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16 子犬

無事生まれてくれるのか?

犬好きにはたまらない瞬間の一つですね。


追記、誤字を直しました。

 畑を手伝い。

家畜の世話を手伝い。

狩りをしたり。

村の周辺を探索したり。

料理を教わったり。


――そんな日々を送っている。


出産ももうじきとの事だ。


侮っていたつもりはないが、

畑や家畜の世話は思っていたより激務だった。

かなり鍛えている自信はあったがそれでも重労働だ。


そんなある日の事。


ジャックさんは鞣し作業。

エリーさんとマーシーちゃんは機織り。

俺はユキと村の周辺を探索していた。


俺はイノシシを二頭狩って解体して、日が暮れる前に帰る。


家に着くと普段とは違う様子だった。


家の前で三人ともそわそわしていた。

俺に気付いたマーシーちゃんが声をかける。


「あっ!ヒロおかえり!」


居候してそこそこ時間も経ち、仲良くなったので呼び捨てである。


すぐに両親も俺に気付く。


「ただいま!何かあったんですか?」


「ああ!ヒロか、実はワンコが産気づいたんだ。」


俺が狩をしている間に産気づいたらしい。


「ほんとですか!!」


「ええ!もうかなり時間がたったので、そろそろだと思うのだけれど・・・」


心配そうにエリーさんが言う。


「なるほど!」


「一応近くにいない方がいいかもと思ってな。」


家の中から母犬の唸り声が聞こえてくる。


俺もユキを馬小屋に連れて行った後、家の前で待つ。


――しばらく経った。


家の中から子犬の様な鳴き声が聞こえてくる。


キャンキャン!!


小さいが元気な鳴き声だった。


「おお!」


一同安堵の声を上げる。


「生まれたみたいですね!」

「もう入って大丈夫!?」

「もう少し経ったら、ヒロから入ってみたら?」


俺が先に様子を見に行く。


少し経ってから家の中が静かになったタイミングを見計らって、そーっと中の様子を覗いてみる。

ゆっくりドアを開けて顔を出し、家の中を見る。


すると母犬の乳を飲む二匹の真白な子犬が居た。


母犬は赤とか茶色系の体毛なのだが、子犬は全く違って真白だった。

眺めていると母犬と目が合った。


『入っていいよ!』


母犬は頷く。


お言葉に甘えて家に入る。

母犬は子犬を大切そうにペロペロと舐めている。


「無事に生まれたか!何か欲しい物はあるか?」


『特にない。』


「そうか。」


結構一緒にいるので、ユキも母犬も何を言いたいのか完璧にわかってしまうのだ。


「ほかのみんなは中に入って大丈夫か?」


あまり近づかなければ大丈夫らしく、みんなを家に入れる。


「もう大丈夫です!ただ子犬には近寄らないでほしいそうです。」


「そうか!」


「それなら遠くから見るだけにしましょう!」


みんなで中に入る。


「おおー」


「真白だ―」


やはりあの母犬から真白な子犬が産まれると驚くよね。


「動物や魔物の生態は良く知らんが。」

「ヒロが腹の子に魔法をかけまくったお陰で真白に染まっちまったのか?」

「え?それが原因ですか?」

「いや?知らん!」


ジャックさんはそんな風に適当なことを言っている。

良かれと思い【光の手】で腹を撫で魔力を注いでたのはよくなかたかな?


