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レイクス戦記  作者: ゆう
戦乱の幕開け
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国境の手前へ

国境の手前で


南へ進んだ行軍は、夕刻には国境の山影を望む地点へと到着した。

吹きすさぶ風の冷たさに、兵たちの表情は固い。

エルディナはすぐそこ――だが、その先に待つのは戦場だった。



「……緊張してる?」

ヴィーナが歩調を合わせていた若い兵に声をかける。


「えっ……い、いえ! そんなことは……!」

慌てて背筋を伸ばすが、その声は震えていた。


ヴィーナは小さく笑みを浮かべる。

「でも、怖いって思うのは当たり前だよ。私だって同じだから」


兵は目を丸くし、やがて小さく頷いた。

「……ありがとうございます」


その会話を耳にした隣の兵も、思わず苦笑をもらす。

「姫君に慰められるとはな……」


「姫君じゃない。ただのヴィーナだよ」

彼女の即答に、兵たちの表情が少しだけ和らいだ。



ナツキが肩をすくめて言う。

「ったく……緊張してる連中を一瞬でほぐすんだからな。やっぱりただ者じゃねぇよ」


「本人は自然体なんだけどね」

エリカが微笑み、クロエは静かに頷いた。

「……だからこそ、兵たちは惹かれるのよ」


レナは小声で付け加える。

「言葉よりも、振る舞いで人を動かす……それが彼女の強さかもしれない」



そのとき、前方から角笛が鳴る。

国境の見張り台が見えてきた。

リストール団長の号令が響き、隊列が引き締まる。


だが兵士たちの足取りは先ほどより軽かった。

――一人の少女の何気ない言葉が、胸の奥に小さな火を灯したからだ。



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