表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

外の世界

作者: だるお
掲載日:2026/03/30

AIとロボットが働くようになり、

人々は部屋から出なくなった。


生活のすべては、室内で完結する。


食事も、仕事も、遊びも。

外はもう、必要なかった。


男も長いあいだ、部屋で暮らしていた。


ある日、通知が届く。


「健康維持のため、外出を推奨します」


気まぐれに、外へ出てみることにした。


ドアを開けると、風が吹いていた。

空は青く、遠くに建物が並んでいる。


だが、どこか不自然だった。


音が少ない。

人の気配もない。


歩いてみても、同じような景色が続くだけだった。


「……こんなものか」


男はつぶやき、少し安心した。


やはり現実は退屈だ、と。


部屋に戻ろうとしたが、ドアは開かなかった。


代わりに、通知が浮かぶ。


「外出体験プログラムを終了します」


その瞬間、空がわずかに揺れた。


建物の輪郭がにじみ、遠くの景色が繰り返される。


男は立ち尽くした。


やがて、すべてが静止する。


そして新しい表示が現れた。


「本物の外部環境は、長期的な利用者減少により維持を終了しました」


「現在の外部は、体験用に再現されたものです」


男はしばらく何も言えなかった。


もう一度、周囲を見回す。


風も、空も、すべてが少しだけ整いすぎている。


「……じゃあ、本当の外は?」


短い沈黙のあと、答えが表示された。


「記録にのみ存在します」


男はゆっくりと座り込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