「まあお母さんも気にして無さそうだし、いいんじゃない?」


マーシーちゃんに同意するように「うんうん」とエリーさんもうなずく。


「本人たちが気にしてなければ問題ないか!」


「お父さんが白かった可能性もあるよ?」


その日は、犬たちに気を使い、ひっそり食事をとった。


――次の日の朝


 朝起きて居間に行くと、元気に歩き回る双子が居た。


「もう歩けるのか?」


歩くというより駆けまわっている子犬を見ながら聞く。

母犬は『こいつら元気すぎです。』って感じで嬉しそうな困ったような様子だった。


エリーさんは朝食の準備をしていた。


「元気な子たちね!」


エリーさんも嬉しそうに言う。

「おはようございます。騒がしくてすみません。」


「うふふ。気にしなくていいのよ!こんなにかわいい子たちを迷惑だなんて思ったりしないわ。」


こんなことを言ってくれる人たちで良かった。


「双子がある程度大きくなったら野生に帰ると思います。」

「なので可愛がれるのはそれまでですね。」


「あら!そうなの?」


「はい!この母犬は群れが無くなってしまったので、出産のため一時的に着いてきているだけだと思います。」


「ふーん。そんな感じではなさそうだけど?」


エリーさんが母犬を見ながらつぶやく。


俺も母犬を見る。

母犬はじーっと俺を見ている。


「お前たちは好きなようにして良いからな?」


着いてきてくれるんなら犬好きとしては大歓迎なのだが・・・


今のうちに母犬の寝床の水や藁を変える。

寝床などをいじっていると、双子が近寄ってきた。


「よーしよーしいい子だなー」とかなんとか言いながら撫でてみる。


母犬は俺が触っても、特に嫌がったりはしなかった。

母犬が大きいので子犬もそこそこの大きさだ。


「どうやら両方雄みたいですね。」


エリーさんに伝えてみる。


「そういえば犬系の動物って子だくさんだと思っていたけれど。」

「二匹しか生まれなかったのね?」


「確かにそうですね。」


言われてみれば犬って大きいほど多産のイメージだった。

そう言う種類なのかな?

ふと母犬を見ると『細かい事は気にすんな』って顔をしている。


「まっ、いっか!」


見た目は日本の柴犬か秋田犬に似た風貌である。


そうしているとジャックさんとマーシーちゃんが起きてきた。


「おー!かわいいー」


今日も元気なマーシーちゃん。

マーシーちゃんが子犬に触れようとすが、まだ子犬は警戒している様子だ。


「えー!?なんで?ヒロはいいのに私はダメなの?」


なぜでしょうね。


「腹の中にいる時からなんかやってたからじゃないか?」


「そうなんですかね?」


わかりません。


そうして日常に子犬が増えた。


しかし母犬が子犬の面倒を見ているので。

他の俺やジャックさん達三人は今までとはあまり変わらなかった。


十数日経って子犬の毛がしっかり生えてきた頃に発見があった。


「あれ?」


「どうかしました?」


ようやく子犬に触れるようになったマーシーちゃんが何か気付いたようだ。


「何か体に模様がある!!」


「模様?」


そういわれて双子をよく見てみる。

双子は全身真白の体毛だが、目元や足らへんや尻尾の先がそれぞれ別の色が付いていた。


「なんだこれ?」


片方は白に赤でもう片方は白に青の模様があった。


「汚れかなと思ったけど拭いても取れないから多分模様だよ。」


まず母犬の色と違うのは父犬が真白だったからだとすると納得できる。

しかしこの模様はなんだ?父が赤と青と白だったのか?


