32 酒場
この世界の酒って美味いんでしょうかね?
荷物は【収納】に入れて、仕舞わない分は部屋に持っていく。
部屋にて。
「結構疲れたな。」
俺。
「色々回ったので大変でしたね。」
アンナ。
「こういう日はパーッと行きたいな。」
カール。
男どもは皆カールを凝視する。
「お前がそんなことを言うから俺も飲みたくなっただろ!」
アーロン。
その言葉にうなずく他三人。
ちなみに俺はほとんど酒を飲まないので飲みたくはならない。
「酒場でパーッとやるか?」
俺。
「いいんですか!?!?」
男ども一同。
「俺は少しユキと走ってくるから先にやっててくれ。」
ユキが最近走ってないと言って、若干イライラしてるのだ。
皆イヤッホー!と大喜びだ。
「しっかりアンナのボディーガードも頼むぞ?」
酒場にアンナを連れて行くのは心配だ。
「私はお水にしておきますね。」
場所は買い物中に見つけた良い感じの串焼きと酒の店にした。
「じゃああそこの店で合流しようか。」
「日が暮れる頃には来てくださいね!」
外食する事を宿屋のおばちゃんにも伝えてから6人と別れる。
ユキに鞍を付けて、町のすぐ外側にある平原に行く。
「日が暮れる前には戻るぞ。」
ユキとスイとエンが嬉しそうに返事をする。
ユキに乗りひたすら広大な平原を爆走する。
本当に久しぶりにユキの全力疾走だ。
なんかこの前より早い気がする。
スイとエンはさすがに追いついてこれないようだ。
ユキが地面を蹴る音が心地よく鳴り響く。
鬣と尾が風になびく。
本当にユキは速い。
時々ユキは飛ぶ。
めっちゃ飛ぶ。
軽く高さ5m以上は飛んでる。
飛びすぎだろ。
分かってはいたけどユキは馬離れした身体能力だ。
楽しくなって走ってたら、日が暮れ始めてしまった。
「やべ!」
「ユキ!スイ!エン!宿屋に帰るぞ!」
皆であわただしく宿に戻る。
宿屋の馬小屋にユキを入れて装備を外す。
「帰ってきたら体洗ってやるからそれまで待っててくれ!」
俺はそう言って急いで酒場に向かう。
ちなみにユキは汗かいてない。
ユキには軽い運動にもならなかったみたいだ。
スイとエンも連れて酒場に入る。
酒場はかなり騒がしく皆楽しく飲んで食べてをしていた。
楽しく。
楽しく?
なんか悲鳴が聞こえる気がする。
そっちの方を見ると、
トイレの前で男に無理やり絡まれているアンナが居た。
アンナがトイレに立った時にでも絡まれたんだろう。
アーロン達は酒場の喧騒と席の位置が死角になっているので気が付いてない。
俺はアンナの所に近寄りおっさんの顔面に軽いパンチを食らわす。
軽く優しくパンチ。
ドゴォン!
その場で縦に1回転して軽く鼻が粉砕したようだけど軽いパンチだ。
手加減はしたぞ。
「俺の連れだから嫌がらせはやめてくれ。」
アンナの肩に腕を回して迷子のお子様をしっかり確保!
「ヒロ!」
「ありがとうございます!ですがちょっと失礼します!」
アンナがそう言って急いでトイレに入る。
アンナは出会った頃から小便が近いな。
てか、入店して早々アンナが襲われてたらビビるわ。
とか思いながら、さっきの男のお友達風の奴らが殴り掛かってくる。
なので何も言わずに躱して同じ個所を同じ力で軽いパンチをする。
ドゴォン!バゴォン!
一瞬静まり返るが、すぐにどうでもいいと言わんばかりに騒がしくなる。
スイとエンは殴られて伸びている奴らのミルフィーユに小便をかけてる。
「おい、店は絶対に汚すなよ!」
スイとエンに注意する。
こいつら床にこぼれないように、無駄に器用にぶっかけてる。
因みにこの男達は顔にお絵描きしちゃうタイプのお兄さん達だ。
腕を見ると太い線が数本お揃いで書かれていた。
なにこれ?
まいっか。
「お待たせしました!」
アンナがトイレから出て来た。
アンナはアホ共のミルフィーユを見て一瞬ぎょっとする。
「この方たちちょっと濡れてません?」
「スイとエンからのプレゼントだ。」
そう答えるとアンナはかわいそうな人を見る目でそれを見ていた。
「とりあえず皆の所に行こうか。」
俺はアンナの肩をがっしり掴んで席に戻る。
小さい子は目が離せないな。
ちなみにこういったもめごとは基本的に自己責任らしい。
襲われたり、スられたり、鼻を木っ端微塵にされたりしても、
店には迷惑かけるながモットーらしい。
「お待たせ!」
そう言って席に着く俺とアーロンの間にアンナを座らせる。
「おー!遅かったっですね!」
5人はそこそこ出来上がっていた。
「ちょっと楽しくなっちゃって遅くなった。」
料理はタレや塩の肉串にチーズ、パン、スープ。
そして酒。
酒はビールみたいなやつ。
エールとか言ったっけ?
「同じのでいいですか?」
ブレッドが聞いて来る。
「俺は苦手だから水でいいよ。」
そして注文して改めて、
「カンパーイ!」
飲んで食って楽しくワイワイ。
ちなみに水は無料ではない物のかなり安い。
スライムが居て長期保存が出来るから、
近くの川で水を大量に汲んでおいてスライムを入れて置けば飲めるようになる。
だから格安なのである。
何ならスライムのおかげで澄んだ水になるのでとてもおいしい。
ちなみに時々水の中のゴミをやばい物質に変えるスライムもいるらしい。
ただし、基本はゴミを無害化したり魔力や栄養に変えるだけだ。
その後は料理を楽しむ、肉やスープは普通においしい。
チーズもおいしい。
「そういえば、あいつらの腕の線みたいな模様って何?」
なんか入れ墨っぽくお揃いっぽく入ってた。
「あいつら?」
アーロンが聞き返す。
「さっき酔いつぶれてた奴らの腕についてたんだ」
せっかくの飲み会なのでお説教は明日に回す。
「それは多分罪人に付けるマークですよ。」
ブレッドが説明してくれる。
「ある一定より重い罪を犯した人は入獄時にその模様を付けられるんですよ。」
「そして労働や懲役によって解放された人は自由だけど、一目で罪人だとわかってしまうのです。」
「罪を重ねたり、より重い罪を犯した者は顔にその模様を入れられるんですよ。」
皆的には常識だったみたい。
「へー、そーなんだ。」
多分一生消えないやつだよな。
「たしか、殺人、強盗、強姦、とかで捕まれば模様を付けられるはず?」
アーロン。
「町や地域によってちょっとづつ変わりますよね?」
アンナ。
「そうなんか?」
カール。
「確かそうだぞ」
ディーン。
「危険人物かどうか一目でわかるって事だから、結構ありがたいっちゃありがたいような?」
俺。
「ですが、本当に危険な人はそもそも捕まるようなヘマはしないんじゃないですか?」
エディ。
「確かに。」
裏社会のボスとかそんな感じだろうね。
この町には貴族区以外に検問や城門の様な物が無いので、
ああいった無法者もそこそこ居るのだろう。
その後楽しくワイワイ飲んで宿に帰って寝る。
皆が寝た後はユキの体を洗ってやる。
その後は俺も寝る。
まあ、正当防衛に近いですよね。
次の更新は少し時間が掛かります。




