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14-1 村での日常

居候生活の始まりです。

この世界の村人の日常を感じてみましょう。

 ややチクチクした藁のベッドからおはようございます。

日が昇る少し前、外が白んできた頃。

朝起きてまず顔を洗いに行く。

井戸は家の裏にある。

居間に奥さんが居た。すでに料理をしている。

「おはようございます。」

「おはよ~!」

そして井戸で顔を洗う。

シャワーを浴びたい派だが人の家なので控えます。

洗い終わったら顔を拭く。

「おはよう!」

背後から、元気にジャックさんが挨拶してくれる。

「おはようございます。」

と遅れて返す。

「お前魔法使いなのに、結構鍛えてるんだな。」

と体を見ながら言われる。

朝だから少々薄着なのだ。

神の国での異常な鍛錬のおかげだ。

ただある一定以上は筋肉は膨張しないまま力が付いていくので不思議だ。

神様製の体だから?

多分大きすぎる筋肉だと動きにくくなるのでいい感じの所で筋肉の膨張が止まるのだろう。

「旅でうっかり死なないくらいには鍛えてますよ。」

雑談の中ふと、今日は何をしようか考える。

「今日は何をなさるんですか?」

「ん?」

と顔を洗いながら答えてくれる。

ジャックさんも顔を洗うだけの様だ。

「今日はっていうか、毎日畑と家畜の世話だな!」

農家なんだから当たり前かと納得する。

「まあちょうど収穫時期の野菜があるから。それの収穫だな。」

との事、居候するので何かしなければ。

まだ鹿肉はあるから畑のお手伝いさせてもらおうかな。

「今日は収穫のお手伝いしてもいいですか?」

「おー!そりゃ助かるよ!!」

「荷車もあるから、馬にも手伝ってもらっていいか?」

「もちろんです!」

との事で、今日はユキと共に収穫のお手伝いすることになった。

その後、ユキの馬房に飲み水を追加し、畑仕事の事をつたえる。

家の中に入ると、母犬も起きていた。

「おはよ!体調はどうだ?」

と聞いてみると、問題ない!との事だった。

「お前・・・マジで犬と話せるのか?」

とジャックさんが言う。

「なんとなくわかるだけですよ!」

と誤魔化すがお互い何故わかるんだろうか?

ユキの事もわかるし。

ユキと母犬の頭がいいからかな?

