36 もうちょい続くよハンティング
狩の続きです。
森に入って散策する。
最初と同じくアンナ、アーロン、エディのメンバーだ。
スイとエンの鼻を頼りに獲物を探す。
【探索】の魔法は使わずに匂いとか足跡とかで探す。
鹿を狩った、鹿の魔物で明らかに殺意むき出しのでっかい鹿。
凶悪な角でゴブリン数匹をまとめてぶっ殺していた。
それに角の生えたデカめの兎。
兎と言っても多分兎じゃない。
牙が生えていて血の匂いを漂わせている。
前足の爪も太く鋭く血が滴っている。
大きさは柴犬サイズ。
「なんかやばそうな兎だな。」
「角兎か?」
ややこしい事に『魔物化した兎』と『角の生えた兎、角兎』の二種類が存在する。
角が生えた肉食の兎、
肉食で魔物化した角のない狂暴な兎。
「いいえあれは大きさからみて狂角兎です。」
狂角兎
犬サイズの超絶狂暴で、角兎より狂暴な種。
人間程度は小枝を圧し折るように殺す兎。
さすがに強すぎる相手だ。
6人ならどうにかなるが3人では難しいか?
いや行ってみよう。
「よし全員いけ!」
俺がそう指示を出す。
「え!?」×3
「俺たち死んじまうって!!」
アーロンがそう叫ぶ。
「根性はどこ行った?」
まあ仕方ないか。
「じゃあ今回は俺が行くから見てろ。」
「いざとなったら魔法で防げよ。」
俺はスタスタ兎に歩いていく。
こいつの魔力の雰囲気からして魔法を使ってきそうな魔物だ。
そのくせ身体能力も高そうだ、兎で毛皮なのに筋肉がキレッキレなんだもん。
隙が無いというかなんというか。
刀は抜かないまま近寄る。
「よく見てよく感じろ」
「見るだけでなく魔力を感じるんだ。」
「そうすれば相手の魔法の発動やおおよその位置がわかる。」
「これが完璧に出来て周囲の物までわかるようになれば目はいらなくなる。」
俺はそう言って目を瞑る。
兎が予備動作なしで弾丸のように飛んできた。
右足で軽く蹴り上げる。
顎に入ったが効いて無さそうだ。
蹴り上げられた兎は空中で体勢を立て直し魔法を放つ。
風の刃だ俺が使ってた【風刃】と同じ魔法だった。
普通に避けるがブーメランの様に追尾してくる。
そして避けた先に先読みして角兎の突撃してくる。
この兎とんでもなかった。
魔法は足付近を狙い、兎は胸や首あたりを狙ってくる。
この兎の【風刃】は太い木の幹も両断してる。
比較的安全な森って聞いたんだけどな。
とにかくあれは危ないので攻撃を躱しつつピンポイントで【魔法防御】を張って防ぐ。
そして兎の突撃を躱すと同時に横っ面にパンチ。
ゴツン!
強めに殴ったのに身をよじって衝撃を緩和させやがった。
そしてまたもや兎は【追尾式風刃】を放つ。
ただこの兎の手札はこれだけの様だ。
だがそれだけに厄介、最低限の動きで的確に避けなければ死ぬ程度には強力。
師匠達と比べると足元にも及ばないが懐かしい記憶がよみがえる。
ひたすら殺され続ける毎日、嫌なら攻撃に対処できるようになれっていうスパルタ教育。
眼を瞑っているから余計に記憶がよみがえってくる。
苦しい記憶がよみがえってきたのでそろそろ終わらせよう。
魔法と兎が同時に来るタイミングでまた【追尾式風刃】を【魔法防御】で防ぐ、
そして兎の角を握る。
綺麗な円錐状の角なので掴みやすい。
そして勢いのまま後ろに振りかぶり、思いっきり地面に叩きつける。
ゴキッ!
と言う音と共に兎は絶命した。
俺は眼を開けてそのまま持ち上げる。
デカいし重い。
「終わりましたか?」
アンナ達が恐る恐る近寄ってくる。
「うん、終わったよ。」
「思ったより強かったね。」
俺。
「町に出たら大騒ぎになるレベルの魔物ですから・・・」
アンナ。
「この辺りに出現する方ががおかしいですよ。」
アーロン。
「森の奥で何か起きてるのか?」
俺。
「森の奥で何か異常に強い魔物が出現したとかですか?」
アンナ。
ん?
