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22 出発準備

村を出る準備をします。


 次の日

明日出発する予定なので荷物の整理をする。

この村に来た時と違い二人で移動となる。

なのでユキに馬車を引いてもらい次の町まで移動する事にした。

その馬車に双子とアンナと荷物を乗せて行く。

【収納】これは超便利なチート魔法なのだが、

隠せとの事なのでなるべく使わない様にする。

テントやら保存食やら水やら。

超超超便利生物スライムも二~三匹捕まえておく。

荷物整理はアンナも手伝ってくれている。

アンナの荷物は四角い箱型のトランクに入れてある。

なんか革張りでデザインがおしゃれなやつだ。

現代で言うビンテージだかアンティーク的なデザインで

すごくかっこよくて正直うらやましい。

今日のジャックさんとエリーさんは毛皮のマントを仕上げてる。

マーシーちゃんはそれの手伝い。

細々とした部分を仕上げるとの事。

今は俺とアンナだけ。

「身分証をなくしたって?」

「そのトランクに入ってなかったのか?」

昨日からずっと気になっていたことを聞く。

実は荷物の中身を確認した時にそれっぽいのを見た気がするのだ。

ちなみにあの盗賊達は持っていたり持ってなかったりだった。

チラッと目に入っただけで名前までは確認しなかったが結構豪華な模様があった気が・・・

「え?あっ・・・うっ・・・ムーーー」

わかりやすくワタワタし始めた。

ひとしきりワタワタした後、腹をくくったのか真面目な顔で俺を見る。

「実は・・・私とある貴族の娘なのです。」

・・・

「そうか・・・」

別に驚きはしない。

むしろ隠せてたつもりだったのか。

「そして私は誰かに命を狙われているみたいなのです!」

目をぎゅっと瞑って思い切ったように言う。

「あの盗賊らはアンナを狙って襲ったのか?」

「でも生きて捕まってたよな?」

素っ裸で小便漏らして倒れていたよね?

「はい・・・彼らは私を楽しんでから殺すと言っておりました。」

いまいち証拠に欠けるが、

明らかにただの盗賊ではないような装備の奴も居たので否定できない。

「たまたまアンナを襲ったって可能性は?」

「狙って襲った根拠はあるのか?」

偶然綺麗な少女を見つけたので襲い掛かった。

今の所その可能性の方が高い。

「自分で言うのもなんですが今回の遠征の護衛は普段のと比べて明らかに、質も低く数も少なかったのです。」

「今回は視察でこの周辺の村や町を回る予定でした。」

「初期の遠征計画は父も目を通すため護衛はいつも通りに配置されていました。」

「しかし父が別件で出かけている合間に、何者かが遠征直前に私の護衛の数を突然大幅に減らしてしまったようのです。」

黒幕が居るって言いたいらしい。

つまりその父の決定を覆せるくらい偉い人?

貴族の事はよくわからん。

「中止するなり、急遽護衛を増やすなりできなかったのか?」

そのくらいできるはずだよな。

「本来ならできます・・・」

そういってアンナは俯きながら続ける。

「しかし現在、父の周辺に居る貴族らは父の上げ足を取り、その地位から追い落とそうと動いている様なのです。」

「護衛を増やしたり、突然中止してしまえば揚げ足をとられてしまう可能性があるのです。」

悔しそうに話す。

にしても護衛くらい増やしても良いと思うけど。

何度も言うが貴族の事はわからん、平気で同僚の娘を殺そうとするのか・・・?

誰に命を狙われているか分からないので迂闊に身分を明かせないと言う事か。

やはり奴らを生かして問いただすべきだった。

「ごめん。俺があの盗賊らを全部殺したばっかりに誰が犯人か分からなくなってしまった。」

そういって頭を下げる。

「いえいえ!」

アンナはそういって手を振る。

「そのおかげでわたくしの命が有るのですから感謝の気持ちでいっぱいです。」

「そのことで攻めたりはいたしません。」

そういってくれた。

しかしこっちとしては、証拠が彼女の言葉だけだ。

まあ嘘をつくにしても突拍子もない気がするし。

王都に行きたいだけなら私も一緒に連れてって!

