ひまわり
あたたかく、やわらかな光につつまれて、少女がまだ幼い蒼いめを初めて開いたとき、
その瞳に映ったものは、青い薄絹を身にまとった、神々しいまでに美しく輝くものの姿。
なんてきれいなのだろうか……と 少女は感嘆してつぶやき、そのまばゆい光にめを細める。
そして、少女のその小さな胸の奥に密かな炎が灯り、ちらちらと辺りを照らし始める。
ねえ、あなたにはわたしが見えて? と少女は彼に話しかける。
こたえは……ない。 彼はただ少女をあたたかくつつみこむのみ。
……わたしのような小さなものに、お気付きですか?
今度は少し小声で、不安そうに。 彼はわずかばかり顔をほころばせる。
不安をぬぐいさられた少女の、たった一人の語らいはとめどなく続く。
彼の輝きは少女の全身を幸福で満たし、やさしくつつみこむ。
少女は一人の語らいを止め、胸のうちで”わたしはあなたをみつめているだけで幸せです”
と、独りつぶやく。
しかし、その言葉とはうらはらに、無意識に少女の細く白い両手は、彼の方へとさしのべられている。
時は流れ、幼かった少女も長身で美しい長髪を持った、緑の乙女となる。
ああ、なぜあなたは私に語りかけてくださらないのか……。
どうして私の想いにこたえてくださらないのか……。
彼は乙女をやわらかな光でつつみこむのみ。
”私のことが、お嫌いなのですか?” 口には出さず、ぽつりとつぶやく。
秋の涼しい風が吹きはじめ、乙女の髪をかるくなびかせる。
乙女はもはや彼をみつめることなく首をうなだれ、悲嘆にくれる。
あなたにひとり恋した私が愚かだったのでしょうか……。
彼は寂しげに辺りを赤く照らす。
忍び寄る闇の気配の中、乙女の瞳から黄金のひとしずくがこぼれた。
中学生のころに書いたものです。神話とかそういう物を読み漁りたい年頃だったのデス。深く追求しないで下さい……。
短くて単体で投稿できないので下にショート版を書いておきます。
こちらは高校の時に音楽の授業で作詞作曲する課題があって、上の散文を歌にしたものです。後半の歌詞がいまだにまとまらず……。
ひまわり~太陽に恋した娘~
あたたかく
やわらかい光に包まれて
少女が初めてあおいめを開いたとき
そのひとみに映るものは
光り輝くものの姿。
届かぬ想い
少しの不安
まばゆい光にめを細め話しかける
たったひとりの語らいはとめどなく続く。