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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ボク、魔王軍の下っ端のさらにずっとずっと下っ端の雑魚でぇす! シリーズ 

続。ボク、魔王軍の下っ端のさらにずっとずっと下っ端の雑魚でぇす!

作者: 双葉小鳥

第二話です。


最初は残酷描写過多です。

苦手な人はささ~と流して、場面交代のとこまで行った方が良いかと思われます。

「さぁ。お菓子が焼けたから、お茶にしましょう。クウィに手を洗わせてきてくれる? お兄ちゃん」

 そう言ったのは、青年期を終え。

 壮年期に入って間もない。

 ボクの大事で、大切な、あの子。

「え~?! あたし、おててよごれてないよ!!」

 ほら、といって小さな小さな両手を、あの子に差し出す、あの子の一人娘・クウィ。

「こら、クウィ。母さんの言うことを聞きなさい」

 窘める声をかけたのは、クウィの父親で、ボクの親友・ディルク。

 でも、ボクの可愛いあの子に手を出したことは、許しがたい!

 けど。

 あの子は幸せそうだったから、許したあげる……。 

「だって、父さーん!」

 まだ駄々をこねてる小さなクウィ。

 ディルクは困り顔だ。

「クウィ。良い子だから……。おい、サンダニオ。何をぼさっと立っているんだ? クウィと一緒にお前も手を洗って来いよ」

 ディルクは駄々っ子をボクに丸投げした。

 まったく。

 しょうがないな。

「おいで、クウィ。ボクと手を洗いに行こ?」

 ボクはそう言って、クウィの手を握った。

 でも、クウィは歩こうとしなくて、頬を膨らませている。

 これを見たディルクとあの子は、楽しげに声を上げて笑った。

「ほら、早く行かないと。二人ともおやつ抜きにするぞ? なぁ。ターシャ」

「ふふ、そうね。早くしないとお兄ちゃんのも、クウィのも。ぜーんぶ私たちが食べちゃうから!」

 二人はとても幸せそうに微笑んでいる。

 そんな二人の発言を聞いたクウィはというと、慌てて家を飛び出し、手洗い場に走っていった。

 クウィの後を追って、ボクも家を出る。

 この時。

 ボクの心は、とても暖かい何かでいっぱいだった。

 この時が『止まってしまえばいい』。

 いや。

 『止まってくれ』と、切に願う。

 でも。

 そんなことは無理だと分かっているんだ。

 だって、ボクの足は。

 ボクの意思と関係なく。

 勝手にこの家を出て、手洗い場に向かっているから……。

 嫌だ。

 行きたくない……!

 あの子の傍に、あの子たちの傍に居たいんだ!!

 いくら、何を叫んでも、ボクの唇は動かない。

 着実に手洗い場に向かっている。

 手洗い場は、村の皆の物。

 村の皆はそこで野菜を洗ったり、洗濯したり、手を洗ったり、飲み水を汲んだりしてる。

 生活に必要な場所なんだ。

 だからこそ、人が集まる。

 こんな事を思い出していると、ボクの足は、曲がり角を曲がって、手洗い場に到着した。

 いつも賑やかな場所。

 そこには下卑た笑い声が響いていた。

 ――ゴツ。

 飛んできた、何か。

 それはボクの少し手前で、地面に落下して、音を立てた。

 嫌だ……。

 見たくない。

 もう、見たくないんだ……!!

