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不釣合い  作者: オーナー
2/4

擦れ違い

 同じCPです

 親友たちのもかきたいなぁ…

 初デートから1年と2ヶ月

 学年が進級して、クラス替えをしたとき、俺は晴れて亜美とも海斗とも同じクラスになれた。

 学校では俺たちカップルの存在も定着してきて、文化祭に向けて着々と準備が進んでいる。



 二度目のデートにて


「あそこのメロンパン、超絶品なんだって!なんとなく一人じゃ入りづらかったから丁度よかったや」


 今回も亜美プレゼンツのお店へ行く予定だったのだが…


「あの、モデルのMamiyaさんですよね?」


「えっ…?はぁ、まぁ…」


「やっぱりー!あの、一緒に写真とってください!」


「あっ、いや、そういうのはちょっと…」


 なぜか女の子が周りに寄ってくる。あっという間に人だかりができてしまう。


「ゴメン亜美、ちょっとまっ…………あれ?」


 悲劇が起きた。隣にいたはずの亜美がいつの間にか消えている?!と同時に携帯のバイブがなった。


『本屋にて待つ!メロンパンはまた今度☆』



 あれ………俺、見捨てられた…………?



擦れ違い



 雑誌Master’sの専属モデル「Mamiya」本名・間宮千将マミヤ ユキト、すらりと伸びた手足と180超の長身を生かして、今は専属モデルはやめて、いろんな仕事をできるモデル事務所に所属している。


『○月×日 16:00より撮影 △☆ビル』


 移ったのがよかったのか、モデルとしての俺の人気はうなぎ上りだ





「よかった!まだ開いてる…」


 撮影が思っていたより早く終わり、俺は秋の肌寒い気候の中、汗ばむほど全力でとある店に駆け込む。


(えっと……スター〇レックシリーズのコーナーは…)


 初デートで彼女の高峰亜美タカミネ アミと一緒に来た店。本来雑誌のモデルが来るところではない。そんな事俺だって自覚してるが、後1週間後で俺の愛すべき亜美は晴れて17歳になられるのだ。

 普段、デートなんてほとんどしないし、何よりしようとしてもいつも突然の仕事でドタキャンでしてしまう。

 「いつも」「突然」なので、亜美のほうも、デートの誘いをあまりしなくなり、円満な関係を築けているのだろうが、コミニュケーションは減っていると思う。

 だから彼氏として、俺は誕生日プレゼントで奮発して、ご機嫌をとろうと……


 いや……別に喧嘩とかはしていないのだが……


 閉店まで、絶対に今日選ぼうと粘ったが、いかんせん、俺のスター〇レックなどに関する知識は亜美の足元にも及ばないので、結局閉店までいてしかも何も買わなかった嫌な客になってしまった。


 帰路につき、俺は亜美が欲しいものが何かもう一度思案してみる。


 一昨日の第一声

「やっぱりエンター○ライズ神!」


 昨日

「ボ○ジャーほしいー!」


 今朝

「やっぱりレ○スの母船っていいね!」


 多趣味すぎるーーー!!(ある意味狭いが)

 脳みそがなくなるのでないかと思うくらい考えたがベッドに寝そべったと思ったら、いつの間にか翌日の朝になっていた。


「間宮くんおはよう」


「ああ、おはよう……ってぇえ!?」


 伸びてきた髪を昨日とは違うお手製のシュシュで結い上げた亜美が、苗字で俺を呼んだ!?


 また、2ヶ月前のように機嫌を損ねてしまったのだろうか…?


