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レイクス戦記  作者: ゆう
旅立ち
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英雄の謎

第三十七話 英雄の謎

馬車は、夜の道をギルドの宿へと向かっていた。謁見の間での出来事は、メンバーたちの心に、それぞれ異なる感情を湧き起こさせていた。

「ヴァルトニア…って、そんなにすごい姓だったんだな…」

ナツキが、ぽつりと呟いた。

「ええ。私も歴史書で読んだことがあります。でも、まさかヴィーナさんが、その方の子孫だとは…」

エリカが、驚きを隠せない様子で言った。

「血を引いているわけじゃないわ。養女だから」

ヴィーナが、静かに訂正した。

「ああ、そうだった。ごめん」

エリカは、慌てて謝った。

レナは、そんな二人の様子を見ながら、静かに口を開いた。

「ヴァルトニアは、今から二百年ほど前のエルディナ聖王国にいた、レイクス=ヴァルトニア伯爵の姓だ。彼は、魔王の残党との戦いで、伝説的な活躍をした英雄として知られている。歴史書によると、彼は、強力なメテオや黒雷を操り、優れた戦術で、多くの危機を救ったとされているわ」

レナの言葉に、メンバーたちは息をのんだ。

「二百年前…? それじゃあ、ヴィーナさんの父親は…その英雄本人ってことなのか?」

ナツキが、信じられないといった様子で言った。

「まさか…」

エリカも、その考えを否定した。

「人間に、二百年も生きられるわけない。同名の別人か、あるいは子孫のどちらかだろう」

クロエが、冷静に分析した。

「でも、リランダ様は、レイクス様が弟子だったと言っていた。そして、ヴィーナの聖魔法が、そのレイクス様の力と同じだと…」

レナは、腕を組み、考え込んでいた。

「…そうね。普通に考えたら、クロエの言う通りよね。でも…」

レナは言葉を濁し、ヴィーナに視線を向けた。

「ヴィーナ…お父さんって、どんな見た目だった?」

ナツキの問いに、ヴィーナは少し考えてから、静かに答えた。

「私が知っている父は、私とそれほど年の変わらない、二十歳くらいの青年でした」

その言葉に、馬車の中が凍りついた。ナツキはあんぐりと口を開け、エリカは信じられないといった表情でヴィーナを見つめている。クロエも、その冷静さを失い、目を見開いていた。

「…ヴィーナ。それは、冗談、だよね…?」

レナが、か細い声で尋ねた。

「いいえ。本当です。でも、なぜ二十歳くらいに見えるのかは、私も知りません。私にとっては、それが当たり前でしたから」

ヴィーナは、不思議そうに首を傾げた。彼女には、そのことに何ら疑問を抱く理由がなかったのだ。

その言葉に、メンバーたちは、再び顔を見合わせた。二百年前の英雄が、なぜ二十歳の若者の姿でいるのか。その謎は、彼女たちの心を捉えて離さなかった。

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