 ボクの意思と関係なく、ボクの視線は落ちて、それ(・・)を見た。

 飛んできたモノは。

 さっき、ボクの脇をすり抜け、家を飛び出していったはずの、元気な、可愛い。

 幼いクウィの…………恐怖に歪んだ顔をした、首。

 激しいめまいがして、ボクの体はゆっくり屈んで、その小さな首に、震える手を伸ばす。

「く、うぃ……? ど、し……て…………?」

 手がやっとクウィに触れそうになったとき、幼く、恐怖に歪んだ顔のクウィは。

 粉々に。

 …………踏みつぶされた。

「っ……?!」

「よぉ。サンダニオ。どうした? 地面に這いつくばって」

 嘲笑を含んだ、不愉快な声がして。

 その声の主の後ろからは、複数の、下卑た笑い声。

「嗚呼、そうだった。ほら、これもくれてやる」

 ゴトリ、ゴトリと落とされたモノは。

 さっき別れた。

 幸せそうに笑っていた、ボクの唯一無二の親友と。

 大切で、大事な。

 ……ボクがあの日。

 自分の命と引き換えに、生かした。

 大切な…………妹。

 父も母も死んだボクの、ただ一人の家族だったんだ。

 それに、ボクは。

 死んだはずなのに、気が付いたら人間の時の顔のまま。

 魔族になってしまっていた……。

 妹は、ターシャは。

 ボクを見て、不気味がらなかった……。

 愛しい、大切な、大切な妹。

 ボクはこの子を。

 ううん。

 この子も含めて、この子が大切だと思っているものを。

 『絶対にボクが守る』って、誓ったのに……。

 守れな、かっ、た……。

 ……何一つ…………。

 ボクの耳に入るモノは、アイツらの下卑た笑い声。

 そして、ボクの親友も、妹も。

 クウィと同様。

 ボクの目の前で………………踏みつぶされた。

「ター……シャ? ディ、オ、ル……? あ、あ、ぁぁああああぁぁぁああああああ!!」

 

 ―――――――――

 ――――――

 ――――



「ハッ! っ……ヤな夢…………」

 まったく。

 なんで、千六百八年も前の事。

 夢で見ないといけないのかな…………。

 ホント、不愉快なんだけど。

 …………あれ? 

 見慣れた天井と壁が何もないよ?

 おかしいな……。

 ボク。

 昨日ベット、外に持ってって寝たんだっけ?

 しかも回りが荒野て……。

 変なの!

 あ。

 もしかして、昨日お酒飲んだのかな?

 ボク、お酒メッチャ弱いんだよね……。

 だから、お酒使ってあって、そのお酒が蒸発してないお菓子なんて、イリコリ――じゃなかった。

 イチコロなんだよね……。

「って、あれ? ボク、昨日お酒の入ったモノって、食べたっけ?」

 記憶にないんだけど、まあいいか。

 嫌な夢見たし……。

「あの時失敗した人狼たちの殲滅。してこようかな……」

 ボクは寝てたベットからむくっと身を起こす。


 ――――ガゴン!


「痛ぅ~~」

 か、顔!

 顔面になんか飛んできた?!

 って、あれ?

 この見慣れた、底と踵が鋼鉄製の靴は……。

 あの雑魚長だな!!

 痛いじゃないか、こんちくしょう!! 

「俺がお前を抹殺してやろうか。サンダニオ」

 靴が飛んできた方から、あの雑魚タコの声。

 あ。

 『長』つけるの忘れた!

 なんて思いながら、そっちを見たら……。

 なんかタコ長。

 額に青筋浮かべてる。

 まぁ、それはどうでも良いけど。

 ボク、顔がめちゃくちゃ痛いんですけど!

 もう。

 こうなったら仕返しだ!!

「どりゃあ!!!!」

 ――――グゥォン!

 え?

 何の掛け声で、何の音かって?

 もちろん、雑魚タコ長めがけて靴を投げ渡したんだよ?

 音はその時出た音だよ。

 え?

 思いっきり狙ったんじゃないかって?

 いやだな。

 ばっちり命中さ!

 もちろん顔面にね。

 いい気味だ、ざまぁみろ!!!!

 ふっはっはっはっは!

「あっれ~? 隊長ー、顔に靴。刺さってますよぉ? どうしたんですか~ぁ?」

 いひひひひひひひ!

 あ。

 タコ長の鼻から血だ。

 うわぁ~。

 なんかやらしいこと考えてたんだ~。

 気持ち悪――――。

「るぅがぁ! っ~~~~~、いったぁ……」

 何?!

 なんで後頭部に衝撃?!

「その辺にしとけ。サンダニオ……」

 いかにもだるそうで、めんどくさげな声が後ろから聞こえた。

 振り返ります。

 後ろには、短い藍色の髪に、金の瞳。

 手には血の付いた長い包丁に、返り血に染まる白い服の男。

 はい。

 ボクの友達・バイアズです!

「なんでバイアズがボクの部屋に居るの?」

「元、な。今はお前のせいで荒野だ」

「てか、なんでその手は血だらけ?」

「あぁ。さっき、思いきり上官に対して暴言吐いてた馬鹿の、息の根を止めやろうと思ったんだが、無理だった」

「へー。そんな馬鹿居るんだぁ~」

 てか、そんなやついないでしょ~。

「お前だよ。馬鹿ニオ……」

「ん……? 『ばかにお』? 何それ」

「『馬鹿でどうしようもないサンダニオ』の略称だ」

「へ~」

 サンダニオって、ボク以外にもいたんだ!