 不安に駆られつつ俺が黙っていると、亜美はクスリと笑って歩きながら説明してくれた。


「千将君、私にしか“千将”って呼ばせてないんでしょ?公共の場では間宮君って呼ぶことにしたの」


「別に周りに聞こえても俺は問題ないけど…」


「雑誌で苗字名乗ってるんだから、下の名前知られたくないんじゃないの?」


「ッ…」


 俺は下の名前は嫌いだし、好きな奴以外には呼ばれたくないので、下の名前は雑誌のモデルのときから非公開にしてもらった。


「私が見つけたのは4人。」


「何が?」


 唐突な亜美の発言に、俺は何を4人も見たのかとたずねる。


「気付いてなかったの?間宮君の事モデルのMamiyaだって感づいてる女の子たち」


 俺があまりにニブチンの所為か眉間にしわを寄せる亜美。危機感を抱くべきなのだろうが、新鮮な亜美の表情にがん見したくてたまらなくなる。


「で、でもそれはおんなじ学校の連中だろ?」


「2人はそうだったけど、他の2人は知らない制服の人だったよ?」


 ついに来たか。


 モデルの仕事が俺の生活に支障すらきたし始めた!


「まじかよ…」


「確かに困ったね。写真とか撮られたら嫌だし。」


 二人で思案していた時、金髪がかけてきた。


「お〜い、お二人さん!仮装のグッス、持ってきたか〜?


「仮装グッス?」


 俺も亜美の目も点。忙しすぎる俺の数少ない親友・三椏海斗ミツマタ カイトは、真っ青な瞳をため息とともに伏せる。


 こいつは、外人と日本人のハーフで、190はゆうにある身長と金髪に青い目を持つマルチリンガル。まだまだこの容姿で敬遠されがちらしいが、最近は夢の女子とのおしゃべりも実現したらしい。


「文化祭でハロウィン喫茶やるから、今日までに仮装グッスもってこいって言ったじゃん!」


 日本国籍なので当たり前なのだが、流暢な日本語で海斗は俺たち二人に再確認した。


「ゴメン!三椏くん忘れてた!」


「忙しすぎて記憶無い…」


「こら間宮!忙しさを盾にしてもだめなんだからな!高峰さんもちゃんと持ってきてよ〜」


 クラスに溶け込むために文化祭の実行委員に名乗りを上げた海斗。正直迷惑なぐらい気合が入っている。


「あちゃー…この調子じゃ、ほとんど持ってきてねぇかなぁー?」


 ボリボリと頭をかきむしりながらうなる海斗。

 鬱になっている海斗とともに学校へとたどり着く。3人になってから女子の視線は特に感じなかった。

 たまたまなのか、俺が生粋の鈍感なのか…?

 海斗の予想を裏切り、クラスで仮装グッスを持ってきていないのは俺と亜美だけだった。


「よーし!間宮と高峰さん以外は装飾の準備してねー」


 海斗がクラス全体に指示を出す。そのままくるりとこちらを振り返ると、ギロリと俺と亜美を睨んだ。長身で凄みをきかすな!ビビルだろ!!明らかに怖がる亜美の前でかっこ悪い所は見せられないので、俺は怖いのを我慢して腹のそこに力を入れる。


