9 旅立ち
ようやくです。
チートスキルなんて無いので、しっかり鍛えて転生させます。
かなりの年月が経った。
後頭部で縛った髪の毛が肩よりも下くらいになった。
武術は達人級、魔法も神聖魔法も一通りできるようになった。
そろそろ出発らしい。
持っていくアイテムを確認する。
服、替えの下着、ショートソード、ナイフ、保存食、水と水筒、いろいろなサイズの布を少々、ロープ。
などなど、どうにか生きられるような道具達。
足りなければ自力でどうにかしろとの事。
「村や町のど真ん中に送ることはできないので、人気のない森に送るぞ。」
「しばらくウロウロしていれば、村か街に続く道に出るはずだ。」
「そういえば今更ですが、前世の記憶は消さないんですか?」
ふと思い聞いてみる。
「お前が、前世の話をしても精神病院に送られるだけだから問題ない。」
「確かにそうですね。」
と言いながら前世の事を話さない様にしようと、心に誓う。
「それと、情報は現地で仕入れるか、王都にいる、【クラーレン】という司祭に会って聞いてくれ。」
「【クラーレン】?太陽さん側の味方ってその方ですか?」
「そうだ、お告げという形で軽くお前のことを伝えてある。」
「金髪中分ロン毛の神父だ。」
「わかりました。とりあえずその人に会いに行きます。」
「まだまだ急ぐほどではないので寄り道しても構わんぞ。」
「そんなアバウトな感じでいいんですか?」
「うむ。何か起きれば嫌でも耳に入るだろうからな。」
「わかりました。」
「ユキの準備も大丈夫か?」
「はい。問題ありません。」
馬具を付けたユキを見ながら言う。
一応サドルバッグもつけてくれた、小物入れくらいのサイズだ。
荷物を【収納】に入れて、服も異世界仕様、ショートソードとナイフをベルトにつけて準備完了。
あれ?刀は?
「【エステラ王国】の東方にある国などで売っている。」
「これから行く場所は?」
「【エステラ王国】の北西方面だ!」
・・・
暫くは刀なし。武術を習った意味ないじゃん!
「多少は交易をしていて、大きな町などで時々売っているので探せば見つかるかもな。」
武器の調達は自分でやれとの事。
めんどくせぇと思いつつも声には出さない。
「贅沢を言うな!」
言ってはいないです。
「よっぽどアホな事をしない限り。お前の魔法だけあれば死にはしなぞ。」
「わかりました・・・。」
そして玉座の前に集まる。
私とユキ、その他師匠たち、神々。
「では行ってきます。」
「ああ!とりあえず死なないようにやってみろ」
という太陽さん。
真顔の神々もいるが、夜な夜な可愛がってくれた神々は『もういっちゃうの!?』とか何とか言いながら涙を流している。
そちらは見ないようにして、師匠らにあいさつ。
「ありがとうございました。死なない様に頑張ります。」
そうするとそれぞれ、声をかけてくれる。
「そうだ!」
と太陽さんが忘れていたかのように言って、指を鳴らす。
すると光でできた鎖が体中に巻き付く。
途端に痛みが走る。
「うああああ!いでぇぇぇぇぇ!!」
と言いながらうずくまる。
鎖が痛い。
徐々に光の鎖が消えていくと、痛みも消えていく。
「これは、いわば飼い犬のリードじゃ!」
「多少の悪事は見逃すが、度が過ぎればお前を徐々に絞め殺すぞ!」
「罪を償い切れば、自然となくなるから安心しろ。」
これで、俺の行動をある程度制限するらしい。
つまり神様に首輪をはめられたのだ。
「では、始めるぞ。」
と太陽さんが言うと。
空間に穴の様な物ができる。
「それをくぐれば異世界だ。」
改めてもう一度言う。
「行ってきます。」
と気を取り直して言うと。ユキを引っ張って、穴をくぐる。
目の前は真白になった。
遂に第二の人生、異世界生活が始まる。
話のテンポは恐ろしく悪かったですが、ここからようやく異世界生活開始です。
フィクションだなと思って気楽にお楽しみください。
ぬけがあったので、内容を追加しました。