「フーン・・・」

とジャックさんが言う。

母犬の皿に飲み水を追加して置く。

「おはよ~」

と眠そうにマーシーちゃんが起きてくる。

それぞれが『おはよー』と返す。

そして朝ごはん。

野菜のスープとサラダにパン。

昨日の話では野菜はたくさん育てているとの事だった。

胡椒やハーブなどの調味料系の物も豊富らしく、サラダやスープにはしっかり味付けされていてとてもおいしい。

朝から俺はにっこにこ。

「今日もおいしいですね!」

と昨晩ぶりの味覚を堪能する。

「お前どんだけ寂しい食生活だったんだよ。まあ妻の料理を楽しんでくれたならうれしいよ。」

とジャックさん。

そういえばユキの事をちゃんと紹介してなかった。

ユキはもともと超暴れ馬である。

「あの馬の事なんですけど。」

と誰かが怪我をする前に注意しておく。

「あのデカ白馬?」

「そうです。そいつの名前はユキって名前なんですが。かなり人見知りで暴れん坊なんです。」

「なので、いきなり後ろから触ったり。顔を撫でようとすると、蹴られたり噛まれたりぶん投げられたりしますので、気を付けてください。」

しっかり忠告しておく。

「ぶん投げる?」

「はい!俺から注意しておきますが、一応皆さんもぶん投げられない様に注意しておいてください。」

まあ外見はいいからねうちの子。

という事で、それぞれ仕事に行く前にユキと顔合わせ。

「ユキ!この人たちが、昨日からお世話になる方々だ!」

と一人ずつ紹介していく。

「だから、蹴ったり噛みついてぶん投げたりしない様に!」

そのくらいわかっとるわ!というような感じでうなずくユキ。

「本当にきれいで大きなお馬さんね!」

と奥さんがユキをほめてくれる。

ユキは見た瞬間蹴りかかるという事はなかった。一安心だった。

「ほんとに暴れ馬なの?」

マーシーちゃんが疑惑の目を俺に向ける。

「前の飼い主の馬小屋の馬はユキに毎日ボコられていたらしいです。」

「この様子だと、大丈夫かもしれないけれど、一応注意してください。」

と釘を刺しておく。

「へー!」

と言いながらユキを眺めてるマーシーちゃんだった。

当のユキはお行儀よくしていた。


「じゃあ、私たちはやることが終わってから畑に行くわね!」

と言って。奥さん娘さんと俺ジャックさんに分かれた。

ユキに荷車を付ける。

「そういえば、馬小屋があるのに馬がいませよね?」

「実はこの前老齢で死んじまってな。」

「新しい馬を行商人に注文しようかとおもってたんだ。」

「あーそれで馬小屋はたまたま空だったんですか。」

「そうだ。ただタイミングが悪かったらしく、一月くらい後にならないと商人は来ないんだ。」

ちなみにこの世界の一か月は一律で30日、一週間は7日ではなく10日らしい。そして一年は12か月で360日らしい。

分かりやすい。

ちなみに馬小屋にチラッと見えていた、でかい斧?があったのだが。

多分その馬や家畜を解体するための物だろう。

雑談をしながら、荷車に籠を積み込んで畑に向かう。

畑になっている野菜はどれも身が詰まっていておいしそうだ。

痩せたような野菜は一切ない。どれも健康そうだ。

やり方を教えてもらい収穫に取り掛かる。

量が多いのでサクサク作業を進める。

収穫の合間は雑談する。

「ヒロさんは、西から来たって言ってたな?」

「そうです!」

「東の国じゃないのか?」

「東の国?」

そういえば太陽様が東方に、刀を作っている国があるって言ってた気がするけどそれの事か?

「そうだ。東には黒髪黒目の人間に似た種族が住んでいるって話だぞ。」

その地方出身って事にしてもいいが、嘘がばれたら面倒だと思う。

てか種族?この辺りの人とは別種族なのか?

とりあえず本当のことを言いつつ誤魔化しておく。

「私の出身は西方です。ただ親は黒髪黒目でしたので、もしかしたらその国に関係あるかもしれませんね。」

転生した場所が西の方で、太陽さんは日本ブームだったため私は黒髪黒目だった。

嘘は言っていないし、確認のしようがないので完璧だと思う。

「そうか。ひょっとしたら先祖が移住してきたのかもな?」

「そうかもしれませんね。」

ってことにしておいた。

「ところで。この村にハンターはいないんですか?」

小さい獲物しかとってないと言ってたのを思い出して聞いてみる。

「ん?ヒロさんはハンターの事知らんのか?」

「野生動物を狩る人の事ですよね?」

「まあそうなんだが。」

と言って説明してくれる。

ハンターとはハンターギルドに登録している人の事らしい。

主に動物や魔物を狩ってギルドにおろしたり。害獣被害を抑えるために間引いたり。

さらには盗賊退治や護衛、傭兵業の仲介までしているらしい。

なんか『ハンター』と『傭兵』それぞれのギルドが、別々だったのを統合したらしい。

ゲームなどにある、冒険者ギルドと同じ感じっぽい。

初対面の時は俺をそのハンターギルドに登録してる人らと勘違いしたらしい。

「そんなでもなきゃこんな辺境の村に来ないからな!」

とニコニコしながら言うジャックさん。

「ヒロさんはこの国での身分証あるのか?」

「ハンターのクラスが上がったら、身分証の代わりにもなるらしいぞ。」

「身分証はないですね・・・」

「この国を見て回りたいなら、ハンターに登録してランクをある程度上げたら移動が楽だぞ?」

「狩りも得意そうだし。」

「まあそこそこです・・・」

「魔法は隠すとして。剣か弓は使えるのか?」

「剣も弓も普通くらいには使えると思います。」

メインは刀と薙刀と和弓なので、剣や弓を同じように使えるか分からないけどね?