「…二人は当日ウエイトレス決定な。それと、明日の放課後あけとくこと、」


「えっ?なんでウエトレス?裏方でいいって…」


 女の子が殺到するのを懸念して裏方を希望していたのにと、むくれる俺に、海斗は腕を組んであきれながら言った。


「忘れたら罰としてウエイトレスねーって、……お前の耳は何?飾り??」


 海斗が俺の耳をグイグイ引っ張る。しかし本当に記憶がない。


「千将くん、あのとき爆睡してたよね」


 そうだった。ごめんなさいと海斗に謝ると、怒られるかと思いきや、ただ、


「明日の放課後うちに二人とも来い。特別に俺の仮装グッス貸してやるからよ」


「海斗…」


「いいよー三椏くん。文化祭までには買ってくるから」


「だめだ!低クオリティーなもん買われちゃたまんねぇから俺のをカ・リ・ロ!」


 感無量で涙ぐむ俺に対して、亜美は遠慮して断ろうとしている。

 しかし海斗はグンッと亜美の顔に顔を近づけ、無理くり亜美にOKさせてしまった。

 こら!人の彼女に何してる!!怒鳴ろうとしたのだが、すぐに海斗は装飾のほうへ飛んでいき、俺たちも装飾へ加わったので、結局喉元で飲み込んでしまう。

 装飾で走り回る海斗と器用に装飾を作り上げていく亜美。二人を見ていたら心の隅に、なんか引っかかった。





                  ££££££££




 翌日の放課後、


「ただいま〜」


「お邪魔しまーす」


 前に何回か来た海斗の家は、相変わらずどこなにかわからないみやげ物であふれており、きれいで若い海斗のお姉さんが前と同じくスリッパを出してくれた。


「いらっしゃい。後でお菓子持って行くわね。海斗、グッスは部屋に置いといたから。」


「うぃー」


 挨拶もそぞろに二階の海斗の部屋に上がる俺と亜美。やっぱりどこか心がかゆいような気がする。


「おおーー!すっげぇー!!」


 海斗の部屋に山積みになった段ボール箱を見て、俺は思わずその量に感心した。


「さーて、今日グッス見てみたけど猫要員が少ないから、猫とドラキュラって所でいくか」


「本格的!ドラキュラって、牙とか付けるの?」


 広くも無い部屋の床に仮装グッスを散らかしていく海斗。最初は緊張していた亜美もそうだが、正直に俺もそのグッスのレベルの高さに歓声を上げる。


「もっちろん!付け牙はこれね、猫耳と肉球はっと…」


「海斗くん神!」


「おい海斗。一つ聞くが、なぜお前はこんなに仮装グッスを持っている」


 眼をきらきらと輝かせる亜美とは反比例に、俺の疑念が心の中で膨れ上がった。


「お待たせー…どうかしら?気に入ってもらえた?」


「仮装グッスは全部姉貴のだぞ?」


「ええ!?」


 金髪青い眼、こんなにきれいなお姉さんがこれらの仮装グッスを…?信じがたいものの、うふふと笑うお姉さんに俺はそれ以上聞けなくなる。


「ねぇねぇ、海斗くんは何になるの?ドラキュラ??」


「俺はもちろん狼男!!」


 固まった俺を置いて、亜美と海斗は着々と仮装に使うものを選んでいた。海斗が狼の耳をつけ、ガオーッと亜美を脅かしている。


「海斗くん背も高いから、より怖いね」


 楽しげに海斗と談笑する亜美は、ドラキュラのマントを手にとって羽織ってみたりしていた。

 笑った顔もかわいいなぁと、しみじみ思いつつ、俺も仮装グッスを品定めしていく。


「…えいっ!」


「うわっ!何すんだよ!」


 亜美が頭に何かを押し付けた。グッスに夢中だった俺はすぐに頭に手をやる。


「ギャハハ!間宮似合う!!」


 腹を抱えて大笑いする海斗と亜美。まだ部屋にいたお姉さんもクスクスと笑っている。

 亜美の差し出した鏡を見て、俺は勝手に顔が赤くなるのがわかった。


「猫耳つけてんじゃねーーーーー!!!!」


 結局、亜美の超絶かわいい猫の仮装が見たかったのだが俺は化け猫の仮装に決定した。

 まぁ、牙を生やした亜美なんか早々見られる物じゃないので、そこで手を打とう。



                  ££££££££


 心躍る学園祭は日に日に現実味を増してきた。

 しかし、胸のムラムラ、いやモヤモヤが消えない。理由は若干わかって来た。


『海斗くん神!』


『ねぇねぇ、海斗くんは何になるの?ドラキュラ??』


『海斗くん背も高いから、より怖いね』


 いつのまにか亜美が海斗の事を「海斗くぅん」と呼んでいる!!俺は悶々とした気持ちで思考を進める。

 最近、というか前から確かに俺たちのコミニュケーションをとる時間は減っていた。いや、いる。

 でも!それでも毎晩メールするし、登下校も一緒だし、何より俺は亜美を世界一愛しているのに…


(こっちがガオーッって襲いかかりてぇよ!)


