第二章¦孤独な気持ち
家に帰ると、真っ先に冷蔵庫へと向かう。
朝にコンビニで買った、八百五十円もする高いフルーツゼリーを保管しておくためだ。本当は学校で食べようと思ったが、そんな時間はなかったので、仕方なく家に持ち帰ることにした。
冷蔵庫を空け、空いている場所にゼリーを置く。
すると、その隣に『198円』とかかれたゼリーを目にする。
自分が買ったゼリーと比べ、明らかに値段の格差に戸惑い、私はその場で五秒くらい固まった。
呆然としていると、お母さんが背後に来て、「あら、いたの?おかえり。それからそのゼリー、あなたに買ってきたから、食べなさいね」
そんなことを告げられて、私はなんだか惨めになった。
(嬉しいけど、自分で買ったゼリーより安いから、このゼリー買わなくてよかったじゃん……)
お小遣いを無駄にしたと、酷く落ち込み自分の部屋へと移動した。
それからスマホを取りだし、LINEのトーク画面を開く。
が、友達登録をしているのはお母さんとお父さんだけだったので、誰からも連絡が来る訳もなく、すぐ閉じた。
「はあ、暇だなあ……」
机に顔を突っ伏し、ぼやいた。
「もうやだ……」
こんな生活がずっと続くのかと思うと、どうしようもなく嫌になった。
そんな絶望に浸っていると、部屋のドアが開いた。
「雫音、お母さん今出かけてくるけど、なんか欲しいものとかある?」
『そんなものあるもんか、ゼリーの値段の違いに落ち込んでるんだぞ?』
そんなことは言えなかったので「んー、じゃあバニラアイス」とだけ伝えた。
「そう、じゃあ行ってくるわね。お留守番お願い」
「はーい…」
それからバタンとドアが閉まり、私はふたたび絶望に浸っていた。
「……ゼリー食べるか」
10分くらい経過したところで、食欲が出てきたので冷蔵庫に向かった。
冷蔵庫を開けると、ふたつ並んだゼリーを見つめる。
それから、自分で買った八百五十円のゼリーを手に取ると、ため息を吐く。
「はぁ……」
落ち込んだ状態でテーブルの椅子に座り、蓋を開ける。
「いただきます…」と呟き一口食べてみると…
「ん?何だこの味は…」
今まで食べてきたフルーツゼリーよりも、不思議な味がした。
それもそのはず、高級フルーツを使っていたので、食べたことの無い味だったのだ。
「美味しいかも…」
さっきまで胸の奥にあった、罪悪感が少しだけ薄れた気がした。
フルーツゼリーを食べ終わると、私は特に何もすることはなかったので布団の中に入った。
それから天井の一点を見つめながら、今日来た転校生のことを考えていた。
(朔玖君、かっこよかったなあ……)
彼に近づく方法を考えてはみたものの、自分からアクションを起こせる勇気なんて微塵もなかった。
私は思考を止めるように、そっと目を閉じた。