 初めて知った。

「お前だっっつの!!」


 ――――スコーーーン!


 ……頭頂部が、痛い…………。

 てか、タコの再生力パネェ……。

 生理的な涙で視界が歪んじゃったじゃないか!

「なにするのさ雑魚長のくせに!!」

「あぁ? その雑魚の下についてる馬鹿が何言ってやがる!!」

「ふーんだ! ボクは馬鹿じゃないもん! 力だって誰にも負けないくらい持ってるもーん!!」

 巨大魔法とかバンバン使えるんだからな!

 接近戦も得意なんだぞ!

 でも、おかしいな。

 タコ長はボクの実力。

 誰よりも良く知ってると思うんだけどなぁ……。

「こんのっ馬鹿たれ!! お前のせいでこんなことになってるんだろうが!!!!」

「ボク知らないもん! 起きたらこうなってたんだ!!」 

 だいたい。

 目を開けて空が見えるとか、おかしいでしょ?!

 誰だよ!

 こんなことしてボクに罪着せた奴!!

 見つけたらただじゃおかないんだから!

「お前が寝ぼけたまま巨大魔法ぶっ放すからだろうが!!!!」

「はぁ?! 何言ってんの? 寝言ははねていいなしゃい!」

「訳分からんわ!! 間違えるか噛むかどっちかにしろ!」

 タコ長は細かいな……。

 これぐらい脳内変換してよね!

「わかった。寝言は寝ていえ!!」

「おまえがな!!」

 

 ――――スカコ――――ン!


「痛! もう、その汚い靴で頭叩かないでよ!」

 まったく。

 また踵で叩かれた……。

 ボクの頭が踵の形に凹んじゃったらどうしてくれるのさ!

 てか、タコ雑魚長。

 いつの間に靴脱いだの?

 あれ?

 なんでタコが疲れた顔してんの?

 タコに表情なんて作れたの?

 あ。

 こいつ今。

 人型の魔族で、髪が赤いだけだったわ~。

 ほかに人間と違う所って言ったら、縦長の瞳孔と、髪と同じ赤い目。

 おまけに、このタコ長の姿は、偽りね!

 本当の姿は赤い大きなタコだから!

 嘘じゃないぞ。

 ホントだよ!

 だって、おいしそうだなって思って見てたら、タコ長ったら、顔引きつらせてその姿をつ・ね・に!

 とるようになったんだよ?

 ……タコって、生で食べてもおいしいよね。

 焼いてもいいよね!

 あ。

 煮ても最高! 

 じゅるり……。

「おい、馬鹿ニオ。俺を見て涎を垂らすな」

「え? あ、これは失礼――。そうだ! 隊長、足一本ちょうだい! 丸かじりするから!」

「ふざけんな! なんでお前に足をやらねぇといけねぇんだよ!!」

「良いじゃん。どうせすぐに再生するんだし!」

 魔族だし、なんせタコだもんね!

 むふふ。

 タコのお刺身、タコのマリネ、タコのカルパッチョ……。

 素揚げ。

 あ。

 軽く炒めて食べるのもいいよね~。

「……もう、俺。こいつの相手無理だ…………。バイアズ。すまんが後、頼む……」

「あ、はい。了解ッス」

 あ!

 ボクの食料がどっか行こうとしてる!

「待って、タコ長! どこか行く前に足一本置いてって!!」

「っ~~! 死ねぇぇぇぇぇえええ!!」


 ――ギュオォン!!


 飛んできたのは、大きな氷の塊。

 それはボクの頭上に――って!

 うわ!

 危なっ!!

 ……なーんちゃって!

 ベットからひょいっと抜け出せば済むもんね。

 ………………あ。

 氷砕いた方がましだったかも……。

「ちょっとタコ長! ボクのベット粉々になっちゃったじゃん、どうしてくれるのさ!!」

 そう。

 今ボクの目の前にあるのは、大きな氷につぶされて、見るも無残な姿になった。

 血まみれの木製ベット。

 ……なんで血まみれ?

