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レイクス戦記  作者: ゆう
ゴブリンの襲来
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光の街を目指して

光の街を目指して


砦を発つ朝。

空気はひりつくように冷たく、兵士たちの顔は疲労と緊張に覆われていた。

その中で、ヴィーナたち一行はゼノの護衛を受け、街道へと馬車を進めていた。



「……リュミナ、か」

ナツキが地図を眺めながら呟く。

「名前は聞いたことあるけど、行くのは初めてだな」


「光の街。大聖堂があり、学問と祈りの中心地」

レナが答える。

「でも今は前線に近い。安全とは言えないわ」


「それでも行くしかない」

クロエは冷静に言った。

「情報が集まるのはそこだから」



エリカは少し不安そうに馬車の窓から外を見た。

「ゴブリンが二十万も動いてるのに……本当に大丈夫かな」


ゼノの低い声が後ろから響いた。

「大丈夫だ。私がいる」


短く、揺るぎのない一言。

その響きに、エリカの肩から少し力が抜けた。



ヴィーナは静かに空を仰ぐ。

淡い陽光が金の髪を照らし、胸元のローブの裾が風に揺れた。


――アルディアを覆う戦乱。

父の名を巡る謎。

そして、自分の進むべき道。


すべての答えが、まだ遠い。

それでも今、彼女は仲間たちと共に歩いている。



こうして一行は、光と祈りの街――リュミナを目指し、新たな旅路を進み始めた。

そこには、予想もしない出会いと、試練が待っている。


昼下がり、街道を抜けた一行の視界に、白い光を放つ街が広がった。


「……あれが、リュミナ」

ゼノが馬上で低く告げる。



街は丘の上に築かれ、白石の城壁が陽光を反射して輝いていた。

高く伸びる尖塔は空に向かって光を放ち、その根元には大聖堂の巨大なドームがそびえている。

城壁の外周には運河が巡り、水面がきらめきながら街を囲んでいた。


「わぁ……きれい……!」

エリカが窓から身を乗り出し、目を輝かせる。


「これが“光の街”の由来か」

ナツキは目を細める。

「白い石と、光に照らされる水……まるで別の世界だな」


レナは冷静に観察しながらも、声にわずかな敬意をにじませた。

「城壁の厚みも十分。砦というより聖域ね」


クロエは小さく呟く。

「……祈りと戦が同じ場所に並んでいる」



門前には巡礼者や行商人が列をなし、衛兵が一人ひとりを検めていた。

街へ入る者は皆、自然と背筋を伸ばす。

光に照らされた城門の前では、粗野な言葉すら控えられるようだった。


ゼノが馬を進め、門兵に声をかける。

「マルターレス家の客人を通す」


兵たちは敬礼し、すぐに道を開いた。



街に足を踏み入れた瞬間、ヴィーナは思わず息を呑んだ。

白石の街路は陽光を受けて淡く輝き、両脇には花を飾る家々が整然と並んでいる。

鐘楼の音が風に乗り、遠くから祈りの歌声が響いてきた。


「……本当に、光の街だ……」

ヴィーナの声は自然と震えていた。


仲間たちも、それぞれに言葉を失いながら、その美しさを見渡していた。



こうして一行は、祈りと光に包まれたリュミナの街へ足を踏み入れた。

しかし、この美しい街の奥にも――新たな波乱が潜んでいることを、まだ誰も知らなかった。



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