新たな予感
第二十九話 新たな予感
フォルネリウスの街で、数日の休息を取った一行は、冒険者ギルドへと足を運んだ。**『白銀の葉』**の大量採取という偉業は、すでに街中の冒険者たちの間で噂になっており、彼女たちの評判は、一躍高まっていた。
「みんな、見て! 依頼掲示板のランクが上がってる!」
ナツキが指差す先には、これまで受けてきたものとは比べ物にならないほど、高い報酬と、高い危険度を示す依頼書が貼られていた。彼女たちのパーティーランクは、CランクからBランクに上がっていたのだ。
「すごい…私たち、もうこんなにランクが上がったんだね」
エリカが、感嘆の声を上げた。彼女の表情は、旅に出る前の、怯えに満ちたものから、自信に満ちたものへと変わっていた。
「当然よ。あの霧の森を無事に踏破したんだ。これくらいは当たり前だわ」
レナが、誇らしげに胸を張る。彼女自身は、もともとCランクの冒険者だったが、パーティーランクが上がることは、彼女にとっても特別なことだった。
「…次の依頼は、どうする?」
クロエが、静かに尋ねた。彼女たちの目の前には、様々な依頼が並んでいた。高い報酬を約束する危険な依頼。街の平和を守るための地味な依頼。どれを選ぶかは、彼女たちの自由だ。
その時、一人のギルド職員が、レナに声をかけてきた。
「レナさん、フォルネリウスの街を守る結界を司る、リランダ様がお呼びです。至急、大聖堂へお越しいただきたいとのことです」
その言葉に、一行は顔を見合わせた。精霊魔法の使い手であるリランダは、街の住民から絶大な尊敬を集める、偉大な魔導士だ。その彼女が、なぜ自分たちを呼んでいるのか。
レナは、他のメンバーに顔を向け、指示を出した。
「私たちは、一旦ここで解散するわ。私はリランダ様にお会いしてくる。みんなは、好きなことをして過ごしていて。今後のことは、私が戻ってから決めましょう」
レナの言葉に、皆は静かに頷いた。
「じゃあ、私は先に宿に戻るね」
エリカが、ヴィーナに声をかける。
「うん。また後で」
二人は、連れ立ってギルドを後にした。ナツキは、早速美味しい料理を求めてレストランへ、クロエは、再び街の闇へと溶け込むように姿を消した。
そして、レナは、一人、街の中心にある大聖堂へと向かった。彼女の胸には、この訪問が、単なる報告ではない、何か重要な意味を持つのではないかという予感が、静かに芽生えていた。




