プロローグ
初めて書きます。わかりにくい点は多々あると思います。
なの細かい指摘をしていただけると直します。
私は長蛇の列に並んでいた。
人気店の列では無い。テーマパークのアトラクションでも無い。そんなのはわかりきっている。
なぜならここは【死後の世界】。列の先頭には何やら神々しくて、偉そうな人が『お前は地獄行だ』とか『あなたは天国行です』とか言ってるからである。
列に並ぶのは私と同じく死んだ人の魂だと思う。見た感じそれっぽい。
肉体は滅び魂となった人々は、審判が下されるのを待っている。そんな様子である。
そのまま大人しく列に並び、審判を待っている。するとどこから来たのか、12単っぽい和服を来た日本人風の女性が列に並ぶ魂達を見る。
雲の様な物に乗っている女性は、まるで買い物を楽しむ若い女のように列を眺める。
『ちょうどいいのいるかな~?』とかなんとか、のんきにつぶやいている。
周りの反応から察するに結構偉いのか?と思ってしまう。
そして、視線が私に向いた時に、まるで探し物が見つかったような感じで、
声を上げる『おっ!ちょうどいい罪人発見』
そう言うなり、私を右手で雑につかみ、フワフワとどこかに連れていく。
連れてこられたのは、白を基調とした、ギリシャ建築風の謁見の間のような場所。
屋根はなく果てしない青空で一段高いところに真白でシンプルな玉座がある。
この女性の服装とは完全にミスマッチで違和感しかない。
女はその玉座風の椅子に座り。女性の目の前に、私を適当に放り投げ、話始める。
「お前は大罪を犯し地獄行きが確定している。その罪を地獄で償うか?私の頼みを聞いて償うか?」
「お前はどっちがいい?」
いきなり過ぎる問いかけに、私は驚いてつい聞き返した。
「大罪ですか?」
何の事か理解できずに狼狽える私。
女はしっかり答えてくれる。
「そうだ、ここに来た理由を考えれば想像はつくだろう。」
私はなんとなく理解した。ここはおそらく【死後の世界】であり、ここに来た理由は死んだからである。
しかし私は殺されてないし、事故死でもなく、病死でもない。
私は自分が死んだ理由を想像しつつ、恐る恐る問いかける。
「あれって大罪だったんですか?」
女は少し怒ったように答える。
「当り前だ!お前は大した理由もなく、なんの努力もせず、生きる理由がないとほざき、その罪を犯した。生きるという権利を放棄した。生きとし生けるすべての者に対する大罪だ。」
まさか【それ】が大罪だなんて、思ってもみなかった。死後の世界があると思いもしなかった。
【それ】を行えば現世の苦しさから解放されて、ただ楽になれると思ってた。それがまさかのあの世で、
地獄行き確定とは・・・
ここに来る前に、最後に見た縄を思い出しつつ、頭を抱えたい気分になる。
しかし魂姿の私はそれすらもできない。
少し放心した後、ふと今更な疑問をぶつけてみた。
「ところであなたは、どちら様ですか?」
まずこの人は神なのか?
たぶん神か冥界の王的な奴なのだろう。
それ以外の可能性もあるが、神に準ずる何かではあると思う。
しかしどの神か解らない。私の中で神様は髭爺ってイメージが強い。
なのでどこの神様なのだろうかと色々な神を思い浮かべてみる。
そうしていると、女は楽しそうに答える。
「私は神だが。お前が知っているどの神でもないぞ」
あれ・・・いま考えを読まれた?と少し驚いた。
どの神でもないというのは予想外だった。
「つまり、私の居た世界で信仰されている神々や宗教は存在しないってことですか?」
「いや、それらの殆どは存在する。それぞれが信じる神の元で、生前死後、その神のルールに基づき処理される。」
となると、自分は無宗教だが、実家が仏教である。なのでこの女性はお釈迦さまか何か?
しかし『私は神だ』って言ってたし・・・
などと考えていると女は笑いながらこう答える。
「お前は無宗教だから、お前が想像するどの神でも宗教でもない別の神だ。」
「何も信仰していない。どこにも行くことのない。そのようなお前の世界の魂をすべて集めて、浄化して様々な国、様々な世界に送っているのだ。」
「だから名前は特にない。強いて言うなら異世界の太陽神だ。太陽さんとでも呼べ。」
【死後の世界】が存在するんだから、異世界もあっても変じゃないかと思い納得する。
つまり彼女は異世界の神で、私の居た世界に存在しない信仰の神。
『特に信仰のない者』や『存在しない神を信仰する者』など、他からこぼれた魂ををすべて集めて処理する。
要するに雑用係みたいな神かな?
「まあその認識で正解だな。」
「先ほどの列の前に居た神様は?」
「あれは私の子らだ。神は私だけで、子供たちは皆私の補佐をしている。」
つまり列の前に居た偉そうな人は神様の子で神様の補佐?
神と呼ばれるのは一人で、他は神の子なので、正しくは神ではない?