と言うだけで済む。

無駄に命が狙われている貴族の娘と言う嘘をつかなくてもいいはずだ。

なので少し疑いつつも信じることにした。

「わかった。信じるよ。」

俺はそういった。

「ありがとうございます。」

アンナはお礼を言う。

「そういう事なら身分や顔や名前は隠した方がいいのか?」

「いえ、アンナと言う名前は既に偽名ですし、貴族であることも言いふらすつもりはありません。」

「それに顔も貴族の方にじっくり見られなければ問題ありません。」

「危ないときはフードをかぶって誤魔化せると思います。」

そう説明するアンナ。

「まあ髪型や化粧次第で女は化けるって言うし、そうやって誤魔化すのもありだな。」

彼女は今髪を全部おろしている。

お団子とか三つ編みとかにして雰囲気を変えればいいと思う。

マフィア役の俳優さんみたいに口の中に布か何か詰め込んでもいいし。

ん?

「悠長にハンターになるって言ってたが」

「王都までこっそり行って、入り口でその身分証見せればいいんじゃないか?」

「それに親も心配してるだろうし、早く帰った方が良いだろ。」

これが手っ取り早いよね。

「はい・・・」

しゅんとしたアンナは親に説教された子供みたいになってる。

「この国の人々の暮らしを見てみたくて・・・」

「今回の場合だと見るだけじゃ済まないぞ。」

「体験して直に見てみたいのです。」

この子結構頑固だ。

「それに貴族が行方不明になった場合、一時的に身分証の効力が無くなってしまうのです。」

悪用されない様にって事か。

「顔見せても駄目か?」

「それでいいなら、そっくりさんが入れてしまう危険性があります。」

本当にしっかりした防犯だな。

誰々を呼んでくれればわかる!とかも駄目か?

「ちなみに貴族やその関係者の身分証は特殊で、本人が持つと光るのです。」

「その身分証には魔石が使われております。」

「しかし私の身分証はあの盗賊らが売るために魔石だけくりぬかれてしまいました。」

「なので本人確認できません。」

魔石つまり電池を抜かれて起動しなくなってしまったと。

「嵌めなおしても駄目か?」

「多分駄目でしょう。」

「身分証の魔石があった場所の周辺も壊れてしまってます。」

ほえーって関心した。

とある個人を特定して光る魔法陣が刻まれているらしい。

どういう設計なんだ?

単純な魔法なら、道具なんていらないのだが。

こういう細かいことになると魔物からとれる魔石や魔力が通りやすい材料などを使って道具を作り、

これを元にして魔法陣などを刻み込むだけで、めんどくさい魔法陣を使っていても簡単に魔法を使えるのだ。

今回は発光の魔法陣に、ある特定の個人のみと言う発動条件を加えて身分証としている。

その身分証に名前やら紋章やらを書き加えている。

おそらく魔石が個人を特定する役目なのかな?

「なるほど・・・」

なんかうまく言いくるめられている気がするが、

身分証の構造の事で頭がいっぱいだ。

とにかく身分証が使えないのなら仕方がない。

「それなら、ハンターになって王都に入る方法しかないか。」

まあぶっちゃけ本人さえ良けりゃ俺はどうだっていい。

多少面倒だが、貴族の娘はこの世界に来たばかりの俺にとっては重要な情報源になる。

ただし太陽さんには【クラーレン】と言う金髪中分神父に会えと言われている。

急がなくてもいいと言っていたが時間はまだ大丈夫かな?