森の奥に魔物?
まさかね?
「一応心配だからブレッド達に知らせておこう。」
俺。
「了解です。」
アーロン。
すぐにキャンプに戻る。
キャンプに戻るとゴブリンの集団とブレッド達が戦っていた。
「加勢するぞ。」
「了解。」
すぐにゴブリンの討伐にかかる。
ブレッド達は、ブレッドとカールがディーンを守る形で戦い、
ディーンが弓で援護して堅実に守りながら戦っていた。
アンナ、アーロン、エディ、スイ、エンで一斉にかかる。
アンナは先ほどの反省を生かし細剣でゴブリンを倒したあと丁寧にとどめを刺している。
アーロンはハルバードで2~3体を一気に叩き切る。
エディは弓でゴブリンを的確に打ち抜く。
そうしてどうにか合流して陣形を組む。
アーロン、ブレッド、カールで盾を持ち守りを固める。
ディーンとエディが後ろから弓で射撃、
アンナとスイとエンは遊撃と言うか自由に殺し回っている。
そしてびっくりスイとエンはさっきの兎が使ってた魔法を使い始めた。
追尾式風刃
足を切り飛ばしてから、確実に首を切り飛ばすような動きをしている。
「・・・」
俺は声が出ないくらい驚いた。
因みに他6人も口をあんぐり開けて驚いている。
そんなこんなでゴブリンの集団は皆で協力しつつスイとエンがほとんど倒した。
俺はと言うと驚きすぎて危うくゴブリンにナイフで刺されるところだった。
「全員無事だな?」
全員の様子を見る限り怪我などはなさそうだ。
「はい!」
アーロン。
「ブレッド達も大丈夫そうで良かった。」
俺。
「突然ゴブリン達が走ってきたんですよ。」
「それで戦闘になった所で皆が来てくれたので助かりました。」
ブレッドが説明してくれる。
「こっちもこの辺りに居るはずのない狂角兎が出たんで変だなと思って一旦戻ってきたんだ。」
アーロンが説明してくれる。
「おそらく森の深い所で何か起こってるんだろう。」
「そのせいで魔物達の縄張りがおかしくなってるんだと思う。」
俺。
ゴブリンの死体処理をしながらそんな話をする。
その後ろで尻尾をブンブン振りながら可愛い顔で俺を見るスイとエン。
「もうちょい待っててくれ。」
ゴブリンたちの耳を切り落としながら言う。
「狩りは中止しますか?」
アンナ。
「うーん・・・」
「実は心当たりが・・・」
俺。
「なんですか?」
「ついさっきアイツが森に入っていったんだよ。」
「アイツ?」
「あっ!ユキさんですか?」
「そう・・・」
「でもユキさんはただのお馬さんですよね?」
「いや違う、あいつはただの馬じゃないんだ。」
「どういうことですか?」
「アイツは超狂暴でサシの勝負なら俺でも手こずるほどの馬だ。」
「え!?そうなんですか!!?」
「そうだ、だからあいつが森の中で全力で暴れだしたって考えると・・・」
「ユキさんが元凶でもおかしくないと?」
「うん・・・」
これでもしユキが元凶で町に被害が出たら俺の責任になるのか?
やばい変な汗が出て来た。
「ヒロさん?大丈夫ですか?」
「あっ、ああ、問題ないと思う。たぶん、きっとおそらく。」
「まあ、あいつが元凶かどうか分からないし心配するだけ無駄だよな。」
俺はそう自分に言い聞かせる。
そんな話をしているとまたまた魔物がやってきた。
いや今度は魔物では無かったが、土色の狼だ。
「戦闘準備!!」
俺がそう叫ぶと全員武器を構える。
どうやらユキの影響とゴブリンの血の匂いでよってきたみたいだ。
数は10前後。
ゴブリン単体とオオカミ単体はオオカミの方が強いとされている。
オオカミの大きさはスイとエンの母犬ほどの大きさだ。
だがしかし犬ではなくオオカミだ。
陣形はさっきと少し変えてアンナが弓に変更それ以外は同じ。
「スイとエンはかく乱してこっちに連れてきてくれ!」
「ワン!!」
そういう感じで戦闘開始。
因みに俺は高みの見物。
いつでも全員に防御魔法と回復魔法をかけらるように待機。
俺は戦場の癒し手になり一時的に聖女様に転職します。
おほほほほ!