「まあ便宜上、月の神とか、光の神とか呼ぶことにしてるけど・・・」
「ちなみに関係ないけど、私は神だから性別は特にない。好きな時に好きな姿になるのだ。今はお前に合わせて日本人っぽい体になっているだけだ。」
「馬にも犬にも狐にもなれるぞ!」
さすが神様で雌雄同体で何にでも成れるらしい。
「驚いたか!?」
「神様と言えば、髭の生えたおじいさんというイメージだったので驚きました。」
そんな感じで雑談をしていると。いつの間にか太陽さんの隣に、黒髪黒目で袴に羽織を着た男が立っていた。
「父上、そろそろ本題に入ってはいかがですか?」
その男が太陽さんに向かって言う。父上呼びって事は、どうやら太陽さんは普段男の姿らしい。
「今は女だ、だから母上と呼びなさい。」
と不機嫌そうに神が言って、男を紹介される。
「この子が、私の長男で月の神だ。」
太陽さんがそういった後、月の神は会釈をする。
「佐藤です!よろしくお願いします。」
と私も挨拶する。なかなか見ないくらいの整った顔立ち。目つきは少し鋭いが優しそうな雰囲気を発している、俗に言うイケメンである。
言われた通りに本題に入る。
「頼み事というのは何ですか?」
太陽さんは答える。
「私の管理する世界で、お前の罪が消えるまで、私の頼み事をこなし続けるのだ!」
「お前の罪が消えれば、その後は自由に過ごしてかまわない。」
「世界を旅するもよし、家族を持ち幸せに暮らすもよし、畑を耕しのんびり暮らすもよし、犯罪者になり死後地獄に行くもよし。」
最後の言葉は無視するとして、異世界で暮らせるのなら、地獄行きよりましな気がしてきた。
ちなみに地獄が審判の列の近くにあるのか、列に並んでいる最中ずっと、たくさんの絶叫と叫び声が聞こえていた。地獄は想像通りの場所の様だ。
「罪を償い終わる前に死んでしまったら?」
「問答無用で地獄行だ。」
さらに、地獄を選ぶメリットは無いみたいだ。かなり良い条件らしい。
「ちなみに、転生する前にその世界で生き延びられるように、少しお前を鍛えてから送り出す。」
「転生後の行動次第で、地獄での期間はゼロにも倍にもなる。地獄で一番きついとされる【特上地獄コース】行もあり得るぞ。」
異世界で、太陽さんに言われた通り真面目にパシリをやる以外なさそうだ。
転生先で罪を償い自由を得る。というのが目標になりそうだ。
「わかりました。異世界で、太陽さんのパシリになります。」
と答える。すると笑いながら太陽さんは言う。
「正しくは【使い】だが、パシリでも構わん。」
「そうと決まれば早速準備に取り掛かろう。」
そういったかと思えば、太陽さんが指を鳴らす。するとあら不思議私の体が出来上がる。
骨、神経、筋肉、内臓、血管、これらが徐々に体を構成していく。とてもグロい。
「うむ、いい感じだな。」
と太陽さんは言うが、前世の体では無かった。男で180cmは超えてそうな身長、
骨格は歪みなく整っていて、上半身下半身、両腕両足のバランスも完璧と言えそうな体。
毛は真っ黒、目も真っ黒、頭髪や眉毛以外の毛は無くつるつるすべすべ。
顔は月の神に似てかっこいい感じです。ぶちゃいくからイケメンに転生できてちょっとうれしい。
多分月の神をモデルにして、少しいじったんだろうなって感じ。
ちなみに現在素っ裸で、大きなソーセージが股座でぷらぷらしてます。大砲レベルです。
「前世の体ではないのですね?」
と自分の体を眺めながら、興味本位で聞いてみる。
「転生時は基本的に、記憶を消し、異世界転生であっても同じ世界の転生であっても見た目を変える。」
「ただ異世界転生に限り、時と場合によっては記憶を消さずに送ることもある。」
「そもそも最近、異世界転生は稀だがな。」
との事。現世の小説では、腐るほど異世界転生はあるけどね。
「ちなみに顔は、月の神の顔を私好みにいじっただけだぞ。」
別にいらん情報である。
「そもそも前の体とは構造が違う。転生先の魔法が使えて、ある程度丈夫な体にしておいたぞ。」
「もちろん槍で刺されれば死ぬが、鍛えればしっかり強くなれる体だ。」
つまり筋肉が付きにくかったり、骨折しやすかったり、生まれつき持病があったり。
ってことが無いように。体を一から作ってくれたらしい。
というか、魔法が使えて、体が丈夫じゃないと駄目な任務なのか。
「病気にも強く、毒にも少々の耐性があるぞ。完全ではないがな。」
と色々説明してくれる。
こうして私の第二の人生が始まろうとしていた。
神様に頼まれて転生する。
よくある、テンプレ設定ですね。
見飽きたかもしれませんが、たまにはシンプルな話もいかがですか?