 ベッドの上で暴れていたとき、携帯のバイブがなった。


「亜美はあと1時間はスタート○レック見てるし…」


 誰からかと思えば事務所からの連絡で、休日の明日、事務所に出頭するようにとの内容。


(なんだ?仕事の連絡はメールで来るし…)


 首をかしげながら俺はそのまま布団にもぐって眠りに付いた。


「Mamiya!!これから出かけるときは変装しなさい!!」


「変装!?社長、突然何言い出すんです?」


いきなり社長に呼び出されて、内心びくびくしていたのだが、突然突飛なこと言われ目が点。


「これを見なさい!」


 デスクに置いてあるノートパソコンを回転させ、社長はぷんぷん続けた。


「登下校、仕事のいき帰り、あなたの画像がネットにあふれてるわ!いま片っ端から削除してるけど、いくらなんでもとられすぎ!!!女の人とのツーショットも撮られてんだから」


「ぜっ全然気付かなかった…女の人は母親です。彼女はもっと若い子です」


「それよ!!そのうち彼女とのツーショットとかも流失したらどうするの!!クールで寡黙なイメージが台無しよ!!」


 彼女がいるからといってイメージは崩れないような気がしたが、唾飛ばしてがなりたてる社長に反論する気合は無く、俺は黙って聞き続ける。


「前々から言おうと思ってたけど、彼女さんの素性、今度教えなさいよ!」


「だから同級生の女子ですけど…」


「どんな子と付き合ってるかで、あなたの今後のイメージが決まってくるのよ!?紹介なさい!!」


 社長に一方的にまくし立てられ、俺は事務所を後にした。有能な社長だとは思うのだが、いかんせんモデルのプライベートまで踏み込んでくるところが困ったところだ。

(はぁ…前途多難だぁ)


 問題が多すぎて手がつけられないこの頃に、俺の憂いはつもるばかり。

 携帯の待ち受けを見ても、いつもとは違い、ため息が出る。こういう時はいつも俺を元気づけてくれる亜美の画像も、今は憂い増やしていた。

 翌日。物事は絶対的に悪い方向へと転がりだしている。


「おはよう間宮くん」


「おっはー☆」


 今日は髪を下ろしてキラキラの髪留めを付けたはじけるような笑みを浮かべる亜美。の隣の海斗……

 朝弱い海斗も、学園祭の準備で最近早く来始めたらしい。朝よく会うとのことで、三人でいくことにしたのだが、


「間宮くん、今日は放課後モデルの仕事だっけ?」


「ああ、ちょっと遠いから急がないといけないんだ」


「じゃあ、後でウエイトレスのマニュアル渡しとくな」


 なしてお前が俺と亜美の会話に入ってる!二人でお喋り出来る限りなく貴重な朝のこの時間を、俺は海斗に奪われる。

 後で亜美から教えられた話、この日俺は一日中しかめっ面だったらしく、機嫌が悪い学校での一日が終わると、俺は予告どおり撮影現場に走り、社長立会いのもと撮影がはじまった。


 撮影の途中、冬物のコートの暑さに辟易して少し体を冷やしたり汗を拭いたりして休んでいたとき、スタッフの一人が困ったような驚いたような顔で俺に声をかけてくる


「届け物です。制服の女の子がこれをって、」


「制服の…女の子…?」


 スタッフから手渡されたのは海斗が機械オンチなのにがんばって作ったウエイトレスのマニュアルだった。俺はものすごく暑いのにスタッフが来た方向に走り出す。


「亜美!?」


 スタジオの外に飛び出し周囲を見回すと、見覚えのある女子制服を見とめた。


「おいっ!」


「えっ?ああ間宮」


「あ…斉藤…」


 俺が引き留めたポニーテールの女子は、猫みたいなつり目で、真っ赤なイヤホンを耳に入れてキョトンとしている。斉藤彩夏サイトウ サヤカは亜美の唯一の友達で親友で幼馴染のクラスメイトだった。


「三椏の奴が渡しそこなったっていうからさ、ああ私家がこの近所なんだよ」


 女っ気がないというかさばさばした斉藤のいうことは、俺の耳の表面をサラーっと流れて行き、突然飛び出したことを驚いて俺を追いかけてきたスタッフに、俺は素直に付いて行く。