「東の方にある町にハンターギルドがある。町に寄った時にでも顔を出してみると良い。」

「そうですね!今度行ってみます。」

「ところでジャックさんは、ハンターのご経験は?」

「ないな。それに家畜の肉や農作物がある。わざわざ危険な職業をする必要はないんだ。」

「それに、作物や家畜を卸すのはハンターギルドではないんだ。」

「へー!」

「毎年決められた量の作物を領主に渡す。そうして余ったのを商人なんかに売るんだ。」

税は家畜や作物を領主に渡すとの事。

「まあ最近は領主やら貴族やらがきな臭くなってるらしいがな。」

「貴族ですか?」

「そう。ここだけの話だが、貴族も教会も裏では悪さをしてるとかしてないとかって噂だ。」

「場所によっては、若い娘が貴族に連れていかれたりってことも有るみたいだな。」

貴族や教会の事は、そこそこ噂になっているらしい。

てか若い女性を連れていくって普通に犯罪では?

「魔法を隠さなきゃいけないのもそのせいですか?」

「詳しくは分からんが。魔法の事は昔かららしいぞ。」

「貴族さんは魔法使いが嫌いなんですかね?」

「詳しくは知らん、使えない俺達には別世界のはなしだ。」

魔法の事なんかは昔から貴族が独占している様子だ。概ね先生の言った通りだ。

その後家事や家畜の世話を終えた、女性陣も合流して作業に集中する。

特に問題もなく作業をする。ユキと女性陣はどうにか仲良くなったみたいだった。


作業も終わり。

帰って収穫物を地下倉庫にしまい込む。そして体の汚れを洗った後に気が付いた。

なんか所々家の中の水瓶や瓶にスライムが入ってる。てかトイレの底にもスライムが居た。

実はスライムは森でもちらほら見かけていた。

ただ全く敵意もなく近寄っても来なかったため放置していた。

「このスライムはペットですか?」

聞いてみる。

「え!?まあそんな感じだけど。スライムの事知らないの?」

とマーシーちゃんに言われる。

「森では見かけましたが、食べるんですか?」

トイレにもいたのでそんなわけないと思いつつ冗談交じりで聞く。

「あはは!そんなわけないじゃない。」

案の定大爆笑される。

「スライムは汚れて飲めない水をきれいにしたり。ごみを食べてくれるのよ。」

「まじか・・・」

何だそのファンタジー生物は?

「ゴミとかを食べて消化して、栄養とか水とかに変えてくれるんだとさ。」

つまり有機物などを分解するバクテリアの様な物?

「こいつを使えば、川の水でお腹を壊したりは?」

「しないぞ。」

やっぱりそうらしい。

いちいち煮沸消毒をしてた自分が阿保らしい。

「もしかして、飲み水確保のためいちいち煮沸させてたの?」

「はい・・・」

「手持ちがあったので一度だけで済みましたが・・・」

「バケツか鍋に水とスライムを入れて置けばすぐに飲める水になるわよ?」

「・・・」

良い事を知れたと思っておこう。

「まあいい勉強になったじゃないか。その辺りの事やら、植物の事やらある程度教えてやるよ!」

との事で優しく励まされた。

そもそも【浄化】魔法もあるし、スライムもいるのだから。

あんな面倒な方法で煮沸消毒しなくてよかったって事だ。

その日の夜はそんな事を考えながら眠りにつく。


毎年豊作で不思議な土地です。

何でなんでしょうか?

この手のお話で同じみスライム君です。

この世界では超便利生物です。

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