幕間
幕間 「誓いと転倒と大いじり会」
宿へ戻ったヴィーナは、ベッドにダイブして毛布を頭からかぶった。
「……もうだめだ……一生の恥だ……」
「いやぁ~、あれはすごかったな!」
ナツキが机を叩いて爆笑する。
「“誓いの場で大転倒”って、前代未聞だぞ!」
「ふふっ……私も最初は固まっちゃったけど」
エリカが指を組んでにっこり。
「でも、あれで場がすごく和んだんだよ? だから安心して!」
「安心できるかぁぁぁ!!」
毛布の中から絶叫するヴィーナ。
「……事実は事実だし」
クロエが肩を竦める。
「少なくとも、“誓いの転倒者”って称号は確定ね」
「やめてぇぇ!!!」
毛布をばさっと剥いで飛び起きたヴィーナは、顔を真っ赤にして抗議する。
「そんな呼び方したら、一生笑いものじゃないですかぁ!」
「もう十分、笑いものだよ」
レナが淡々とトドメを刺す。
「レナさんまでぇぇぇぇ!」
ヴィーナはぷくーっと頬を膨らませて腕を組み、ふいっと横を向いた。
***
その様子を見たナツキがさらに煽る。
「なぁなぁ、“伝説の大転倒姫”ってどう? かっこよくね?」
「かっこよくないです!!」
「じゃあ、“ごろ寝ヴァルトニア”とか?」
「な、なんですかそれぇぇぇ!!」
「……“ドテン卿”」
クロエがぼそっと呟く。
「卿つけないでくださいっ!!」
「“黒雷の転倒者”なんて響きはどう?」
レナまで真顔で追撃する。
「ぜったい広まるううううう!」
ヴィーナは頭を抱え、ベッドに再び突っ伏した。
***
そんな彼女を見て、エリカが苦笑しながら背をさすった。
「でもね、ヴィーナ。あの瞬間、皆の顔が柔らかくなったの。
きっと“誓い”も、“転倒”も、どっちもヴィーナらしい証なんだと思う」
「……エリカ……」
顔を上げかけたヴィーナの耳元で、ナツキがにやりと囁く。
「よし、決まり。“ヴィーナ伝説:誓いの大転倒”。決して消えない歴史の1ページだな!」
「うわあああん!!!」
宿の一室に、少女の情けない泣き声と、仲間たちの笑い声が響きわたった