そんな下らない事を考えている内に味方がどんどんオオカミを狩っていく。
あっ!
カールが前に出すぎて噛まれた。
ブレッドがカバーしてるし軽傷だからいいか。
それを見た後衛組は前衛をカバーするようにオオカミを狙い始めた。
しっかり味方の動きを見て狙っている。
チームワークが良くなってきた。
俺はこっそりカールに【回復】の魔法をかける。
カールはお構いなしに戦闘を続ける。
アドレナリンで痛みが無いんだろう。
スイとエンもしっかりオオカミを呼び込んで味方に倒させている。
俺の意図を汲んでくれたみたいだ。
アーロンとカールは豪快に倒し、ブレッドは的確に槍で急所を突く。
ディーンとエディはエッドショットを連発し、
アンナは若干拙いがしっかり当てている。
「問題なさそうだな!」
うんうんと頷いていると、、
ガアアアァァァァァァァァァ!!!
「は!?」
凶悪な咆哮が聞こえてくる。
そこには熊が居た。
普通のくまだがグリズリーかヒグマの様なくまさん。
あの時手こずった記憶がよみがえる。
くま
ゼッタイ
コロス
俺は走り出す。
くまの全力パンチを躱し、噛みついて来た所を懐に入り込みアッパーで頭を打ち上げる。
スパァン!
熊が立ち上がり首を上に向けた所で、
すかさず頭に向かって飛びかかる。
そして抜刀と同時に一刀で頭を切り落とす。
ザクッ!
綺麗に首の皮一枚残して頭がくまの膝元に落ちる。
ポトッ
そして血飛沫が飛び散る。
くまの首から下が倒れた。
そしておかわり登場。
また同じ種類のくま。
つがいか?
ガアアアアアァァァ!
「クマ、ゼッタイ、コロス」
四つん這いのくまに距離を詰める。
一瞬で首の横に到達し大上段に刀を構えた直後、真っ向切り。
スパッ!
ゆっくり頭が落ちる。
チョット本気を出せばこんなもんですよって。
その後ろにいたちょっと小さめの奴らも数秒でしっかり首を刎ねる。
ご家族で引っ越しの予定だったらしい。
あれ?
くまって母だけで子育てするんじゃなかったっけ?
まあいいや。
「クマまで出て来たぞ。」
愚痴っぽく言う。
しかし皆はなんか呆けている。
「おーい?」
だいじょうぶ?
「すごい・・・」
アンナが口からこぼれる様につぶやくと他の5人も頷く。
「しっかり訓練すれば全員これくらい出来るようになるぞ。」
こいつらの成長速度は異常だから多分すぐに追いつく気がする。
「さっさと片付けてしまおうか。」
その後はひたすら解体と死体処理にかかる。
ゴブリンは耳を削ぎ一か所にまとめて焼く。
他の動物や魔物は解体して肉と皮牙爪骨などに解体する。
数が多いので大変だ。
解体中に幾度と魔物が襲ってくる。
角から石の礫を飛ばしてくる大きい鹿。
高速突進中に速度を落とさず突然直角に曲がる大猪。
車輪の様に高速回転しながら突撃してくる刃の様な尻尾を持つイタチ。
この前の狂走鳥の群れなどなど、
この辺りの魔物から本来森の奥にいるような魔物まで沢山やってくる。
どっかの白馬さんの影響だろうが・・・
と言った感じで解体は遅れ、狩った獲物はどんどん増えていく。
腹が減れば新鮮な肉を焼いて食う。
そして匂いにつられ新たな魔物が突撃してくる。
忙しいのなんの。
もうじき日が暮れるくらいのタイミングでヤツが返ってきた。
綺麗な白い馬体が真っ赤に染まっていたのだ。
「怪我したのか!?」
急いで近寄り観察するが特に怪我は無かった。
「どうしたんですか!??」
アンナもおったまげてる。
「安心していいよ、全部返り血だから。」
俺は呆れつつ言う。
ユキが『体洗って―』って言って甘えてくる。
「これじゃ町に入れないからしっかり洗おう。」
魔法でユキに水をぶかっける。
ジャバジャバダバダバかけていく。
そしてブラシでしっかりゴシゴシ。
「何して来たんだ?」
『いっぱい倒したからあとで見てー』
「わかった。」
どっかにまとめて置いてきたのかな?