 あ。

 そう言えば、後頭部がじくじく痛い様な気がする。

 なんとなく確認のために、手で後頭部を軽く触ってみた。

 ……鋭利な何かで刺されたみたいになってる。

 どのくらいの出血量かな?

 そう思って、傷口を触ってた手を見た。

 うん、真っ赤だね!

 それと出ちゃいけないなにかも出てるっぽい。

 人間だったら即死だよ、これ。

 まぁ、ボクは魔族だから死なないけどさ!

 そんなことより。

 タコ長め!

 ボクに今夜どこで寝ろってのさ!

 文句言ってやる!!

「って、あれ? 雑魚タコ長どこ行った?」

 辺りを見回すけど、どこにもいない。

 傍に居たバイアズに聞いたら。

 めんどくさそうにため息つかれた。

「何なんだよ。まったく」

「……お前の場合。自業自得な」

「はぁ? 何だよそれ? 訳わかんないんだけど!」

 まったく。

 バイアズまでそんな訳わかんないこと言うし!

 二人とも何がしたいのさ!!

「……サンダニオ。手」

 突然バイアズがそう言って、ボクの手を指さした。

 だから、ボクは血まみれの片手と、そうじゃない手を良く見える高さに上げる。

「? 手がどうか――……おりょ?」

 血まみれの右手・掌。

 そこに浮かび上がってる赤い文字の様な、複雑で変な丸い陣。

 左手にも同じような丸い陣。

 色は青。

 ボクの知る限りでは、これは巨大魔法を発生させたらしばらく出てるモノ。

「あは! やっちゃった!!」

「……この惨事を、それで片づけようとするお前が信じられねぇよ…………」

「嫌だなぁ……。ボクだってちゃんと考えてる時くらいあるよ?」

「……なら、魔王城消すな……」

 めんどくさげに言うバイアズ。

 てか、何言ってんの?

「不可抗力に決まってるじゃん」

「……不可抗力でも、現に消えてんだろ」

 ため息交じりなバイアズ。

 酷いよね。

 それが友達に対する対応の仕方?

「いやだなぁ。巨大な魔王城を、新しくするきっかけを与えただけだよ!」

 そうそう。

 巨大なんだよ?

 中でも、亜空間とか。

 魔窟とか。

 変なとことか、色々あってね。

 最初は迷ったんだけど――。

「これで十七回。魔王城を破壊した奴が言うか……」

 あ。

 この声はバイアズじゃないよ?

 だって、バイアズは呆れた顔で包丁持ってない方の手で頭掻いてるし。

 誰?

 そう思って声のした方を見た。

 そこに居たのは目に痛いピンク色のツンツン頭。

 おかしな髪色だなぁ。

 てか、痛すぎやしないかい?

 お兄ちゃん。

 いい年してそれ(ピンク)はないよ~。

 とっても痛いわぁ!

 ふぷぷぷ!

「サンダニオ。口に出てるぞ……」 

 え?

 あら、これを失礼。

 あと、バイアズ。

 教えてくれるもは良いけど、顔引きつってるゾ!

「俺の顔はどうでも良んだよ」

 どうでもよくないと思いますよ~。

 てか、どの辺から漏れてるの?

「『おかしな髪色だなぁ』のとこから今まで」

「………………と言うことは。聞かれたらやばいとこ全部ですなぁ~」

 あははは!

 通りでピンク頭の兄ちゃんの額に青筋浮かんでるわけだわ!

「……………もっと早く教えてくれてもいいじゃないか。薄情者……」

「はぁ……。お前が馬鹿すぎて、声が出なかったんだ」

 バイアズは空いてる方の手で、めんどくさそうな顔のまま。

 前髪をかき上げた。

 薄情としか言いようがないよ……。 

「ひどい! 友達を見捨てたな!!」

「『友』と『飯』だと、迷いなく『飯』を選ぶ奴が言うな」

「イヤだな! バイアズは見捨てないよ!」

「はいはい。飯のためな」

「あたり前じゃないか!!」

 バイアズが居なくなったらボクのご飯はどうなるのさ!

 まったく。

 ボク、ご飯ないと死んじゃう……。

「……どうでも良いが、話を聞いてくれないか…………?」

 そう言ったのは変なピンク頭のお兄さん。

「え? ヤダ!!」

 もちろん即答さ!

 だってこういう変な人って、絶対めんどくさいことしか言わないんだよ?