よくわからない。


ジャックさんが口をはさむ。


「やっぱヒロが生まれる前に色々してたからか?あんまり詳しくないけど、魔物化したんじゃね?」


「まじか・・・」


そういえば誰かが動物が魔力に順応すると魔物化するみたいな事言ってたな。


「やり過ぎたかな?」


後悔先にたたず。


「まあ元気に育つって事で気にしなくて良いんじゃね?」

「そうよ!ちゃんと躾すればハンターに狩られたりしないわよ!」


ジャックさんとマーシーちゃんは気にするなと言ってくれる。


「魔物をペットにするのはまずいですか?」

2人は少し考えて同時に答える。

「「良いんじゃない?」」

「まあ・・・いっか!」


案外適当なようだし、気にしないことにした。

一緒に行動すると決まったわけではないし、魔物の方が元気に丈夫に育つだろ。


――子犬が少し大きくなってきた頃。


母犬は子犬を俺に任せて村の周辺を散歩したり。

エリーさんやジャックさんについていくようになった。

軽い運動と護衛のつもりらしい。

母犬のお陰で、時々畑の作物を食ってた動物が減ったらしく、結構役に立っている様子。


もうこの家の一員のようになっていた。


この時期になってくると子犬はどこでもちょろちょろ歩き出す。

寝る時もきずいたら誰かの寝床に潜んでたりとかする。


しかし本当に真白なのですぐにわかる。


ルーシーちゃんの所にも潜り込んだりする様だ。

そんな時ルーシーちゃんは子犬を抱えて寝るのだとか。


母犬は子犬の居場所を確認すると首を咥えて連れ帰る。

そんな様子をよく見るようになった。

母犬はまだまだ子犬の事が心配らしい。


――そんなある日。


ジャックさんが動物の皮や草や葉っぱなんかを使ってボールを作ってくれた。

なので本日は皆で仕事を早めに切り上げて遊ぶことにした。


こういった時間が取れるって事はこの国が豊かな証拠だろう。


そしてここは村の近くの原っぱ。


「皆でピクニックなんて久しぶりね!」


「そうだな!町にまで行って買い物したりはするけど、のんびりピクニックなんてあんまりしないな。」


「ワンちゃんたちが居なきゃ家でいいかってなっちゃうものね!」


そこそこ開けた原っぱでワンコたちが自由に走り回れるくらいの広さがある。

とりあえず敷物を敷きジャックさんとエリーさんはのんびりしている。


そして子犬とマーシーちゃんは楽しく玉遊び。


それに対し俺と母犬とユキは原っぱを全力疾走。


日々の運動不足を解消すべく一人と一匹と一頭は爆走中。

もちろんユキが一番早いので手加減してくれている。

ユキに次いで母犬、最後に俺。

人の身でどうにか、ついていけているのだ。

俺が遅い訳ではない。


「待てー!!」

マーシーちゃんは微笑ましく子犬らと追いかけっこ。


「うおおぉぉぉぉぉ!まちやがれぇぇ!!」

対してこちらはガチンコ鬼ごっこ。


定期的にユキがこちらを振り向いて煽ってくる。

舐め腐っているというよりも純粋に楽しんでいる様子。


空気感は天と地の差がある。


一方ジャックさんとエリーさんご夫妻。


「もっと飲んびりできると思ったんだが・・・」


「彼らなりにのんびりしているのでしょうね。」


エリーさんはニコニコ眺めながら言う。


俺達は暫く爆走した。


その後、久しぶりにユキにまたがり襲歩。

つまり全力疾走。

普段荷馬車を引いたり、森を移動したりするだけなので、なかなか全力疾走することがない。


「こうして走るのは久しぶりだな!」


ユキの首をポンポンとたたく。

ユキも楽しそうに嘶く。


さすがに全力疾走だと母犬は付いてこれないようで、速度を落として一緒に走る。


「あんなにデカいのにあんなに早いんだね。」


休憩中のマーシーちゃんが呟く。


「輓馬だと思ってたが。その辺の足が速い馬よりはるかに早いな。」


「巨体に似合わず、歩調が軽やかだなと思っていたけれど・・・」


二人はユキのスピードに驚いている様子。

ぶっちゃけユキは既存の馬と比べると完全に異次元の生態をしている。


そうしているうちに昼ごはんの時間になって、マーシーちゃんが呼びに来た。


昼ごはんはパンと肉と野菜のサンドイッチを皆で食べた。

ユキには野菜や果物をあげて母犬にはそれに肉を追加した物をあげる。

走った直後なので母犬はかなり疲れたようだが、ユキはケロッとしている。


「あれだけでかくて白いのが走っていると綺麗だが迫力もかなりあるな。」


まあわからなくはないが・・・


「女の子にデカいとか迫力あるとか言ったら怒られますよ?」


ユキは女の子だから、かわいいとかきれいとかの方がいい気がする。

知らんけど。


「メスだったんだ・・・。」

「結構長い間一緒に居たのに。」

「俺は一応ユキの背後に立たない様に気を付けていたからな。」

「なるほど。」

「あの時の蛇みたくなりたくないもんね!」


苦笑いしながらマーシーちゃんが言う。


「あの時の蛇?」


そういえばエリーさんに蛇の話をしてなかった。

と思いユキが蛇をつぶして食べたことを伝えるとエリーさんは驚いていた。


ユキの方をチラッと見ると、『結構おいしいよ!』って顔をしてる。

さすがに毒蛇を食べる勇気はない。

てか歯の形状的に食べれるの?って疑問が沸いて来て、ユキの様子を観察したが全く問題なさそうだった。


その後はみんなで走ったり寝転がったりして、のんびり過ごした。

楽しい一日だった。


可愛い双子の子犬です。普通は5~6匹くらい生まれるそうですね。

魔物化のイメージは家の壁や服が日光にさらされて変色する感じ、

十円玉が変色する感じで、魔力にさらされたものが変化する事です。

生物も物も変化しますがそう簡単には変化しません。

主人公がアホほど魔力を注いだせいです。主人公がアホなのです。

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