馬体を洗いしっかり水を切る。
魔法の温風で乾かす。
気持ちよさそうにしているが、
コイツが森の奥で何をしていたかを考えるだけで頭が痛くなってくる。
アンナも手伝ってくれた。
「ありがとな。」
「いえいえ、」
改めて全身見たけど傷は一切なかった。
「まあ、怪我がなくて何よりだ。」
ユキのおでこを撫でながらそうつぶやく。
「で」
「何を狩ったんだ?」
俺がそう言うとユキが広めの場所に行く。
ん?
するとびっくりユキが魔物を何もない所から出し始めた。
・・・
俺は声が出ないくらい驚いた。
本日二回目である。
「おまっ!!」
そして当のお馬さんは俺を見て舌をペロっと出している。
コイツわざと俺を驚かせようとしてやってる・・・
「お前いつの間に覚えたんだよ。」
そんなことを言っている間にもユキの獲物が山盛りになっていく。
見たことあるのから見たことのないやつまで色々ごちゃまぜ。
蜘蛛の足が猿の手足みたいになってる猿顔のキモイ化け物。
首と4本の尻尾が異常に長いライオン。
3mくらいある猿かゴリラの様なマッチョな生物。
それと、でっかい悪人面で人型の木。
どいつもこいつも的確に急所と思われるところを蹴られるか何かで刺された跡がある。
一同は唖然とする他なかった。
「・・・」
「暴れすぎだろ。」
明らかに荷馬車に積みきれない量だ。
「こんだけ暴れたら、そらこっちに魔物が逃げてくるわな。」
アーロンがそんなことを言う。
皆そろってうんうんと頷く。
「そういえばおいしい果物は食えたんか?」
俺。
ユキは嬉しそうに俺の顔をペロぺロ舐める。
どうやら腹いっぱい食べられたようだ。
よかったよかった。
ユキ曰く全部いらないからくれるそうだ。
おいしそうなのは後でちゃんと食べさせてあげよう。
「さすがに解体しきれないから仕分けして持って帰れない分は俺の【収納】に入れておこう。」
ユキはどうせ自分の食いたいのは自分の【収納】に入れてあるだろうから心配ないと思う。
「日が暮れる前までにやっちゃいましょうか」
って事で急ピッチで作業をする。
肉は食べたいので解体が終わったやつ、
食べられないけど素材になる奴を中心に馬車に乗っけていく。
そして時間が無くなったので解体しきれないのは全部収納に突っ込む。
「収納に入りきるか心配だったけど気合でどうにかなったよ。」
こんなに大量に入れるのは初めてなので入るか分からなかった。
因みに【収納】は魔力量やら何やらに比例して容量が増える。
馬車に乗りきらない7割を【収納】にぶち込んで町に帰る。
道中。
「あの量の獲物、どうしよう。」
俺。
「時間を見つけて解体するしかありませんね。」
アンナ。
「まあうれしい悲鳴ってやつですね。」
アーロンが笑いながらそう言った。
「定期的に狩りに出ても狩る量を減らして、在庫を減らさなきゃいけないな。」
俺。
「でも、かなり疲れましたが、いい訓練になりましたよね。」
ブレッド。
「解体する暇がないほどに魔物が押し寄せて来たからな。」
俺はユキの方をチラッと見るが、本人はどこ吹く風である。
「晩飯は調理場を借りて少し豪華にしようか。」
俺がそう言うと全員大喜びだ。
「やったー」
ここまで喜んでくれると悪い気はしない。
ハンター協会に戻り狩った魔物を報告し素材を売る。
狩った魔物は報討伐部位を提出して報告する。
素材の売買はバリーさんとか言う査定部のおっちゃんに頼む。
「こんちわー」
「査定お願いしまーす」
バリーさんの近くにあるテーブルに素材を山盛りにする。
荷馬車がミシミシ言い出す一歩手前まで積んだ獲物だ。
肉や乗り切らない分は俺達が確保したとはいえ、かなりの量になった。
「お前らは手加減を知らんのか・・・」
おっちゃんにそう言われるが。
手加減したつもりなんですよ、と言い出せずに無難な返事をする。