それにこの村で暮らしている間も例の断罪の魔法を練習していたがまだ使えない。

能力や技術が必要な上に綺麗な魂じゃなきゃ使えないらしいので、

ハンター業などで人助けをしつつ練習をできると思えば悪くないか。

ちなみに魔法の練習も毎日欠かさずしている。

断罪魔法については色々言いたいことはあるが今考えても仕方ない。

こんな魔法に頼るから色々おかしくなるんだろとか。

「言っておくけど、くだらない文句や我が儘言ったら、尻を蹴とばすからな。」

色々考えてたからイライラした口調になってしまった。

お嬢様の世話って手間がかかりそうなので一応釘を刺しておく。

「はい!ご迷惑をおかけしない様にします。」

アンナは真剣な顔でそう言った。

その後は作業を再開した。

そこまで大荷物ではないので積み込みはすぐに終わった。

ジャックさん達は皆作業をしているので俺たちはこの後どうしようか。

「明日には出て行っちゃうし、置き土産のつもりで狩りに行こうか。」

「狩り?」

「うん、鹿とか猪とか狩っておこう。」

肉はあまり食えないとか言ってたので多めに狩れたらいいと思う。

「お手伝いします。」

と早速アンナは張り切っているようだ。

ユキに荷車を引っ張らせて双子も一緒に森へ行く。

【探索】の魔法を使いつつ痕跡を探して歩く。

【探索】と言っても色々あるが今は割愛。

こなれたもので少し歩くとすぐに痕跡を見つける。

「これだ。」

そう小声で言って指を差し皆に見せる。

ユキや双子もわかっている様子。

この跡は鹿だ。

「この二股の足跡ですか?」

「そう、大きさと沈みこみ具合から見て大きめの雄だな。」

俺がそう言うとアンナはじっくり観察している。

「よしアンナ!」

「はい!」

とアンナ直立してまっすぐ俺を見る。

俺は指を足跡の向かった方向に向けて言う。

「この鹿を狩ってこい!」

「わかりました!」

と元気に返事をするが。

「え!??一人でですか?」

と華麗なノリツッコミをかます。

「うん。だって貴族って魔法使えるんでしょ?」

俺がそういうとアンナは悲しそうな顔をして俯く。

あれ?この反応・・・

「もしかして魔法使えないの?」

俺がそういうとアンナは目に涙を浮かべながら何も言わずコクコクとうなずく。

「貴族って魔法使えるんじゃ?」

「今はまだ練習中です。」

と悲しそうな悔しそうな顔で言う。

「そうか。なら俺が狩ってくるね。」

「時間があったら、食べられる野草や果物をこの籠に入れておいてくれ。」

「はい・・・」

なんか地雷だったっぽい?

悲し気な表情を察したのであまり触れないようにする。

気配を消し、牡鹿にこっそり近づく。

そして盗賊からいただいた和弓を使ってみる。

狙うのは心臓。

前足の付け根付近やや後ろ側。

あらかじめ何回か使ってみたので使用感は問題ない。

張りは気持ち軽めだが矢は問題なくまっすぐ発射される。

パシュッ!

狙い通り心臓に深く突き刺さる。

と言うか貫通して牡鹿の奥まで飛んで行ってしまった。

「あらら」

鹿は少し走ろうとした後、

独特な鹿の鳴き声を上げながら倒れた。

そして動かなくなり絶命した。

「そういえば和弓って鉄板も貫通する威力だったな。」

貫通しようとも獲物を仕留められれば問題ないのだが、

矢がどこに行ったか分からなくなり、無くす事がたまにある。

幸い矢はすぐに見つけられた。

「まだ使えそうだな。」

そういって軽く血を拭いて矢筒に戻す。

ユキ達の所に戻り、解体をする。

アンナは解体を見るのもやるのも初めてらしく手際が悪かった。

なので今回は俺が軽く説明しつつぱっぱと済ませてしまう。

血抜きと内臓処理のみ。

「何もできず申し訳ありません。」

アンナはしょんぼりしている。

「ゆっくり練習していけば良いよ。」

と言いながらちょうどいい所に在る頭をバシバシ叩く。

優しくポンポンしたつもりが力が入り過ぎたのだ。

その後はこの場を起点にして猪やら鹿やらもう少し小さい狐や兎もたくさん狩った。

前から思っていたがこの森に猿はいないみたいだ。

アンナはポケーとした表情で見ている。

「締めとかないと口に虫が入ってくるぞ。」

俺がそういうと急いで口を閉めた。

「おひとりでこんなにたくさん狩ってしまわれるのですね!」

「索敵の魔法を使っているから、今日はずるしてるけどね。」

普段は魔法を使わずに手加減して狩っている。

一人で狩り尽くすって事は無いだろうが一応気を使っている。

しかし今回俺は大量に狩った。

アンナも籠いっぱいに森の果物を集めたようだ。

子犬達はおやつ代わりに小さい獲物と果物をつまみ食い。

そうしてジャック宅に向かう。

ちなみにだが子犬達とアンナはまだまだ距離感が遠い。

アンナがそっと子犬を撫でようとしている。

「そーっ」

ゆっくり近づくが、

「ワンッ!!!」

と牙を剝かれている。

「ひゃ!」

「ご、ごめんなさい・・・。」

そしてアンナはしょんぼりしている。

「まだ子供だし警戒するのは当然だな。」

俺はなだめるように言う。

「そのようです・・・」

尻すぼみな声で答えるアンナ。

「まあユキは大丈夫だったんだし、すぐに仲良くなれるさ。」

ユキは神の国での暴れっぷりが嘘だったかの様にアンナに触られても大人しかった。

まだ背中に乗せるまでには至ってない。

常軌を逸した神嫌いなのか、子供に優しいのか。

アンナを子供っていうには少々デカいけどね。

貴族やその家族の暗殺って実際によくある話なんですかね?

ちなみにアンナちゃんは誰が敵か分からないので王都入場の際の検問で引っかかって

人知れず処刑される可能性も危惧しています。

貴族って怖いですね。

何で命を狙われてるのかは後々説明します。

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