 ボクめんどくさいの嫌い!

 遊ぶの大好き!!

 あれ?

 ピンクが居のあたり押さえて背を丸めたぞ?

 なにかあったのかな?

「…………ホグロス……。後は私が」

 そう言ったのは、腰まである長い銀髪を片側に寄せてまとめ。

 目はインディゴで、丸眼鏡をかけた、すらりとした体つきの――。

「マイファス様。あのピンクさん、どうかしたんですか?」

 ボクはそう言ってそそくさと立ち去るピンク頭を指さす。

 そしたらマイファス様の顔色が悪くなった。

 その上顔をひきつらせてる。

 大丈夫? 

「………………(『あなたのせいですよ』とは言えませんね……)」

「どうかした? マイファス様」

 なんか小難しい顔してるけど……。

 そう言えば、あのピンク頭ずいぶん昔にあった気がする。

 何だったけ?

 忘れちゃった。

「あ、あぁ。いえ、何でもありません。ただ、一刻も早く魔王城の再生を行ってくださいね。サンダニオ」

 ニコっと笑うマイファス様。

 ボクはめんどくさいことは嫌いです!

「あ! ボク、今日用事があったんだった!! じゃぁね、マイファス様!」

 だから逃げる。

 転移魔法で速攻逃げるよ!

 あ。

 それともちろん用事なんてないよ。

 だって、逃げる口実だもの!




 ――――――

 

 ――――


 あぁ。

 逃げられてしまいました……。

 そして。

 ……頭が痛い…………。

 私はサンダニオの相手をした夜は眠れないのですよ……。

 ホグロスはもっと大変でしょう。

 まったく、ダガルはすごい子ですね。

 彼を部下にしたまま、千六百十五年も隊長をやれているのですから。

 私とホグロスは、五十年持ちませんでした。

 それに。

 ホグロスは三十四年目。

 私は四十二年目でした。

 精神に異常をきたしたのは……。

 ……あの頃は生きていることがつらかった…………。

 なんせ。

 上からと下からの苦情ではじまり、苦情で一日が終わるのです。

 二十四時間常に……。

 寝ても覚めてもサンダニオについての苦情。

 上官がしっかりしていないからだ。

 とかさんざん言われましたね。

 まぁ、そう言った者たちは、千六百八年前。

 サンダニオの初めての大暴走を抑えきらず、死んで行きました。

 おまけに魔王様すら殺しかけて。

 今では殺されそうになった魔王様は、自室から一歩も出てこられませんし。

 彼の大切なモノに手を出した人狼の一族は、数名を除いてすべて死にたえ。

 これをみていた者たちは、彼を畏怖の眼差しで見つめるくらいです。

 あぁ、それに。

 今日の魔王城の崩壊で、何十の魔族が死んだのでしょうね……。

 ……まぁ。

 またすぐに転生して戻ってきますけど。

 それまでに時間がかかります。

 そして。

 この参事の原因はすでに逃亡。

 生きている魔王軍の兵士は本来の半分ほど。

 魔王様は引きこもり。

 ……人間たちが、この好機を逃すはずもありません。

 ほら。

 人間が言う。

 『勇者』とやらの集団が、大量に押し寄せてきましたよ……。

 はぁ……。

 困りましたね。

 殺さないよう、手加減が出来そうもありません。

 …………生態系に異常が出たとしても。

 仕方ありませんよね……?

 私はそう思い。

 少し離れた場所に居る。

 魔王軍に目を向けると、その中に居るホグロスと目が遭い。

 『久々に、憂さ晴らしと行きましょう』

 そう意味を込め、微笑む事にしました。

 これにホグロスは頷き。

 生き残りの魔族たちは、迫りくる人間との戦闘に備え。

 私は、魔王軍士気が高まって行くのを確認し、知らず知らずのうちに口角を上げていた。

 さぁ。

 魔王領に無言で立ち入る不届きものを…………殲滅いたしましょう。

第二話です。

書きたかったことかけたので終わる、と思います。

いやぁ、短編サイコーwww!

息抜きにちょうどいいですね♪


多分また短編で別物の語とか書きそう…。

いや。

絶対何か書くなこりゃ……。

以上。

長くなりましたが、読んで下さり誠にありがとうございました!

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― 新着の感想 ―
[良い点] タコという単語が踊りまくります。
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