「たまたまで見つけたので狩っちゃいました。」
ユキが森の奥深くで大暴れして逃げて来た獲物を俺たちが狩る。
マッチポンプも甚だしい。
結果は、諸々合わせてこの前の二股の牙の猪よりも報酬は多くなった。
まあ量が5倍以上あるからそうなって当然だけど。
因みに狂走鳥の羽毛は今回も俺が確保した。
それとユキがとってくれたフワフワの大きいイタチっぽいのも俺が確保した。
今度ジャックさんに鞣してもらって枕か何かにしてもらいたいな。
「何をしたらこんなに狩れるんだ?」
「分からないけど森の奥でおぞましい化け物でも居たんだろうな。」
その化け物は、真白の馬みたいな見た目でユキって名前が付いてるかもしれないね。
「多分」
「そうか、今の所西の街道でそう言った情報は上がってない。」
「一応報告しておくがこのままいけばおそらく大きな問題にはならないだろう。」
我々一同ほっと胸をなでおろす。
「まあ無理はせずに頑張ってくれよ。」
「はーい」
って事で宿に帰宅。
さっさと体を洗い、肉料理を山ほど作る。
料理は全員に手伝ってもらう。
切ったり混ぜたり千切ったり。
複数の肉料理を大雑把に作っていく。
宿屋のおばちゃんとおじちゃんが手伝ってくれたのでとてもいい感じになった。
晩御飯は二人とさらに娘二人を交えてちょっとしたパーティーになった。
「えーっと、ハンター協会で働いている長女のポリンちゃん?」
「そして宿屋でお手伝いしている次女のピリンちゃん?」
二人とも三つ編みのおさげなせいか、すごくそっくりだ。
「はい!」
「今回はお呼びいただいてありがとうございます!」
ポリンちゃんがお礼を言ってくれる。
「ありがとうございます!」
ピリンちゃんも続けてお礼を言ってくれる。
「皆さんには普段からお世話になってるのでぜひ遠慮なく食べてください。」
「って事で、いただきます。」
そう言って俺は料理を食べ始める。
すると他のみんなも食べ始める。
うめぇうめぇと涙を流して食べてる。
鹿やイノシシの魔物の肉だからめちゃくちゃうまい。
よくわからん魔物の肉は一旦使わなかった。
皆は仲良くモグモグバクバク食べている。
あれが美味いとかこれが好きとか仲良くしてる。
スイとエンも嬉しそうにバクバク食べている。
因みにユキにも肉や野菜をてんこ盛りにして渡してきた。
「ヒロさん!」
ピリンちゃんが声をかけてくる。
「ん?」
「さっきの『いただきます』って言葉はどういった意味ですか?」
「あー、あれは感謝の言葉だ。」
「かんしゃ?」
「そう、野菜も果物も肉も生き物だ。」
「その命を貰って俺たちは生きる。」
「その事に対しての感謝の言葉だ。」
「命をいただきます。って意味だ。」
「へー!」
ついつい日本語で言ってしまっていたようだ。
ピリンちゃんはそれで気になったみたいだ。
「いただきます?」
ピリンちゃんは日本語で真似してる。
「そうそう、ちゃんと言えてるぞ。」
気付けば皆俺とピリンちゃんの話を聞いていた。
「いっつもなんていっているのか分からなかったけど。」
「そんな意味だったんですね。」
アンナが言う。
あれ?いっつも?
普段から口に出てたようだ。
「いっつも言ってたっけ?」
「はい!しっかり言ってました。」
「そっか・・・」
まあ別に隠してないし、元異世界人ってバレるわけないし。
「お国の言葉かい?」
「まあそんなところですね。」
「そういうのは大事にした方がいいよ!」
おばちゃんがそう言ってくれる。
「はい大事にします。」
そう言って食事を続ける。
まあ隠してるのは魔法だけだから、
出身が異世界な事がばれてもぶっちゃけ何も問題ない。
無いよな?
多分。
その後は些細な不安は忘れて楽しく飲み食いして寝た。
主人公は偉そうなことを言ってますが、未だに強さの底がしれませんね。
ユキちゃんも意外と強いのです。




