゃないと飲めない。


「もう、カズミちゃんは世話がやけるんだから……」と和美の手から缶チューハイを奪い一口飲んで「カズミちゃんと間接キスだぁー!」と酔っぱらい特有の大声で笑う。


「瑞穂大声出さないで! もう真夜中だし、ウチのアパートの壁薄いんだから」

「ごめん、ごめん。これならカズミちゃんも飲めるでしょ?」とカクテルを渡してくる。「ありがとう」と受け取り一口飲む。


「ところで瑞穂夕飯食べたの?」

「これ食べた」と得意気にテーブルの上に散乱しているスナック菓子のゴミ袋を指差す。


「ダメダメ、きちんと食べないで飲むと身体に悪いぞ」と和美は冷蔵庫の残り物でおつまみの一品を作りテーブルの真ん中に割りばしと一緒に置く。


「やった、カズミちゃんの手料理じゃん」と瑞穂は頬を濡らしたままニッコリと笑う。そんな無邪気な笑顔を見ていると、まだ素直だった頃の瑞穂を思い出す。


――いつから瑞穂はわがままになったんだっけ?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