「間宮くん、勘弁してよ、撮影時間延びちゃうじゃん」


「……すみません、本当」


 すっかりしおれた俺だったが、やっぱり仕事だ!と頭を切り替え、ポーズを決めようとしたとき、ふと疑問が浮上した。


「あの、社長は?」


「間宮くんが飛び出したすぐ後にタバコに行って、それから帰ってきてないよ?」


「あ…そうですか、ありがとうございます」


 普通俺がへましたりすると、社長がすっ飛んできて信じられないぐらい怒るのだが、どうやら外に行っているらしい。


「今は男性ファッション誌の撮影してて、季節を先取りした冬物の撮影をしてるのよ」


 撮影が再開したとき丁度社長が戻ってきて、撮影に集中しようとしてたときだったので無視していたのだが、一緒に現れた人間に俺は「へ?」と間抜けた顔になっしまった。


「ああ、この子は気にしないで、さっきそこでスカウトしたの」


(スカウト?!)


 俺の動揺なんてよそにカメラマンは撮影を再開する。計100枚ほど撮影し、着替えた後、ようやく俺は社長のもとへ行けた。


「なんで社長がその子と一緒にいるんです!!」


「え?スタジオの前で中を覗こうとしてから、興味あるのかなぁー?って声かけたのよ。ほら!見てこの足!スカート長くしてるけど、すっご美脚よ!」


「キャーっ!ちょっとめくんないでください!!」


「めくるなーーー!!」


 社長がスカートをめくっている女の子は、まさしく俺のいとしの恋人亜美。顔真っ赤にしながら俺は亜美を社長の魔の手から引き寄せた。


「ひっ人の彼女に何すんですか!!!」


「……彼女…?」


 頭の回転の速い社長が固まっている。数瞬後、社長は叫んだ。


「えーーー!!このスタイルも顔も良い子があの『廃人レベルのSFヲタクで宇宙人愛してるクラスでも孤立してるからいいように利用されやすいけど根はいい子ででもMamiyaの恋人だから同級生からいじめられてるMamiyaがゾッコンの彼女ーー!?』」


