光の向かう先
第十一話 光の向かう先
ヴィーナの掌から放たれた光は、まるで生きているかのように、温かく揺らめいていた。リランダは、その光をじっと見つめ、何かを確かめるように、ゆっくりと手を伸ばした。
彼女の指先が光に触れると、光は一瞬輝きを増し、リランダの銀色の髪や、透き通るような白い肌を淡く照らし出した。その時、リランダは静かに目をつむり、何かを語りかけているようだった。
「…やはり…」
リランダがそう呟くと、光はヴィーナの掌の中へと戻っていった。
「その光…その温かさ…」
リランダはヴィーナを見つめ、どこか懐かしむような、切なげな表情を浮かべた。
「あなたは…彼と同じ光を持っているのね」
リランダの言葉に、ヴィーナは思わず息をのんだ。「彼」とは誰のことだろうか?
ヴィーナが尋ねようとすると、ナツキが先に口を開いた。
「おい、リランダさんよ。一体、ヴィーナの光がどうしたんだ? 何か知ってるのか?」
ナツキの問いかけに、リランダは静かに首を振った。
「…いいえ、まだ。ただ、その光が、かつて私を導いた光と酷似している。そのことだけは確かよ」
リランダはそう言うと、ヴィーナに再び向き直った。
「ヴィーナ。あなたのその力…大切にしなさい。それは、この世界から失われた、とても貴重な力だから」
リランダの言葉に、ヴィーナは頷いた。リランダは、彼女が持つ力が特別なものであることを知っているようだ。ヴィーナは、リランダの言葉に、これまでの旅で感じてきた、漠然とした不安が少しずつ晴れていくのを感じていた。
「ありがとうございます、リランダさん。私…この力を、もっと知りたいです」
ヴィーナの言葉に、リランダは静かに微笑んだ。
「そうね。その気持ちがあるなら、いつかその光は、あなたを正しい道へと導いてくれるでしょう」
リランダはそう言うと、街の中心にある大樹を指差した。
「大樹の奥には、精霊たちが住む**『精霊の森』**がある。あなたの光は、精霊たちにとって、とても心地よいものに違いないわ。あなたなら、きっと、精霊の声を聞くことができるでしょう」
リランダはそう言うと、再び霧の中に溶け込むように姿を消した。
残されたヴィーナたちは、顔を見合わせ、誰もが戸惑いの表情を浮かべていた。しかし、ヴィーナは、リランダの言葉を信じていた。彼女の言葉は、まるで彼女が持つ力を解き明かすための、新たな手がかりのように思えたからだ。