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34 ハンティング

狩に挑戦です。

 朝 

 今日も今日とて早朝の訓練をする。

ビシビシバシバシ、基礎をしっかり固める。

その後朝食をとって、

ユキとスイとエンを連れて皆でハンター協会へ。

「狩りですか?」

今日もポリンちゃんに相談。

「はい。危険の少ない狩場ってありますか?」

「北と南は若干危険で、東か西は深入りしなければ比較的安全ですよ。」

今いるハンター協会から見て東側には貴族区と言われる区域がある。

貴族区は結構広くてここから貴族区の向こうまで行くのは遠い。

「って事なら西にしようか。」

「西に多い魔物を一通りお教えしますよ。」

ポリンちゃんはそう言って図鑑みたいなのを見せてくれた。

一通り見せてもらった後、西の森へ出発。


畑を超え、平原を超え、森に入る。

「なんか久しぶりに感じるな。」

俺。

「4日ぶりでしたっけ?」

アーロン。

「そんくらいだな。」

今日は色々と装備をしてきている。

弓と槍を荷馬車に積んで来た。

いつもの幌馬車ではなく屋根のない獲物を山盛りに積めるような荷馬車だ。

「弓の練習の成果を見せてもらおうか。」

全員の弓の腕前はバラバラ。

突出して、エディとディーンの双子が上手い。

次にブレッドとアンナもそこそこ上手、

そしてアーロンとカールはいまいち。

森の中の少し開けた場所で馬車を止めてユキを馬車から離す。

「自由に走り回っていいけどあんまり馬車から離れないようにね」

ユキにそう伝える。

「荷物番も欲しいから2チームで行動しようか。」

「わかりました。」

「チーム分けはどうしますか?」

チームは実力を当分する感じにした。

エディ、アンナ、アーロン。

ディーン、ブレッド、カール。

「って感じで荷物番兼解体組と狩組に交代で別れよう。」

「荷物組は解体と魔法の練習でもしててくれ。」

「了解です。」

「ヒロさんとワンコ達は?」

「狩り組の付き添いをする。」

「荷物組はユキが居るからよっぽどの事にはならないと思う。」

「わかりました。」

そんな風にアーロン達と打ち合わせをした。

で早速アンナ達と森のさらに奥に入る。

アンナとエディは弓を持ちアーロンは武装をする。

なんかやばいのが居たらアーロンと俺が一旦壁になる。

俺は刀を腰に差して鞄を肩にかけていく。

でっかい斧は森では邪魔だからおいてきた。

いざって時は魔法と刀と腕力でどうにかする。

「あー、森の中って気持ちーなー」

そんな風にだらけて歩く。

俺は完全に気を抜いていた。

「俺が言うのもなんですが気を抜きすぎでは?」

エディがそんな事を言う。

すると突然背後の木の上から殺気を感じる、

「グギャァァ!」という唸り声が聞こえる。

振り向きざまにその何かを抜刀と共に切りつける。

ザクッ!

野菜か何かを切ったような音がした。

「うわぁ!」

アンナが小さく悲鳴を上げる。

エディは言わんこっちゃないみたいな顔をしてる。

「これは受付の人が言ってた奴ですか?」

アーロンが言う。

そこには真っ二つになった果物っぽいもの?

「野菜人だっけ?」

サ〇ヤ人ではありません。

そんなことを考えながら刀についた果汁をぬぐって納刀する。

「確か野菜と果物の魔物ですよね。」

ポリンちゃんの説明はこうだ。

野菜や果物の様な物がいつの間にか魔物化したわけではなく、

そういう種の魔物らしいが、それは完全に果物や野菜に擬態している。

この魔物が生っている木や葉はよく見ると若干本物と違っていて、

見分ける事は一応できるが近づくと今の様に襲われるのだ。

木に生っている間は枝にぶら下がり、野菜に化けてるのは土に埋まっている。

そして獲物を見つけると突然ヘタを千切り土から飛び出し襲ってくる。

そうして出てきたのは常に狂暴化して生物を襲いまくるようになる。

ヘタを千切りったり土から出たりして栄養が補給できなくなるので、

他の生物を食って栄養補給するらしい。

姿形は、果物や野菜に両手両足、目と口が生えて来たような形。

大きさは果物や野菜に小さな手と足が生えたくらいの大きさだが、

人や大きな獲物を襲うときは的確に首筋を狙って食いついて来る。

腕で防御すれば軽傷で済む程度なので危険度は低いとされている。

時々野菜人に喉を食い千切られる人もいるらしいが稀だ。

切った野菜人を見てみる。

「これの内臓、胃しかないぞ。」

口と食道と胃の様な物だけ。

「どうやって生きてんだ?」

肛門もないし。

うんことかしないのかな?