「……廃人レベルのSFヲタクでわるーございました」


「おっ俺じゃない!確かに俺の情報から社長は話しているんだろうが、俺はこんな風に言ってない!!」


 すでに俺の腕からスルリと抜けた亜美が怒りマークを額に浮かべて俺を睨んでいる。必死に弁解している俺を無視して、社長は俺たちの肩に手を置いた。


「かわいい亜美ちゃん、かっこいいMamiya、お似合いすぎるカップルよ!よき夫婦になるのよ!」


 若さは尊きものぞー!ワッハッハッ!とかいいながら解散していった社長。しばらく二人とも唖然としていたが、結局俺と亜美は一緒に帰ることにした。


「………」


「………」


 無言の俺たち。突っ込むところが多すぎて、どこから突っ込んでいいか戸惑っている俺だったが、電車に乗った頃、無難なところから尋ねた。


「あー…買い物にでも来てたのか?もしかして海斗から買出しでも頼まれたとか…?」


自分が口に出した“海斗”という響きに心がジクっと嫌に疼く。それをひた隠しに平静を装っていると、少し間をおいて亜美が口を開いた。


「…もしかして間宮くん、私を三椏くんがデキてるとか思ったの?」


 嫌味も皮肉もない。純粋に聞こえる亜美の爆弾質問に、俺は心拍数と血圧の上昇を如実に感じつつ、だんまりと黙り込んだ。顔と耳が熱い。たぶん恥ずかしいからだ。


「千将くんもまだまだだなぁー」


「えっ…?」


 公共の場所、電車の中なのに…。亜美はかまわず続ける。


「仕事仕事の真面目人間で、放課後も遊ぶなんてほとんどできなくて、デートもドタキャンの常習犯。しかもこんなに鈍感。」


 痛いところをつきまくるく亜美。短所を多くあげられて、俺はやっぱり耳が痛くて黙りこんだが、亜美は笑いながら続けた。


「そんな彼氏としては駄目駄目な千将くんと付き合える忍耐力、」


 俺は初めて亜美のほうを見た。鈍感すぎる俺に亜美は微笑んでいる、耳元でささやく声は、甘く、柔らかい。


「生半可の好きじゃ発揮できないよ?世界一愛してないと、」


 愛してないと、素敵な言葉に俺はたまらなくなって亜美を抱きしめた、本当はキスしたいぐらいだったけどかろうじて理性がそうさせた。


「宇宙一愛してる。だから心配になっちまうんだ」


 かろうじて二人だけに聞こえる音量でささやき返す。甘い香りが鼻腔をくすぐった。


 ガタンガタンと規則的に続く電車の振動が煩わしい。




                  £££££££




「おはよう間宮くん、」


「おはよう、あれ?海斗は?」


翌朝、海斗は来ていなかった。


「学園祭も大詰めだから、先行くって、」


「ふーん、」


 朝は弱いと公言していた海斗の、予想以上張り切りぶりに、俺は心象が変わったなとひそかに思う。心のオアシスを取り戻し、静寂だった俺の心も、亜美の一言でかき回された。


「間宮くんがやきもち焼いてたとも言ったら『悪かったな☆』とも言ってたけど、」


 ズコーッとまではいかなかったが何もないところで蹴躓く俺。その後、この際だからと俺は一つ質問をする。


「なんで海斗こと“海斗くん”って呼んでたんだ?前は三椏くんだったのに、」


「もう!まだ疑ってるの?!三椏くんの家で三椏くんって呼んだら紛らわしいでしょ?それだから、」


 質問するときにいぶかしがる顔でもしてしまったのか、むくれる亜美。むくれてもかわいいし、聞かれるのが嫌だといって追加説明もしてくれる。


「一緒に行ってたのは、海斗くんが宇宙人の仮装の参考になるってスター○レックのこと詳しく聞いてきたから!」


「ああ、そうだったのか…」


 一安心、俺はようやくいろいろなことに集中できると思った。



―――――学園祭―――――



「キャハハ!間宮くん超かわいい!」


「キャラ立ってるよ間宮!」


「…………」


 ドラキュラの仮装がよく似合った亜美と、それぞれいい味を出しているクラスメイトたち。猫耳に肉球手袋まで付けた俺。もう死にたい。てか狼男の格好してひときわ大笑いかましてる海斗を殴りたい!!!!


「良かったね、千将くん大好評じゃん」


 亜美の笑顔に清らかさの他はない。しかし俺はそれでも悲しいよ!


俺が体をはって売り込んだ結果売れ行きは上々で、午後になるとすぐにに売り切れてみんなで明日の準備を始めた


「帰ったらスター○レックボ○ジャーの再放送を見ーよおっと!」


 よほど再放送が楽しみなのかルンルンと楽しげに掃除する亜美に、俺ははずっと忘れていた最重要事項も思い出す。


「誕プレ!!亜美、何が欲しい!?やっぱりレ○スの母船か!?」


「へ?どしたの千将くん。」


 びっくりして目を白黒させている亜美に、俺は欲しいものがないかただ尋ねた。


「なんかくれるの??じゃあねぇ…」


「別に値段とかどうでもいいから、ほしいもん、なんかないか?」


亜美がいたずらっぽく答える。


「メロンパンみたいなキス!」


「………ええええー!!」


プライスレスなお願いに、俺は顔を真っ赤にして叫んだ後、小さな声で、


「誕生日な、わかったよ」


恥ずかしくてもう死にたい!!




結局、俺はメロンパンを食ってキスするという方法で許してもらった。




人生初のディープキス。





END



 彼女に前作を見せたら

「早く続き書いてよ」

と、言われたので書いてみたら


 どうも微妙な感じが…


 誰か恋愛小説指南をしてくださーい!!


 アドバイスと感想お待ちしています

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