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わがままなキミ  作者: 葉月 晶
第一章
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園田 和美の憂鬱

 園田そのだ 和美かずよしは困っていた。なにしろ幼なじみの野上のがみ 瑞穂みずほは男を見る目が絶望的になくて訳あり男とばかりつきあっては別れを繰り返しているのだ。


 それだけなら和美も困ることはない。だけど瑞穂は彼氏と別れる度に和美の部屋に愚痴をこぼしに訪れる。この儀式は高校生の頃から続いていた。二十歳過ぎてからはアルコール持参で来るので相手にするのは大変だった。


――黙っていればイイ女なんだけどなぁ。


 和美は瑞穂が愚痴をこぼしに来る度、密かに思っていた。


 瑞穂は小さな頃からキレイな顔をしていた。それなので二人が中学生になった頃から、和美が瑞穂の幼なじみで仲が良いとわかると「野上さんを紹介してくれ」と同級生だけじゃなく何の接点のない先輩までもが和美の教室を訪ねるようになった。


――あの頃の瑞穂は素直な女の子だったよなぁ。


 今は和美も瑞穂も地元を離れて東京の大学に通っている。それなので二人とも一人暮らしだ。和美はワンルームの安アパートに住んでいる。だけども元々几帳面な性格で、自炊も掃除や洗濯もまめにしているので、男子学生の部屋とは思えない程に片づいている。


「カズミちゃん聞いてますかー?」アルコールで、ほんのりと頬が赤くなった瑞穂は和美に絡んできた。


「ちゃんと聞いてるよ。それにカズミちゃんじゃなくて、いい加減にカズヨシと呼べ!」もう何百回目の訂正になるのかわからない……。


 和美と瑞穂の共通の友達は和美のことを「カズミ」と呼ぶ。たまに素直に間違えて呼んでいる人もいるけれど、ほとんどが瑞穂の影響だ。


 和美は瑞穂のせいで「カズヨシ」と呼ばれるよりも圧倒的に「カズミ」と呼ばれる学生時代を送ってきたのだ。

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