疑問がわいてくる。

「スライムと似たようなものでは?」

アンナ。

スライムはとりあえず周りにある物を食いまくる。

そんで色々なものを出す。

体にいい物を出すやつから、毒や劇物を出すやつなど色々。

しかし口も眼も内臓もない。

それに対して動き出した野菜人は生物を食いまくってどんどん大きくなるらしい。

スライムの様に排泄しない分巨大化するって事?

「なるほど?」

結局よくわからない。

「このまま食べれるそうですが食べてみます?」

アーロン。

せっかくなので洗ってナイフで小さく切って食べてみる事にした。

シャクシャク。

皆の口から果物を噛む快音が鳴る。

スイとエンももぐもぐ。

「うまい!!」

ついついそんな風に叫んでしまった。

普段食べてる果物よりはるかにおいしかった。

もちろん普段食べている野菜や果物がまずい訳ではなく、

この国の野菜や果物はかなりおいしいと思う。

だがそれを超えるおいしさだった。

「街道に近い場所は狩りつくされているって話だったけど」

「一匹残ってたみたいですね。」

この魔物が生る木を伐採せずに残しているのは、

単においしいから、街道に近い場所以外は放っておくそうだ。

「もっと食べたい。」

アンナがそんなことをボソッと言う。

「うん、、」

アーロン。

エディもうなずいている。

「動き出す前の野菜人はまだ未熟って言ってたよな。」

だからこの木に生っている実はまだ食べごろではない。

「他の獲物を探そうか。」

そう言って木に生っている活性化する前の野菜人を見ていると、

実のほとんどが一斉に目を開き口を開ける。

「やばい!剣を抜け!」

俺がそう叫ぶとアンナとエディは弓を置き、アーロンがハルバートを置いて、

全員腰に差しておいた剣を抜く。

野菜人が小さいので長物や弓は使いにくい。

鳴き声と共に複数の野菜人が襲ってくる。

全員で野菜人を切って捨てる。

結局は果物や野菜程度の防御力なので当たれば簡単に倒せる。

弱点は胃付近でそこを切れば動かなくなる。

俺はともかく三人共こんな小さい魔物をうまく切っている。

特に予想外だったのはアンナだ。

普段のお転婆な様子から一転して細剣を振り回し的確に野菜人の中心を切り裂いている。

無事野菜人の木に生っていたのは一掃した。

「焦りましたね!」

アンナ。

「でも意外と戦えるようになってますね俺たち。」

アーロン。

実際かなり様になっていた。

「確かにそこそこ様になってたけど、、」

「果物を切った程度であまり調子に乗るなよ。」

調子に乗って痛い目に会わない様に釘をぶっ刺さしておく。

倒した数が多いので俺とアンナの鞄にパンッパンに入れる。

果汁が滴るので一応麻袋に入れてから鞄に入れた。

「アンナは弓を使うだろうから鞄は俺が持つよ。」

アンナ達は狩り、俺は荷物持ちって事だ。

荷物を拾って、獲物を探す。

鞄を二つ担いで森を進む。

スイとエンに獲物を探してもらう。

二匹は鼻をスンスンさせてきょろきょろしてる。

そして早速牡鹿を見つける。

立派な角の生えた鹿。

牡鹿の中でも大きい個体の様だ。

「どっちからやる?」

超小声で二人に聞く。

アンナとエディが見合ってすぐエディに決まったようだ。

エディは弓と矢を構えて、狙いすます。

使う弓はロングボウで使いこなすのは難しいとされている。

しかしエディは軽々と弓を引き絞る。

そして一切ブレることなく構えている。

牡鹿は丁度止まった。

しっかり狙いすませて、矢を放つ。

狙いは目玉だったようだ。

矢は吸い込まれるように牡鹿の目玉に当たる。

グサッ!

即死だった。

「すごいな・・」

素直に感心した。

練習を始めて2~3日しかたってない。

なのにこんなに使いこなしている。

「結構距離合ったのによく当てたな。」

「なんか使いやすいです。」

普段無口なエディとディーンが嬉々として毎朝弓を握るのだ。

よっぽど気に入ったんだろう。

矢を抜いて鹿を【収納】にしまう。

「よし次を探そう。」

次はアンナの獲物。

なんかいるかな?

いた。

スイとエンがあっちあっちと合図を送ってくる。

そこにいたのは・・・

ゴブリン。

ゴブリンとは様々な物語によく出てくるが。

この世界では人間にとってのチンパンジー。

エルフにとってのゴブリン。

獣人にとってのコボルト。

みたいな感じで進化の過程で枝分かれした近縁種?

と言ったような認識らしい。

ゴブリンからエルフになったのか、

エルフからゴブリンに進化したのか。

そこは全く分からないそうだ。

そもそもその認識が正しいのか確かめる術がない。

そんなゴブリンが3匹いた。

背格好は背中が曲がっていて1mくらい。

獣の皮を鞣さずに剥いだまま体に巻いている様な風貌。

武器は木の枝とか小さなボロボロのナイフとか。

服や武器を使っていることから、猿よりも知恵があるらしい。

そもそもゴブリン内でも会話をして社会的な活動をする者もいれば、

一方で猿に毛が生えた程度の知能しかないのもいる。

この差は一体何だ?と思ったがよく考えると人間も大差なかった。

猿か野良犬の様にろくな言葉を知らない野性的な人間から、

知識と理性の塊の様な人間まで様々存在する。

人間もゴブリンも単に育ち方が違うだけなのだろう。

ただ人間から見ればゴブリンは醜悪と言うイメージしかないそうだ。

本当はゴブリン=醜悪ではなく、たまたま人間に狩られるゴブリンが醜悪なだけで、

ジェントルマン然としたゴブリンも居るらしいのだが。

そこで問題だ。

野生化し狂暴な獣と化したゴブリンに対してどう接するのが正しいのだろう?

1、狩る。

2、盗賊と同じく叩きのめして躾する。

俺としては2の躾をしたい所だがそれはかなり難しい。

そもそも言葉を介さない獣に一から言葉を教えるような物。

根性を叩き直しつつ一から言葉を教えるって相当めんどくさいし、

人間の町ではただの討伐対象だ。

街道から遠ければ無視しても良いそうだが、

残念ながら街道からは近からず遠からずと行った所だ。

だからここで死んでもらう。

「アンナ、一人でやってみろ。」

俺がアンナの耳元で小さくそう囁くと、アンナは弓を構える。

アンナの弓は小さく取り回しのいい弓だ。

飛距離は短いが連射しやすい。

アンナは構えた弓を放つ。

4本続けて放つ。

一射目は一匹目の頭部に当たり即死。

二・三射目は二匹目の肩、首の順に当たって死亡。

四射目は惜しくも外れた。

残った三匹目のゴブリンはこちらに気付き向かってくる。

アンナは弓を置き細剣を抜きゴブリンと対峙する。

ゴブリンは猪の様に飛びかかり、持っているナイフを振りかざす。

アンナは冷静に横に避けてから的確に首を切り裂く。

ゴブリンは全て倒れた。

「やりました!」

嬉しそうにアンナはガッツポーズ。

俺はアンナに近づく。

そして・・・

ガァァァァ!!

首を切り裂かれたゴブリンは突如起き上がりアンナに襲い掛かる。

生物の生命力を舐めてはいけない。

この間の猪も脳に2本の矢をぶっ刺しても向かってきたのだ。

もちろんゴブリンもしぶとい。

油断しまくっているアンナの肩を引っ張りゴブリンの顔にパンチ。

ドパァン!

なんか変な音だなと思ったらゴブリンの頭がはじけ飛んだ。

強く殴り過ぎたようだ。

俺はアンナに優しくゲンコツを食らわす。

「倒した直後は特に油断するな!」

ゴチン!!

ちょいと強かったみたいだ。

「はい、気を付けます・・・」

アンナは涙を浮かべ頭をさすりつつ言う。

「そこ以外はそこそこよかったぞ。」

三体のゴブリンの討伐成功

ゴブリンだから少しは抵抗があるかと思ったが、

気にせず切っていた。

「ところでゴブリンって美味いのか?」

俺。

全員が『こいつ何言ってんだ?』って顔してる。

「ゴブリンはクソまずいで有名ですよ。」

アーロンが教えてくれる。

「そっか、」

食えないって事は捨てるしかないな。

「確かゴブリンは右耳を提出すれば多少のお金になるんですよね?」

アンナが気を取り直してそんなことを言う。

「そうだった!」

「あっちの二匹は頼んでいいか?」

矢で倒したゴブリンを指さして言う。

「わかりました。」

「俺はどっかに飛んで行った頭を探さなきゃ」

はじけ飛んでしまったので破片を探す。

スイが見つけてくれた。

「ありがとう。」

わしゃわしゃと頭をなでる。

耳を小袋に入れてベルトに括り付ける。

死体は街道に近くなければ放置で良いらしい。

だから一か所にまとめ置いておく。

そろそろキャンプに帰ることにした。

ゴブリンの説明をくどくど書きましたが色々な物語に出てくる、

一般的なゴブリンです。

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